堀昌雄の発言 (予算委員会)
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○堀委員 平成五年度の補正予算についてお尋ねをいたしますが、まず最初に、今度政治改革が行われることになりまして、この問題は政治改革の特別委員会が設けられておるのでありますけれども、やはり自民党と私どもという形だけではなくて、政府とされましてもこの新しい選挙制度にそれなりの対応をしていただく必要があるのではないか、こう考えまして、実はまず最初にこの新しい選挙制度の問題についてお尋ねをしたいと思います。
まず第一に、これまで、現在行われております中選挙区制度というのは、私はこういうような認識で関係者の皆さんにお話をしておるのでありますけれども、これは言うなれば、陸上競技の例えば五百メートルぐらいのランニングのコースに各党の候補者が並びまして、そうして用意ドンと、要するに告示とともにおのおのの候補者は走り出す。走り出しますが、そこには、当然競走でありますから、恐らく五名区というものがある以上は七、八名の方がスタートラインに並ぶ、そうして用意ドンで走っていって、そうして一番、二番、三番、四番、五番と、八番までゴールラインに入ったときに順番がついてくる。
そこで、三名区の場合は一番、二番、三番までが当選、四名区ならば四番までが当選、五名区なら五番までが当選、六番以下が落選、こういう言ってみればちょっとランニングのような、競走のようなスタイルで実は中選挙区というのは行われていた。それはどういうことかといいますと、言うなれば選手一人一人の能力というものが試されるわけでありますから、私はこれを個人本位の選挙制度、こういうふうに位置づけてこれまで説明をしてきておるわけであります。
もちろん、政党に属しておりますけれども、自民党の場合はほとんど当選された方以上の候補者が出ておられますが、私も実は、私の選挙区、兵庫県二区でございますけれども、ここではずっと私ども複数で実は選挙をしてまいりまして、最初に私が出ましたときはまだ統一社会党ということで、昭和三十三年の五月一日に告示されました第二十八回総選挙に統一社会党として初めて参加をしたのでありますけれども、そのときは左派社会
党という方から山口丈太郎さんという前職の方、右派社会党から山下栄二さんというこれも前職の方、私は新人として初めて、三名が公認をされたわけでございます。そこで、ランニングをやりました結果、私は幸いに二番で実は入れましたので第一回目の選挙当選、こういうことになったのでございます。
実はその選挙というのはまさに私を、社会党は幅の広い政党でございまして、統一した後でございますから、旧右派の社会党の方は右派を、旧左派の方は左派を、そして私はどちらかといいますと中間的な皆さんといいますか、そういう方たちでごく少数で、選挙事務所も国道二号線に面してはおりましたけれども、四畳半ぐらいの土間のあるところで選挙をやらせていただきました。大変私を支持してくださる熱心な県会議員が一人、市会議員が一人、その他の方がおられましたおかげで、一生懸命選挙活動をやりました結果、幸いにして二番目で本院に議席を得ることになったわけでございます。昭和三十二年の五月の二十五日に当選をいたしましたので、ちょうど今日、きょうは二十六日でございますから、三十五年と一日というのがその日からの実は時間でございます。
この間、実は選挙は私どもはそういう個人本意の選挙制度のスタイルでございますから、個々にやはり同じ党の中でも自分たちのいろいろな考え方を訴えながら選挙の準備をしてまいったのでありますが、いよいよ私がかねてから主張をしてまいりました政党本位の選挙制度に、今度のこの政治改革でこれがチェンジをすることになります。
私は、三十三年の五月に当選をいたしまして、そうして、前にも申し上げたかと思いますが、当時百六十六名という大変たくさんの人が社会党から当選をいたしましたので、党の方では委員会の志望を認めないで、党の側から割り振りをされました。そこで、私は文教委員に配属をされまして、その文教委員で、昭和三十四年当時、文教委員長が大平さんだったんじゃないかと思いますけれども、要するに文部大臣松田竹千代と言われる、テキサス無宿という別名をとっておられました、アメリカでいろいろと仕事をしてこられた方が文部大臣で、そうして宮澤総理はそのときに文部政務次官として、私は、昭和三十四年の五月ごろでございますか、初めて実は委員会で宮澤総理にお目にかかったわけでございます。
それから長い期間でございますけれども、宮澤総理は経済企画庁長官、通産大臣、大蔵大臣とこういうふうに歴任をされまして、私も三十五年の一月から大蔵委員になりまして、もう一つ公職選挙の特別委員になりましたが、専ら経済財政問題をやらせていただいておりますので、宮澤総理とはもう随分何回も、総理におなりになる前の閣僚時代から論議をさせていただいて、ほぼ経済的な判断については余り総理と私の間に大きな違いはないという感じでこれまで質問をさせていただいてまいっておるわけであります。
