赤松広隆の発言 (本会議)
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○赤松広隆君 私は、新生党・改革連合、公明党、さきがけ日本新党、民社党・新党クラブの四党・会派及び日本社会党・護憲民主連合を代表して、細川総理の過日の所信表明演説に対し、質問いたします。
総理、雲仙・普賢岳の噴火に続いて、北海道南西沖地震、鹿児島の集中豪雨など自然災害が発生し、とうとい命と財産が奪われました。私は、亡くなられた方々とその御遺族に対して謹んで哀悼の気持ちを申し述べるとともに、現在、厳しい生活を余儀なくされている被災地の方々に心からお見舞いを申し上げます。
それぞれの被災地では、農林水産業、中小企業を初め地域経済の再建、生活基盤の整備など、被災者の救済や災害復旧が求められており、政府、自治体は一体となって万全の対策を推進されるよう、強く要請いたします。総理はいち早く鹿児島を視察されましたが、これらの災害に対し、具体的にどのように取り組まれる所存なのか、その決意をお伺いしたいと思います。
さて、総理、私たち連立政権を構成する五党・会派は、一致協力して細川内閣を懸命に支え、政治改革を求める国民の期待にこたえて、日本の新しい政治をつくり上げる決意であります。三十八年間にわたる自民党一党支配の政治に終止符を打ち、国民の新たな選択によって誕生した細川内閣は、内外政策の確かな進展を図って、国民の政治不信の克服と国際信頼を回復するという大きな使命を負うております。我が国の政治史上、最も新しい歴史の扉を開くに当たり、私は、細川内閣が連立政権をどのように運営される決意なのか、その基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
我が国の社会の中には、国民のさまざまな利益と意見が存在し、その表現や行動の仕方にも多様、多元的なものがあります。こうした多元化した社会の現実から、国民の多様な意見と利害を代表する政党が形成されてきました。連立政権の基本は、そうした支持者や政策、組織、歴史の異なる複数の政党が、国民の利益を最優先した課題と政策の実現のために共同歩調をとるところにあると思います。(拍手)
したがって、連立政権を支える政党は、活発な議論を通じて政策決定の透明化に努め、調整された政策を誠実かつ積極的に推進しなければなりません。そこでは、それぞれの政党が可能な限り自己を抑制して、相手の主張を許容し、政策の調整範囲を広げていくことは当然のことであります。それが、連立政権の長い歴史を持つサミット参加の主要先進国や、民主主義と市民社会の成熟したその他のヨーロッパの国々の経験でもあります。連立政権に対する細川内閣の基本姿勢を伺いたいと思います。
次に、私は、新政権の大きな課題である政治改革についてお尋ねいたします。
この数年、我が国の国会は、政治家のスキャンダル問題で幕をあげるという異常な事態が繰り返されてきました。このため、国会も行政も正常に機能せず、激動する世界と日本の重要課題に敏速に対応できないという政治の停滞がもたらされたのであります。一連の政治スキャンダルは、利権絡みの政策決定と利益配分という不透明な政治構造から生み出されております。最近の仙台市や茨城県を舞台とした自治体と大手建設業界の癒着も例外ではありません。
総理、こうした政治腐敗を根絶するためには、違法・腐敗行為を犯した者に対する議員資格の剥奪、立候補制限や連座制の強化、さらには企業、団体の政治献金の禁止など、政治資金規正法の改正や政治倫理法の制定、政治腐敗防止策の確立、そして小選挙区比例代表並立制の導入による選挙制度改革が必要であります。総理は、政治改革関連法案は一括して本年中に成立させるべきであるとの見解を示されましたが、改めて政治改革に対する総理の決意を伺いたいと思います。
