河野洋平の発言 (本会議)
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○河野洋平君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、一昨日の細川総理の所信表明演説について質問をいたします。
質問に先立ちましてい先月の北海道奥尻町を中心に大きな被害を出しました南西沖地震、鹿児島を中心とする豪雨災害、既に二年余りを超える普賢岳噴火など、たび重なる自然災害によってとうとい命を失われ、あるいは大きな被害を受けられた皆様方に対し、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げたいと存じます。また、政府には、でき得る限りの善後策を迅速にとられるよう要望いたしておきます。(拍手)
細川総理、私は今、若干複雑な思いを抱きながらこの場に立っております。総理と私がこういう形でこの壇上で対峙するとは、わずか数週間前まで思いも寄らぬことでありました。国民の皆さんもまた、まさに「変革の時代」、その到来をお感じになっておられることと思います。まず、この内外の情勢極めて困難な折に首班をお引き受けになった細川さん、あなたの勇気と心意気を多としたいと思います。(拍手)
言うまでもなく、このたびの細川八党派連立内閣の発足は、三十八年ぶりの自民党以外の勢力による内閣として内外の注目を浴びております。政党政治の妙味は、二つ以上の政党の切磋琢磨によって国民の利益を増進させることにある、こう思っておりますから、その点で、政権交代が久しく行われなかった我が国の状況は、政党政治のメリットを完全に生かし切っていなかったということになるかもしれません。政権交代は、下野する我々にとって極めて残念なことではありますが、大局に立って、積極的な意味合いを評価したいと思います。(拍手)
細川総理のキャッチフレーズは、「責任ある変革」だとか聞いております。政治や行政の改革に積極的な姿勢をおとりになる、こういうことだと思います。内外の情勢はまさに変革を求めておりまして、細川内閣が国民にとって正しい政策を展開しようとなさるならば、我々自由民主党も積極的にこれをバックアップしてまいりたい、そう考えております。また、批判すべきはきちんと批判をして、お互いに切礎琢磨、日本の議会政治の発展と国民生活の向上に努めたいと考えております。(拍手)
さて、承った御所信の中には、傾聴すべき点がありました。ラフカディオ・ハーンの言葉を引いて、「質の高い実のある国づくり」を訴えられたくだりは、まさに保守政治のエッセンス、エートスといいますか、これを語られたものとして共感を持った次第であります。また、政治改革の本年中の断行を宣言されたことも、出処進退を明確にされた言葉として重く受けとめさせていただきます。(拍手)
しかし、一方で、演説を伺っていても一向にはっきりしないのは、細川総理が、日本という国の将来の姿を具体的にどのように導いていくおつもりなのか、その目指すものが何であるかということであります。
総理は、「終戦以来の大きな曲がり角」と言い、「新しい歴史の出発点」「新しい時代の幕あけ」「新しい時代のための変革に着手する」など、たびたび「新しい」「新しい」を連発なさいました。言葉は実にすがすがしいのでございますが、では一体何が曲がり色なのか、総理が目指そうとする新しい時代とは一体どんなものなのか、その内容、理念は必ずしもはっきり伝わってこないのでございます。
実は、戦前の日本にも、内容が明らかにされないまま革新が叫ばれて国の進路を誤った時代がございました。したがって、ただ、新しいものを目指す、新しい、新しいと言うだけでは、国政を担っていただくのにちゅうちょせざるを得ないのでございます。
そこで、この機会に、まず、冷戦終えん後の国際社会の中で我が国がどのような路線を歩んでいくべきか、そして第二に、今日の深刻な経済状況への対策を含め、細川内閣の我が国の経済、社会に関する中長期のビジョンについてお伺いをし、さらにそれを実現するため、政治・行政改革をどう進めていくかの三点について総理の御所見をお伺いをし、細川内閣の目指すものを明らかにしたいと存じます。
