古賀一成の発言 (本会議)

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○古賀一成君 新進党の古賀一成でございます。
 ただいま提案のありました郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律案、いわゆる災害ボランティア口座法及び郵便貯金法の一部を改正する法律案、この二法案につきまして、新進党を代表し、総理及び郵政大臣に質問をいたします。
 本法案は、言うまでもなく、昨年一月に発生いたしました阪神大震災において、これまで行政が意義を軽く見ていた民間ボランティア団体の大活躍を目の当たりにし、これを踏まえ、また国際ボランティア貯金の成功に倣い、郵政省より提案をされたものであります。趣旨、目的にだれしも異議を挟むものではございませんが、より大きな視点でこれを評価するとき、ボランティア行政全体に関する戦略、理念、とりわけボランティアの基本的な法的位置づけを欠いたまま、ひとり郵政行政が先行し、資金の交付を行うだけの制度になっている点に疑問を持つものであります。
 これからの日本社会を支え、変えていく可能性を秘めた、重要でかつすそ野の広いボランティア活動というテーマに、一省庁の施策が突出してスタートすることに疑念なしとしません。さらに言えば、我々新進党が提案しているNPO法案のようなボランティア支援の基本法制をたはざらしにしたまま、従来の縦割り行政の中で、はらばらに法制がっくられるのではないだろうひ。結果として、活力ある多元的地域社会の旗手として今後期待されるボランティア活動が将来縦割り行政に翻弄されることになりはしないかとも危惧するものでございます。
 まず、ボランティア団体の概念、そして人格付与のあり方、寄附金に対する税制上の位置づけを明確にする基本法制たるNPO法案を成立させるべきではないか。百歩譲っても、本法が提案された以上、速やかにNPO法案の審議を開始し、その成立を図るべきではないか。この筋論に対しどう答えられるか、総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、阪神大震災を教訓として提案された本法の審議に際し、この際、災害対策基本法の全面改正の可能性についてお伺いをいたしたいと思います。
 六千三百名余のたっとい人命の犠牲の上に我々が得た教訓は極めて重く、真摯に後世に伝えるべきものであります。その教訓とは何であったか。
 阪神大震災発生時の総理であった村山総理は、その後の国会答弁で、今後は総合的に万全の対策を講じると幾度となく弁明をされました。しかし、その後の震災対策に係る補正予算の編成、災害対策法制の整備のあり方を見ても、約束された総合的・万全の対策にはほど遠い措置と言わざるを得ません。
 今回、災害ボランティア口座法が提案されたところでありますが、これは災害対策としてはごく一部の対応にすぎません。また、ボランティア沖制度としても総合的法制と言うにはほど遠いものであります。阪神大震災の重い教訓を受け、政府は約束された総合的災害対策をどのように構築しようとしておられるのか。「のど元過ぎれば熱六忘れる」では許されません。私は新しい災害対策基本法を制定すべきと考えますが、総理の御見解を伺います。
 災害対策は全省庁にまたがる問題であるだけに、政治とりわけ内閣の長たる総理のリーダーシップなしに新しい総合災害法制は構築し得ないのであります。所信表明演説以来今日まで、総理の答弁を聞くに、官僚主導の感を否めません。総理としてのリーダーシップ感あふれる御答弁を期待するものであります。
 次に、本法案の内容に移らせていただきます。
 本法は、災害発生後に国民の善意を郵便振替により寄附金として集め、郵政大臣、具体的には郵政省貯金局が審議会に諮った上でボランティア団体に交付するというものであります。ボランティアに国が援助をするという点において一歩前進と評価したいのでありますが、私はこの制度に潜む幾つかの問題点を指摘せざるを得ません。
 第一点は、本制度は、国民の善意たる寄附金を全国津々浦々から中央に集め、霞が関で配分の決定を行うというこれまでの中央集権型補助金行政と全く同じ発想、手法がとられていることであります。
 災害対策は、緊急を要するという意味で即時的であり、災害現場が最も重要という意味で極めて即地的な問題であります。一方、ボランティア団体は中央官庁と最も遠い存在とも言えます。現地での生の声と生の姿が反映されるシステムが必要ではないでしょうか。審議会に諮る手法も従来どおりであります。果たして血の通った敏速な対応になるのであろうかと危惧されます。
 なぜこのような中央集権的な手法を採用したのか。まさに災害ボランティアこそ地方分権に最適の問題ではないでありましょうか。今後地方分権の一歩をさらに進めるためにも、本制度のシステムを地方が主体性を持つ仕組みこ今後変える考えはないか、郵政大臣に所見をお伺いするものであります。
 次に、本法の運用の問題について指摘をいたしたいと思います。
 本法の仕組みによれば、ボランティアが走り回っている災害の最中に、ボランティア団体に配分申請を求めることになるのであります。申請手続にたけている団体のみが交付を受けることになるのではないか。また、資金に当然限界があるとすれば、交付の対象にならなかったボランティアは、勇気づけられるどころか、逆にディスカレッジ、すなわちやる気を傷つけられることにはならないか。このような問題について、郵政省はどう認識し、運用において配慮しようとされておられるのか。