政治改革は、中央政治だけではなく、自治体政治を含む政治構造全体を視野に入れたものでなければなりません。中央省庁からおろされる膨大な許認可権や補助金、さらには中央中心の税制や交付金、起債権限、機関委任事務などの実態は自治の理念とも矛盾しており、許認可権限や各種規制の削減を初め、中央政府に集中した権限と財源を大幅に自治体に移譲するなど、地域主権の確立が必要であります。地方分権の推進は、細川政権に課せられた大きな課題の一つでもあり、その基本方向を示していただきたいと思います。
また、今日の行政情報の非公開が、密室政治や利益絡みの政治を生み出す要因ともなっております。情報公開は、議会制民主主義の原点であるとの立場から、法的措置も含めて、地方・中央政府機関が保有している情報の公開に向けて積極的に取り組まなければなりません。総理の見解を伺いたいと存じます。
今、我が国経済は、一昨年のバブル破綻から引き続く深刻な不況の局面にあります。異常なスピードで百円の大台割れに迫ってきた急激な円高や、冷夏による消費低迷の影響を初め、景気の先行きは不透明であり、今後、景気の二番底を防ぐ万全の対策が必要であります。この平成不況は、細川内閣が自民党政権から受け継いだ大きな負の遺産であります。しかも、現在の不況局面は、自民党流の公共事業一辺倒の対策だけで打開できるほど単純なものではありません。(拍手)
昨年八月に打ち出された時期おくれの経済対策、さらに本年四月、鳴り物入りで策定された十三兆二千億円の新総合経済対策も、浮揚効果が期待されながら、今のところその政策効果は見えず、市場の反応さえ極めて鈍い実態にあります。総理は、こうした景気回復のおくれをどのように認識され、今後の経済運営をどうなさるのか、率直な御意見を伺っておきたいと思います。
総理、米国における双子の赤字の深刻化、欧州における通貨・経済統合の予想外の難航など、国際経済環境は日々厳しい変動を重ねでいます。さらに、経済格差を背景とする地域・民族紛争の激化も世界市場の深刻な不安定要因となっております。その中で、グローバルな強い影響力を持つ日本経済の役割と責任は重大であります。平成不況を克服して新たな活路を切り開くためには、単に国内だけに目を向けた対症療法的な対策ではなく、経済運営の方針をグローバリゼーションの時代に対応したものへと転換し、再構築する必要があります。すなわち、二十一世紀に向かって、日本の経済社会、国民生活の新しいビジョンを鮮明に掲げ、全世界と協調できる産業・経済活動の目標を明確にすべきであります。総理は、これに関してどのような見解をお持ちか、基本理念と具体的な政策方針を示していただきたいと考えます。
我が国の経済を輸出主導から内需中心へと転換するには、生産者優先の経済運営と産業構造を生活者優先のものへと大きく変えていかなければなりません。既に一九八六年、八七年の前川レポートはそのことを示唆していましたし、宮澤前内閣もそうした時代のニーズに対応するかのような姿勢を「生活大国五か年計画」によって示しました。しかし、住宅政策の充実強化を初め、生活環境の整備、高齢化社会に備えた年金、福祉、医療の改善、労働時間短縮と余暇政策の確立など、いわゆる新たな社会資本の整備にかかわる課題の多くが持ち越されたのであります。細川内閣は、こうした課題を継承、発展させ、確実な実行の軌道に乗せるとともに、前川レポートや「生活大国五か年計画」を生活者の視点から見詰め直し、今日的な新たな計画と政策に組み直すべきだと考えます。総理の御見解はいかがでしょうか。(拍手)
総理も述べられましたように、年内に期限の保迫ったガット・ウルグアイ・ラウンドを成功させることは、極めて大切な課題であります。その際、米の市場開放問題が最大のネックになると言われていますが、細川内閣は、米の自由化や例外なき関税化の押しつけに対して、毅然たる反対の態度をとられることを強く要望いたします。(拍手)
