遠藤要の発言 (本会議)
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○遠藤要君 ただいま議題となりました平成五年度予算三案の予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
平成五年度予算の内容につきましては、既に林大蔵大臣の財政演説において説明されておりますので、これを省略させていただきます。
平成五年度予算三案は、一月二十二日国会に提出され、一月二十七日に林大蔵大臣から趣旨説明を聴取し、衆議院からの送付を待って、三月九日から審査に入りました。自来、本日まで審査を行ってまいりましたが、この間、三月二十五日に公聴会を、また二十六日には委嘱審査を、さらに三十日には景気対策及び政治改革に関する集中審議を行うなど、慎重な審査を行ってまいりました。
予算審査は、景気対策と政治不信究明の国民の要望を踏まえ、あくまでも自然成立を回避する方針で臨み、本院の勢力比の現状のもとで、与野党が互譲の姿勢で審議を尽くし、参議院の自主性と権威を高め、議会制民主主義の実を上げ、文字どおり年度内成立の運びとなりました。
以下、質疑のうち主なるもの若干につきその要旨を御報告申し上げます。
まず、政治改革につきまして、「金丸前自民党副総裁の逮捕など相次ぐ金権腐敗事件の発生で、国民の政治不信は極限に達している。宮澤総理は国民の怒りを真摯に受けとめ、血の通った言葉で国民に陳謝すべきではないか。もはや政治改革は一刻の猶予もできない。政治倫理の確立、政治資金の規制、政治腐敗の防止等の制度改革の早期実現を期すべきであるが、宮澤総理は政治改革に一身をささげると言いながら、政治に金がかかるのは選挙区制度の問題だと、衆議院の単純小選挙区制の導入にこだわっており、このままでは与野党逆転の参議院を通過するのは困難ではないか」との質疑があり、これに対し宮澤総理から、「相次ぐ不祥事は、政治家の倫理の問題として、政治改革を推進していかなくてはならない。今回の前議員の脱税容疑に対しては、一人の国会議員の立場として申しわけなく思うというのが偽らざる気持ちであるが、総理大臣の立場では、捜査が厳正に行われるということが大切で、公の立場としては遺憾、残念であるという表現が一番正しいと考えている。政治改革については、緊急改革が先国会で行われたが、抜本改革については、現在自民党では、政治資金の問題、選挙制度の問題等全般にわたった改革案が固まってきている。政治資金の規制強化の問題は焦眉の急であると考えているが、同時に、これらの問題も詰めていくと選挙制度の改革と密接に関係しており、片方だけを切り離して改正することは問題があると考えている。自民党で検討を終え次第、議員立法で一括して提案することになるが、その段階では、各党にも十分議論を願い、合意を図っていただき、国民の信頼を回復するために何としても今国会で成立を期したいと考えている」との答弁がありました。
経済動向につきましては、「景気は設備投資や個人消費が低迷し不況感が深まっているが、景気の現状をどう見ているか。この際、不況マインドを払拭する意味から景気回復に転じる時期を明言すべきではないか。このままでは平成五年度の政府経済見通し三・三%の達成は難しいのではないか」との質疑があり、これに対し宮澤総理大臣並びに船田経済企画庁長官から、「今回の不況は、在庫循環による不況に加え資産価値の下落が重なつたため、家計の消費意欲と企業の投資意欲が失われたばかりではなく、金融、証券等にも大きな影響を及ぼし、融資対応能力の低下等の要因が加わり、景気の見通し、対応が非常に難しくなっている。こうしたことから、もう少し早く進むと期待していた在庫調整が思うように進んでいない。今後、調整は長期にわたるとは思えないが、まだ在庫調整が完了するという段階には至っていない。政府は、昨年来、予算の前倒し執行十兆七千億円の総合経済対策等の施策を進め、また民間での不良債権の処理もめどが立ち、心配された三月危機を乗り切り、ここで景気に十分配慮した平成五年度予算の早期成立を図り、切れ目のない公共投資の執行を行うことにしている。平成五年度前半は、公共投資と住宅投資が経済を引っ張り、やがて景気の後退も底を打ち、民間の個人消費や設備投資が徐々に回復に向かうものと見込まれる。年度後半には民間経済活動が堅調となり、持続可能な成長路線に円滑に移行し、巡航速度に乗るものと期待している。平成五年度は年度全体を通じてプラスの成長を見込んでいるが、年度後半において経済の主役である個人消費や設備投資が回復すると、広く一般国民にも景気の回復感が、実感としてはっきり感じることができるようになると見ている。三・三%成長はこうした回復の推移を見込んで決定したものである」との答弁がありました。
また、「不況で中小企業の経営が深刻化している中で、中小企業向け官公需の割合が低下しているのはなぜか。新規学卒者の採用内定の取り消しが相次いでおり、何らかの法的処罰を講ずるべきではないか」との質疑に対し、関係各大臣から、「中小企業向け官公需の発注割合を極力引き上げるため分割発注や共同受注に努めているところであるが、同時に、予算の効率的使用と技術的な事情から中小企業への発注が難しい場合もある。近年の中小企業向けの発注割合の低下は、大規模工事の割合が高まったことも一因である。今後、官公需確保法に基づき各省庁に一層の努力要請を行い中小企業の受注機会の増大を図るとともに、中小企業官公需特定品目について、実態調査の上、追加拡充を検討したいと考えている。また、採用内定取り消しは重大なことであり、経済団体に対し採用内定取り消しは行わないようその徹底を要請してきたところであり、その効果もあらわれている。今後は、場合によっては内定取り消しをした企業の公表を含め、企業の社会的責任の自覚を促し、きちっと対処していく考えである」との答弁がありました。
