櫻井規順の発言 (本会議)
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○櫻井規順君 ただいまの財政演説に対しまして、私は、日本社会党・護憲民主連合を代表いたしまして、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
本年三月三十一日成立いたしました平成五年の本予算がほとんど執行されていないほぼ一カ月後の本日、その同じ通常国会の最中に、一般会計、特別会計、政府関係機関の三予算を全面的に補正する補正予算案が提出されたことはまことに異常事態と言わざるを得ません。
本予算の国会審議の中で、所得税減税も入らないのでは不況対策としても弱いとの我が党の主張に対し、内閣は本予算案はベストであると答弁をしてまいりました。その日も渇かぬ間に補正予算とは内閣の責任問題と言わざるを得ません。本予算に対してとるべき内閣の責任と基本姿勢から見て、この事態は総辞職にも値するものだと考えます。さらに、補正予算の提出に当たって、所得税減税を中心に激論が展開されてきた経緯から見ても、所得税減税を柱とする与野党合意の補正予算を提出すべきものであったと考えます。この点についてどう総理は責任をとるか、まず最初に総理に質問をするものであります。
財政法は、当初予算を編成する際には、年間の政策判断として必要なものはすべて予算計上すべきものとうたつているのであります。今次のこの補正予算案提出の事情ですが、財政法第二十九条に照らして、予算成立後に特に緊要となった本予算補正の必要性とは何であったのか、まず質問をするものであります。
今我が国の経済は底入れしたかの不況局面に襲われているわけでありますが、この不況を二重底に落とさないために、でき得れば今少し出てきた明るい局面を一気に上昇させようとすることは当初予算編成時点からわかっていたことであります。問題は、省庁別のシーリング枠、そしてここ十数年にわたって変化のない公共事業費の事業別割合の堅持という大蔵省の頑迷固陋な編成方針にあり、それゆえに我が国の当初予算は生きた経済局面にこたえられない実態にあると断ぜざるを得ないのであります。この点について総理の見解を伺うものであります。
続いて大蔵大臣に伺いますが、不況脱出に追い打ちをかけたこの補正予算案は、新規政策経費を計上したり、シーリング枠から外れる経費の増額を図っているわけですが、これは補正予算の本来の考え方を大きくゆがめているのではないでしょうか。ことしの経済社会情勢の変化と対応を考えたときに、今後の財政運営のあり方とあわせていかがでしょうか。我が国の経済情勢、不況の現在の局面の特徴は何か、そして景気の先行きについてどう観測され、この総合経済対策にどのような役割を果たさせる見通しなのか、総理並びに経済企画庁長官にこの際伺っておきます。
この補正予算案は、四月十三日の閣議決定の総合経済対策を実施するために編成されたものですが、総理はこの計画をかばんの中に入れてアメリカで四月十七日に宮澤・クリントン会談を持たれたわけであります。ところが、この会議の直後から急激な円高が進行し、景気回復の芽を摘み取る状況に今日置かれているわけであります。宮澤総理はこの事態を予測していたのか、一体何をクリントン大統領と約束してきたのか、その責任は極めて重大であります。円高が進行する中で、我が国経済が低金利で巨額な経常黒字を抱え、また一方で官民協調的な株高誘導などバブル再燃の条件が出そろっているわけですが、宮澤総理に、クリントン大統領との会談の内容は何であったか、そして我が国の経済運営の当面の考え方を伺うものであります。
さて私は、不況脱出にとって今次補正予算の決定的な欠陥は大型所得税減税が盛り込まれていないことにあると考えます。今次不況の最大の要因は民間の最終消費支出の著しい落ち込みにあり、不況対策に何より大切なことは所得税減税であります。平成五年度予算案の衆議院での議決に先立つ書記長・幹事長会談での梶山幹事長の所得税減税を前向きに検討するとの約束は今日なお守られていないのであります。国民総支出の中の一〇%台の公共事業にのみ偏り過ぎた対策ではなくて、その六〇%を占める最終消費支出を直接に高める所得税減税が必要であります。
特に、サラリーマンの給与所得税は年収一千万円までの所得に対して急進的な累進課税になっているため、一九八九年の前回の所得税減税の時点に比べて、一九九二年の十月の段階で所得税は七兆三千九百億円の伸び、この間の法人税は、不況と減税措置などもあり三兆四千億円の減収となり、国そして自治体もまた今日サラリーマンの税増収によって息をついているのが現状であります。一方、サラリーマンの可処分所得は、昨年以来対前年比でマイナスを記録し続けているわけであります。まことに問題であります。今日、不公平税制の最たるものは、物価上昇に伴う必要経費も認められず減税もないサラリーマンの所得税と消費税であります。
総理並びに大蔵大臣に質問いたしますが、今次の補正予算の中で大幅な所得税減税を緊急に実現すべきものと考えますが、責任ある明確な答弁を求めるものであります。梶山幹事長の約束をどう果たすかもあわせて御答弁いただきたいわけであります。
例年よりも早く来月から政府税調を始めるとのことでありますが、一千万円以下の給与所得税を低所得者層の増税を伴わない累進税率の緩和を図るように対応するよう強く求めるものであります。
あわせて、さきの総選挙において自由民主党が食料品に関連しての消費税の非課税を公約しているわけでありますが、次の総選挙も近づいてきているわけでありますが、この公約をどうするのか、自民党の総裁でもある宮澤総理の答弁を求めるものであります。
