宮澤喜一の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 円高の問題につきまして、クリントン大統領の記者会見の様子は先ほど佐藤議員に御説明を申し上げましたので省略をいたしますが、いずれにしても、急激な円高は、輸出産業の円建ての手取りを減少させることはもちろんであります。そういう意味から企業の収益を圧迫する、企業活動に悪影響を与えますから、我が国経済の内需拡大にはならずに、むしろその内需拡大のための努力を阻害する、短期的にはそういう結果になることを心配いたします。
 このような認識に立ちまして、先般の新総合経済対策におきましても、円高等の影響をこうむっております中小企業に対する低利融資の特別枠を設定するなどの措置を盛り込んでいるところでございます。
 なお、一般的には、先ほど申し上げましたとおり、伝統的にG7の考え方は、為替相場は経済のファンダメンタルズを反映すべきものであるから、そうして安定的は推移しなければならないので、各国のマクロ経済政策を調整をする、それによって世界のインフレなき経済の拡大を図るという、これが先進国の基本的な認識でありますし、また、数日中に開かれますG7におきましても、恐らくそういう流れての議論が行われるのではないかと考えております。もとより、短期的に投機的な動き等によりまして為替相場が不安定な動きを示しますときには、これに対応することもまたもちろんのことでございます。
 経済見通しの作成に当たりまして、一定の円の水準を確かに想定はいたしておりますけれども、為替レートが一時変動するというようなことが、その一年間の経済見通しの計数に直接にどういうふうな影響を及ぼすかということは、必ずしも正確に申し上げることが困難でございますことは、嶋崎議員にも御理解をいただけることだろうと思います。
 それから、貿易収支に与える影響につきましては、これももう申し上げるまでもないことですが、中長期的には、これはやはり為替の黒字を縮小する、当然そうなるべきものでございますけれども、短期的にはかえって、いわゆるJカーブ効果が働くということも、これももう申し上げるまでもない、御承知のとおりのことでございます。
 貿易不均衡を盾にいろいろ強いられる面がある云々ということにつきまして、やはり基本的には、我が国が内需拡大のための先般のような経済対策を立てまして、そして内需主導型の経済成長を定着させるということ、そして一般的な市場アクセスをさらに自由にするということが重要と存じます。今後ともそのような経済拡大、経済運営に努めてまいりたいと思いますが、なお、たまたま半導体につきまして二〇%という目標が達成されましたために、日本の市場というものはそのような政府による操作が可能であるという、これは明らかに誤解でありましたが、そういうことが今後あってはなりません。いろいろな機会にこの点は明確にいたしてまいりたいと思っております。
 為替レートにつきましては、先ほども申し上げましたプラス・マイナス、いろいろな面がございます。また、短期、長期にもいろいろな面がございますけれども、大きな変動というものはもとより、急激な変動は回避をしなければなりません。今回の経済総合対策におきましても、片方で中小企業等に対する低利融資の特別枠をつくりました。また他方で、円高効果が物価面に好ましい影響を与えるべく、状況を的確に把握する努力もいたしておるところでございますし、続けなければならないと考えております。
 モザンビークの問題でございますが、一九九二年の十月にローマにおきまして、モザンビーク政府と反政府民族抵抗運動、RENAMOとの間で停戦協定ができた、合意ができたわけでございます。それは今日でも保たれておりますし、国連のONUMOZについても、モザンビーク政府も反政府側も、いわゆるRENAMOの方も、双方とも受け入れております。また、ONUMOZは両方に偏ることなく活動いたしておりますので、国際平和協力法上の五原則は満たされておるものと考えております。
 武装解除などが当初の予定よりおくれておるようでございますので、今後、和平プロセスの中で各国の部隊、要員が展開いたしましたら、武装解除も進捗するであろう。つまり、国連の部隊が展開しておりませんものですから、片方だけが武装解除をするということに疑心暗鬼がございますので、国連が展開した後であれば、双方とも武装解除をしてもいいというふうに理解をいたしておりますので、国連の展開とともに進むであろうというふうに思っております。
 今度のモザンビークの活動の司令部への人員を派遣することについてでございますが、これは部隊でなく、国際平和協力法に基づく個人派遣でございます。個人派遣でございますけれども、もちろん国際平和協力法に反するような活動に従事しないということは、実施計画上も明らかにいたしてございます。
