加藤良三の発言 (外務委員会アジア・太平洋に関する小委員会)

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○政府委員(加藤良三君) 大変私にとってお答えのしにくい問題であると思います。私の言葉ということでは必ずしもありませんが、非常に一般的に考えますと、ならず者国家であるとかなんとかそういう呼称、呼び方、レッテルということを考える前に、私は朝鮮半島とのかかわりであれ、あるいは中国とのかかわりであれ、その他の地域とのかかわりであれ、結局自分たちの利益のために仕事をしていくべきであるし、そうしているつもりだというのが先にあるわけでございます。
 何が日本の国益になるのかということについて、もちろんケースによって意見が分かれるということは、これは多々あるのだろうと思うのでございます。例えば、国益の中に非常に短期的、具体的、直接的、即物的な国益というものもございますれば、一般的で抽象的で象徴的な国益というものもある。しかし、いずれが他方よりも必ず常に重要だということは恐らくないだろうと思います。
 したがって、その二つのセットの国益をどういうふうに組み合わせて、日本にとってこれが一番望ましい方向に話を持っていけるのだろうかということを考えるのがまずポイントであろうと思います。その意味で、すべては日本に発するということだろうと私は思います。
 そういう日本にとって安全保障というものを日本なりの考え方に基づいて確保していく、平和と安定を維持していくというときに、これは私は、こういう場ではございますけれども、決して特定の国とか地域に結びつけて申しているわけではございません。そういうことを前提にして申し上げれば、失うものがないままである場合により日本の安全が、ある国ある地域なりが全く失うものを持たないという状況であることが日本にとって安全に寄与する話であるのか。それよりも、失うものを何か持つということが安全にとってより寄与するゆえんであるのかという問題があろうと思います。
 失うものがないときには、個人の次元であれ何であれ、失うものがない人間としての行動がとられるということだろうと思います。失うものを持つと、その失うものを失いたくないために行動が慎重になるということもあろうかと思います。ただ、そこに全く理屈に合わないボナンザ、とんでもない褒賞があるということでもこれはいけないと思います。だから、その辺のところをどう考えて外交政策とかほかの国とのかかわり合いを律していくのかというところが、一般的に申し上げれば私は一番肝心な問題だろうと思うのでございます。
 ですから、私の立場から申しますと、立木先生から今おっしゃられた、そして安全保障の分野でずっと造詣も深くておられて、かつてのソ連脅威論とかいろんなことをつぶさに見ておられた先生に対してのあれでございますから、私はここでは脅威論、北朝鮮が脅威であるかどうかということに正面からお答えすることは差し控えさせていただきたいと思うわけでございまして、そういうとり方はいたしておりません。
 ただ、これはアメリカも冷戦終了後になってしばしば用いていた修辞というか、レトリックでございますけれども、不確定性、不安定性ということはこれをできるだけコンテーンと申しますか、封じ込めていかなければいけないという認識があるわけでございます。不確定性、不安定性という形での新たな平和と安定に対する挑戦というものがあるわけでございまして、そういうものをどういうふうにうまく抑えていき、そして経済的な発展も含めて、これを地域において確保していくことができるのかということを、冒頭に申し上げましたように、日本の国益ということを軸にして考えていくということに私は結論は尽きるんではないかと思います。

発言情報

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発言者: 加藤良三

speaker_id: 23672

日付: 1996-06-13

院: 参議院

会議名: 外務委員会アジア・太平洋に関する小委員会