中村太郎の発言 (本会議)

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○中村太郎君 ただいま議題となりました平成四年度予算三案の予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 平成四年度予算の内容は、既に羽田大蔵大臣から財政演説において説明されておりますので、これを省略させていただきます。
 平成四年度予算三案は、一月二十四日国会に提出され、一月三十日に羽田大蔵大臣から趣旨説明を聴取し、衆議院からの送付を待って、三月十六日から審査に入りました。
 自来、本日まで審査を行ってまいりましたが、この間、三月二十六日に公聴会を、また委嘱審査を二日間行うなど、終始慎重かつ濃密な審査を行ってまいりました。
 以下、質疑の主だもの若干につきその要旨を御報告申し上げます。
 初めに、内政問題から申し上げます。
 まず、宮澤内閣の政治改革について、「ロッキード、リクルート、共和、東京佐川と続く政治腐敗事件は、国内はもとより国際的な政治不信を招いており、議会制民主主義の危機とも言うべき状況に立ち至っている。もはや、与野党を超えて政治の信頼回復に努めないと、政治が何をやろうとしても効果はあらわれず、国際的な信用も維持できない。政治改革に全力を挙げるという宮澤総理はどう取り組むつもりか」との質疑があり、これに対し宮澤総理大臣から、「政治改革は最大の急務と考えており、自民党内に政治改革本部を設け、当面緊急の問題について、既に定数是正、政治資金、政治倫理、党及び国会改革に関して答申を得た。与野党の政治改革協議会において早急に議論していただくべくお願いしている。そして、この中で合意のできるものから立法化し、今国会で成立を期して、直ちに実施していかないと国民の信頼は回復しないと考えており、政府としても与野党の協議に資するよう最大限のことをしなければならないと考えている」との答弁がありました。
 国連の平和維持活動PKOについて、「自衛隊が参加するのは時期尚早で、やめるべきではないか。本院でPKO法案が継続審査中なのに、防衛庁に地雷処理車の予算が計上されているのは、カンボジアPKOに自衛隊を派遣するねらいがあるのではないか」との質疑があり、これに対し渡辺外務大臣並びに宮下防衛庁長官から、「国連の平和維持活動への自衛隊の参加については、完全に平和が回復していない地域に組織で出かけて活動するには、訓練を受けた自衛隊が適任である。武力の行使はせず国際的な任務を果たすことは、憲法にも抵触しないし、国際的な理解も得られ問題はない。海上自衛隊の掃海艇を機雷処理のためペルシャ湾に派遣したときにはいろいろな批判があったが、任務を果たし帰国するときには国内はもとより世界の国々から高い評価を受け、大きな国際貢献を果たし、案ずるより産むがやすしの面があるのではないかと思っている。地雷処理車の調達は、我が国の有事を想定し縦深性のある陸上自衛隊の装備をきちっとしておくことが抑止力になると考えており、一義的にPKOのために地雷処理が必要であるということで要求しているものではない」との答弁がありました。
 経済・財政問題につきまして、「政府は二月の月例報告で景気が後退局面にあることを明らかにしたが、本委員会初め民間研究機関などでは昨年夏ごろから景気の後退を指摘しており、政府の景気判断は遅きに失したのではないか。また、景気は今後急速に失速することはないと言っているが、その理由を示されたい。景気の現状から、政府の緊急経済対策は不十分で、補正予算を含む第二次経済対策が不可欠な状況ではないか。地価税創設による増収は、所得税減税や土地対策に充てることを国会で約束したのに、一般財源に使うのは認められない。平成五年度には地価税創設時の趣旨に戻すことを確約すべきではないか」との質疑があり、これに対し宮澤総理大臣並びに関係各大臣及び日本銀行総裁より、「景気動向の認識と判断のタイミングに関し、政府としてはできるだけ客観的かつ的確に判断するよう努めており、統計指標の持つ多少のタイムラグは避けられないが、統計指標に加えて時々の産業界等の感覚を大事にしながら、景気の足元と先行きがどうなるかという点に力点を置きつつ総合的に判断するよう努力している。二月に政府が景気後退宣言をしたという報道がなされているが、政府としては、昨年九月以降月例報告の中で調整とか減速という言葉を用い慎重な表現をしてきたが、実際の経営者の生の皮膚感覚と多少のずれがあったということは率直に認めざるを得ない。景気の現状は、高過ぎた成長が適正な成長に移るためのやむを得ない調整過程と認識している。また、バブルの解消と景気循環が重なったのが現在の局面である。しかし、調整が行き過ぎると元も子もないので、三次にわたる公定歩合の引き下げ、三年度補正での財投追加などの対策をとってきたほか、三月三十一日には公共事業費の上期前倒しを含む緊急経済対策に加え、四月一日には第四次の公定歩合の引き下げを行ったことにより、景気が失速するようなことにはならないと考えている。今般の緊急経済対策の効果は本予算が成立して発揮されるもので、目下、予算の早期成立をお願いしている現時点では、補正予算を云々する段階ではない。地価税の税収を土地対策に資する観点から国民生活に還元できていないという指摘は、財政事情が非常に深刻化し、当初の背景が変わってしまったことを御理解願いたいが、遺憾なことである。平成五年度には地価税創設時の趣旨に戻せという御趣旨を大切にしていきたい」との答弁がありました。
