山原健二郎の発言 (本会議)
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○山原健二郎君 私は、日本共産党を代表して、九二年度予算三案に対して反対の討論を行います。
今、国民生活に目を向けてみますと、長時間労働、世界に例を見ない過労死の不安、医療における高齢者の差別と自己負担の増大、看護婦や福祉分野の人員の絶対的な不足、絶望的になった住宅の取得と家賃の高騰、大学、教育の財政危機など深刻な事態が広がっています。農業、中小企業の分野でもしかり、町も田園もまさに荒れ果てなんとしています。
こうした事態はなぜ起こったのか。日本共産党は昨年暮れの党首会談で、自民党政治の臨調、行革による福祉、教育の切り捨て、民活の名による大企業の利益第一主義の野放し、突出的な軍拡優先政策の継続が国民生活に大きな困難をもたらし、日本の政治、経済の深刻な行き詰まりを生み出していることを指摘し、これまでの自民党政治の枠組みを根本的に改めるとともに、予算編成の方向も抜本的に切りかえることを要求してまいりました。しかしながら九二年度予算案は、こうした路線の転換を図るどころか、税収不足などを口実に国民生活に新たな攻撃を加えようとしているのであります。
宮澤首相は、今国会の施政方針演説で生活大国を掲げました。ところが政府の予算案たるや、さきに挙げた国民の深刻な現状を一顧だにせず、それどころか、老人医療自己負担の大幅引き上げ、政管健保、国保への国庫負担の削減、生活保護費の三年連続引き下げ、国立大学授業料の値上げ、食管予算の連続カット、八千五百億円もの地方交付税の減額など、暮らしと福祉、教育切り捨て、地方自治破壊に追い打ちをかけているのであります。
一方、投機をほしいままにし、ルールなき資本主義という批判を浴びてきた大企業に対しては、その規制どころか、国債を大量発行してまで、十カ年で四百三十兆円もの公共事業、民活型プロジェクトヘの無利子融資、輸入促進税制など、大企業への優遇策を継続、拡大してきているのであります。
消費税が強行されて三年、貧しい人ほど負担が重く、金持ちほど軽いという最悪の不公平税制である消費税について、自民党自身の飲食料品非課税という公約も投げ捨てられたのであります。羽田大蔵大臣や自民党幹部などは消費税税率アップの発言を繰り返しており、それはさらなる国民大収奪への危険性を内包したものであり、断じて容認できないものであります。消費税は明確に廃止すべきであります。(拍手)
宮澤首相の言う生活大国はかけ声倒れ、その内容は、大企業栄えて国民生活枯れる最悪の生活小国と言わなければなりません。こうした予算案は断じて認めることはできません。これが反対の理由の第一であります。
日本共産党は、労働基準法の抜本的改正、米輸入自由化を断固拒否し、日本農業の再建の道を開く予算に、破壊された福祉を再建し長寿社会を支える枠組みをつくる予算に、大企業の土地投機を許さず、公共住宅の大量建設、そして大学の教育・研究条件の抜本的改善、小中学校三十五人学級の実現など、国民生活優先の予算に転換することを強く求めるものであります。(拍手)
また、国民の税負担を軽減するために、住宅減税、教育費・単身赴任控除、パート減税などの大衆減税を思い切って進めるとともに、大企業優遇の不公平税制に大胆にメスを入れるべきであります。不当な徴税攻勢から納税者の権利を守るため、この際、納税者憲章を具体的に提起し、その制定を求めるものであります。こうしたことを一つ一つ実施してこそ、真の生活大国への道が切り開かれるのであります。このことを宮澤総理に強く提言するものであります。
反対の第二の理由は、予算案が世界的な軍縮の流れに逆行して、軍事費を三・八%も増大させ、引き続き軍拡を進める予算となっていることであります。
ソ連の崩壊による覇権主義の破綻、ワルシャワ条約機構の解体によって、東西の軍事ブロックの対決を基調とした戦後政治の枠組みは大きく変わりました。フィリピン上院での米軍基地存続拒否に見られるように、平和と軍縮を求める世論が世界の潮流となっています。ドイツでも九三年から二〇〇五年の国防予算を約二七%削減する方針が発表されています。
ところが、この国日本はどうか。政府は、冷戦の終結を言いだから、米ソ両国を中心とする東西関係においては、各種の対立要因が根強く存在しているという冷戦構造を前提にした七六年の防衛計画の大綱に基づき、軍事力の増強を図っているのであります。宮澤首相は、日本の防衛力整備は国際情勢に左右されない基盤的なものと軍拡を合理化しようとしました。これこそ国民を欺瞞する以外の何物でもありません。