二千年に及ぶ豊かな経験を蓄え、恵まれた気候風土を持つ米づくりは、我が国の縁の国土保全に貢献してきました。したがって、食生活の安全や安定、民族文化など経済外の多面的価値に支えられる米づくりを、市場の論理だけで評価するのは適当ではなく、とりわけ中山間地における米づくりには、国土・環境保全などの視点からも、徹底した保護、助成が必要であります。また、広々とした平野部においては、経営規模や新しい技術、手法などの確立が求められております。政府は、若い農業者にも魅力のある自立的な米づくりの構想と中長期のプログラムを策定し、農業、農村の確かな将来展望を提示しなければなりません。総理の御所見はいかがでございましょうか。(拍手)
総理、以上の経済運営の理念や構造政策の展開を前提に、細川内閣が今緊急に対処しなければならないのは、何よりも今日の深刻な不況対策であります。これに関連して、私は、三点ほど問題を提起し、総理のお考えを伺っておきたいと思います。
まず第一に、待ったなしの景気対策の決め手として所得税減税、政策減税の実施を十分に御検討いただきたいのであります。九〇年以降、減税が見送られたことで、実質的な増税が進み、納税者の重税感が募り、消費意欲が減退しています。今、中小企業に対する投資減税を初め、教育や住宅などの政策減税実施はもちろんのこと、生活者利益優先の立場から、所得税減税に真正面から取り組むときに来ています。
総理、経済は生き物であります。生き物である日本経済は今、かつてなく重い疾患にかかっております。その疾患を所得税減税の刺激によっていやし、景況を回復させ、経済のパイを大きくすることができるならば、財源の確保はさまざまな手段と選択があっていいのであります。私は、景気低迷下の国民の暮らし向きを少しでもよくするために、減税の実施を優先されるよう要望いたします。
直接税と間接税の比率の是正を軸とした抜本的な税制改革のあり方については、近く開始される政府税制調査会の議論を見た上で、私たちの見解を申し上げたいと思います。
第二に、電力、電気、航空運賃、輸入品などの値下げによる円高差益の還元について緊急の行政指導を強め、消費者が円高メリットを実感できるようにしなければなりません。
エネルギーコストの低下は、設備投資意欲の刺激にもつながるものであります。円高は一面で産業構造の転換を促し、生活優先の政策を推進する新しい機会でもあり、こうした産業構造の変化に伴う労働力のミスマッチ対策など、タイミングをずらさず早目に手を打つことが重要であります。
第三は、規制緩和についてであります。私は、総理が規制緩和に対して積極的な姿勢を示されたことを高く評価をいたします。
現在、国民の生活と社会経済活動は、一万一千件にも及ぶ許認可事項など規制の網の目によってがんじがらめにされております。この過剰な規制システムの体系が中央集権的官僚国家の支えとなり、政官財癒着の構造をつなぐ回路として、しばしば利権と腐敗の温床ともなっているのであります。また、海外から見れば、異常に高い日本市場の障壁と映っているばかりか、巨大な内外価格差と経常収支の黒字を助長し、摩擦激化の要因をつくり出しているのであります。
こうした規制を大幅に緩和し、自由で自律的な市場メカニズムを活性化させ、自己責任の原則を推し広げることは、基本的に生活者の利益にかない、国際社会の要請にこたえる道でもあります。それは、我が国の社会経済の体質を変え、構造転換と分権を促進する中長期のテーマに位置づけられると同時に、当面の沈滞した経済局面に刺激と活力をもたらす緊急措置としても、直ちに着手され、積極的に推進されなければなりません。
しかし、私は、こうした規制緩和の内容は、単に量的な緩和だけではなく、どのような規制をどう緩和するのかの査定と選択が重要であり、それを定めるに当たっては、市民、生活者の視点を基本に据えるべきであると考えています。そのためにも、市民の感性による規制緩和の推進・チェック機構を設け、院内外の共同作業としてその課題に取り組むことを提言したいと思います。