それで、その公職選挙の委員会に参りましたときに、私はかねてから申しておりましたのは、要するに世界の先進国の中で個人本意の選挙制度というものをやっているのは日本だけであって、例えばイギリスでございますと小選挙区制でございまして、御承知のように保守党か労働党かという選択になりますし、それからドイツは併用制でございまして、ここもやはり政党本位でございますし、フランスは小選挙区で、これも政党本位、アメリカもまあ大体、範囲は広うございますけれども、小選挙区システムでございますから、そういう意味では私は、この日本の個人本位の選挙制度というのは非常に問題が多いと。
その問題が多いということの一つは、これはいつも自民党の方がお話しになるのでありますけれども、同士打ちといいますか、同じ党の中から出て争う、こういうことになる。同じ党から出て争うということになりますと、党の政策を訴えたのでは、これは同じ人が三人いますから選択の余地がないものですから、おのおのがそういう異なったことをやらざるを得ません。
私も当初は山口丈太郎さん、山下栄二さんと三人で出て、その後山口丈太郎さんとまた二人でやりましたときもございますし、その後では土井たか子さんと私、ずっとこの選挙区で二人で一緒に選挙をする、こういう格好になって今日までまいったのでありますけれども、やはり私は選挙制度というのは何としても政党本位の選挙制度、それはもう比例代表か小選挙区しかないわけでございまして、私は、そういう意味では、公職選挙の特別委員になりまして、その中で論議が出てまいりましたのは、ひとつ選挙制度をきちんとしようということで、選挙制度審議会というものをつくったらどうだろうか、こういう御意見が出てまいりまして、私も大賛成でございまして、当時党には、成田さんが書記長でございましたが、成田書記長にも御報告し、了解を得て、選挙制度審議会というものが実は設けられました。
私、そこで手を挙げまして、第一次、第二次の選挙制度審議会の委員。党のルールがございまして、二期続けて外部の審議会に出た者は二期休めということでございますので、三、四の選挙制度審議会の委員はやっておりませんが、次また五、六の選挙制度審議会の委員をやらしていただくということで、公職選挙の問題については長くかかわらしていただいてきたわけであります。
今、参議院全国区比例代表という制度がございますが、第六次の選挙制度審議会のときに私の試案ということで提案をいたしました案がございます。というのは、当時、御承知のように全国区は個人単位の選挙でございまして、見ておりますと、初めは大変立派な、山本有三さんとか立派な方が当選されたのでありますが、だんだんとこれがタレント化をしまして、テレビに出て知名度の高いタレントというような方が、非常に個人名では全国的には行き渡るものですから、そういうふうになっておりましたので、これでは政治の基本が崩れるとこう考えまして、ひとつ参議院の全国区は比例代表にしたらどうかという試案を実は第六次審議会に出しておりました。
竹下登さんが自民党の選挙制度調査会長になられて、そして私のところに連絡があって、堀さん、実は自分もどうも今の参議院全国区のあり方は適当だと思わないので、ひとつあなたの案を自民党の案として提案したいと思うのだけれども、あなたの案だからあなたが了解をしてくれればひとつこの案を自由民主党から全国区比例代表制ということで提案をしたいがどうか、こういうお尋ねがございました。私は、それは大変光栄です、ぜひひとつ自民党案としてこれを国会に出してください、こういうことで実はその後、私も自分の案を自民党で出していただきましたので、社会党の皆さんにも協力をしていただいて、この参議院全国区比例代表という制度は法律になったわけでございます。
そんな経緯がありますので、私はかねてから参議院よりも本来は衆議院に実はその政党本位の選挙制度を導入すべきだということでいろいろ努力をしてまいりましたけれども、今度いよいよ国民世論も政治改革を求める、こういうことになりまして、今自民党が提案していらっしゃるのは五百名の完全小選挙区制、私どもの方は西ドイツ方式の併用制ということで、いずれも政党本位の選挙制度を今ここに提案をさせていただいているということで、私といたしましては、自分の在職中にこの選挙制度の改革が行われるということが行われますならば、まさに政治家冥利に尽きるといいますか、長年主張してまいりまして皆さんにお訴えをしておりました制度に日本の国会の仕組みが変わるということは、まさに私は、この日本の議会というものが正しい国民の支持を受けた、憲法に書かれておりますような国民を代表する人たちによって構成されて、政党本位の間で論議が交わせるということになることを、大変私はこの時期に議員として務めておりますことを幸いに思っております。
