常松裕志の発言 (本会議)

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○常松裕志君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、ただいま議題となりました国の補助金等の整理及び合理化等に関する法律案につきまして、宮澤内閣総理大臣並びに関係閣僚の皆さんに質問をいたします。
 まず、私が、宮澤総理初め政府閣僚の皆さんに強調して申し上げたいのは、この間の自民党政府の財政運営の誤りについてであります。
 一九八一年三月、朝飯には目刺しを食べたといって有名な土光敏夫氏が会長となって第二臨時行政調査会が発足をいたしました。当時、臨調・行革天の声と言われたように、財政再建のためには行政改革しかないとして、とにかく徹底した歳出の見直しが行われ、自治体や国民への負担転嫁が強行されたのは周知のところであります。その過程で、公務員へのペースアップが一年間凍結をされたり、日本国有鉄道の分割・民営化、及び電電公社、たばこの民営化が強行され、多くの労働者にも犠牲のしわ寄せが行われました。旧国鉄改革に際して、政府は、一人も路頭に迷わせないの公約を踏みにじり、無法にも千四十七名の解雇を強行したほどでありました。
 そうまでして取り組んだ行政改革の結果、今どういう財政状況にあるのでしょうか。国債の発行残高は、九三年度末では約百八十二兆円にも上る見込みであります。土光敏夫氏の第二臨調が発足をした一九八一年三月末では八十二兆円。行革、行革のかけ声とは裏腹に、何と百兆円もこの十年間に借金をふやしてしまったのが自民党政府であります。あれだけ労働者や国民に犠牲を強いながら、行政改革とは一体何だったのか、私は、あいた口がふさがらないのであります。
 合衆国のクリントン大統領は、レーガン、ブッシュの共和党政権から引き継いだ四兆ドル、約四百八十兆円もの累積債務の削減を第一の課題に挙げています。ところで、これを国民一人当たりに計算をいたしますと、アメリカでは約百九十万円、日本では約百五十万円もの大金をそれぞれの国民が政府に貸し付けているということになるのであります。財政危機について言えば、その実態は我が国と合衆国にほとんど違いはありません。こうした事態を、クリントン大統領とは違って放置している自民党政府の責任は重大であります。この点につきまして、国の財政の責任者として、総理並びに大蔵大臣のお考えを伺いたいと存じます。
 しかも、国債の発行には、必ず利払いが伴います。九三年度予算においては、十五兆円が借金の利息の支払いに充てられています。これは、歳出の二〇%に当たり、他の経費を大きく圧迫することになっているのは周知のとおりであります。国民の皆さん、皆さんは、本年の予算によれば、一人当たり一年間に十三万円近い利息の支払いを政府から受けているはずなのであります。沖縄から北は北海道に至る、そして赤ちゃんからお年寄りまで含めた日本国民一億二千万全員に一人当たり一万円札を十三枚、十三万円を配当することができる国債費十五兆円を実際に受け取っているのは、しかし国民ではありません。銀行や生命保険会社、損保、そして大企業であります。今年度の租税収入は約六十兆円。何とその四分の一は国債の利払いに充てられているのであります。
 自民党政府は、国民の血税を国民のために使うのではなく、国債を保有する大企業や財界に垂れ流すこと、これを財政運営の目的にしてきたのではないかとさえ疑えるほどでありますが、こんな財政運営を一体いつまで続けるつもりなのか、大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 このような財政運営を行ってきた自民党政府の九三年度予算案の特徴の一つは、その財政運営の失敗を地方自治体に転嫁しようとしていることであります。四千億円の交付税の特例減額、一千五百億円を超える補助金、負担金の一般財源化、補助率の恒久化などであります。この補助金の整理合理化法案もその一環として提出をされたものと言わなければなりません。
 本法案の第一の柱は、公共事業等にかかわる国庫補助負担率の恒久化であります。そもそも、国庫補助負担率の引き下げ、補助金カットは、一九八二年度から三年間の地域特例の六分の一カットが行われたことに始まりました。さらに、八五年度から二分の一を超える高率補助の一律一割削減が実施をされ、地方に五千八百億円もの財源不足額を押しつけたのであります。この地方への負担転嫁は一年限りと約束されていたにもかかわらず、続く八六年度も一兆一千七百億円もの負担転嫁が強行され、しかも三年間も補助金カットが続きました。さらに八九年度には、投資的経費についてもなお二年間延長され、その暫定措置が切れる九一年度にまたもや三年間延長してきたというのがこれまでの経過であります。この一連の経過が物語るものは、国がみずからの責任の放棄を続けるとともに、地方との約束をことごとく破ってきたことを明確に示していると言わざるを得ないのであります。(拍手)
 本来なら来年度に見直しが行われるはずでありましたその公共事業関係の補助負担率が、今年度なぜ恒久化なのでしょうか。しかも、九三年度予算編成を急いだため、公共事業のあり方の見直しについては十分な論議も行われないままの恒久化であります。関係省庁連絡会議での検討は十分に行われたのですか。大蔵大臣の御答弁をお願いをいたします。