私は、当面の不況対策に関連して、とりあえず以上三つの課題を提起いたしましたが、こうした方針は、平成六年度予算編成に際してもぜひ織り込んでいただきたいと思います。
総理、今私が申し上げた生活者優先、内需拡大の新しい経済社会、国民生活の実現に当たって十分に考慮しなければならないことは、ややもすると経済成長の果実から遠いところに置かれてきた人たちへのパイの再配分をどう進めるのかということであります。
我が国は今、急ピッチで高齢化社会が進展しています。その主人公である高齢者が生き生きとした人生を過ごすためには、豊かな経験と知識に裏づけされた能力を発揮できる環境を整備し、社会参加の条件を整えることが基本でなければなりません。働くことを希望する高齢者のためには、公的年金とリンクした定年制の確立や高齢者向けの職業訓練施設とケアつき住宅の充実などが必要であります。さらには、高齢者人口の増大でニーズの高まる在宅サービスを基本とした介護システムの確立や保健・医療・福祉分野におけるマンパワーの確保など人材養成が緊急な課題となっています。総理の高齢者問題に対する基本町な見解を求めたいと思います。(拍手)
総理、戦後から現在に至るまで我が国の福祉政策は、高齢者や障害者を社会から隔離して、国が一括して保護することを中心に考えられてきました。これは典型的な生産者優先時代の政策であり、生活者優先の福祉を主張する高齢者や障害者からは否定され始めております。すなわち、これまでの福祉政策にかわる新しい政策として、体の自由がきかない高齢者も障害者も、できる限り住みなれた地域社会の中で普通の生活ができるような社会づくりが提起されているのであります。こうした新しい問題提起を受けとめ、新政権は、高齢者や障害者が地域社会の中で自立し、市民とともに生きていくノーマライゼーションの理念を国民的な目標に掲げて、人類共生の二十一世紀を目指すことを希望いたします。
総理、人生八十年の時代の到来は、心身に障害を持つ人たちと持たない人たちとがともに支え合い、助け合って生きる共生の社会システムを必要としています。その実現のためには、公的福祉、ボランティア、民間活力など多様な選択肢と多様な組み合わせによる社会サービスの充実はもとより、移動の制約からも解放しなければなりません。高齢者や障害者ばかりではなく、大きな荷物を持った人などにとっても、現在の交通施設は移動の制約となっています。
したがって、これらの市民が安全、快適に移動し、生きていくためには、JR、大手民間鉄道、地下鉄の主要な駅に、だれもが自由に使えるリフトやエレベーターを設置するなど、本格的な福祉の町づくりを急がなければなりません。私は、新政権が自治体や関係企業と協力し、生活者重視の内需拡大の一つとして、これらの課題に積極的に取り組まれるととを提言し、総理の見解を求めたいと思います。(拍手)
生活者優先の主張は、子供たちにも十分に配慮した政策として実行しなくてはなりません。子供たちは今、学校生活におけるゆとりを欲しがっており、私たちは、この子供たちの小さな叫びにこたえる責務があります。ゆとりの視点から、現在の授業内容や分量が将来の生活に本当に必要であるのかどうかの精査、洗い直しが求められています。私は、選択、調査、発見という子供の自己学習力の向上を考えたとき、これからの学校教育は、学校図書館活動を重視したものに変えるべきだと考えます。
子供の自主性、最優先の原則、人格の尊重を掲げた「子どもの権利条約」については、国会審議の経過と世論を踏まえ、「チャイルド」は「児童」ではなく「子ども」と訳し、「子どもの権利条約」として、一日も早く成立させるべきことを強調しておきたいと思います。(拍手)
総理、世界では一日に三万五千人の子供たちが栄養失調や病気などで死亡しております。国連の子供サミットでは、二〇〇〇年までに飢餓をなくし、小さな生命を救うことが約束されています。私は、日本のアイデンティティーとして、子供の問題では国境を越えでやってくる日本を確立されることを提言し、総理の見解を求めたいと思います。