さて、具体的な質問に入ります前に、一言国民の皆様に申し上げたいことがございます。
それは、これまで自由民主党政権が長く続いた問に、数々の腐敗事件を引き起こし、特にここ数年、スキャンダルによって、内外の課題が山積する時期にたびたび国政の渋滞を招いたことについてでございます。私は、このことを国民の皆様に心からおわびを申し上げたいと存じます。
さきの総選挙の結果、私たち自由民主党は比較第一党としてぬきんでた国民の支持をいただきました。これは、今日の我が国の平和と繁栄が、大筋において我が党の政策が的確なものであったことによる、その評価だと考えております。その証左は、新しい政権も「政策の継承」をおっしゃっていることを見てもよくわかります。(拍手)
しかし、我々自由民主党は、本院において過半数の議席を獲得することができず、政権の座を失いました。これはひとえに、頻発した政治の不祥事と、これに対し抜本的な解決をなし得なかったことに対する国民の皆さんの政治不信の高まりによるものだと思います。私たちは謙虚にこのことを反省し、生まれ変わった気持ちで党の体質を抜本的に改めると同時に、選挙制度を初めとする政治改革、国会改革に挑戦をして、国民の皆さんの信頼を回復することによって、再び近い将来、必ず政権を奪還する決意であることをここに明らかにいたしておきます。(拍手)
細川総理にお伺いしたいことの第一は、経済大国となった我が国が冷戦後の世界においてとるべき進路についてであります。
所信表明において述べられた、過去の反省を明確にし、国連中心の世界平和秩序づくりへの積極的な参加を表明し、日米安全保障条約を柱とした良好で建設的な日米関係の維持発展と、アジア・太平洋の一員としての役割の自覚に重点を置いた細川内閣の外交路線は、自民党政権のそれを継承したものであって、私に異論はございません。
ただし、私はここで、細川内閣と社会党との政策の調整がどのように行われたかについてただしておかなければならないと思います。
総理の述べられた外交路線は、八党派の党首の皆さんの「連立政権樹立に関する合意事項」から導き出されているものと思いますが、これらと社会党のこれまでの基本政策との食い違いの余りの大きさに唖然とするほかはないのであります。(拍手)
日米安保条約や日韓基本条約、自衛隊を認めない、PKOへの参加にあれほどの物理的抵抗をされた社会党の政策や方針は、一体どこへ行ってしまったのでしょうか。東西対立が崩壊したためだと説明なさるのであれば、それは総選挙の前にその説明をなさるべきではありませんか。総選挙前にはそうした説明は一言もなくて、この選挙後のこうした状況を見れば、社会党に一票を投じた有権者がら疑義が呈せられるのは当然のことだと思います。
総理、将来このような国の基本政策について与党八党派内に意見の食い違いが生じた場合、連立を解いてでも国の礎を守るのが責任ある姿勢だと思いますが、いかがでございましょうか。(拍手)
現に、政府が専守防衛の我が国にふさわしい「ウサギの長い耳」として来年度二機購入を検討している空中警戒管制機について、社会党出身の上原国土庁長官がこれに異議を唱えられたと新聞は伝えられております。これは閣内不統一ではないんでしょうか。
さて、細川総理の外交の基本方針については、先ほど申し上げたとおり、おおむね了解できます。しかし、我々日本の国が行くべき先には、大きく言って二つの進路があると思うのです。
一つは、これまで続けてきた軍事面での抑制を継続し、世界の中での役割分担はマクロ経済政策での協調や地球環境問題、途上国や旧社会主義圏の問題の解決などへの協力に重点を置いて、国連の平和維持活動に要員を派遣して戦後復興に取り組むことも含めて、青年海外協力隊など途上国への技術者やボランティアの派遣に力を入れることなどを中心に考えていく、いわば世界政治に控え目なあり方を模索する、そういう道が一つあると思います。これは、我が国の国益を追求する際にも、あくまでも軍事以外の手段によるという意味で、我が国憲法の理念に忠実な路線と言っていいかもしれません。
もう一つの道は、例えば国連の武力行使にも積極的に参加する、そういったことと引きかえに国連安全保障理事会の常任理事国の地位も手に入れようという、そういった発想に代表される考え方、「普通の国になる」という言い方もされておられますけれども、これは国家のすべての要素をそろえようとする意味で、いわばミニ超大国路線とも言えるものであると思います。
