武藤嘉文の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○国務大臣(武藤嘉文君) お答えいたします。
 私に対しての御質問は、まず、これまで海外で緊急事態が発生したときに邦人の退避が必要になり、可能な範囲でいろいろと民間の航空機をチャーターしてやったりしてまいりましたが、その中で一体自衛隊機でなければならなかったケースはどれだけか、こういうことでございます。
 どうもこれはあくまで仮定のお話でございますので断定的には言えませんけれども、これらの事例の多くのケース、特に他国の航空機による輸送のケースにおいて、自衛隊機の利用が可能であったならば、派遣先国の許可取得を含めた輸送の安全性を確保しつつ、より適時適切に対処できる可能性がありたのではないかと思います。
 次に、サイゴン陥落、イラン・イラク戦争、ハイチのクーデターのケースは安全性と派遣国の許可の点で問題のない事例であったのか、政府の答弁しているような要件を満たしていたのか、こういうことでございます。
 過去のケースにおいて自衛隊機の派遣が可能または適当でありたかどうかは、これもあくまで仮定の問題でありまして断定をするわけにはまいらないと思います。安全性や派遣先国などの許可についても、タイミングや手順によって変わるわけであります。
 しかし、次のようなことは言えるのではないかと思うんです。それは、ベトナム戦争の終盤、先ほど総理からもお話があったケースでございますが、救援槻をマニラまで派遣しましたが、同地出発当日サイゴンの空港が爆弾を受け使用不能となったため羽田へ引き返しました。しかし、このチャーターの際、保険などの問題で実はチャーターの契約の交渉がおくれたわけであります。現地空港は、少なくともチャーター機の検討、交渉を開始した時点より実際の派遣までの相当な期間にかけて使用可能との報告を受けておりました。といった当時の状況を踏まえれば、チャーター契約等の問題がなくより早いタイミングで救援機が派遣できれば別途の対処もあり得たのではないかと考えております。
 なお、イラン・イラク紛争のケースにつきましては、当時自衛隊機の派遣が可能であればやはりこれもより迅速に対処する可能性もあったと思われますし、ハイチのケースについては軍用機または政府機のみ飛行可能であった事例でありまして、当時自衛隊機の派遣が可能であればこれも派遣を検討することができたのではないかと考えております。
 緊急時の邦人輸送の際の使用航空機は自衛隊の航空機による輸送となっているが、使用航空機は政府専用機に限定すべきではないかという御質問でございますが、これにつきましては、在外邦人保護のための輸送の手段については主として政府専用機が想定されるわけでありますけれども、次のような場合も想定されますので政府専用機に限定しないことにしたのであります。すなわち、その第一に、例えば政府専用機がほかの目的で使用中または整備中のため使用できないような場合もあるわけであります。あるいは、被派遣国の受け入れ能力等により最適な輸送手段を使用することが当該輸送を最も効率的に実施できるというときもあるわけでございます。
 次に、自衛隊機の使用が認められればこれは国際法上軍用機ということになってかえって危険ではないか、こういうことでございます。この点については総理からも御答弁がございましたが、私の立場からはこの点についてまた一つの見方として御答弁を申し上げたいと思います。
 今般の自衛隊機による邦人輸送の実施に当たりましては、民間チャーター機と同様、関係国より着陸または領空通過の許可を得ることが前提であります。また、航空機の飛行経路等において、派遣先国政府等の措置によっては航空機の安全が確保されないと認められるときもありますが、そういうときには民間チャーター機と同様自衛隊機も在外邦人の輸送を行うことはあり得ません。したがって、自衛隊機による輸送ということで邦人の安全の観点から問題があるとは考えておりません。
 なお、邦人の生命、身体を保護するという目的のため関係国の許可等を得て派遣される自衛隊機に対する攻撃が国際法上正当化されるものでないことは当然でございます。(拍手)

発言情報

speech_id: 112615254X02319930608_016

発言者: 武藤嘉文

speaker_id: 30472

日付: 1993-06-08

院: 参議院

会議名: 本会議