古堅実吉の発言 (本会議)

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○古堅実吉君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました「モザンビーク国際平和協力業務実施計画」等について質問いたします。
 今やカンボジア問題は、我が国のみならず、国際的にも極めて重大問題となっています。国連ボランティアとして派遣された中田厚仁さん射殺事件は、全国民に大きな衝撃をもたらしました。派遣されている自衛隊員の御家族や関係者の皆さんが、今毎日大きな不安に駆られていることは申すまでもございません。
 選挙を前にしたカンボジアの事態はまさに深刻、緊迫した状況となっておるのであります。停戦合意は事実上存在しない状態です。特に、ポル・ポト派による協定違反は目に余るものがございます。それでも政府は、パリ協定の大枠は守られていると繰り返し強弁し続けているのであります。したがって、以下の諸点について、パリ和平協定の内容に沿って具体的な質問を行います。
 第一に、カンボジア各派は、陸上、水上及び空中におけるすべての敵対行為を慎むとしているにもかかわらず、至るところで戦闘行為を引き起こし、ますます激化の方向であります。これは明らかに協定違反ではありませんか。
 第二に、武装解除でありますが、ポル・ポト派は一貫してそれを全面的に拒否し、UNTACの車両に対戦車ロケット弾で攻撃するなど、強烈な武装をしていますし、それに対抗するため、プノンペン軍なども武装解除を中断したではありませんか。
 第三に、一月二十五日のガリ事務総長の第三次報告は、ポル・ポト派がパリ協定の義務履行を拒否しているので停戦の第二段階を実施することは不可能になっていると指摘していますが、事態は、その一月よりも一層悪化しているのが紛れもない事実ではありませんか。
 第四に、ポル・ポト派は軍隊の総兵力、配備、部隊の陣地等の文書報告も、また、武器弾薬、装備等の情報提供も一切拒否していますが、これも明らかな協定違反ではありませんか。
 第五に、すべての地雷についての情報を提供しなければならないように定められているにもかかわらず、和平協定に反してそれも拒否しているではありませんか。
 第六に、選挙はカンボジアの全域にわたって州を基礎にして行うよう明記していますが、ポル・ポト派は、和平協定の中心課題であり、不可欠のこの選挙さえ全面的に拒否し、ポル・ポト支配地域では実施できないことが明らかではありませんか。
 第七に、協定には人権尊重義務が明記されていますが、ベトナム系カンボジア人の殺害を繰り返し、今大変な事態の方向に向かっています。これはまさに重大な協定違反そのものであります。
 第八に、UNTAC要員に対する立ち入り拒否や攻撃、拘束、殺害などの敵対行為も明らかな協定違反ではありませんか。
 以上の質問で明らかなように、ポル・ポト派のパリ和平協定に対する重大な違反は明白であり、停戦合意そのものが実体としては存在しないことも明白です。一つ一つについて総理の明快な答弁を求めるものであります。(拍手)
 総理は、これまでポル・ポト派の代表がSNCに参加し、会議にも出席しているから和平協定の枠組みが維持されていると説明してきました。総理御自身は、二月十六日の衆議院予算委員会の席上、それが和平の枠組みが崩れていないと私どもが考えている基本的な理由だとまで言われてきたのであります。しかし、ポル・ポト派は既にプノンペンの事務所を引き払い、プノンペンで開かれるSNCには参加しないと表明するまでに至っています。総理、あなたの答弁からいっても、協定の枠組みは崩れたことになるのではありませんか。はっぎりさしてください。
 指摘したように、ポル・ポト派の協定違反と、それによる協定の枠組み崩壊は明白ですが、総理が、ポル・ポト派が協定を遵守すると言っているから枠組みは崩れていないと言い張るなら、ポル・ポト派は協定の何を遵守してきたのか、どういう義務を履行してきたのか、説明していただきたいものであります。
 カンボジアの深刻な状況に照らし、今重要なことは、パリ和平協定をことごとく踏みにじり、選挙の失敗に向けた妨害のためにますます武力攻撃を激化させ、カンボジア和平への敵対行為に終始しているポル・ポト派に対してどのように対処しなければならないかという問題であります。
 第一は、ポル・ポト派の無法を断固許さないという国際世論の形成です。これが今極めて重要なことであります。そのために、日本政府としても積極的に各国に働きかけることでなければなりません。総理の具体的な答弁を求めます。
 第二に、国連安保理の経済制裁決議を完全に実施することです。ポル・ポト派は支配地域内の監視所設置を拒否していますが、タイ政府など近隣諸国が安保理決議を完全に実施するよう要請すべきだと考えますが、総理の御所見を求めたいと思います。(拍手)
 また、日本の企業のポル・ポト派との取引がことし初めに問題となりましたが、日本がこの経済制裁決議を完全に守ることが重要です。日本政府の経済制裁決議実施のための措置がどうなっているか、あわせて答弁を求めます。
 そこで、派遣されている自衛隊についてでありますが、パリ和平協定そのものが崩れている今、政府は、派遣五原則に違反していないなどといって自衛隊の撤退問題をあいまいにできる時期ではもはやないのであります。
 そこで伺います。
 第一は、ポル・ポト派のキュー・サムファン議長が、この選挙は流血の選挙になるだろうと述べるとともに、カンボジアの新聞インタビューでは、私が西側諸国と言うときは日本も含んでいると述べ、日本に対する襲撃も示唆しています。全面戦争ではないから被害者が出ても撤収はしないという従来の見地を直ちに改めるべきではありませんか。
 第二に、緊迫した情勢の中で政府は自衛隊に武器を携行させましたが、ポル・ポト軍が襲撃した場合は、自衛という名で部隊として応戦することにならざるを得ないことは明らかではありませんか。
 第三に、自衛隊が投票箱の輸送、保管も行うことにした問題でありますが、ポル・ポト派の選挙妨害戦略からいえば、投票箱の輸送、保管が危険にさらされることは自明であります。報道されているように、UNTACの歩兵部隊に護衛されたとしても、襲撃といった事態では、歩兵部隊と一緒になって応戦することになるのではありませんか。ましてや、配置された歩兵部隊ではすべてを護衛できないで、自衛隊が結局、投票箱の警備につくなら、投票箱を守るための応戦となるではありませんか。明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 このような状況に照らしても、今こそ自衛隊の撤退を含め、カンボジア問題全体を抜本的に検討すべきときに来ているのではありませんか。総理の明確な答弁を求めるものであります。
 モザンビークについて言えば、政府調査団報告でも明らかなように、カンボジア同様に、紛争当事者の間には信頼関係が全くないと言われているところであります。このモザンビークへの自衛隊派遣は、カンボジア派遣に加えてさらに一歩を進め、海外派兵を地球的規模にまで拡大するものであり、日本国憲法に明確に違反します。政府は、閣議決定を取り消し、派遣をやめるべきです。総理の所見を求めます。
 求められるのは、食糧援助であり、生活関連の援助であります。モザンビークからの要請がどういうものなのか、あわせ報告を求めます。
 国連は、地域紛争に対して軍事的対処に偏る方向も見られますが、第二次世界大戦の悲惨な体験と痛苦の教訓に立ってつくられた国連憲章の大原則は、民族自決権の尊重を基礎とした平和的手段による解決にこそその根本があるのであります。カンボジアの解決もモザンビークも、この原則に立って進められるべきであります。国際貢献といえば自衛隊派遣しかないといった考え方こそ、真に改められるべき重要問題であることを強く指摘して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕

発言情報

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発言者: 古堅実吉

speaker_id: 25646

日付: 1993-04-28

院: 衆議院

会議名: 本会議