私どもの党では、実はこの前七十歳定年制というのが出てまいりまして、私と同僚の安井吉典さんとか角屋堅次郎さんとか皆同期でずっときてお
りました人たちは、その七十歳定年制ということで実はもう引退をされたのでありますけれども、たまたま私と同じ選挙区の土井さんが当時委員長でございまして、そうしてその委員長は、ひとつできるだけ候補者をふやして次の選挙をやりたい、だから一名のところはできたら二名にしてくれないか、二名のところは三名にしてくれないか、こういう要請を土井委員長が党の方針として打ち出されたわけであります。
そこで、私どもの県本部は、そうなりますと、もう私、七十歳超えておりますから、七十歳定年制にひっかかるのでありますが、県本部の委員長であります現在参議院議員でございます本岡昭次さんとかあるいは兵庫県の連合の会長でございますところの石井日教組委員長とかこういう皆さんが、幾ら何でも、土井委員長が各地方で候補者ふやせと言っておられて、そうしてこの兵庫県第二区では私が七十歳定年だからやめるとなると、あとは候補者の出手はないぞ、土井さんと一緒にやって当選できるような新人なんというものはあり得ないから候補者の出る可能性がない、これでは幾ら何でも、土井委員長が全国に候補者をふやせと言っておいて、自分は二名でやってきたのが一名でやるというのは道理が通らないではないか、こういうことを本岡参議院議員・兵庫県本部委員長あるいは石井連合会長たちがそういう論を出されまして、兵庫県本部としても、また兵庫県二区、特に西宮総支部という土井さんの地元の総支部も、それは県本部の言われるとおりで、やはり二名にしなきゃしょうがないじゃないか、こういうことになりまして、当時は山口書記長でございましたけれども、いろいろ骨を折っていただいて、無所属、社会党推薦ということで実は十一回目の当選を果たさせていただいたわけでございます。私は無所属でございましても、社会党推薦という名前がついていれば、私が社会党の人間であることは、三十年近きにわたって選挙しておりますから、有権者の皆さんに御理解をいただいて、今日最後の仕事をさせていただいておるわけであります。
ちょっと私事にわたったことを申して恐縮でございましたけれども、そういう意味で、私の念願のかなった政党本位の選挙制度がいよいよ実現するということは、私は大変うれしく思っておるわけでございます。
ただ、ここでちょっと問題になりますのは、今提案されております自民党の小選挙区制、私どもも比例代表併用制と言っておりますが、いずれも小選挙区制度が実は組み込まれておる案でございます。小選挙区というのは、言ってみますと将棋や碁のようなものでございまして、二人がこうやって、どっちが勝つかどっちが負けるか、まあ二人以上の参加者があることはありますでしょうが、実際に争いますのは自民、社会が一名を争うということになるだろうと思うのでありますが、そのときには、今度は要するに条件が変わってまいります。
ランニングでございますと何人もて走るのでいいのですけれども、一議席を争うというときには、やはり私は、これも一つの競争でありますから、この競争は条件をひとつイコールフッティングにしないと、競争原理というのは、一般的にフェアな競争というのは、イコールフッティングで競争するというのが競争原理の原則でございますから、そうすると、この小選挙区における候補者ということになりますと、どうしても私は、選挙費用あるいは政治活動費用というものが一定期間を限っては同じ条件でないと、例えばAの候補者は資金が十である、Bの候補者は資金が二であるとか一であるとかというような差になりますと、これは日本の長い中選挙区、個人本位選挙制度をとる仕組み、お金の使われ方等から見て、小選挙区になってもやはり金が優位にある人の方が当選する確率が高いということは避けられないと思うのであります。
そこで、私は、公正な小選挙区制度ということにするためには、条件を同じにする。政治資金、選挙資金等を一定の時期を限って、私は六カ月ぐらいが適当ではないかと思っておりますが、六カ月ぐらいを限って同じにして、このことはひとつ新しい制度で、公費の問題というのは今度は私どもも取り上げておりますし、自民党も取り上げておられますから、この小選挙区候補者については公費でひとつぴしっと同額の選挙費用、政治活動費用というものを与える。それは幾らにするかということは、これはまた第三者の関係者の皆さんの御論議をいただいて決めることでありましょうけれども、少なくとも形としては選挙管理委員会が発行した小切手帳を使うとか、ある一定の使い方で、もしそれ以外にお金を使ったことがわかったらその人は当選無効だと、こういうペナルティーのついた公正な競争条件を費用の上においても確立をすることが新しい小選挙区という制度では必要ではないか、こう考えておるわけであります。
これについてひとつまず、金額の話等は別として、物の考え方として、総理はどのように御判断になるか、お答えをいただきたいと思います。