次に、財政・税制問題につきまして、「宮澤総理は所得税減税の必要性をどう考えているか。減税財源を赤字国債に求める場合、赤字国債償還のための増税を担保する必要があるのではないか。また、その際、総理の構想にある税制の抜本改革をどう位置づけるのか」との質疑があり、これに対し宮澤総理大臣から、「所得税減税の要望は平成五年度予算編成作業の段階でも十分承知していたところであり、所得税の累進構造の刻みを緩くして重税感を緩和したい気持ちに変わりはない。しかし、所得税減税の景気に対する経済効果、税制の抜本改正との関連における所得税のあり方の問題、減税を実施する場合の財源問題等々を総合判断し、平成五年度予算においては所得税減税を選択しなかった。政府としては、減税に関する与野党の協議機関における検討の推移を見守っていきたいと考えている。赤字国債を発行して、これを打ち切るまでに十五年かかったという過去の経験を踏まえ、また二十一世紀の高齢化社会を考えると、将来に向かって財政負担を残す赤字国債引き当ての減税は問題なしとしない。仮に短期に償還の国債を引き当てにする構想でも、その財源を近い将来何に求めるかがはっきりしないと踏み切れない。税制の抜本改正について、所得税は、イギリス、アメリカでは累進構造が二つとか三つの大きな刻みであるのに対し、我が国は昭和六十二年、六十三年の改正後も五段階で、中所得層の重税感が高い。この累進構造の簡素化は世界の潮流だと考えているが これを行うと他方で大きな減収を生ずるため、直間比率の是正の問題も含め検討しなくてはならない。それに加え年金の財政再算の問題もあり、二十一世紀に向けて国民負担をどのような形でいかに考えるかという観点から、税制を含めて、近い将来大きな改正をしなくてはならない時期が来ると考えている」との答弁がありました。
最後に、外交・防衛問題につきまして、「宮澤総理の訪米が予定されており、クリントン新大統領との初めての首脳会談となるが、その議題は何か。また、予想される新政権の厳しい対日要求をどう認識しているか。国際情勢の変化に伴い、中期防衛力整備計画の修正とあわせ、基盤的防衛力に踏み込んだ防衛計画の大綱の見直しを行うべきではないか。E2C導入時に否定していたAWACSを平成五年度予算で購入するのは緊張緩和に逆行で必要性は認められず、理解できない」との質疑があり、これに対し宮澤総理大臣並びに関係各大臣から、「クリントン新政権が誕生したので、国会の了解を得て訪米の日程を固めたいと考えており、会談では、日米両国間の問題、日米が共同して世界に向かって背負うべき課題と責任、さらには東京サミットの問題などを話し合いたいと考えている。クリントン大統領は、財政赤字を増税と歳出削減によって縮減するという思い切った提案をされており、こうした内政面の決心の裏側には、日本や各国から求められている課題を米国は思い切って推進するかわりに、相手国に対しても米国の要求をできるだけ実行してもらいたいという考え方があるものと思う。我が国は日米構造協議の課題解決に誠実に努力しているが、今後より一層の努力を必要とするであろうし、経常黒字の累積問題についても、従来にも増して対処策が急がれると思っている。中期防については、内外の諸情勢の変化を踏まえ、一年早めて見直しを行ったところである。防衛計画の大綱は昭和五十一年に策定され、かなりの年月を経て、国際情勢も大きく変化している。しかし、基盤的防衛力は、我が国の最小限の防衛力を明示し整備しているもので、これからのアジア・太平洋地域の平和と安定に今なお重要な意義を持っており、簡単に変えるものではないと考えられる。ただ、世界情勢の変化に照らし、長い目で、時間をかけて基盤的防衛力について考えてみることは大事なことだと思う。AWACSの導入については、昭和五十四年に低空侵入を捕捉する必要からE2Cの導入を行ったが、その後、航空機やミサイルの国際軍事技術、性能が高まり、はるか洋上からの攻撃が可能となったため、その情報を早くキャッチする必要が生じてきた。こうした軍事情勢の変化を考慮して、適切に対応するためにAWACS機能が必要になった」との答弁がありました。
このほか、質疑は広範多岐にわたりますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
かくて、質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本社会党・護憲民主連合を代表して角田委員が反対、自由民主党を代表して柳川委員が賛成、公明党・国民会議を代表して荒木委員が反対、日本共産党を代表して吉岡委員が反対、民主改革連合を代表して乾委員が反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
討論を終局し、採決の結果、平成五年度予算三案は賛成少数をもっていずれも否決すべきものと決定いたしました。
なお、本委員会で所得税減税に関する決議案提出の動きがありましたが、さきの臨時国会の委員長報告で申し上げた趣旨と同様と考えられますので、協議の結果、決議案の提出は行わず、既に不況対策に関する各党協議が開始されていることにかんがみ、政府は本委員会の経緯を十分承知し、減税を含め、景気対策を進められるように要請しておきます。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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