私は、基本的に軍事面での役割については抑制して考える行き方を継続すべきだと考えます。これは、戦後の経済成長にとって軍事費の負担が軽かったことがプラスに作用した経験があるというだけではなくて、ミニ超大国路線は覇権主義につながりかねず、かえって近隣諸国を初め国際社会に緊張要因を増すことになるのではないかと考えるからであります。もっと言えば、究極的には再び国民を不幸な状況に追い込むことになるおそれがあるのではないか、そう考えるからであります。
そもそも、軍事力によって解決できる問題はそれほど多くはないでしょう。湾岸戦争のころ、冷戦後の世界は、民族紛争や宗教紛争などの地域紛争がふえるから、国際社会が協力してこれを軍事力で抑え込まなければならないという意見がありました。確かに地域紛争はふえていますけれども、中東を見ても、旧ユーゴやソマリアの状況を見ても、むしろ軍事力による問題解決はますます難しくなってきていることがよくわかります。外見上は民族対立や宗教対立に見えても、問題の本質は貧困や富の格差の問題であることが多いと思います。
私は、これらの問題に対処するには、武力介入という外科手術よりも、保健衛生の向上や識字率アップなどの教育の普及、あるいは環境、エネルギー面での技術供与などを通じて地域の経済、社会の体質改善を支援する方が、時間がかかるように見えてかえって効果があるように思います。(拍手)どの国家にも持ち味があっていいわけですから、私は、そのような分野で日本は積極的に、国力にふさわしい世界の一員としての役割を果たすべきだと考えております。
「背伸びをせずに内容本位の生き方をとるべき」とおっしゃり、「大国主義に陥ることがないことが大切」と言われる総理も、基本的には私と同様のお考えとお見受けいたしておりますが、いかがでしょうか。(拍手)
一方、連立与党の新生党の中には、国連の枠内での武力行使にも参加すべきだという考え方を初め、この意見と違った路線を主張する意見が有力だと伺っております。連立内閣を組まれる一に当たって、この部分、皆さん方の中で調整がちゃんとできているかどうか、総理からしっかりお答えをいただきたいと思います。(拍手)
なお、総理や外務大臣が、さきの戦争に対する反省の表明に熱心なことが話題を呼んでおります。
自民党政権におきましても、最近では、一昨年、海部元総理がシンガポールでの演説で、心からの反省の念を表明し、宮澤前総理も参議院予算委員会における答弁で「我が国が過去において、戦争を通じて近隣諸国の国民に対し重大な損害を与えたのは事実であります。」と事実を認めて、かかる我が国の過去の行為について、侵略的事実を否定することはできませんという答弁をいたしております。また、百二十三通常国会における施政方針演説でも、アジア・太平洋地域での戦時中の日本の行為について、深い反省と遺憾の意を表明するなどしてまいっております。
総理、私も過去の歴史から決して目をそらせてはならないと考えているものの一人でございます。しかし、総理のこの問題についての見解表明に少し揺れが目立つことが気になって仕方がありません。
総理は八月十日の記者会見で、さきの戦争について、私自身は侵略戦争であったと認識していると明言されました。この発言は明らかに、これまでの社会党などが主張するような戦後補償問題に対する見直しを前提にしたものと受け取られかねない発言であります。ところが、総理は所信表明演説では、一転してこの点について明言を避けられました。一体あなたの本音はどこにあるのでしょうか、明確にしておいていただきたいと思います。
核不拡散条約の無期限延長問題について、総理の前向き発言がございました。私も、核不拡散体制の強化は、我が国が前向きに取り組むべき重要な問題と考えております。
しかし、核不拡散条約は、御承知のとおり、核兵器保有国は核軍縮の努力を約束し、核兵器を持たない国は、将来とも核兵器を持たないことを約束するかわりに平和利用を保障される、いわば核兵器保有国と、持たない国の両方に義務が課せられている条約であります。
