川端達夫の発言 (本会議)

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○川端達夫君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となっております平成五年度予算三案に対して、反対の立場から討論を行います。(拍手)
 我が党が反対するその第一の理由は、当初予算案が修正されず、所得税減税実施が盛り込まれなかったことであります。
 宮澤内閣が甘い経済分析を続け、対策を後手後手に回してきた結果、日本経済は深刻な不況に直面しています。実質経済成長率は昨年四―六月がゼロ%、七-九月はマイナス〇・四%となり、その後も低迷が続いています。昨年十月以降、有効求人倍率は遂に一を下回り、大量の従業員、パート・内職者が職を失っているのが現実であります。
 また、この不況はこれまでにない深刻な消費不況となっています。乗用車や家電製品などの耐久消費財を中心に消費が低迷する異常事態が生じ、百貨店販売額の伸びは、昨年三月以来マイナスを続けております。GNPの約六割を占める消費の著しい落ち込みが景気回復の足を引っ張っているのは紛れもない事実であります。これまで政府は、公共投資拡大、公定歩合引き下げなどの対策に取り組んできましたが、いまだその実効は見えないばかりか、本年度予算では公共事業関係予算は、平成四年補正後の九兆八千五百二十九億円に比べて八兆五千二百七十一億円とむしろ下回っており、これらの対策による景気回復はもはや限界に達していると言わざるを得ません。こうした状況において残された手段は、消費拡大策としての所得減税実施しかあり得ないと考えております。
 しかも、サラリーマン、パート労働者の税負担も年々高くなっております。ある試算によれば、中堅勤労者の場合、八八年から九二年の五年間にかけて賃金は二三・五%伸びたのに対し、所得税は実に五六・六%も増加をしております。
 こういう中で、民社党は、他の野党とも共同して、戻し税減税、基礎控除及び給与所得控除の引き上げによる制度改正、住宅及び教育に焦点を置いた政策減税から成る総額四兆二千六百四十億円の減税実現を求めて、予算修正要求を政府・与党に提出いたしました。しかし、政府・与党は、今までの対策で十分だとか、財源がない、減税は効果がない等々の理由を挙げて、我々の提案を拒否しました。所得税減税実施は国民生活に関する緊急かつ不可欠の課題であり、何にも増して重要なものです。平成五年度予算案の総額は約七十二兆円ですが、その全体の中で政策の優先順位を明確にし、政府が減税実現を最優先させる政策判断を行うべきであったと考えております。
 円高不況時の一九八七年、政府は五兆円の公共投資と一兆円の減税を柱とした六兆円の経済対策を策定いたしました。最終的に所得税減税の規模は一兆五千四百億円となり、後に行われた住民税減税を入れて約二兆二千億円の規模の減税が行われました。この減税により日本経済は早期に円高不況から脱出することができました。八六年度二・九%に落ち込んだ実質GNP成長率も、八七年度、八八年度は四・九%、六・〇%に上昇いたしました。税収も、当初の税収見積もりに比較して決算の増収額は、八七年度五兆六千三十九億円、八八年度五兆七千三百六十五億円増となりました。このように、過去に所得減税を実施して不況を克服した自民党政府が、どうして今回手のひらを返したように減税に否定的な態度をとるのか、全く理解ができません。
 政府予算案に所得税減税実施は盛り込まれませんでしたが、三月四日、自民党の梶山幹事長は、所得税減税を前向きに検討すると我が党を初めとする野党の書記長に約束されました。政府・与党が早急にこの公党間の約束を誠実に実行するよう、改めて注文しておきます。
 反対の第二の理由は、住宅、中小企業など、その他の景気対策が極めて不十分なものにとどまっていることであります。
 我々は、譲渡益課税軽減による三大都市圏の市街化区域内農地の宅地転用推進、住宅金融公庫の貸付制度の大幅拡充、中小企業の投資減税実施、政府系金融機関の中小企業向け融資の充実など、景気対策実施についても提言を行ってまいりました。しかし、この点でも、政府・与党は我々の提言を取り入れず、極めて質、量ともに不十分な景気対策になっており、まことに遺憾であります。
 反対の第三の理由は、この予算が生活先進国づくりのための予算となっていないことであります。
 労働時間短縮、内外価格差是正、文化・教育政策の充実、高齢者雇用確保、介護保険制度確立など福祉政策の充実、女性に優しい社会づくり、魅力ある地域づくりなどについてきめ細かな施策が講じられていないのは、極めて総理の掲げる公約に反した予算と言わざるを得ません。
 反対の第四の理由は、行財政改革が不徹底なものにとどまっている点であります。
 今こそ政府が取り組まなければならない課題は、行革の断行であります。政府・自民党は、国鉄、電電公社、専売公社の民営化などを除いて、行政改革、財政改革に見るべき成果を全く残しておりません。また、行政府の合理化という点から見ても、政府の持っている許認可数は、八五年末一万五十四件だったのに、九二年末には一万九百四十二件と増加し、省庁の官房局の数も七九年以来百二十八のままと、政府は行政改革どころか、行政の肥大化を放置していると批判せざるを得ません。
 さて、クリントン大統領は、二月十七日、議会で経済演説を行い、四年間で三千二百五十億ドル、すなわち三十九兆円の財政赤字削減に取り組むことを表明いたしました。大統領は、連邦政府職員の大幅削減、諮問機関の整理、行政事務経費の削減、政府所有機の使用の大幅制限などの高官の特権の廃止など、大胆かつ具体的な計画を示しました。これに比べて、政府の行革への取り組みは、お粗末の一言と言わざるを得ません。具体的な歳出削減額を明記した新行財政改革五カ年計画の策定、実施を宮澤内閣に強く求めるものであります。
 反対の第五の理由は、地球環境保全や経済援助など、国際協力の面で不十分な内容となっている点であります。
 特に、地球サミットで批准、調印された条約、合意事項を誠実に遂行するとともに、軍事支出の多い国にはODAによる援助を抑制するなどの注文をつけておきたいと思います。
 民社党は、国民生活を守り、早急に不況を克服すべしとの考え方に立って、予算案についてはまじめに審議を続けてきました。佐川問題や減税の扱いについて、政府・与党のかたくなな姿勢が審議を一時中断させ、国民の政治に対する信頼を傷つけたことはまことに遺憾であります。改めて政府。与党の態度に反省を促すとともに、我々政治家一人一人がよりよい国民の政治を実現するために努力をしなければならないと思います。
 最後に、所得税減税実施について、政府・与党は約束を早急に実行するよう、改めて注文をつけて、私の反対討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 112605254X01019930306_016

発言者: 川端達夫

speaker_id: 7171

日付: 1993-03-06

院: 衆議院

会議名: 本会議