 また、関係省庁連絡会議には、実際に事業を行う地方自治体の代表は入っておりません。自治体の声は反映されていないのであります。直轄事業三分の二、補助事業二分の一を原則とするとされておりますが、この水準は妥当なのでしょうか。地方自治体が一貫して要求する八四年水準への復元をなぜ行わなかったのですか。直轄事業負担金についても、原則だというのなら直轄事業負担金は廃止をするというのがむしろ筋なのではないで
しょうか。これらの点について総理並びに大蔵大臣のお考えをお伺いをいたします。
 さて、補助金見直しの結果生ずる地方の負担には国が適切な措置をとると言っています。その地方の負担は、普通会計と公営企業会計を合わせて六千九百億円とされているのであります。また、それを公共事業等臨時特例債で全額補てんするというのであります。また、元利償還金の一〇〇%を交付税算入することとしていますが、地方の固有財源である交付税の先食いにすぎないのであります。何のことはない、国の補助率カットをした分を地方債にツケ回ししただけではありませんか。(拍手)しかも、東京都のようないわゆる不交付団体は、交付税算入されても交付税は交付されないわけでありますから、丸々持ち出しとなります。
 こうして、地方財政にも借金財政を押しつける、これが自民党政府なのであります。ちなみに、地方自治体の地方債、借入金の残高合計は、九三年度末には八十一兆円が見込まれています。これは第二臨調発足時のちょうど二倍に当たることは、自治大臣は御存じのはずであります。これらの地方財政上の問題点について、自治大臣の答弁をお願いいたします。
 次に、本法案の第二の柱である義務教育と養護教育にかかわる国庫負担に関してお尋ねいたします。
 大蔵省は、教育における国庫負担金は、かつて地方財政が弱体であったから一部を国庫負担とした、今は国が財源不足なんだから一般財源化を求めると説明するのであります。しかし、教育の国庫負担とは、単なる財源問題だったのでありましょうか。
 教育は、本来、すぐれて市町村の事業であります。そして、教育は人なりと言われますように、多額の人件費を必要とする事業であります。このために、明治以来しばしば教育の人件費の負担の重さから生ずる市町村の教育格差が、言いかえれば市町村ごとに国民が享受する教育の質の不均等が問題となったのであります。その解決のために導入されたのが、人件費の都道府県負担の原則と半額国庫負担の原則だったのであります。
 したがって、教育における国庫負担制度は、単なる補助金制度では断じてありません。国民から与えられた国の責務を伴う国本来の支出なのであります。このことは、昨年の予算編成過程において、文部大臣、自治大臣、大蔵大臣の三者合意でも確認されたことではありませんか。にもかかわらず、国庫負担金を一部とはいえ一般財源化するということは、国の責務を放棄して地方自治体にその責任を転嫁しようとするものにほかなりません。まさに国の存在意義が問われているものではないでしょうか。教育に対する国の責務について、総理の明快な答弁を求めるものであります。(拍手)
 第三の柱は、自動車損害賠償責任再保険特別会計に対する一般会計からの事務費の繰り入れ停止を継続することであります。
 政府は、本来、国の一般財源からの繰り入れで賄うべき自賠責再保険の事務費、これは九三年度予算ペースでは十億二千六百三十八万円になるわけでありますが、これを運用益で貯えということであります。しかし、これは全く筋違いと言わなければなりません。自賠責特別会計の原資は自動車ユーザーの保険料であり、国がこれに関与する根拠は、無保険事故やひき逃げによる被害者の保護等を図ることを目的としているのであります。したがって、自賠責特別会計の運用益で国の経費の節減を図るなど、もってのほかであります。保険料率の引き下げなど自動車ユーザーへの還元に充てるべきと考えますが、運輸大臣のお考えはいかがでありましょうか。
 最後に、今回もまた補助金カット法案が一括法案として提出されたことについてであります。
 本法律案は、とりわけ地方自治体に深くかかわる法案であるにもかかわらず、国の歳出削減のための法案ということで一括法案とされ、地方行政委員会での審議が保障されていないのは言語道断であります。我が国の立法府は、専門の委員による充実した討議を可能にするため、委員会制度をとっておりますしかるに、各委員会にまたがる法案を一括して提出するやり方は、まさに国会の委員会主義の軽視、法案審議権の剥奪以外の何物でもありません。今後このようなことが行われないよう、ここで改めて行政府に反省を求めます。
 行政府の長としての総理の明快な御答弁をお願いをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕

発言情報

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発言者: 常松裕志

speaker_id: 5646

日付: 1993-02-16

院: 衆議院

会議名: 本会議