片上公人の発言 (本会議)
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○片上公人君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました平成四年度総予算三案に対し、反対の討論を行うものであります。
リクルート、共和、佐川と続く政治スキャンダルは、十六年ぶりの国会議員逮捕の事態を招き、国民の政治不信を一層高めることになりました。この間、最も残念なことは、政治不信の渦巻く状況下にあって、一番真相解明を行い得る宮澤総理に積極的な政治の信頼回復への取り組みが見られなかったことであります。これは大変遺憾であります。今や、政治改革は待ったなしの課題であります。総理は、速やかな政治改革の実現のため、党利党略を超え、リーダーシップを発揮されることを強く要求いたします。
さて、ソ連邦の崩壊、東西冷戦の終結に伴い、世界は今新しい平和秩序構築に向けた歩みを始めたところであります。その中にあって、我が国に寄せられる期待はますます大きくなっています。また、国内を見るならば、政府の景気の現状判断の誤り、対応のおくれなどから、株価の大幅な落ち込みに象徴されるように経済の状況は非常に深刻になっています。また、高齢化社会の到来に備えた福祉施策の充実、おくれている社会資本整備など、我が国は内外にさまざまな課題を抱えていますしかるに、本四年度予算はいずれの面においても対応が全く不十分であると言わざるを得ません。
以下、順次反対の理由を申し述べます。
第一は、十分な景気対策がなされていないことであります。
イザナギ超えに固執した政府の景気判断は、民間のシンクタンクなどの判断と比べ突出して楽観的で、このため企業家マインドをミスリードし、その結果、現下の景気後退を極めて深刻なものにさせています。政府の責任は重大です。ようやく講じられた今回の政府の緊急経済対策の中心は公共事業の前倒し執行ですが、本予算が現状より楽観過ぎる経済見通しを前提に編成されたことや、GNP比の一般会計規模も三年度より低下していること、公共事業関係費の伸びが昨年を下回っていることなどを考えると、その効果には限界があると言わざるを得ません。既に大型の補正予算の早期の必要性が説かれている状況で、政府の景気対策はまことに不十分と断ぜざるを得ません。
少なくとも、野党四党が要求しているパート減税や家賃控除制度の導入などにより需要を生み出し、景気回復にも資するべきであります。速やかな実施を強く求めます。第二は、福祉優先、生活者優先の予算となっていないことであります。高齢者保健福祉推進十カ年戦略の推進は、生活大国づくりに不可欠であります。四年度予算では幾つかの評価ができる点はありますが、計画の達成にはかなりの程度の推進の加速が必要な状況です。また、育児休暇の拡充、介護休暇の制度化、介護手当の創設、高齢者再雇用の促進、保育控除・子育て減税の実施、障害者の権利擁護機関の設置等、今日的に重要な課題についてはほんの申しわけ程度の不十分な措置しかなされておりません。社会保障関係費の前年度比伸び率が四・三%増と、三年度当初予算の五・一%増を大きく下回り、一般歳国会計の四・五%をも下回るありさまです。このような予算は認められません。
第三は、社会資本整備が依然として生活者重視となっていないことであります。
四百三十兆円の公共投資十カ年計画の二年目を迎え、本年も生活関連枠二千億円が設定され、さらに公共投資充実臨時特別枠二千億円が創設されましたが、全体としての公共投資の配分比率は事業別に固定化されたままであります。総理が提唱した一人一人が真にゆとりと豊かさを実感できる生活大国づくりの方針に反し、生活環境関連重視の財源配分に一向に転換してはおりません。依然として経済成長第一の時代の予算配分方式から脱却できていないことは、まことに遺憾であります。
第四は、行財政改革の推進が不十分であることです。
政府は、予算編成方針で経費の徹底した節減合理化、政策の優先順位の厳しい選択をうたっていましたが、バブルで肥大化し硬直した行政機構に対する見直しや政府規制の緩和、許認可の思い切った縮小などが行われた跡は見られません。補助金の整理合理化を見ても、毎年度継続して千件以上の実績に対し、今年度は八百十三件どまりであります。
また、生活大国づくりの中心的役割を果たす地方の充実についても、国との役割分担を明確にし、国に集中している行財政権限を大幅に地方に移すための施策が著しく不十分であります。とても、徹底した経費の削減、歳出の合理化がなされた予算と言えず、賛成できません。
第五は、防衛費についてであります。
予算案審議の中で、政府は中期防の見直し等を通じての防衛費の下方修正を明らかにしましたが、予算編成時に、東西冷戦の終結、軍縮の世界的な潮流を的確に受けとめ我が国の防衛のあり方を厳格に検討していれば、四年度の防衛費はさらに圧縮できたはずであります。当面、中期防の見直しの中で、国民にわかりやすい形で正面装備をさらに二千億円以上圧縮すべきことを強く申し上げます。
また、国際協力推進の観点からも、我が国が公害先進国の反省から特にその牽引役の期待がかかる地球環境保全についてさらに予算の拡充が必要であるほか、環境分野の政府開発援助の増額や、人道的見地からの旧ソ連などに対する援助についてもさらなる積極的な取り組みが必要な内容となっております。
以上のように、平成四年度総予算三案は、全くもって従来型の予算編成の思考から脱却できておらず、激動する内外の情勢に的確にこたえたものとは到底言いがたいものであります。当面する諸課題に対応するには甚だ不十分な内容の予算として反対せざるを得ないことを申し述べて、私の反対討論を終わります。(拍手)
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