 生活大国の推進につきまして、「宮澤総理が目指す生活大国の理念と具体的な進め方を示されたい。生活大国の柱の一つである労働時間の短縮について、年間総労働時間千八百時間が経済運営五カ年計画の目標となっているのに、計画最終年の四年度末の達成は絶望的ではないか。千八百時間の早期達成に向け、政府の責任を明らかにすべきではないか」との質疑があり、これに対し宮澤総理大臣並びに関係各大臣から、「生活大国づくりは何年かにわたり考えてきたことで、単に社会資本を整備すれば足りるというのではなく、生活環境や労働時間、通勤時間などを合理化して個人が十分に余暇を活用できることや、高齢者、障害者などが安心して生活でき、女性が社会参加しやすい環境をつくり、さらにそうした上で、日本人としての創造性を持って国際的に貢献する国民でありたいというのがその理念である。具体的な進め方は、経済審議会に諮問し、新長期経済計画の策定作業をお願いしている。労働時間の短縮は、昭和六十三年に改正労働基準法が施行されて以来着実に減少しているが、四年度末に千八百時間の達成は難しい状況にある。今後、完全週休二日制の普及、年次有給休暇の完全取得、所定外労働時間の削減に一層努めていきたい。特に中小企業の場合は単独で実行するのは難しいため、元請、下請の関係とか、地域の労使の話し合いで実行できるような条件を社会的につくるために、労働時間短縮促進法案を今国会に提案している。同時に、時短にはロボット化、合理化投資が必要で、中小企業労働力確保法のもとでの融資制度の積極的活用を促進するなど諸施策を組み合わせ、できるだけ早く千八百時間を実現したいというのが政府の努力目標である」との答弁がありました。
 また、「国土の均衡ある発展を掲げながら、人口減少県が増加し、東京への一極集中が加速化しているほか、地方においては県都への一極集中が進んでいる状況にある。東京一極集中を是正し、同時に地方の活性化を図ることは、生活大国づくりに忘れてはならない基本的条件だと考える。この問題にどう取り組むか」との質疑に対し山崎建設大臣並びに塩川自治大臣から、「生活大国づくりのためには、均衡ある国土の発展は不可欠である。今回新たに人口分散の地方の核及び地方定住の核をつくるために地方拠点都市を設けることとし、今国会に法案を提出しているが、これは、従来の政令指定都市や県庁所在地などのように既に地域での集中が進んでいるところではなく、別に新たに、人口吸引の魅力や職住遊学等、それぞれの機能を持った都市を各県に二カ所程度重点的に整備しようとするものである。各省庁共同事業の新しい先例ともなる事業でもあり、積極的に推進して、一極集中排除の下地をつくっていきたい」との答弁がありました。
 最後に、対外問題について申し上げます。
 まず、日本外交の基本姿勢につきまして、「総理は、平成四年度こそは我が国が新しい世界秩序の構築に積極的に参画し、光栄ある時代的使命を全うしていかなければならないと述べられているが、これを推進する外交理念を示されたい」との質疑があり、これに対し宮澤総理大臣から、「冷戦が終結し、新しい世界秩序を確立することができる時代となり、我々がかねて考えていた世界に自由と平和と繁栄をもたらすために、我が国は、我が国憲法と戦前から敗戦にかけての経験に基づき、我々がなし得る最大限の貢献をするというのが外交の基本理念である」との答弁がありました。
 また、日米問題について、「日米関係は我が国外交の基軸であるが、今日、日米両国民の間に嫌米感情や反日感情が醸成されつつあり、極めて憂慮にたえない。日米関係修復に取り組むべきではないか」との質疑に対し宮澤総理大臣から、「冷戦の終結で従来の政策の目標を失い、たまたま我が国の経済力が強まったときに米国で失業が高まったために、ソ連にかわって日本が脅威だという異質な感じ方が出たことは事実である。そうした感情が拡大しないよう、先般のブッシュ大統領との東京宣言で、日米両国は二十一世紀の基盤となるよう、価値観を同じくし、共通になし遂げるべき使命を強調し、確認した。お互いに注意すべきところはあるが、本質的には日米関係は健在で、友好が基本になっていると考えている」との答弁がありました。
 このほか、質疑は広範多岐にわたりますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本社会党・護憲共同を代表して梶原委員が反対、自由民主党を代表して吉川委員が賛成、公明党・国民会議を代表して太田委員が反対、日本共産党を代表して諌山委員が反対、連合参議院を代表して乾委員が反対、民社党・スポーツ・国民連合を代表して井上委員が反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、平成四年度予算三案は賛成少数をもっていずれも否決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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発言情報

speech_id: 112315254X00919920409_002

発言者: 中村太郎

speaker_id: 1997

日付: 1992-04-09

院: 参議院

会議名: 本会議