矢追秀彦の発言 (本会議)

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○矢追秀彦君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました平成四年度予算三案に対し、反対の討論を行うものであります。(拍手)
 今、世界は、大きな変革のうねりの中にあります。ソ連邦の消滅による東西冷戦構造の終えんは、新たな世界秩序の構築の始まりでもあります。こうした中にあって、我が国は国際社会への貢献を旗印に掲げておりますが、海外からは今なお、顔の見えない日本と言われ、哲学なき外交が批判されております。
 しかるに、宮澤総理は、戦後政治の重要な場面に立ち会った歴史の生き証人と言われているにもかかわらず、これら顔の見えない日本外交批判や、昨今、米国内で高まりつつある反目感情に対し何ら有効な解決策を打ち出せないところか、総理みずからの口から、米国民の反日感情をあおるような発言すら飛び出すありさまであります。
 また、国内においては、宮澤内閣発足当初は、本格政権とか、みずから決断する実行力のある内閣といったふれ込みでありましたが、相次ぐ政治汚職や疑惑が発覚し、しかも、共和事件では、あなたの率いる派閥ぐるみの汚職構造ではないかとの疑惑が持たれているのであります。さらに、御自身のリクルート疑惑の解明もなされたいまま現在に至っており、国民の政治不信は高まるばかりであります。
 平成四年度予算案についても、国民の期待にこたえたものとはなっておりません。経済大国として発展途上国等に対する国際貢献、高齢化社会への対応、豊かさの実感できる生活大国の実現、地方の活性化等の諸課題に十分対応した予算案とは言えず、問題を先送りにするなど、到底認めることのできない内容であり、反対を表明するものであります。
 反対理由の第一は、四野党共同で提出した平成四年度予算修正要求に対する自民党の回答が極めて不満足なものであったことであります。
 私たち四野党は、国民の強い要望であるパート減税、家賃控除制度の導入、防衛費の圧縮、防衛費の削減、社会保障の充実、中小企業、農林水産業対策等について、総額千二百五億円を増額する予算修正要求を提出いたしましたが、重要課題を先送りにし、具体的な回答がなかったことは遺憾であります。
 特に、パート減税を含む所得税減税については、所得、消費、資産の間に均衡のある税制の確立をうたい文句に消費税を導入した昭和六十三年以来行われておりません。このため、平成四年度の直間比率は、過去最高を記録した平成元年度の七四・二%とほぼ同じ水準まで高まっております。この間、消費者物価は八・九%上昇し、完全に物価上昇分が実質増税になっており、物価調整減税が行われて当然であります。政府は、少なくともパート減税百十万円までの引き上げと、家賃控除制度の導入を含む減税を実施すべきであります。
 反対理由の第二は、所信表明における総理の生活大国の実現という公約とは裏腹に、予算案には生活大国を目指すための施策が十分講じられていないことであります。
 国民が豊かさを実感できない大きな要因の一つは、生活関連社会資本の整備が大きく立ちおくれていることであります。下水道や都市公園、住宅、生活道路の整備、地球に優しい環境づくりなどは、先進各国と比べても大きくおくれております。高齢化社会を目前にして、生活関連社会資本の整備は急がなければなりません。しかし、予算案における公共投資は、生産優先時代の配分比率をそのまま踏襲し、各事業別、各省庁別の配分比率にはほとんど変化がなく、固定化されたままであります。昨年から設けられた生活関連重点化粋も、三年度と同額の二千億円であり、これでは生活関連社会資本整備を重視した公共投資とはとても言えないのであります。公共投資の配分を、生活関連社会資本整備を最優先するものに抜本的に改善すべきであります。
 反対理由の第三は、予算案には景気対策が十分盛り込まれていないことであります。
 景気は、昨年十二月の予算編成当時とは比較にならないほど悪化しております。四年度の経済のかぎを握ると言われる設備投資については、さきの日銀短観を初め、銀行等の最近の調査でもマイナスという結果が出ております。個人消費にも陰りが見え、生産調整下にもかかわらず、在庫調整は長引く気配が濃厚であり、景気の回復は大幅におくれることが懸念されております。
 しかしながら、政府は、景気対策としては公共投資を思い切って拡充したと説明しておりますが、政府固定資本形成の伸び率は名目成長率を下回り、さらには、平成四年度は三年度の公共事業費の伸び率をも下回っております用地方公共団体の単独事業が一一%と高い伸びになっているのと全く対照的であり、景気は地方任せと言っても過言ではありません。その上、三年度の四千五百億円に続いて四年度も八千五百億円もの地方の特例減額を行ったことは遺憾であります。
 このような状態では、下降局面に入っている経済を引っ張っていく力はありません。したがって、財政が本来有する景気調整機能は有効に働かず、景気対策は不十分と言わざるを得ないのであります。反対理由の第四は、豊かな社会の建設に不可欠な社会保障関係予算について、その内容が不十分となっていることであります。社会保障関係費は三年度より伸び率が低下し、政策的経費である一般歳出の伸びをも下回っております。ホームヘルパーや看護婦対策など、若干前進した点も見られますが、在宅の寝たきり老人を抱え、介護や経済的負担で大変な思いをしている家族に対し、入院による国の負担との均衡を考え、家庭で負担している介護にかかる費用を、在宅寝たきり老人に対する介護手当として支給されてしかるべきであると思いますが、計上されておりません。
 また、保健医療・看護面における総合的なマンパワーの整備や高齢者の雇用・就労環境の充実等も、高齢化社会へ向けて極めて重要かつ緊急の課題でありますが、十分な対策が行われておらず、不満であります。
 反対理由の第五は、東西冷戦構造の崩壊、ソ連邦の消滅によって、軍縮、軍事費削減が世界的な潮流になっているのに、防衛費が三・八%増になっていることであります。
 イギリス、アメリカ、ドイツ等の諸国においては軍事費を純減しておりますし、旧ソ連邦においても、予算に占める軍事費の比率を大幅に縮小しております。こうした平和の潮流をアジアにおいても積極的に創出することが非常に大事になっておりますが、冷戦を前提につくられた防衛大綱に手をつけず、また中期防の検討を今後の問題として先送りしたまま予算編成を行ったことは納得できません。
 本院における予算案審議において、我が党委員の質疑を通じて、防衛費一千億円の削減が明確になりました。また、防衛大綱の見直し、さらに中期防の見直しによる中期防総額の下方減額修正を防衛庁は明確にいたしました。当面、中期防の見直しによる正面装備費をさらに二千億円以上の防衛費の削減を、国民がわかりやすい形で行うべきことを強く申し上げておくものであります。
 最後に、今や政治改革は待ったなしであります。国民の政治への信頼回復を図るためにも、総理は、党利党略を乗り越えて速やかに改革実現へ強力なリーダーシップを発揮されますことを強く望むものであります。
 以上、平成四年度予算三案に反対する主な理由を申し述べ、討論を終わります。(拍手)

発言情報

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発言者: 矢追秀彦

speaker_id: 7446

日付: 1992-03-13

院: 衆議院

会議名: 本会議