総理にお伺いしたいのは、核兵器保有国側の核軍縮への努力の約束が十分果たされているかどうか、きちっと調査、認識した上でのこの御発言かどうか、お尋ねをいたしたいと思います。このことが十分担保されないまま核不拡散条約を無期限延長するということは、核兵器廃絶に逆行するのではないかという指摘が広島市長などからなされていることについてどうお考えになるか、お示しをいただきたいと思います。
ところで、総理、今国民が一番深刻に受けとめ、政治の緊急な対応を求めているのは、経済の問題であります。景気が底を打っだといいながら一向に明るい兆しが見えない中で、貿易黒字は依然として大きく、円高の進行が企業経営の苦しさに追い打ちをかけております。冷たい夏、ゼネコン疑惑による地方公共団体の公共事業の執行のおくれの影響も懸念されます。
そこで、総理に伺います。円高の急速な進行という新しい局面の中で、財政面からの一層のてこ入れと、思い切った減税を求める声が高まってきていることを総理はきちっと耳にしておられるでしょうか。
日本経済が未曾有の困難に直面している今、円高差益の還元、規制緩和、自由化などで民間に一層の努力が求められているときに、政府の財政金融政策が手をこまねいていることは許されないと思います。
総理は、「時期を失することなく必要かつ効果的な対策を講じる」とおっしゃいましたが、この点で連立与党内の考え方はばらばらではありませんか。さきの総選挙での公約に従って所得税減税を求める声が与党内には大変大きい。しかし、公債政策のあり方や消費税の扱いも含めて、総理は一体この問題をどう考えておられるのか、はっきりここで明言をしていただきたいと思います。(拍手)
自由化との関連でどうしても伺っておかなければならないことがございます。それは、国際的な農業問題についてであります。
総理は演説の中で、解決に向けて努力すると述べられましたが、不思議なことに、この部分の総理の演説は、ことし一月二十二日に宮澤前総理がこの壇上で述べられた施政方針演説と一字一句全く同一のものではありませんか。(拍手)総理は、「新しい時代の幕あけ」を強調される一方で、基本的な重要政策については政策の継続を言われているわけでありますから、全く同じ表現になっても当たり前なのかもしれませんが、自由貿易体制の維持に関する部分全体がほとんど宮澤演説と同内容であることを見ますと、この重要課題への取り組み方がいかにもおざなりではないかと感じるのは私一人でしょうか。(拍手)総理が日本新党を興されるに際してしばしば述べられたこれまでのこの問題に対する発言と相当に違っているように思いますが、総理のお考えを明らかにしていただきたいと思います。
規制緩和については、経済活動を刺激して内需を拡大し、同時に輸入を促進して内外価格差を縮め、国民生活を豊かさの実感できるようにするという内閣の考え方は、宮澤内閣の生活大国路線とほぼ同一のもので、基本的に支持できます。
ただし、問題は、どのような規制緩和をどのようなスケジュールで進めるかということ、いずれにしても、規制緩和だけでは内需拡大としてそれほど大きな数字にはならないであろうということが問題であります。具体的にどのような内容の規制緩和をどのようなスケジュールで進めようとしているのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
当面の景気対策は、中長期的な経済政策との整合性も考慮して進めなければなりません。今働き盛りのいわゆる団塊の世代が定年を迎えるおよそ二十年後、高齢化社会がピークに差しかかり、国民の貯蓄率は急速に低下をし、さまざまな施策を実施するのには困難な時代がやってまいります。
欧米並みの社会資本整備を進めるにはここ十年が勝負であり、核家族化に対応する在宅老人介護を支援する設備や組織づくりも急ピッチで進めなければなりません。また、産業の競争力という面からも、相当高度な技術面での展開がない限り、アジア諸国にすっかり追いつかれてしまうと予測されております。
この際、手をこまねいているのではなく、今国民に何らかの負担をお願いしてでも、国の力がピークを越えた時代に住む子供や孫たちのために、思い切った社会資本整備、福祉システムづくり、先端技術開発などに力を注ぐべきなどの意見がございます。財政支出のシェアを見直すことはもとより重要ですが、必要な分野に一段と強力に財政を出動させることも、当面の内需拡大と中長期的な課題への対処という両面において有効だと考えます。
