野末陳平の発言 (本会議)

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○野末陳平君 私は、新緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となりました三法案のうち特例公債の法案には賛成ですが、他の二法案に対しては反対の立場から討論を行います。
 今回の税制改革関連法案を虚心坦懐に検討してみましたが、高齢化社会の福祉ビジョン、それから行財政改革に関する基本的な考え方など、具体的な展望や施策が全く示されていない、ここが一番の問題であります。
 特に、所得減税を二階建てにして消費税率を五%としたものの、国民に知らすべき、そして国民が知りたい重要な部分を見直し条項の中にねじ込んでしまうという全くその場しのぎのやり方、これは、これまでの税制改革法案に比べましても実に無責任な、まるで空中楼閣を見るような内容ではないかと思います。
 国民に新たなる負担を求めるときには、徹底した行財政改革どこれによる冗費の節減で政府が満身創療の努力を国民の前に見せる、この努力を重ねることが前提でなければなりませんが、この前提が欠けておって、そして、あるのは消費税の税率アップだけというこのような内容の税制改正に対しては、反対するなというのが無理というものではないでしょうか。
 以下、反対理由を述べますが、反対の第一は、もう言うまでもなく、公約違反ということであります。
 村山総理は、公約違反ではない、前回の選挙ではもう反対とか廃止とは言っていない、消費税は定着しているんだと、そういう苦しい弁明をしておりますが、それならば社会党本部の前につい先日まで掲げられていたあの消費税の税率引き上げ反対運動本部という大看板は何だったのか、こういうことを言いたいわけですね。
 政党本部が掲げる看板は国民に対する訴えてありますから、これは税率引き上げはしないという公約ということになりますね。これこそ社会党が金科玉条としてきた基本政策だと国民はみんな理解しているわけでありますから、つい先日まであの看板を掲げながら、実は去年の選挙からは反対していないんだと、こういうような取ってつけたような理屈重言っても、これは詭弁にしかすぎない。自縄自縛の公約違反ということは明らかであります。
 これは、いや、私が言うだげじゃありません。公聴会に出席しておった公述人の先生方もこの点を指摘しておられました。ある先生などは、社会党はもっと早く政策転換をすべきであった、それを国民の前に率直に語るべきであったと、こういうコメントもしておりました。
 また、私たちのところへ届きます要望書にも、村山総理は、事情が変わった、だから政策転換をしたと説明しているが、国民を取り巻く事情は何にも変わっていない、変わったのは社会党が政権についたことだけだと、こういうふうになっていますね。つまりは、政権についたから政策を変えたんだと国民からは見られているわけですから、村山総理の苦渋に満ちたあの政策変更も単なる自己都合だったと、こういう皮肉のコメントも聞こえてくるわけであります。
 反対理由の第二ぼ、村山総理も武村大蔵大臣も、これまで、行財政改革は消費税率アップの前提だと明言しながら、しかも大蔵大臣に至っては、党首であるところの新党さきがけが特殊法人を初めとした行革のプランを出しました。数値目標まで出しました。乱暴な面もありますよ。しかし、霞が関ではあれを異端邪説のような扱いをしているとも聞くが、私に言わせれば、あの意気は買うべきであって、あのさきがけの行革案に対する内容が全く今度は反映されていないということは、個人的に言っても切歯扼腕の思いでいるところであります。
 ですから、思えば、あのさきがけ案は単なる人気取りであったのか、単に作文をマスコミに発表して国民の機嫌をとったのかという意地悪い見方すらできるのでありまして、大蔵大臣御本人も今のところはやるぞやるそのかけ声だけですから、じゃ、できない場合にはどうするんだと、期待どおりにならなかった場合に責任をとるのかといえば、責任をとるようなとらないような、まさにこれは隔靴掻痒の趣を呈しているという、これはどう考えても賛成するわけにはいかないということになりますね。
 国民の声は、言うまでもなく、消費税を先に決めるんでなくて行革を先にやれということですね。国民に負担増を求めるからには政府みずからがみずからの身を削れ、こういうことですから、これを真剣に受けとめて、やはり政府は早急に目に見える形で行革案をまとめ、国民の前に提示しなければいけなかった、こういうことになります。
