長谷川清の発言 (本会議)
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○長谷川清君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表して、ただいま議題となっております平成五年度予算三案に対しまして、反対の立場から討論を行います。
反対の第一の理由は、予算案が修正されずに、所得税減税実施の盛り込みがここにないことでございます。
宮澤内閣が甘い経済分析を続けて対策を後手後手に回してまいりました結果、日本経済は深刻な不況に直面をしております。九二年の実質経済成長率は一・五%となり、七四年以来の低い伸びになっております。昨年十月以降、有効求人倍率は一を下回りまして、大量の従業員やパートや内職者が職を失っております。また、この不況はこれまでにない非常に深刻な消費不況となっております。乗用車や家電製品など耐久消費財を中心として消費が低迷する異常事態が生じており、百貨店販売額の伸びに至りましては、昨年三月以来マイナスを続けております。
政府は、公共投資の拡大や公定歩合の引き下げなどいろいろ対策に取り組んでまいりましたけれども、もはやその対策は限界に達しております。また、勤労者の賃金に比較をして所得税は大幅に増加しております。残された切り札は、もうここに至りまして所得税減税の実施しかないものと確信しております。
こうした考え方に立ちまして、民社党は、他の野党とも共同して、約四兆円の減税を実現するべく求めてまいりましたけれども、政府・与党は、財源がないとか効果がないという理由によって我々の提案を拒否し続けております。しかしながら、三月四日には自民党の梶山幹事長は、所得税減税を前向きに検討すると、民社党を初めそれぞれの野党の書記長に約束をしております。私はここで、政府・与党がこの公党間の約束を忠実に実行するように強く求めるものであります。
反対の第二の理由は、住宅、中小企業など、その他の景気対策が不十分であるという点であります。
我々は、譲渡益課税軽減による三大都市圏の市街化区域内農地の宅地転用推進、住宅金融公庫の貸付制度の大幅な拡充、中小企業の投資減税の実施、政府系金融機関における中小企業向け融資の充実等々、景気対策実施についてこれまでも提言をしてまいりました。この点につきましても政府・与党は我々の政策を取り入れず、不十分な対策となっております。この予算では政府公約の実質三・三%の経済成長の達成は到底不可能と言わざるを得ない状況であり、このまま推移する場合には国際社会に対する公約すらも踏みにじる状況になります。
第三の反対の理由は、生活先進国をつくっていこうとする予算になっていないことであります。
労働時間の短縮、内外価格差の是正、文化・教育政策の充実、スポーツ対策の強化、高齢者雇用の確保、介護保険制度の確立等々福祉政策の充実や、女性に優しい社会づくり、魅力ある地域づくり等々についてきめ細かな施策が講じられていない点が不満でございます。
今月の二十六日に発表されました九三年の公示地価は前年に比べて八・四%下がりましたけれども、大都市圏においては、勤労者にとってまだまだマイホームは高ねの花の状況でございます。首都圏のマンションの年収倍率は九二年現在で六・五倍となっております。この試算は平均年収を前提としたものであります。若いサラリーマン、今住宅が必要となっておる諸君にとって、住宅取得はもっともっと困難な状況でございます。「一戸建て周りを見れば一戸だけ」という川柳、また、「一戸建て手の出るところ熊も出る」、こういった悲しい川柳がはやっているのでございます。
政府は責任ある住宅取得支援計画というものを早期に策定いたしまして、総理は、サラリーマンが年収の五倍以内で良質な住宅取得ができますよう、そういう社会を必ずつくるぞと政治生命をかけて約束すべきでございます。そうでなければ、こつこつ働いている人はその先に自分の家ぐらいは持てるよ、こういう今まであった価値というものが崩れ、こつこつ働くその秩序が今崩壊するのでございます。
反対の第四の理由は、行政改革が不徹底であるという点でございます。
政府・自民党は、国鉄、電電、専売公社等々民営化を進めてまいりましたけれども、それを除いて行革の成果は全く残しておりません。許認可数は八五年末で一万五十四件であったのに九二年末においては一万九百四十二件とふえておりますし、省庁の官房局の数も七九年以来百二十八とそのままの状況でございまして、政府の今の状況では、行革どころではなく行政の肥大化を放置している状況でございます。
アメリカのクリントン大統領は、四年間で三千二百五十億ドルの財政赤字を削減する、こう表明いたしております。これに比べたら、我が国の政府の今の行革への取り組みは非常にお粗末と言わざるを得ません。不況で民間企業、家計が厳しいやりくりで非常に努力をしております中で、政府だけが免罪符を与えられるということは絶対に許されるものではないと思います。
オーストリアの作家フランツ・カフカは、歴史は大抵役所仕事によって創作をされるものだと述べておりますが、我が国では、政治家も企業も地方自治体も中央官僚に牛耳られているという側面があると思います。民社党は、地方分権の確立、中央省庁の統廃合、規制緩和推進、補助金行政の見直し、総合調整機能の強化を柱として、総額十二兆円の歳出削減を盛り込んだ新行財政改革五カ年計画の実施を宮澤内閣に求めるものであります。
反対の第五の理由は、地球環境保全や経済援助など国際協力の面においてまだまだ不十分であるという点であります。
日本は世界一のODA国になりましたが、これからは量よりも質が問われる時代であります。ODAとは豊かな国の貧しい人のお金を貧しい国の豊かな人に渡すものであると皮肉った言葉が言われております。日本としても基本法を制定して厳正な援助を行うべきであると考えております。ODAは国際的な地域格差解消、途上国の平和と安定に役立つものとして、軍事的支出の顕著な国に対しましては援助を抑制すべきであると思います。
さらに、地球サミットで批准、調印されました条約、合意事項を誠実に着実に遂行するということについて、また地球環境保全について日本としても最大限の努力を傾注すべきであると思います。
佐川問題について、自民党のかたくなな姿勢が審議を一時中断をさせましたことは非常に残念であります。また、参議院審議直前におきまして金丸自民党前副総裁が脱税で逮捕され国民の政治に対する信頼が傷つけられましたことについて、私ども民社党はこれを厳しく受けとめるものでございます。
不況克服、国民生活擁護の立場に立ちまして予算案審議には真剣に取り組むべしという我々の主張に各会派が耳を傾けて、二十二年ぶりに予算が前年度内に成立をする道が確立されましたことは一歩前進であると考えます。
最後に、所得税減税実施に対しまして政府・与党は約束を守りますよう改めて注文いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)