秋葉忠利の発言 (規制緩和に関する特別委員会)
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○秋葉委員 ありがとうございました。
私が伺いたかったのは、その議論のやり方について、今のようなお二方の議論ということではなくて、今新聞紙上をにぎわしているような、事実に基づかないうそや、それからデマによって議論が進んでしまって、事実の確認とかあるいは論理性といったことについて何の考慮も払われていない議論では、結論がどうなっても、どちらになっても、そんな結論は信用できないということを申し上げたかったので、後ほどそれはお答えいただきたいと思います。
例えば、今、内橋先生がおっしゃいました同一物の同一価格ということでも、私は広島に住んでおりますけれども、広島の朝日新聞の朝刊というのは典型的に二十四ページです。同じ日に東京でそれを買うと三十六ページある。しかし、値段は同じです。例えば、そういったところがあるにもかかわらず両方とも百十円だというようなところもある。確かに、同一物が同一価格ということであれば、二十四ページで売られているところはみんな同じ百十円払っているわけですけれども、しかしながら、それが同じ朝日新聞だからどこに行っても同じだよというような形で売られているというところは全く議論にはなっていないわけですし、その他にもこういった例はるるあります。
アメリカの新聞の配達にいたしましても、日本の新聞が典型的に百十円であるのに対して、例えばワシントン・ポストは宅配されて二十五セントです。二十五円です。それが日曜版になってもちょっと高くなるだけですし、それから、都市部では確かに配達してもらえるけれども、田舎では配達してもらえない。それにはコストがかかります。しかし、そのコストを入れても、都市で生活する方が生活費が高いという現実があるわけですし、そのために給料の調整をしなくちゃいけないという現実がアメリカにはございます。
例えばそういった文脈を与えることによって議論の質がまるっきり変わってくるにもかかわらず、非常に単純な、そしてデマに近い議論しか行われていないというところを私は危惧をしているわけです。
時間がないので、ちょっと次の公正取引委員会の問題にもかかわってきますので申し上げますが、そういったさまざまな主張に対して、公正取引委員会というのは、私は、消費者の立場、市民の立場からきちんとした判断を行う場所だというふうに思っておりましたけれども、資料として送らせていただきましたけれども、その中にありますように、化粧品関連の問題で特にこれがシャープにあらわれてきているんですが、公正取引委員会がその機能を全く果たしていないところか一方に加担しているような節さえ見えるということでは、そもそも我々がその目的としている、それが規制緩和であってもあるいは混合経済であっても、どういう形であってもいいんですけれども、そこに行き着く出発点からして、もうそもそも大きく狂っちゃっているというような危惧がございます。
具体的にその整理をして私の問題意識を申し上げたいと思うんですけれども、一九九四年の七月十八日に、東京地方裁判所は花王化粧品販売に対して、独占禁止法違反をしているという裁定をいたしました。それで、これを裁判に出した原告が仙台の安売り店の江川企画というところなんですけれども、この裁判では結局、花王側が定価を守らせるということを強制している、価格拘束をやっているということが認められた。
それで、これが裁判で認められたわけですから、しかも、この江川企画に対して花王側から与えた圧力というのは、別にこの店だけではなくて全国一律にやっているということは常識でわかるわけですから、それ以後このような価格拘束を大手の化粧品会社がしなくなったということであれば、それはそれでめでたしめでたしなんですが、事実はそうではなくて、全く事態は改善されていない。
それどころか、例えば、化粧品会社側はセルフ用の化粧品というのをつくって、そのセルフ用の化粧品については、これも調査をしてみましたけれども、大体一律一五%の値引きをさせるというような、いわばやみ再販制度をつくって、それでこれを実施しているということがわかりました。それで、同時に、安売りをしようという店にはこういった大手の化粧品メーカーから商品を卸さないとか契約を破棄するとか、さまざまな形でその後も圧力がかかり続けております。
それに対して、安売り店が何度にもわたって公正取引委員会に対して申告書を出しています。独占禁止法違反の疑いがあるからちゃんと調べてほしい、消費者の立場を守ってほしい、自分たちの小さな店の立場を守ってほしいという申告書を出したんですけれども、公正取引委員会からそれに対して通知書というのが出されていますが、ひどい場合には四年もたってからこの通知書が届く。もう一つの問題は、その四年の間に、申告書を出した当事者には全く何の聞き取りも行わない、申告をした当事者に対して、事情をもう少し詳しく説明してくださいというようなことは一切行っていない。
それで、さらにひどいのは、この中には、東京地方裁判所が独禁法違反だというふうに判断をした事柄、これがおかしいから調べてくださいということを公正取引委員会に対して申告をしている者に対して、違反の事実はないという答えを公取が出している。しかも、裁判所の裁定が下った後で出しているという事実もございます。
これだけだったらまだ、一方の当事者の言い分だけだという可能性もあるんですが、実はその公正取引委員会は、一方では大手メーカーに対して極めて親切です。これは半分皮肉で言っているんですが、親切という言葉は。
例えば、公正取引協会という、大手メーカーの業界団体がありますが、これは一九九一年の六月から九四年の五月まで約三年間、百十七回、講師を派遣して、独禁法その他の法律についての説明をしています。しかも、この講師としてこういった場所に、メーカー側に丁寧な説明、これは大体一週間に一回ぐらいの割合で行われているわけですけれども、しかも講師は複数です、その独禁法の内容について講義をしているんですけれども、これは公正取引委員会の正当な業務であるというふうに説明をしながら、同時に、年次休暇をとって行っています。そして、一時間当たり二万円の報酬を受けている。
申告に対して何らの調査も行わないで、四年もかけて通知書一枚で独禁法違反の事実はないという結論を一方で出している公正取引委員会が、業界側に対しては毎週のように講師を送って、しかも年次休暇までとって送って、丁寧な説明をして
いる。これだけ見ても、公正取引委員会の態度が、フェアという観点、バランスという観点から非常に大きな問題を持っているということがおわかりいただけると思います。
これがさらに問題なのは、独占禁止法違反というのは、これを告発できるのは公正取引委員会だけということが法律に書かれております。その公正取引委員会がこのような態度をとっていたのではとても、市場のメカニズムどころか、公正なルール、あるいはそれ以前の問題として、日本社会のシステムそのものの改革ということで、本当にもう恥ずかしいようなレベルから私たちは仕事を始めなくてはいけない、そんな気がいたします。
こういったことを改善する上で私たちが考えられるまず第一歩としては、最低限公正取引委員会の委員長の大蔵省からの天下りはやめさせて、民間の法曹界から、あるいは法律知識の十分ある市民団体の代表といったような人を公正取引委員会の委員長に充てて、中立的な立場から、公正取引委員会が市民の立場であるいは消費者の立場できちんとした機能を果たすように改善していくというあたりだというふうに考えているのです。公正取引委員会あるいは行政委員会の改善について、今のような第三者的な立場からそのリーダーを決めていくというあたりから始めるのが現実的には一番やりやすい方法なのかなというふうに私は考えておりますけれども、そのあたりについてお二人の御意見を例えれば大変ありがたいと存じます。