大蔵大臣、所得税減税は消費税の引き上げとセット、あるいはこれ以上の国際貢献には消費税のアップが必要と一部の人の話題に上っております。私は、消費税を廃止し個別物品税に再整備すべきものと考えますが、大蔵大臣はこの機に、近い将来税率を上げるつもりなのかどうか、明快な答弁を求めるものであります。
大蔵省は、来年度の予算編成に当たって、旧態依然として経常経費前年度比マイナス一〇%シーリングの概算要求基準を決めたとのことであります。まことに硬直化した財政姿勢であると言わざるを得ません。国内外の生きた経済社会状況に対して、我が国の当初予算は来年もまた有効に対応できないことを宣言したものと理解いたします。二十一世紀に向けて、今日の経済社会状況は大きく変化しているわけであります。
一九六〇年代の高度成長期は重化学工業的産業がリードし、七〇年代、八〇年代のいわば中成長は知識集約型産業として成功した基幹産業がリードしてきましたが、二十一世紀に向けてのこの九〇年代の低成長は、いわば新しい内容の公共事業を触媒とした社会開発産業がリードする時代を迎えているわけであります。環境と共存し、先端技術の導入による産業の市場需要と供給構造の適合、市民生活の精神文化の尊重、社会の高齢化、少子化等々、我が国もまた欧米と同じように成熟社会の時代を迎えているのであります。
その意味で、社会資本整備の新しい展開は、公共事業の従来の枠を超えて、地域社会が求める新たな教育条件の整備、都市再開発、防災、中水道、交通管制、地域冷暖房、大気汚染監視、福祉医療緊急システムの整備など、全産業に参加の道を開く公共事業に挑戦することが緊要であります。公共事業の省庁間の割合の堅持などという慣行は捨てて、公共事業を文部省も厚生省も、すべての必要な省庁が共同で参加する社会整備事業へと発展すべきものと考えますが、総理のお考えを伺うものであります。
ここで、今日、公共事業の談合等が大きな問題になり、国民の大きな疑惑と不信を呼んでいるわけでありますが、総理のこの点に対する対処方針、見解を伺うものであります。
新社会資本整備についてシーリング枠を外すとの情報が流れていますが、それは大変結構なことだというふうに思うわけであります。今、シーリング枠から当面まず外すべきものは高齢者福祉と教育分野と自然防災であります。総理の前向きの答弁を期待するものであります。
二十一世紀に向けて、アメリカがカナダなどとNAFTAを、ヨーロッパ諸国はECへと経済ブロックを形成していますが、日本は開かれたアジア・太平洋を大きく組織しながら、東アジア、とりわけ北東アジアの経済的、社会的開発と協力関係の確立が急務となっているのであります。
ロシア支援がこの補正予算に盛られているわけですが、総理並びに外相にお伺いいたします。
北方領土返還と経済協力についての政経不可分の原則を緩めたのは結構ですが、なぜでしょうか。私は、ロシア支援はモスクワ政府への一般的援助よりも北東アジア、極東ロシアの各共和国、自治区、沿海州、サハリンなどの諸国との具体的プロジェクトを特定し、環日本海経済圏発展の実のある支援協力に集中することが大切であると考えます。いかがでしょうか。
さて、我が国が直面している若干の重要問題について質問をいたします。
その一つはカンボジア問題であります。
最初に、国連のもとでカンボジアの民主主義と平和の確立のために献身、殉職された中田厚仁さん、高田晴行さんの霊に哀悼の意を表し、負傷された方々の一日も早い回復を心よりお祈りするものであります。
いよいよ二十三日からカンボジア立憲議会の総選挙が行われようとしているわけであります。第一に、カンボジアの最近の情勢を直視するならば、停戦の合意などPKO五原則は崩壊しています。したがって政府は、すべての派遣要員の活動を中断し撤収すべきであります。第二に、撤収完了までは派遣要員、ボランティアなどすべての滞在者について万全の安全を確保すべきであります。第三に、日本政府はカンボジア和平の枠組みであるパリ和平協定の再構築のために関係国とともに最大限の努力を尽くすべきであります。
以上の諸点について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
最後に、政治改革について質問をいたします。
今、日本じゅうの国民がこの百二十六国会においていかなる政治改革が実現するか注目をしているのであります。各種世論調査が明らかにしていますように、今国民が国会に求めていますことは、政治腐敗の構造をいかに断ち切るかにあります。政治腐敗の究明の上に立って、まず政治倫理の確立てあり、政治腐敗行為の有効的な追放措置であり、これが今次政治改革の目的であります。このための法案として、我が党は政治倫理法と政治資金の改正法案、公職選挙法の連座制の強化などを提案しているのであります。総理、今国会がいかなる事態になっても、この目的は、必要な法的整備を進めて完全に実現することをまずお約束いただきたい。いかがでしょうか。
さらに、この目的実現のために選挙制度の改革を進めなければなりません。衆議院において審議が今進められているわけですが、国民的な合意の得られる選挙制度は、投票結果が公正に議席にあらわれる比例代表制にあることは明らかであります。小選挙区制は地域において政治家を選出する上で意義のある制度であります。しかし、議席数の確定には余りにも無理があります。我が党の小選挙区併用型比例代表制は我が日本社会党に不利になりますが、それが最も公正なるがゆえに提案をしているわけであります。お互いに歩み寄るしかないわけであります。
総理、今国会で選挙制度の改革を必ず実現するために、みずからの提案を修正してどう合意を見つけるか、決意をお聞かせください。
以上で私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