そこで、お尋ねをいたしたいのですが、細川総理が目指す国内における路線は、いわゆる小さい政府なんでしょうか。それとも高福祉高負担なんでしょうか。あるいは、キャッチフレーズはともかくとしても、今後二、三十年の我が国の産業・経済、福祉・生活の水準とそれに対する負担のあ力方などについて、大筋どのような姿を望ましいものと思い描いておられるのか。今後お互い議論を闘わせていくため、まず総理のビジョンをお聞かせいただきたいと思います。(拍手)
さて、次に、政治改革について伺います。
総理は、この政権を「政治改革政権」と位置づけられて、並み並みならぬ決意を表明されました。政治改革政権には八党派が参加をされましたが、きょうに至るも八党派の意見が一致しないのは一体どういうわけですか。したがって、所信表明演説で述べられた方針は、政治改革についても骨格にとどまって、具体的な施策を国民に示すことができないではありませんか。
そこで、まず、総理の基本的な御認識と将来の政党政治への展望をまずお伺いしておきたいと思います。
総理、あなたは今回の総選挙の結果について、「多くの国民が保革対立の政治に決別し、現実的な政策選択が可能な政治体制の実現を期待されたもの」だと述べられました。それならば、総理の胸のうちにあるべき姿として描かれているのは、二大政党制なんでしょうか、それとも中間的な第三勢力の存在するパターンなんでしょうか、あるいは、今日のように小党分立の連立政権が一番いいとお考えになっているんでしょうか。その背景となる時代認識とともにお考えを明示していただければありがたいと思います。(拍手)
そして、このことに関連して、もう一点伺っておきたいと思います。
去る二十二日、連立与党の公明党大会において、二大政権勢力の形成を目指すために、次期衆議院選は統一確認団体か新党的なもので選挙に臨む方針が明らかにされたと新聞で拝見をいたしました。これは、日本新党党首である総理は同じお考えでしょうか。お伺いしておきます。
国民の一部には、連立与党内の力関係から、思わぬ方向に日本の政党政治がねじ曲げられるのではないかという危惧の声が出始めております。この心配の声を総理はどのように御判断されておられるか、お伺いいたします。(拍手)
なお、衆議院の議員定数につきまして、総理は、小選挙区、比例区合わせて五百人と考えておられると伝えられております。官房長官、しばしば明言しておられます。国民の皆さんの間には、しかし、国会議員の数はできるだけ減らせという声が大きいこともまた事実であります。考えてみますと、現在ございます公職選挙法の本則には、衆議院議員の数、四百七十一人というのが本則に書かれております。五百人、五百人とおっしゃる総理は、この公選法、四百七十一人という本則の数字には全くこだわられないのかどうか。議員定数を減らすという国民の声にはどうおこたえになるのか。お考えをお聞かせください。
また、企業・団体献金については、廃止の方向に踏み切るとおっしゃいましたが、私は、政治資金の大半が現在は個人献金ではなくて、企業・団体献金で賄われているという実際から日を背けて、これを一律に禁止することは、例えば形式だけ個人献金にするなどの便法での抜け穴探しを活発化させるだけで、かえってやみに流れる割合をふやしてしまうのではないかと心配をいたします。これについては、むしろ透明度を高めるといった方法が実効性があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。企業、団体も社会的存在であります。国民の前でオープンに、クリーンな政治活動を支援するために、一定の節度を持って必要な資金を提供するのは、政治参加の一つの形態として認められると考えますが、いかがでしょう。
それでも廃止の方向だと言われるのであれば、何年後をめどとされるのか。そして、これにかわる公的助成、年間三百億円と言われる国費の助成のあり方をどうお考えになるのか。連立与党問の調整に臨まれる基本方針をお示しいただきたいと思います。