総理、私は今、この衆議院本会議場の光景が大きく変わったことに深い感激を覚えております。それは、土井議長と閣僚三人の女性が議場正面に着席されたことによって、女性と男性が共同でつくり上げる政治の手ごたえを感じるからであります。(拍手)この光景を当たり前のものとするためには、女性と男性の社会的平等の実現を目標に、公的生活及び雇用、職業における平等、パートタイム労働の権利の確立、社会、家庭における役割分業の克服など、よりよいパートナーシップが必要であります。
総理、私たちはクオータ制度の導入をも考慮し、女性が政治、社会のあらゆる分野で活躍できる日本を築き上げなければなりません。この点に関する総理の見解を伺いたいと思います。
生活者重視の政治は、人権問題に対しても積極的な政策の展開と行動を起こし、さまざまな差別や人権侵害のために人間の尊厳が著しく傷つけられている人々と連帯するものでなくてはなりません。総理、私たちの世代の力で民族の多様性と内外人平等を大切にする日本を実現しようではありませんか。
ことし六月、世界人権宣言四十五周年を記念してウィーンで国連世界人権会議が開かれ、すべての人権は普遍的価値であるという宣言が採択されました。政府は、この宣言を肯定的に受けとめ、国内における部落差別、民族差別など、その解決に努めなくてはならないと考えます。総理の見解を伺いたいと思います。
総理、およそ四千四百万人に上る日本のサラリーマンの生活に今必要なのは、ゆとりであります。日本の国民は勤勉に働き、世界の果てまで自動車や電気製品を浸透させ、膨大な貿易黒字と企業収益を生み出してきました。しかし、その人たちは現在、自分で自由に自分の文化活動を選択したり、地域社会と触れ合うなど、個性的な生き方や豊かなライフスタイルを過ごせる時間を持っておりません。日本のサラリーマンがゆとりある生活を享受するためには、労働時間の短縮、完全週体百制の実施、長期有給休暇の実現によって十分な時間が必要であります。それと同時に、安く利用できる長期滞在型のレジャー施設の整備や適切な余暇情報が求められております。
私は、新政権が内需拡大の視点から、ゆとり実現のための諸課題に取り組まれることを要望したいと思います。
来年四月から週四十時間労働を実施するための労働基準法改正が行われました。猶予措置が設けられた一定規模の事業所、業種に対しては、円滑な移行ができるよう、行政指導はもちろんのこと、財政援助など政府のリーダーシップが必要であります。総理の見解を伺いたいと思います。
次に、私は、軍縮と国際貢献についてお伺いをいたします。
米ソ対立を軸とする半世紀に及ぶ東西冷戦は終わり、世界は今、不信と敵対の関係から信頼と協調の外交関係へと大きく転換されつつあります。しかし、反面、民族紛争や地域紛争が頻発し、新しい危機も生まれています。こうしたポスト冷戦の新秩序の形成に向かう過程にあって、我が国は平和憲法の精神に沿い、軍縮と平和、経済発展、地球環境保全など新しい国際貢献を果たさなければなりません。
総理も所信表明で強調されましたように、軍縮への取り組みは一段と重要になっております。世界の軍事支出は四年連続で減少し、九二年度は八七年以来最高の一五%の減少率となっています。世界の国防費の大幅な削減の中で、我が国自身も目に見える軍縮の推進が何よりも必要であります。
総理、冷戦後の世界は、主権国家を超えて、ともに生きる相互依存の時代に入っております。この新しい時代の世界秩序は、国際連合を中心に構想されなければなりません。冷戦時代には十分に機能できなかった国連の時代がようやく訪れたのであります。国連が国際正義と平和のための重要な任務を果たすには、軍縮、環境、人権、南北問題など今日の地球的課題に対応し得る役割と機能の根本的な強化が必要となっております。総理は、国連改革の問題についてどのような方針で臨まれるのか、伺いたいと思います。
