池田行彦の発言 (安全保障委員会)
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○池田国務大臣 吹田委員長を初め委員各位に謹んでごあいさつ申し上げ、我が国の安全保障政策についての所信を申し述べたいと思います。
私は、我が国の安全保障政策遂行の任に当たる者の一人として、また、安全保障会議の議員として、その使命と責任を全うすべく全力を傾注する所存です。
我が国を取り巻く安全保障情勢につき、簡単に申し述べたいと思います。
冷戦の終結等に伴い、世界的な規模の武力紛争が生起する可能性は遠のいており、米ロ間及び欧州において関係諸国間の合意に基づく軍備管理・軍縮が引き続き進展するなど、国際関係の一層の安定化を図るべく各般の努力が継続されています。しかしながら、国際情勢は依然として不透明、不確実な要素をはらんでおり、宗教上の対立や民族問題等に根差す複雑で多様な地域紛争の発生、核を初めとする大量破壊兵器やその運搬手段となるミサイル等の拡散といった危険に直面しております。
我が国周辺地域においても、域内各国の著しい経済発展をも背景として、政治的、社会的な安定に向けた動きが見られますが、朝鮮半島における緊張の継続、台湾海峡の情勢、南シナ海諸群島の領有権問題など、多くの未解決の問題ないし不安定性を内包しています。
このように多くの未解決の問題や不安定性を内包する国際情勢の中にあって、我が国は、みずからの平和と安全を確保していくために、適切な防衛力を整備しつつ、日米安保体制を堅持することをその基本方針としてまいりました。日米安保体制は、我が国の防衛において必要不可欠であるのみならず、広範な日米協力関係の政治的基盤であり、アジア太平洋の平和と安定にとって必要な米国の関与と米軍の存在を確保する上で重要な役割を果たしております。
昨年末安全保障会議及び閣議において決定された新防衛計画の大綱においても、日米安保体制の重要性につき記述されるとともに、その信頼性向上のための具体的施策を検討し、実施していくことが確認されたところです。四月のクリントン大統領訪日の際には、日米安保体制の役割の重要性を改めて確認する共同文書を発出し、二十一世紀に向けた日米同盟関係のあり方につき明らかにする所存です。
他方、沖縄県においては、米軍の施設・区域が集中していることから種々の問題が生じており、これが県民の皆様の重い負担となっています。私は、沖縄県の方々のこれまでの御苦労というものに改めて思いをいたし、関係者のお気持ちに最大限配慮していかなければならないと考えます。その意味で、沖縄における米軍施設・区域の整理統合・縮小及び関連する諸問題については、日米安全保障条約の目的達成との調和を図りつつ、本年秋を目途に特別行動委員会において目に見える具体的な成果を上げるよう、誠心誠意努力する所存であります。
また、四月のクリントン大統領の訪日は、この問題についても一つの大きな節目であり、その機会に解決に向けた一定の方向性が明確にされることが重要であると考えており、この点については、先月私が米国を訪問した際、ペリー国防長官を初め米側との間で認識の一致を見たところであります。
アジア太平洋地域の平和と繁栄を一層促進していくためには、以上述べたように、日米安保体制を堅持し、もってこの地域における安定要因としての米国の存在と関与を確保するとともに、この地域の多様性を尊重しながら、相互の安心感を高めるための安全保障対話及び地域協力を進展させることが重要であります。
このような観点から、我が国は、域内各国相互の信頼感を高めるため、ASEAN地域フォーラムを初め、二国間及び多国間の政治・安全保障対話や安全保障における種々の協力を重層的に推進していく所存です。特に、我が国としては、アジア太平洋地域における政治・安全保障対話の場であるARFを重視しており、昨年の第二回閣僚大臣会合での合意を受け、先月、東京においてインドネシアとの共同主催で信頼醸成に関する政府間会合を開催いたしました。我が国としては、今後ともARFに積極的に関与し、域内諸国間の信頼醸成の促進に努めてまいる所存です。
また、域内各国の経済発展に向けた協力を通じて政治安定性を高めていくことも重要であります。今後、我が国としては、昨年のAPEC大阪会合で我が国が議長国として取りまとめた貿易・投資の自由化、円滑化及び経済技術協力に関する行動指針の着実な実施を確保すべく、最大限の努力を行ってまいる所存であります。
さらに、地域紛争への取り組み、軍備管理・軍縮、不拡散の努力を推進していくことも、冷戦終結後の、我が国も含めた国際社会全体の平和と安定の確保にかかわるグローバルな問題として重要であります。
地域紛争の予防と解決に対しては、我が国としては、外交努力や人道・復興援助のほか、平和維持活動など国連の活動に対する人的面、財政面での貢献を通じて積極的に関与してまいります。旧ユーゴ紛争については、国際社会の和平・復興努力に対し引き続き積極的に参画してまいります。中東和平問題に関しては、先般ゴラン高原における国連兵力引き離し監視隊、UNDOFに自衛隊部隊等を派遣したところですが、今後とも積極的な貢献を行ってまいります。
また、軍備管理・軍縮、不拡散問題については、特に核軍縮につき、究極的核廃絶に向けて現実的な核軍縮措置を着実に積み重ねていくことが重要であるとの基本的立場に立って、今後ともすべての核兵器国に対し一層の核軍縮努力を行うよう促していくとともに、全面核実験禁止条約交渉の本年中の妥結及び署名に向けて最大限の努力を行ってまいります。
以上、我が国の安全保障政策につき所信を申し述べました。
国際的に相互依存関係が高まる中、我が国は、国際関係全般にわたってこれまでにない大きな責任と役割を有しており、世界の平和と安定の推進のため積極的に貢献していかねばなりません。このような状況の中で、それぞれの課題に取り組むに当たり、安全保障問題に精通され、多年にわたってこれに真剣に取り組んでこられました本委員会の皆様の御指導と御鞭撻を引き続き賜り、外務大臣の重責を十分果たせますよう、皆様方の御協力をお願い申し上げます。(拍手)
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