 これにつきましては、国連の方から要請がございました。輸送調整をするときに司令部の方針というものを知っておってほしい、それは無理もないことでありますし、また、我が国の活動といたしましても、業務の遂行上、司令部と連絡をすることは有効であると考えまして、そういうことをこの際いだそうと考えておるわけでございます。
 それから、国会への御報告の義務が怠りがちであるということにつきまして、実施計画の決定、変更がありました際には、法七条の規定に基づきまして遅滞なく国会に御報告をしておりますし、委員会等の御質疑にはお答えをいたしております。昨日は、モザンビークの実施計画及びカンボジアの業務実施計画の変更を決定いたしましたので、国会に本日御説明をさせていただいたところでございますが、今後十分この点、気をつけてまいります。
 それから、今のカンボジアの状況でございますが、ポル・ポトの武装解除が進捗をいたしませんで、全体に武装解除が計画の中途で中止されましたことは、まことに遺憾なことであります。その結果として、選挙の施行もいろいろ障害を受けますし、またポル・ポトは選挙への参加を拒否するというようなことで、それらのことはまことに遺憾なことですけれども、基本的に停戦の合意が破れたとは思っておりません。ポル・ポト自身もパリ和平協定は遵守すると言っておりますので、その点は、パリ協定の枠組みが壊れたとは思っておりません。
 今の段階としまして、パリ和平協定の目的は、要するに制憲議会をつくりまして、そして国づくりをする、そのための公正な選挙を行うということでございますので、ポル・ポトはこれに協力的ではございませんけれども、UNTACとしてはいずれの紛争当事者にも偏ることなく、この選挙がともかく平穏に行われるという努力をいたしておりますので、そういう意味でUNTACの活動の中立性は保たれておるものと考えております。したがいまして、法律上の五原則は満たされていると考えておるところでございます。
 それから、ブトロス・ガリ国連事務総長の提案に係る平和執行部隊についてお尋ねがございました。
 恐らく、世界各国で国連のプレゼンスが求められておりまして、なかなか有効にそれが機能いたしませんので、ブトロス・ガリ事務総長としては、あれを思い、これを思いしてああいう提案をされたものと思います。
 そのようなイニシアチブあるいはその背景は理解ができますけれども、しかし、かつて国連はそういう活動をしたことはございませんのですから、そういう新しい問題については、これから我々が国連で検討しなければならない問題である。もちろん、我が国もその検討に参加するのにやぶさかではございませんけれども、検討に参加するということと、我が国がそういう活動に従事できるかということとは、もとより全く別の問題でありまして、我が国としては、国際平和協力法のその枠組みでしかこういう協力はできない、それを超えてすることはもとよりできないというふうに思っております。ただ、この議論にはもとより参画することは有用であろうと思っております。
 それから、防衛計画の大綱のことでございますが、これは昭和五十一年につくられました考え方でございますが、仮想敵を置かずに、基盤的な防衛力を整備するという考え方そのものは、そのものは、私は今日でも恐らく間違っていないと思います。ただ、長い年月がたちました。殊に国際状況がこれだけ変わりましたので、それはそうであっても、やはり私は一度見直す必要がある。仮に似たような結果になるかもしれませんけれども、これだけ情勢が変わり年月がたっておりますので、見直すことが必要だというふうに考えております。
 それから、最後のところで、この平和協力について、自衛隊とは別組織を通じての協力の方がやはり適当なのではないかという御指摘がありました。
 この点は、法の御審議の際にも随分御議論のあったところでございますけれども、今度カンボジアでの活動を見ておりますと、やはり自衛隊が長年にわたって蓄積いたしました技能、経験、組織的な機能が私はよく生きておったというふうに考えております。恐らく国民もそう思っておられるのではないかと思いますので、ただいまのようなやり方の方がより有効に国際的な貢献ができるのではないかと考えております。
 残りの問題につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕

発言情報

speech_id: 112605254X02419930428_019

発言者: 宮澤喜一

speaker_id: 13804

日付: 1993-04-28

院: 衆議院

会議名: 本会議