 また、あわせて、国際ボランティア貯金のような恒常的でより公平で緻密な審査ができる制度に組みかえることもこの際検討すべきではないかと思いますが、郵政大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に、提案されているもう一本の法律案、郵便貯金法の一部を改正する法律案について質問を行いたいと思います。
 本改正案は、要介護者を対象に、すべての定期郵便貯金について利率の二割上乗せを行うとともに、ゆうゆうローンの貸付利率を軽減しようとするものであります。
 超高齢化・少子社会の進展の中で要介護者に政策の目が向けられる、このことに基本的には賛意を表するものであります。しかし、本件についても、災害ボランティア口座の創設と同様、政府全体で総合的な施策体系が十分論議されぬまま郵便貯金の利率上乗せというごく限られた施策が先行することに疑問を呈せざるを得ません。
 要介護者に対する支援策は、まず社会保障政策全体の中で論議すべきではないでしょうか。厚生省をさておき、郵政省単独で要介護者への金利の優遇措置を先行させた理由を郵政大臣にお伺いいたします。
 公的介護保険制度についての国民的論議の山で、公助、共助、自助の全体的バランスのあり方をどう考えるか、保険者のあり方、民間セクターの役割はいかにあるべきか等を十分に検討し、それを踏まえた上で本制度を導入しても遅くないのではないかと指摘せざるを得ないのであります。
 老人保健福祉審議会報告においては、高齢者介護問題について、従来の医療・福祉制度のリエンジニアリング、つまり発想と運営方法の転換がうたわれておりますが、今回の改正は発想の転換に欠ける、縦割り行政そのものというそしりを免れません。この二つの指摘に郵政大臣はどう答えられるのか、お伺いをいたします。
 次に、本改正案によれば、利率上乗せの対象、なる貯金は総額五百万円の制限が設けられております。また、利子についても課税されることとなっております。現在の一年定期を例にとれば、低金利時代ゆえに下限措置である〇・二%の上乗せが適用となるわけでありますが、限度額五百万円でも年間一万円、課税後は八千円、月に換算すれば六百七十円に満たないのであります。介護者優遇をうたいながら、余りにも優遇が小さ過ぎるのではないか。
 その改善の一環として、上乗せ利率分の利子についてせめて非課税とし、あわせ要介護者の郵便貯金の非課税限度額を拡大すべきとの声もありますが、郵政大臣の考え方はいかがでありましょうか。
 また、郵便貯金事業は平成八年度に七千三百五十億円の単年度黒字を計上し、累積利益も三兆円を突破するやに聞きます。この主原因は著しい低金利情勢によるものであり、国民はこの低金利により利子の目減りを余儀なくされているのであります。
 今般の要介護者への利率上乗せにより、幾らの還元が国民にされるのでありましょうか。少なくとも要介護者には単年度黒字のある程度は還元寸べきと思いますが、本スキームで今年度利益の何%が還元されるのか、説明を求めます。
 最後に、質疑の総括を兼ねて、縦割り行政を超えた総合的政策の確立の必要性について、総理及び郵政大臣に見解をお伺いいたします。
 今般、政府より提案のあった災害ボランティア口座の創設及び要介護者への郵便貯金の利率上乗せはともに、ボランティア法制のあり方、介護支援システムのあり方という大きな視野から総合的に、有機的に検討すべきものであります。しかるに、「よいことならいいではないか」のやり方で、総合的な施策体系が検討構築されないまま、断片的に各省庁が個別に施策を打ち出し、政治が追認をする、これが今日までの官僚主導の政治、縦割り行政のやり方であります。
 これまでの高度経済成長の時代、制度そのものが十分でなかった時代はそれでよかったのかもしれませんが、今や日本は身動きがとれないほど制度や利害が錯綜する社会となり、一方で地球上未曾有の高齢化社会を目前にしながら、世界有数の財政赤字国に転落をしているのであります。
 今こそ、省庁を超える大きな政策について、縦割り行政、縦割り族政治を総合化していく努力が求められていると言っても過言ではありません。縦割りという小世界、小さな縦割り社会の政策から、縦割りを超えた総合的、体系的な政策、すなわち大世界の、大きい世界の政策ともいうべきものが、今の政治と行政に求められているのではないでしょうか。国民の怒り渦巻く住専問題もエイズ問題も、まさに縦割り化し小世界化した金融行政、薬務行政、そしてそれに従属する族政治の所産ではないでしょうか。
 私は、政治ひいては行政のダイナミズムを回復するためにも、国会が縦割り行政に縛られず、総合的に政策論議を行う場の拡大が不可欠と考えるものであります。そのために、総合的論議を行うべき重要政策課題について、例えば高齢化社会総合特別委員会あるいは経済構造改革総合特別委員会といった、縦割りの壁を超え多数の省庁が参画をいたし総合的に政策を論ずる総合特別委員会を国会に設置する、さらに、そこでのすべての政策論議がテレビの中継を通じて国民に生の姿で伝わる、こういう新しいシステムを設けるべきと考えます。そうするならば、政治は国民の心に復権し、行政も新しい活力の源を得ると確信するものであります。
 今般の二法の提案を機に、ますますその意を強くしたところでありますが、この国会に長らく議席を置く議会人として、また行政をつかさどる総理として、あるいは大臣として、この提案にどのような所見をお持ちか、最後にお聞きいたし、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕

発言情報

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発言者: 古賀一成

speaker_id: 24335

日付: 1996-05-30

院: 衆議院

会議名: 本会議