宮澤喜一の発言 (本会議)
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○国務大臣(宮澤喜一君) 政府は従来、外国における災害、騒乱等の緊急事態に際しまして生命等の保護を要する邦人の救出につきまして、民間機をチャーターするなどして対処をしてまいりました。しかしながら、この民間機のチャー夕ーにつきましては実際問題として民間航空会社との調整あるいは適時適切に対応することができないといったような過去の経験がございまして、先ほど一九七五年のサイゴンのケースを御引用になられましたけれども、実はあのときは私は外務大臣でございまして、何とか救出をしたいと考えました。一九七五年の四月でございます。それで民間航空会社といろいろ折衝をいたしましてある程度の進歩があったのでございますが、しかし最終的に起こりましたことは、サイゴンというようないわば戦乱と申しますかそういう地域にそもそも行くということ自身、乗組員、クルーが拒否をしたという問題が一つ。それから、民間航空会社が保険料が日とともに高くなりましてほとんど不可能に近い高い保険料になりまして、それで私企業としては到底それを負担し得ないという二つの問題が起こったわけでございます。今でも思いますが、十分時間的余裕がございましたので、政府専用機がございましたらこれは邦人の救出をし得ただろうということをあのときに実は非常に強く感じました。同じ安全なことであれば、どうせ安全なら自衛隊が行けるところは民間機も行けるだろうと一概
に言われましたけれども、実際にサイゴンではそのような事例が起こりまして、そのとき以来、私自身はやはり何とか政府の責任において邦人を救えないかということを実は今日まで感じておりました当人でございます。たまたまサイゴンの例をお引きになられましたので、そのことを申し上げておく次第でございます。
それから、政府の情報収集の機能、体制についてでありますが、外務本省あるいは在外公館におきまして従来一生懸命やってまいってはおりますけれども、なお強化をしていく必要がありますことは仰せのとおりであります。臨時行政改革推進審議会の答申がございまして、本年度から外務省に情報・分析機能に特化をいたしました国際情報局を設置いたしました。政府の情報収集・分析の強化を一層図ってまいることといたしたいと思っております。
それから、政府専用機を含めまして自衛隊の航空機、これの危険との関連でございますけれども、一般的に言えば、やはり国際法上は軍用機として取り扱われるものと承知をいたしております。ただ、この自衛隊機による在外邦人の輸送はこれは安全でありませんと、いささかも危険があればこれは到底やることができません。邦人をそういう危険に陥れることはできませんので、安全であると考えられる場合に行われるものでございます。したがいまして、そういうときに派遣先の国内におきまして自衛隊員がその航空機を防護するために武器を使用するとか、あるいは戦闘機の護衛をつけるとか、そういうことは、もちろんそういうことが必要な状況におきましては空輸そのものが、輸送そのものが危険と考えなければなりませんので、そのような事態を想定いたしておりません。
それから、我が国の防衛力の問題でございますが、国際情勢がこういうふうに変わってまいりました。また、将来我が国もだんだん若い人が少なくなるといったような問題もございますから、現在の中期防の期間中にこの考え方、防衛力の考え方を再検討して結論を得たいと考えております。この場合、防衛力全般を対象として、中長期的な見通しのもとに、国際情勢の変化も考えながら検討いたしたいと思いますので、多少時間が必要でございます。もちろん、検討に際しましては国民各層の御意見に耳を傾けていきたいと思います。
ただ、現在の防衛計画の大綱は、御承知のようにいわゆる仮想敵というものを置かずに独立国としての基盤的な防衛力の整備という考えに立っておりますので、いろいろ再検討をいたしますけれども、この防衛計画の大綱という考え方そのものは恐らくこの冷戦後の時代においても誤っていることはあるまいとは考えております。しかし、いずれにいたしましても、こういう国際情勢の変化の時代でございますから再検討をいたしたいというふうに思っておるところでございます。
それから、アジア問題につきまして、これからのアジアの平和と発展に我が国はどういうふうに対処するかということは、実は本年一月に私がバンコクで政策の演説をいたしたところでございますが、第一の点は、やはりアジア・太平洋の平和と安定の強化のために域内各国の政治・安全保障の対話を促進したい。第二は、このアジア地域、太平洋地域の強みと申しますか特色はその開放性というところであるということ。第三には、各国において民主化の増進あるいは環境問題の重視等々の課題にも取り組んでいかなければならないということ。第四の点は、インドシナ半島の平和と繁栄のために特にこの際ASEAN諸国と我が国が協力をいたしたいということが四つの命題であるというふうに考えまして、その際、日本は二度と軍事大国になることはない、またASEAN諸国との話し合いを大事にしていきたい、こういうことを原則としてやってまいりたいということを申したところでございます。
もちろん、我が国は唯一の被爆国でもございますから、したがって核兵器の廃絶ということが究極的な目標でございますけれども、そこに至りますまでの間でも、アジア地域のみならず全世界的な視点から、核軍縮、あるいは通常兵器についてもそうでございますけれども、それらを減らしていくことに積極的に努力をいたさなければならないと考えております。
残りの問題につきましては関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
〔国務大臣中山利生君登壇、拍手〕