加藤良三の発言 (外務委員会アジア・太平洋に関する小委員会)

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○政府委員(加藤良三君) まことに申しわけございませんけれども、今の委員の御質問に満足な回答をするような知識、知見というものを持ち合わせておりません。ですから、飛び飛びのポイントをつなぐだけのお答えになってしまいますけれども、御容赦いただきたいと思います。
 やっぱり、北から見ますと恐らくアメリカというのは非常に大きく見えているのだろうというふうに思います。ソ連がなくなった後、いわゆる認識一般の次元においては唯一残った超大国であるというふうに見えている。戦後の日本から見てアメリカがどう見えたかということと、そこにすぐ同じ線を引けるものだとは思いませんけれども、相当アメリカが大きく見えていることは間違いないんだろうと思います。
 したがいまして、最近の何年間かにおける北朝鮮の行動というものは、まずアメリカとの間に合意を交わしてしまえば、あとは韓国であれ日本であれおのずとついてくるのだと、こういう感じで物事を組み立てていたように思うわけでございます。最近は、しかしアメリカの方がなかなかそういうふうな北朝鮮の動きには乗らない。やはり韓国との関係が重要であるということで、韓国への配慮ということをかなり中心に据えて北朝鮮との対応を行っているようでございますから、その思惑どおりに動いていないというのはあるかもしれません。
 アメリカとの関係でございますが、結局、戦争ということ、日本の立場から見れば戦争といえば第二次大戦でございますが、北朝鮮から見ればもちろん朝鮮戦争もあったわけでございます。それから、きょうの議題ではございませんけれども、中国という国をとってみれば、戦争といえば、第二次大戦の後もソ連と戦い、インドとも戦い、ベトナムとも戦いというようなことで、相当程度戦時態勢のもとにみずからを置いてきたという感覚が強い国ではないかと思うんですが、北朝鮮もそういういわば臨戦態勢と申しますか、そういう感覚のもとに国家運営が行われてきているんだろうと思います。しかし、朝鮮戦争も相当昔になりました。おっしゃるとおり数十年前の話になってきた。
 そこで、物事がどれだけ生きた政治的な現実というものから絵としてかき上げられた歴史というものに変わるかという、その節目の問題なんだろうと思うのでございます。一般的には文書公開の世界なんかで三十年というのが一つの節目になって、三十年たったものは原則もう絵にかき込まれた、でき上がった歴史なのである、それに満たないものはまだ生きて動いている現実なのであるという一応の線を引いているわけでございますが、戦争なんかの場合にはもっと記憶力が双方において長いということがあるのかもしれません。
 しかし、最近において、遺骨の返還交渉というようなことでアメリカと北朝鮮との間に実務的な折衝が行われて、初めて北朝鮮の軍人が、たしか中佐クラスかそこら辺だったろうと思いますが、ハワイというアメリカの領土の一部を踏んだというようなこともあったわけであります。そういう国民的な感情というのがアメリカに向いてどう動いているのか、私は北朝鮮の側に立ってこれ以上知るすべはありません。
 南北の関係については、いろいろな関係、それこそかぎ括弧時効中断かぎ括弧閉ずというような形でいろんな出来事が起こっているということで、その間に私などのうかがい知れないような強い感情が依然として存在しているということだろうと思います。今、南北の関係が非常に難しくなっていて、私たちは北に対しても、また韓国に対しても南北関係の進展ということが非常に重要であるというようなことを説いておるつもりでございますが、なかなか現実には進まない。
 初めて軍事政権色を取り払った文民政権の長となった金泳三大統領が、その後、北朝鮮との関係である種の打開を求めようとしたのがそれがうまくいかず、逆に金日成首席が亡くなった後の葬儀団派遣云々の件で今度は北朝鮮側の感情が硬化するというようなことになって、非常にぎくしゃくした南北関係になっているということを見ますと、なかなか進展というのは近い将来期待しがたい状態にあるのではないのかなと見る人が多いように思います。
 いずれにいたしましても、委員がおっしゃられたように、近くて遠い国、不思議な国というような表現にはそういうことをしのばせる要素があるというふうに私も感じます。

発言情報

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発言者: 加藤良三

speaker_id: 23672

日付: 1996-06-13

院: 参議院

会議名: 外務委員会アジア・太平洋に関する小委員会