そして、何よりもはっきりしておいていただかなければならないのは、「本年中に政治改革を断行する」という総理の公約であります。年内と申しますと、九月以降実質審議が可能な日数はおよそ八十日足らずと思います。このごく限られた時間の中で、どのようなタイムスケジュールで実現を目指されるのか。そのためには、選挙区割りの進め方、衆議院、参議院両院にまたがる選挙制度の整合性について、あるいは地方議会についてこの選挙制度をどう反映をさせていくかなど、大方針を明確にしておいていただかなければならないと思います。(拍手)提出を予定されている法案の件数、形式についても、同時にお考えをお示しいただければ幸いであります。
総理、私は、総理が八月十日の記者会見で、年内の改革実現を公約と認め、それが実現しない場合には政治責任をとると表明されたことを、かたい決意のあらわれと評価いたします。私たちも納得のいく範囲内でこれに協力していくのは当然と考えております。しかし、仮に年内実現が達成されなかった場合に、あなたがおとりになる政治責任とは一体何なんでしょうか、明らかにしておいていただきたいと存じます。
なお、政・官・業の癒着を断ち切るためには、まず手始めとして、政治と行政の関係を正すことが大切だと総理はおっしゃいました。私も同感であります。国の基本政策は政治家が決め、行政はそれを実行する。逆に、日常の行政は公正なルールにのっとって官僚が進め、政治家の介入などは認めない、そういった仕分けが必要だと思います。
規制緩和はこの観点からも促進すべきものでありますが、さらに、さきの国会に政府・自民党が提出し、審議未了、廃案となった行政手続法案は、行政過程の透明化に一歩こまを進めるものであり、一日も早い成立が望まれます。国会再提出と成立に向けた努力に明快なお約束がいただければ幸いであります。(拍手)
細川内閣は、規制緩和など行政改革を進めるため、第三次臨時行政調査会を設置する方向と伺っております。しかし、私は、これにはにわかに賛成いたしかねます。
細川総理は、以前、行革審の部会長として業績を残されましたが、同時に、この種の第三者機関が、実態は官庁が議論をリードするための装置として機能していることに手をやかれたと言われたというふうに漏れ承っております。
政治のありようとしては、選挙によらない第三者機関といったバイパスをつくるのではなくて、内閣が信ずるところを国会にストレートに提案をして、国民代表の議論にゆだねる道を選ぶべきではないかと思います。(拍手)大事なことは国会の外で議論するというのでは、国会が形骸化するおそれがあると考えます。むしろ目指すべきは国会審議の活性化だと考えますが、総理のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
最後に、総理が所信の中でも一言お触れになった、そしてかねてから主張しておられる地方分権の推進についてお伺いしたいと思います。
地方分権の推進は、今日多くの人が日にしておりますが、その具体的内容はまちまちであり、ただ地方分権という言葉が先行している、そういう感じがいたします。
そこで、初めて衆議院本会議場の壇上で総理大臣として御答弁に立たれる、知事経験をお持ちの細川総理に敬意を表しつつ、その哲学の根幹について一つ質問をさせていただきます。
総理、憲法第九十二条にある「地方自治の本旨」とは何ですか、御高説を賜れれば幸いであります。(拍手)
冒頭申し上げましたとおり、私ども自由民主党は、細川内閣が打ち出す政策が国民にとって正しいものであると信ずる限りにおいて、積極的にこれを支援してまいりたいと思います。(拍手)
また、我々は本院において、結党以来初めて野党として活動をするわけです。反対のための反対といった態度はとらない、国民本位の内容の充実した審議を心がけてまいりたいと思います。間違っても、牛歩戦術を使ったり、集団で辞職願を出したり、またそれを引っ込めたりするつもりはございません。(拍手)
総理も、連立内閣にさまざまな勢力があって、御苦労も大変多いことと思いますが、どうぞ与党内の理不尽な横車に屈したりすることなく、国民のための政策を追求してくださることをお願いいたします。(拍手)
我々も、フェアプレーで政権を競っていくことを国民の皆様にお誓いをして、質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