泉信也の発言 (本会議)
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○泉信也君 私は、平成会を代表して、ただいま議題となりました我が平成会提出に係る修正案に賛成、平成八年度予算三案及び日本共産党などの提出に係る修正案に反対する立場から討論を行うものであります。
本論に入ります前に、予算案採決の本会議場で、連立与党の公党としての不誠実さをみずから国民の前にさらけ出したことはまことに残念なことであります。
参議院予算委員会における予算案審議が住専予算などに対する厳しい賛否対立の中、住専問題に係る予算については国民に負担をかけないことを骨子とする決議により参議院の良識を示したいなどの提案が与党自由民主党からなされ、そのことが平成会と与党との代表者会議において合意されたのであります。よって、平成会は、真摯に予算審議に協力するとともに、今なお国民の大多数が税金投入に反対している意向を踏まえ、本院の決議を作成するため今日まで誠実に与野党間の話し合いを進めてまいりました。
それにもかかわらず、けさに至るも連立与党内の意見の不一致によってこのことが実現できなかったことは、国民の期待を大きく裏切るものであり、本院の権威のためにもまことに遺憾なことであります。連立与党が公党としての約束をほごにし、党利党略のために予算案をもてあそんだことは断じて許されぬことであります。
ここに平成会は、与党各党の責任を厳しく追及するとともに、連立与党に対し、国民への謝罪を強く求めるものであります。
さて、橋本内閣が発足し四カ月が経過いたしました。この間、橋本内閣は、眼前に解決を迫られているもろもろの課題、すなわち住専問題、財政問題、日米安保問題、薬害エイズ問題などに対しどのような認識で取り組もうとしているのか、いまだに明確になっておりません。
これらはいずれも戦後五十年にわたる我が国の諸制度が時代にそぐわなくなった結果であり、それだけにこれら諸課題の解決には、二十一世紀を目指した新しい仕組みの構築、システムの創造という根幹的な取り組みが不可欠であることは明白であります。しかしながら、橋本内閣にはその姿勢の片りんすら見えず、表面的、場当たり的、びほう的手法で、ただひたすら問題先送り、現場逃避の対応に終始していると言わざるを得ません。
とりわけ、その最大の懸案は、何といっても前内閣が途中で放棄した住専問題に決着をつけることでありました。住専各社はもとより、母体行や系統金融機関、借り手などの責任のほか、行政責任をも徹底的に究明し、いやしくも国民に負担のしわ寄せをしないことが求められているのであります。しかるに、政府・与党は一体となってその責任を先送りし、また、加藤自由民主党幹事長をめぐる住専問題を初めとする疑惑解明を拒否し続けるなど、国民の憤りをいやが上にも駆り立てているのであります。
我々平成会は、国民の政治不信を、あるいは無関心層を増幅させた橋本内閣の怠慢を厳しく糾弾し、総理が一日も早く国民に信を問うべきであることを強く主張するものであります。
一方、我が国経済は、やや明るさが見え始めてまいりました。しかし、企業の業種や規模によって業績回復にかなりのばらつきが見られますし、雇用情勢も依然として厳しく、一刻も目を離せない状況にあります。我が国経済社会は、二十一世紀に向け早急にその構造改革を断行すべき重要な時期を迎えておりますが、政府は旧態依然の硬直した政策運営しかなし得ず、国民の不安を払拭できないでいることを深く反省すべきであります。
とりわけ、村山前政権が、いわゆる消費税見直しで国民に約束した行政改革や財政改革への目ぼしい実績も見えぬ中、他方で赤字国債の大量発行という財政破綻を招いた責任は極めて重大であると断ぜざるを得ないのであります。
以下、平成八年度予算三案に反対する主な理由を申し述べます。
反対する第一の理由は、住専の経営破綻の処理のため国民の税金を投入しようとしていることであります。
我が国は法治国家であります。民間会社である住専の債権債務の処理は、自己責任の原則にのっとった法的手続によって厳正に処理することが法治国家の大原則であります。しかるに、政府の処理スキームは、母体行、系統金融などと政府・与党が一体となり、密室談合の中でまとめたものであります。そこには社会正義に根差す透明で公正な議論もなく、また、ロス負担の分担に関する合理的根拠もなければ責任追及の熱意も見られないのであります。そして、調整し切れない六千八百五十億円を国民の税金で賄うという、まさにモラルハザード助長の典型であります。
反対する第二の理由は、景気の回復基調をより確実にするためには、公的需要をいかに民需の拡大につなげていくかにかかっていますが、本予算では全くこの視点が欠落している点であります。
政府は、公共事業費は対前年度当初比で四%増と格段の配慮を加えたと宣伝していますが、補正後と比べれば四割近くもマイナスとなっており、今年度半ばには息切れすることは必至であります。
民需拡大による景気回復を求めるには、大胆な規制緩和とベンチャー金業育成など、新産業立地促進に向けて思い切った予算配分を行うことが不可欠であります。こうしたビジョンに欠け、そのための努力を怠る政府に対し、反省を促す次第であります。
反対する第三の理由は、財政悪化を一層深刻化させ、財政再建への取り組む姿勢すら見えぬ無責任な態度をとり続けていることであります。
公債依存度二八%、赤字国債十二兆円の発行、公債残高二百四十一兆円、歳出に占める国債費の割合二二%など、いずれも目を覆うような財政の惨状であります。今や我が国の財政は先進諸国の中で最悪の状況にあり、早急に思い切った外科手術を含め、財政再建の処方せんを作成することが必要であります。
しかるに、政府は、低金利を奇貨として国債を大量に垂れ流し、既定経費の厳しい洗い直しすら行わないなど、実効ある財政再建に向けた取り組みを放棄していることは全く容認できません。行財政改革の目ぼしい成果も得られぬまま、来年四月からは消費税の増税だけが断行される状況を免れ得ないことはまことに遺憾であります。
一方、我が平成会は、政府予算に計上された緊急金融安定化資金六千八百五十億円の削除を一貫して求めてまいりました。これに関連して衆議院では予算書総則の修正が行われましたが、政府・与党の中には、依然として第一次ロスに対し財政支出が可能であると主張している者がいることはまことに許しがたいことであります。
平成会は、このことを明確にし、住専問題は民間会社の経営破綻であり、我が国が法治国家である限り法的処理で解決するのが迅速かつ公正な処理であるとの考えに立って、平成八年度一般会計予算に対し、緊急金融安定化資金六千八百五十億円の削除などを内容とする修正案を提出いたしました。
平成会の修正案は、法的平等、社会的公正を貫き、今後の金融秩序の安定を図る原則を打ち立てるものであり、高く評価できるものであります。
他方、日本共産党などの提出に係る修正案は、政府の住専処理スキームを是認するものとして我が平成会と見解を異にするものであり、賛成できません。
以上、平成八年度予算三案及び日本共産党などの提出に係る修正案に反対し、我が平成会提出の修正案に賛成する意思を表明して、私の討論を終わります。(拍手)