足立良平の発言 (本会議)

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○足立良平君 私は、平成会を代表して、ただいま議題となりました政府提出、育児休業法の一部を改正する法律案に対して、反対の立場から討論を行います。
 我が国では現在、世界に例を見ない速さで社会の少子・高齢化が進展しており、それに伴って介護を要する高齢者が数多く発生していること、及び高齢者を介護する若い世代の人数が急激に減少していることは厳然たる事実であります。
 私たちは、高齢化社会の諸問題に対しては、自助、共助、公助、つまり、みずから助ける、ともに助け合う、公で助けるの最適な組み合わせによる重層的対応を原則としつつ、とりわけ年老いた親などの介護の問題については、介護施設の増設など公的介護体制の整備によって対応すべきであると考えております。
 しかしながら、公的介護体制の整備のための新ゴールドプランは、財源の問題をあいまいにしたままであり、その進捗は期待に反して大幅におくれることが必至であります。
 このような状況の中で、毎年八万人を超える労働者が介護のために退職せざるを得ない現状に対応するため、事業主の方々に共助の観点から御協力いただき、公的介護施設への入所等の公助による対応が可能となるまでの一定期間、労働者が介護のために安心して休業できる権利を法律により保障することは、今日の政治の果たすべき緊急の課題であります。
 本日議題となりました政府案は、基本的には私たちと共通した政策を一応志向しつつも、その内容は極めて不十分なものであると断ぜざるを得ません。
 まず、本案によりますと、介護休業期間は時間短縮措置と合せてわずか三カ月、また介護休業の取得は要介護者一人につき一回に制限されていますが、これでは介護施設への入所に一年を超える待ち時間を要するという現実、また要介護状態が再び発生することがあるという現実に到底対応できる内容ではありません。
 また、施行期日を平成十一年四月とする本案は、中小企業における労働組合の低い組織率が示すように、実質的には労使交渉による自主的な制度の導入が困難な現状においては、まさに中小企業に働く四千万人の労働者の大半を切り捨てることに等しいことと言わねばなりません。
 さらに本案は、介護休業の対象者の範囲に同居の親族を含んでいないほか、介護休業の取得による不利益取り扱いを禁止していないこと、また介護休業中の所得保障や社会保険料の免除などの経済的支援措置も規定されていないことなど、制度を有効に活用するための配慮が残念ながら全くなされておりません。
 これに対して私たち平成会は、介護休業の必要性、緊急性をより深刻に認識し、介護休業等に閲する法律案を提出して審議をお願いいたしました。
 その内容は、第一に、権利としての介護休業期間を時間短縮と合せて一年間とすること、第二に、介護を要する状態ごとに介護休業を取得できるとすることにより、新たに介護を必要とする事態が発生した場合にも対応できるようにすること、第三に、介護休業期間中の所得保障を行うことにより、介護休業による経済的損失を可能な限り補充して、安心して介護休業を取得できるようにすること、第四に、平成八年四月から施行することにより、今この時点においても介護のために退職を余儀なくされている労働者を可能な限り早期に救済すること、また早期の法制化による激変を緩和するため、とりわけ中小企業に対して手厚い助成等の特別措置を行うことなどを主たる内容とするものであります。
 労働委員会におきましては、残念ながら我々の主張は修正案の形で否決されましたが、この平成会案の主張こそ、迫り来る高齢化社会の中で一刻も早い実効性のある介護休業制度の実現を望む生活者、勤労者の切実な要望にこたえるものであると確信するものであります。
 「人にやさしい政治」を標榜される社会党の村山総理のもと、なぜかくも不十分な内容の法案を取りまとめられたのか理解に全く苦しむものであります。
 また、介護休業期間を一年とすることは公的介護体制の整備に矛盾し、かえって女性の介護負担を増大させかねないという与党の御主張は、公的介護体制の整備が大きく立ちおくれている現実に目をつぶり、男女の役割分担の流動化の努力をあらかじめ放棄するものであり、理論をもって現実を裁断する本末転倒の議論であると言わざるを得ません。
 また、衆議院段階での異例の与党各党による修正も、努力規定、見直し規定の追加にすぎず、政府案を何ら実質的に前進させるものとは言えません。
 以上の認識に立ち、私は本法案に対する反対を最後に強く訴え、討論といたします。(拍手)

発言情報

speech_id: 113215254X02719950605_026

発言者: 足立良平

speaker_id: 7146

日付: 1995-06-05

院: 参議院

会議名: 本会議