関根則之の発言 (本会議)

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○関根則之君 私は、自由民主党・自由国民会議、日本社会党・護憲民主連合、新党さきがけの三党を代表いたしまして、宗教法人法の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。
 宗教は、人の心を安定させ、人の魂に安らぎを与えるものであり、人が生きていく上で欠くことのできないものであります。宗教法人法は、宗教活動を行う団体に対して法人格を与え、自由で自主的な活動をするたかの基礎を提供することを目的とする法律であります。
 宗教法人法制定以来四十数年が経過し、経済の発展、都市化・情報化の進展など、社会の変化には著しいものがありました。そうした中で、一部の宗教法人とはいえ、霊感・霊視商法などの不祥事が発生しております。とりわけオウム真理教の事件につきましては、国民に強い恐怖感を与えるとともに、それが宗教法人を隠れみのとして行われたことについて社会に大きな衝撃を与えました。
 多くの国民から、オウム事件を契機として、行政は一体何をしていたのかという宗教法人制度に対する不安や疑問の声が強く起こってきております。最近のどの世論調査を見ましても、常に八割以上の国民が宗教法人法の改正が必要だとしております。現行法に不備や不十分な点があるとすれば、その法律を改正し、国民の声にこたえるのが国会の責任であると考えます。
 このたびの改正案は、信教の自由と政教分離の原則を基本としつつ、必要最小限度の改正を行おうとするものでありまして、いやしくも信教の自由を侵すようなものでないことは法律案の内容を見ていただければ明らかであります。
 以下、法案に賛成する主な理由を申し述べます。
 その第一は、複数の都道府県で活動を行う宗教法人の所轄庁を文部大臣に改めている点であります。
 この改正は、特定の都道府県知事の権限はその都道府県の区域内にとどまるものであるという地方行政組織の大原則に従ったものでありまして、これまでそうでなかったのがむしろ不自然だったのであります。
 賛成の理由の第二は、宗教法人の事務所に備えつける書類を見直し、その一部の写しを所轄庁に提出するという点であります。
 そもそも、広く資金を集めて組織を運営する法人で財務書類を作成しないものなどほかに例があるでしょうか。法人格を付与され、税制上の特典を受ける以上、そこには当然、法的、社会的責任が生じるのであり、法人運営に必要な書類を整備することは至極当然なことであります。
 これまで宗教法人の所轄庁は、認証をいたしました後はその宗教法人がどういう活動をしているのか知り得る手段を全く持たなかったのであります。
 今回の改正で新たに提出を要求される収支計算書につきましては、収入が少ない法人の場合、当分の間、その作成、提出を免除することといたしております。規模が小さく事務処理能力も小さな法人に配慮した改正であり、妥当な内容であると考えます。
 特別委員会の附帯決議にもありますように、法の執行に当たりましては、宗教団体の実情に即して無理のない運用をしていただきますよう切に要望するものであります。
 賛成の理由の第三は、宗教法人の信者その他の利害関係人に財産目録等の閲覧請求権を認めることとした点であります。
 宗教法人の教義や信仰内容に対しましては、国が介入すべきでないことは言うまでもありません。しかし、宗教法人の活動はすべて聖域であり、行政は一切関与してはならず、その宗教団体に任せておけばよいという考え方にくみすることはできません。法人の財務会計等世俗的な側面につきましては、民主的運営や透明性を高めるという社会一般のルールに従うことが必要であると考えます。
 備えつけ書類の閲覧が認められる関係者は、正当な利益を有し、かつ不当な目的を有しない者に限定されておりますし、信者であるかどうかの認定や閲覧に応ずるか否かの判断はその宗教法人に任されております。このことは法案審議の過程における政府答弁で明確にされているところであります。
 賛成の理由の第四は、宗教法人に収益事業の停止命令や解散命令の請求に該当する疑いのあるときに、所轄庁に報告を求め、質問する権限を認めた点であります。
 オウム真理教の事件におきましても、所轄庁である東京都は、解散命令の請求をするのに必要な資料を全く持っておらず、警察や検察当局の資料に頼らざるを得ませんでした。このような法律の欠陥を埋め、所轄庁がその責任を果たすことができるように改めることは当然のことだと考えます。
 また、質問権の行使に際しましては、宗教法人審議会の意見を聞くこととするとともに、施設に立ち入る場合には法人関係者の同意を必要とすることなど、宗教法人に対して十分な配慮がなされているのであります。
 以上四点にわたって、今回の改正はまことに妥当なものであります。
 宗教法人等に関する特別委員会の審議におきましては、憲法二十条の解釈、政教分離原則の意味を初め、宗教と政治の関係のあり方といった根源的な問題に議論が集中するとともに、特定宗教法人の過激な選挙運動に対する批判、宗教法人に政治活動の自由が認められるにいたしましても、その自由にはおのずから限界があるのではないかといった問題、宗教法人に対する課税のあり方、さらにはカルト的な教団についての対策等、広範多岐にわたって議論が行われました。
 特別委員会におきましては、中央、地方の公聴会の開催、参考人質疑が行われ、宗教法人関係者を含め広く一般国民から意見をちょうだいし、慎重な審議が行われました。
 宗教法人に関しましては、認証基準を法定すべきではないかといった問題、課税のあり方等なお多くの問題が残されております。これらの問題について、特別委員会において引き続き検討が行われますことを期待いたしますとともに、今回おいで願えなかった参考人につきましても、特別委員会に御出席いただき御意見を拝聴することができますよう強く要望しておく次第であります。
 まことに、まことに惜しむらくは、特別委員会の審議の過程におきまして、本院議員及び新進党の衆議院議員が、多数を擁して委員長席を占拠したり、委員長及び理事を実力をもって五時間にわたり委員長室に監禁したり、さらには怒号をもって委員会審議を妨害するなど、こういう不祥事が発生したことであります。暴力をもって議会制民主主義を踏みにじる行為であり、良識と言論の府たる参議院の歴史に汚点を残したものでありまして、まことに遺憾であり、強く抗議するとともに、深く反省を求めるものであります。
 終わりに、特別委員会において政府から約束されました政教分離の原則や宗教団体の政治活動の限界に対する統一見解が、新鮮な内容をもって速やかに提出されますことを期待いたしますとともに、改正法案の成立と速やかな施行が行われますことを希望いたしまして、賛成の討論を終わります。(拍手)

発言情報

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発言者: 関根則之

speaker_id: 3254

日付: 1995-12-08

院: 参議院

会議名: 本会議