 反対理由の第三ですが、高齢化社会に対する福祉ビジョンが欠落しているということでありまして、平成七年には一千億、平成八年は二千億というようなスズメの涙のような高齢化対策の枠を設けて、目先の深謀遠慮をめぐらしておりますけれども、本当に大事なことは、これからどういう福祉が必要で、どこにどれだけのお金がかかって、だから国民にはこれだけ負担してもらって、そして国民に安心してもらうというふうなビジョンが見えてくれば、賢明なる国民は、これは、消費税の五%でもあるいはそれ以上のアップでも、以心伝心の気持ちですよ、これ、理解してくれると私は思うのであります。
 反対理由の第四ですが、減税の中身が中堅所得層にはかなりの改正ですから評価します。しかし、課税最低限をここまで引き上げてよかったのかどうか。上げ過ぎではないかと私は思います。
 これは少額納税者への配慮ということらしいんですが、これが逆進性の解消を意図したとするならば、少額納税すらできないそれ以下の所得層の人たちは消費税のアップをもろに受けるわけですから、そういう層への気配りが歳出の面でできているのかといえば、村山総理お得意の弱者への優しさというのがほとんど見当たらないと言ってもいいわけですから、弱者にとってはまさに秋風索漠の思いの税制改正である、こういうことが言えるわけですね。
 ですから、その上に特別減税がいつなくなるかわからないということになりますと、ここで増税になってしまいますから、消費税アップとダブルパンチになると数年先はこの改革は暗雲低迷と言わざるを得ないと、こういうことになるんですよ。
 反対理由の第五。これは地方税にまで触れて恐縮でありますが、特別地方消費税及び自動車取得税は廃止できないのかということであります。
 地方消費税が創設された以上は、消費税に加えてこれらの税金が課せられるいわゆるタックス・オン・タックスという二重課税、これは検討しなければいけない。それから、酒税などに関しましても、やはり調整併課というのが筋である。それからさらに、国際化時代に対応した法人課税のあり方を検討して見直さなきゃいけない、これも当然であります。それから、納税者番号による所得税の総合課税、これは大蔵大臣は前向きの答弁をなさっておりますが、これも一刻も早く決めていかなきゃならぬし、資産課税の適正化の課題も一定の方向性を早目に固めておく必要がある。ここらで、村山内閣の面目躍如たるところを見せてほしいと私は願っておるわけであります。
 このほかに、財政面からの反対理由も二、三ありますが、時間の関係で割愛させてもらいます、残念ながら。
 以上をまとめて、さらなる要望を大蔵大臣にしておきたいと思うんです。
 行財政改革は、一日も早く具体的な数値目標を含めたプログラムを示すべきことで、これを新たなる公約としなければいけない。
 二番目は、福祉ビジョンは、新ゴールドプラン及びエンゼルプランの策定を中心にして、国民が安心できる高齢化社会の姿を明確に早急に国民に示す必要がある。当然のことでありますが、早くしてもらいたい。
 三番目。減税は二階建てでありますが、これをやめまして、やはり特別減税の部分を恒久税制にしなければいけない、そう思います。
 それから四番目。これはいわゆる不公平税制、これに鋭く切り込めばかなりの財源が出ると大蔵大臣の答弁をいただいておりますから、英断をもってこの実現を期してほしい。
 それから、問題は飲食料品の軽減税率の課題でありますが、消費税の中でこの手の逆進性解消をやり遂げるのはこれは無理なんです、消費税そのものが逆進性という面を持っておりますから。ここで大事なことは、内外価格差をなくし、公共料金を抑え、そして民間の物価下げの努力も期待し、この三つで物価を安くすることが先決なんです。そうなれば消費税の税率アップに対する抵抗感もやがては雲散霧消していくであろう、こう考えるのが筋ではないでしょうか。
 最後の要望は、消費税五%という、これが仮置きの数字であってはならない。ここで決めるべきなんで、見直し条項の中で安易なる税率アップということにならないようにくぎを刺しておきたいと思います。
 以上を強く要望しまして反対討論を終わりますが、ひとつ、大蔵大臣を中心とした村山内閣におきましては、横綱貴乃花にあやかって不惜身命の決意で最後の課題に取り組んでほしいと思います。
 どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 113115254X00919941125_010

発言者: 野末陳平

speaker_id: 18968

日付: 1994-11-25

院: 参議院

会議名: 本会議