私は、我が国の外交の基本は日米関係にあり、世界で最も重要な二国間関係として、国際経済の面でも両国間の調整が極めて重要であると考えています。しかしながら、その枠組みだけでは、相互のもたれ合いと甘えが生まれ、不条理な摩擦を強めることになりかねないのであります。グローバリゼーションの時代にあっては、地球社会の全域にわたる相互依存の関係をしっかりととらえ、国際公正と人類共生の原則を踏まえた経済外交路線の新たな展開を期すべきであります。そのためにも、冷戦後の積極的な経済協力、国際貢献の意義はますます重要であり、とりわけ、最も安定的な成長を遂げつつあるアジア近隣諸国を重視し、市場の多元化を進め、それに対応する国内構造の転換を一層促進しなければなりません。総理のお考えを伺っておきたいと思います。
冷戦の終えんは、アジアにおいても、ロシア艦隊のベトナムからの撤退、在フィリピン米軍基地の撤去を初め、大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国の国連同時加盟、韓国と中国の国交正常化、APECへの中国、台湾の加盟など、アジア・太平洋の地域協力関係の進展となってあらわれています。こうした新しい現実を確実なものとするため、我が国は、ロシアヘの経済再建の支援、日中の政治経済関係の緊密化、日朝国交正常化などに向けて積極的な取り組みを展開しなければなりません。
総理は、アジアの中の日本として、アジア外交をどう展開されるのか。また、日本がアジアで中心的役割を担うためには、総理も述べられたように、過去の過ちに対する反省が必要であり、とりわけ、国際社会から人権侵害として指摘されている従軍慰安婦や強制連行問題の具体的解決が迫られています。
総理、一九九五年は第二次世界大戦の終結から五十年という記念すべき年であり、それまでに私たちは、アジア諸国民に対する反省と謝罪の意思を国会決議として内外に示す必要があると思います。総理の見解を伺いたいと思います。(拍手)
私は、地球環境保全に対する総理の見解を伺っておきたいと思います。
今日、二酸化炭素を主因とする地球温暖化現象を初め、フロンガスによるオゾン層の破壊、酸性雨による森林や湖沼の被害、熱帯雨林の伐採、途上国の人口爆発と砂漠化、生物種の危機の進行など深刻な事態が国境を越えて広がり、地球規模の協力が必要となっています。こうした宇宙船地球号の新たな現実の中で、とりわけ重要なことは、途上国の耕地の土壌保全、森林再生、再生可能なエネルギーの開発、農業の生産性向上のためのインフラ整備などに向けた国際協調行動の展開であります。日本は、これまで開発してきた公害防止技術や人材養成などの経験と卓越した経済力を総動員して、地球環境問題の解決を目指して世界の先頭に立ち、その重要な役割を担わなければなりません。また、国内的にも、地球環境保全の視点から、モーダルシフトの推進や、我が国の森林の計画的な整備、保全と林業の再生が焦眉の課題となって保います。
こうした自然と人間の共生を図る上でも、さきの国会で廃案となった環境基本法の再提出が期待されております。総理の基本的な考え方を伺っておきたいと思います。
総理、ポスト冷戦の時代においても、ポスト五五年体制の日本においても、今、新しい秩序が模索されています。この意味で現在は、国民と政治家の英知を創造的に展開できる最良の機会であり、私たちは限りない可能性の中に生きているのであります。ユネスコのフェデリコ・マヨール事務総長は、危機を破局に向かわせず、危機を最良の好機としてとらえるべきだと述べています。私たちの世代に求められているのは、変革に挑戦する熱意と精神であり、私たち五党・会派は、国民の変革のエネルギーを背景に、細川内閣とともに自由と民主主義、自立と共生を基礎とした日本と世界の実現に向かって邁進することを約束し、私の代表質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣細川護煕君登壇〕