大綱の具体化と称して現在実施されている中期防の中心的内容は、アメリカの対ソ戦略に基づくP3C百機体制を初め、F15戦闘機、イージス戦闘艦、さらに早期警戒管制機などの導入計画であり、ソ連の原子力潜水艦や爆撃機、ミサイルから米空母を護衛するためのものであることは明瞭であります。ソ連の解体によって冷戦が終結した今、このような軍備増強の根拠は全くありません。
今アメリカは、国防計画指針が明らかにしているように、独自の軍事行動による新世界秩序を強調し、米国以外の超大国の出現は許さないと露骨に表明しています。日本の軍拡は、こうした世界の憲兵としてのアメリカの戦略に地球的規模で協力するためのものであり、日米東京宣言の核心であるグローバルパートナーシップの内容であります。これこそ、日本の防衛力は日本の防衛に限るとしてきた自民党政府の建前さえ踏みにじるものであり、日本国憲法に真っ向から挑戦するものであります。このように自民党政府が軍拡政策の建前としてきた前提そのものが崩れ去った今、従来の防衛計画を根本的に再検討することは、政府の当然の責務ではありませんか。(拍手)
冷戦構造を前提とする防衛計画大綱の廃止、二十二兆七千五百億円に達する中期防衛計画の撤廃、八千六百五十億円に上る新たな正面装備の発注を中止し、大胆な軍縮計画に着手すべきであります。また、二千億円に上る在日米軍駐留費負担、いわゆる思いやり予算は直ちに廃止しなければなりません。以上、軍縮政策の実行で当然のことながら四兆五千五百億円に上る軍事費を半減すべきであります。
ODAが異常突出したのもアメリカの世界戦略の補完と、日本の多国籍企業の利益のためのものであり、根本的見直しが必要であります。
自衛隊海外派兵ノーという国民の意思と、二度も廃案、不成立となった国会の意思とを無視したPKO事務局経費の計上は、憲法の平和原則と議会制民主主義への挑戦であり、断じて許されません。政府は、この際、継続となったPKO法案はもちろん、新たに邦人救出に名をかりた自衛隊海外派兵をねらう自衛隊法改悪だと、一切の派兵策動をきっぱりと断念すべきであります。(拍手)
従軍慰安婦問題が政治問題化しております。これは日本軍国主義が行った最も醜悪な国家的犯罪であります。今日までこのような事実に口を閉ざしてきた責任は、歴代自民党内閣があの十五年戦争を侵略戦争と認めない恥ずべき態度をとったからであります。侵略戦争に無反省の宮澤内閣は、今また、かつて日本軍国主義の象徴であった日の丸・君が代を学校教育に強制しています。再び、この国を破滅に導いた戦前教育の復活を企図しているものとして、強く糾弾するものであります。
以上、反対の理由を申し述べましたが、今回の予算案は、平和・軍縮へという世界の流れに逆行し、また一層国民に犠牲を強いるものであり、総じて旧態依然たる反国民的予算と言わなければなりません。今国政に求められているものは、自民党政治の古い枠組みを根本から改め、政治の軌道を国民生活優先、大企業の横暴の民主的規制、大胆な軍縮へと転換することであります。
最後に、予算執行の最高責任者である宮澤総理の政治姿勢に一言しなければなりません。
今、リクルート疑惑を初め、共和、佐川などの想像を絶する怪物のごとき大規模な金権腐敗政治に、国民の怒りは頂点に達しています。疑惑の徹底究明とともに、金権腐敗政治の一掃を求める声は、今や天の声、民の声であります。みずからの疑惑はみずから解明するという姿勢もなく、ひたすら疑惑隠しに終始する自民党・宮澤内閣の姿勢に対して、内閣不支持率五六%という国民世論が突きつけられていることを、総理は深く肝に銘ずべきであります。
金権政治の本質は、経済界の特権的な勢力である大企業、財界と、自民党など特権的な政治勢力が一体となって政治をゆがめ、国民をこれらの犠牲にしているところにあります。国民生活のさまざまな分野で、世界を驚かせるような貧しさが支配している現状も、こうした金権政治と不可分のものであります。そうである以上、疑惑の解明とともに、今緊急に実現すべきは、金権腐敗防止策の一つとして、企業、団体からの献金を禁止することであります。これこそ、金権政治を断ち切る道であり、その成否を国民は厳しく今見守っているのであります。
まず隗より始めよ。私はこの壇上から、強くこのことを要求いたしまして、政府予算案の反対討論を終わるものであります。(拍手)