井上裕の発言 (本会議)
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○井上裕君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました平成五年度予算三案に対し、賛成の討論を行います。
今回、金丸信元衆議院議員が所得税法違反の容疑で逮捕されましたことは、国民の模範たるべき政治家の行為としてまことに残念であります。このような相次ぐ政治スキャンダルによって国民の不信が高まっていることは、極めて遺憾なことであります。
今、我が国の政治にとって一番必要なことは、政治に対する国民の信頼を回復することであります。我々は選挙により国民の負託を受けた代表者であり、より一層の強い倫理が求められるのは言うまでもありません。政治改革は焦眉の急であり、我が党は、政治家個人への寄附禁止など政治資金規正法の改正はもとより、選挙制度、公的助成などを含む政治改革関連法を取りまとめ、近日国会に提出するべく作業を進めており、抜本的な政治改革の一刻も早い実現に向け鋭意努力中であります。
さて、我が国経済はバブル崩壊後の調整局面にあり、個人消費と設備投資の二大需要項目の冷え込みが依然として続いております。雇用情勢の悪化も進み、さらに急激な円高も加わり、我が国経済は憂慮にたえない状況であります。
しかし、一方では、昨年八月末に政府が打ち出した十兆七千億円に上る総合経済対策は、補正予算成立が十二月にずれ込みその執行がおくれておりましたものの、ここにきて、株価の上昇、マネーサプライが増加に転じるなどようやく効果があらわれ始めており、さらに強力な景気対策を内容とする五年度予算の一日も早い成立、執行が待たれていることはだれの目にも明らかなことであります。また、宮澤内閣の掲げる生活大国づくりの実現に向け、高齢化社会への対応を考慮した生活関連を軸とする社会資本の充実も急務となっております。
他方、世界に目を転じますと、東西冷戦は終えんしたものの、これまで表面化しなかった地域紛争や民族対立が顕在化しており、新たな平和秩序構築に向けて、我が国はさまざまな方向において国際貢献を求められております。カンボジアで展開されているPKO活動もその一つであり、現在、国の内外から多くの支持を得ているところであります。世界の中の日本であることを強く認識し、今後とも積極的に国際貢献に努めることを政府に対し強く要請いたすものであります。
本予算案は、現下の厳しい財政事情の中にありながら、これら内外の要請に十分こたえた、現状において編成し得る最善の予算として高く評価できるものであります。
以下、賛成の主な理由を申し述べます。
賛成の第一の理由は、積極的な景気対策が盛り込まれている点であります。
財政投融資計画や地方単独事業を含む平成五年度の公共投資総額は、四年度の補正後の実績見込み額に対して九・五%増と、一般歳出をはるかに上回る高い伸びを確保しております。公共投資の増額が景気浮揚に極めて有効であることは言うまでもなく、昨年の総合経済対策及びそれを受けた補正予算、さらには本年二月の第六次公定歩合引き下げとも相まって景気を押し上げる大きな牽引力となることは間違いなく、その効果は絶大なものと確信し、大いに賛同いたします。
賛成の第二の理由は、社会資本整備に十分な配慮がなされていることであります。
生活関連重点化枠の増額を初め、生活・学術研究臨時特別措置の創設など、国民の要望を十分に反映した予算配分となっております。こうした生活関連社会資本の整備は国民が真に豊かさを感じられる生活大国の実現のための国づくりの基礎であり、政府による着実な推進に期待するもので嵐ります。
賛成の第三の理由は、高齢化社会に備えて福祉予算の適切な計上がなされている点であります。
二十一世紀を控えた我が国の最重要課題であるいわゆるゴールドプランの推進には、ホームヘルパーの大幅増員、特別養護老人ホームの整備など格段の配慮がなされており、極めて高く評価できるものであります。
賛成の第四の理由は、国際貢献の要請に的確にこたえている点であります。
本予算案では、一般会計政府開発援助予算が初めて一兆円の大台を超え、事業費ベースでも世界でトップを争う規模にまで拡大しております。内容におきましても環境保護や発展途上国の民主化支援など新規援助案件を積極的に盛り込んでおり、国際貢献に非常に力を入れている姿勢がうかがえ、満腔の賛意を表するものであります。
賛成の第五の理由は、防衛関係費が適切に計上されている点であります。
東西冷戦の終結という国際情勢の変化にかんがみ中期防衛力整備計画を五千八百億円減額修正しており、これまた時宜にかなった見直しであります。現下の厳しい財政事情等を踏まえつつ、均衡のとれた防衛力を維持することは不可欠であり、本予算案の前年度比二・〇%増の防衛関係費はまことに適切な内容となっております。
賛成の第六の理由は、財政改革の基本路線が堅持されている点であります。
平成二年度予算における特例公債依存体質からの脱却の後も、平成五年度末には百八十二兆円にも上ると言われる国債残高や国債費が一般会計歳出の二割以上を占めるなど、依然として財政事情が厳しいことには変わりありません。加えて、景気低迷に伴う税収の落ち込みの中にあっても、本予算案は赤字国債の発行に陥ることなく、創意と工夫で編成されております。我々が大量の赤字国債への依存から脱却するのに十五年もの歳月がかかりました。後世代に負担だけを残す赤字国債を安易に発行するような、財政の節度を守らない運営は厳に回避しなければなりません。
以上、平成五年度予算案に賛成する主な理由を申し述べました。政府におきましては、本予算の成立の後には間髪を入れず執行を行い、実態以上に悲観視されている不況感に歯どめをかけ、我が国経済を調整局面からインフレなき持続的成長経路へと一日も早く移行せしめ、二十一世紀に備えて豊かな国民生活を実感できる盤石な基盤を築かれんことを強く要望いたします。
平成五年度予算は、本日中に、憲法第六十条の規定により二十二年ぶりに年度内成立の運びとなります。ここに至るまでには証人喚問等の問題をめぐり審議の空白を招いたこともございますが、現下の経済状況を顧みて、各会派が新年度予算の景気への効果などについて真摯に受けとめ、真剣に各党協議を行った成果であります。今、参議院の真価が問われているとき、これぞ新しい時代の参議院のあり方として、党派の立場、主張を乗り越え、国民本位に立った政治選択として喜びにたえません。
予算委員長初め、各会派の理事並びに同僚議員各位の御尽力に敬意を表し、私の賛成討論を終わります。(拍手)