加藤良三の発言 (外務委員会アジア・太平洋に関する小委員会)
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○政府委員(加藤良三君) 今の御質問は非常に根本的なところに触れておられるものですから、私としても部分的な回答ですらないものしかできないので申しわけないんですけれども。
第二次大戦後の世界というものを考えた場合に、西ヨーロッパというものとアジアの地域との間には一つの顕著な違いがあったという事実はあると思います。すなわち、西ヨーロッパの方には、国と国との間の相互依存ということと並んで、人と人、民族と民族との間のある種の親和力みたいなものがあったということだろうと思うんですね。特に西ヨーロッパについて申し上げておりますけれども、その両者が兼ね備わっていたと思います。
それに比べてアジアの方を見ますと、国と国との依存関係というものはありますけれども、人と人との親和力というものにはちょっと乏しいものがあったというのが現実ではなかったかというふうに思うわけでございます。したがいまして、NATOのような安全保障の枠組みというものはアジアには生まれませんでした。SEATOというのができましたけれども、できた途端にもう活動しなくなって今日に至っているという状況だろうと思います。そのかわりにアメリカが中核になる形で日本それから韓国等と二国間条約というものを網目のように張りめぐらせて、それの積み重ねでもって全体の平和と安定を維持してきたという姿、現実がそこにあったという感じがいたします。
したがって、そういう特性というものを考えてみました場合に、やっぱり相互理解ということは大事なことだろうと思っています。相互理解というものを中国との間であれほかの国との間であれつくることは、言うはやすく行うはかたいことだと思います。しかし、いろいろなレベルでの対話、安全保障面での対話ということもそうでありましょうし、文化的な面での対話、人と人との交流というのもそうでありましょう。とにかくお互いの立場に同意するという以前の問題として、相互理解を増進して親和力を少しでも築き上げていくということは一般的に必要なことだろうと思います。ただ、国と国との関係を律していく場合にはまたそれだけでもいかないところがあるだろうという気もいたします。
したがいまして、例えば中国の場合、特に台湾との間での平和的な問題の解決を我々も望むということであるとすれば、中国の改革・開放体制というものをどう位置づけるかという視点が必要になってくると思います。中国が改革・開放体制というものに焦点を合わせて、これが自分たちの国策の第一優先順位の仕事であるということでありますならば、それを文字どおりに追求する中国というものはほかのシナリオのもとにおける中国というものよりも国際社会の平和と安定にとって望ましい中国ではなかろうか。したがって、そこのところは、日本はどういうふうに中国をそういう目標を追求し続けていく存在にするかというような面での考え方も必要になってくると思われます。
とにかくそのようなもろもろの状況というものを総合的に考えた中国政策のあり方あるいはアジア外交のあり方というのを考えていくというのは、これから日本に課せられた大きな課題であろうと思います。