上田耕一郎の発言 (本会議)

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○上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、九六年度政府予算三案と平成会提出の修正案に反対、日本共産党、新社会党・平和連合、自由連合及び武田邦太郎、田英夫、島袋宗康各議員らの発議・賛成による共同修正案に賛成の討論を行います。
 まず、二つの修正案について申し述べます。
 九六年度予算案の最大の問題は、政府・与党が住専処理への血税六千八百五十億円の投入にあくまで固執していることであります。
 しかし、本院の予算審議中にも主権者である国民の批判はますます高まり、最近の世論調査でも九割が反対の意思表示を明確にしています。国会論戦でも母体行の追加負担は各党のほぼ一致した主張、いわば参議院の総意となり、総理も大蔵大臣もその必要性を明言するまでに至りました。にもかかわらず、本院が政府予算三案を無修正で成立させて国民の血税投入を強行することは、国民世論と議会制民主主義への真っ向からの挑戦になると断ぜざるを得ません。
 六千八百五十億円の削除を求める共同修正案は、圧倒的な国民世論と国会論戦で表明された各党のほぼ共通の主張にもこたえるものであり、全面的に賛成するものであります。
 本院は、国民世論にこたえて、消費税を導入した九〇年度、九一年度、九二年度の予算案を否決し、九四年には小選挙区比例代表制を中心とした政治改革四法案を否決した誇るべき歴史的実績を持っています。憲法に規定された国権の最高機関としての本院の役割が、国民の厳粛な信託にこたえ、本修正案を採択して不当な税金投入を削除することにあることは余りにも明白ではありませんか。議員各位の積極的賛同をお願いするものであります。
 なお、平成会提出の修正案は、提案理由で母体行の負担軽減の結果となる法的処理を主張し、母体行の追加負担も求めておらず、賛成できません。
 次に、政府予算三案に反対する理由を申し述べます。
 反対の第一の理由は、住専処理に国民の血税をつぎ込んでいることであります。
 この間の論戦を通じ、政府の処理策の完全な破綻ぶりが明々白々となりました。政府は、母体行の追加負担を繰り返し言明してきました。このこと自体、三兆五千億円の債権全額放棄を母体行のぎりぎりの負担とした最初の政府説明の破綻を示しています。
 さらに、母体行の利益優先のやり方、それに追随した政府の責任も鮮明になりました。政府はこれまで、銀行系統のノンバンク処理が母体行主義で行われてきたことを認めてきました。ところが母体行側は、証人喚問を通じ、今回責任を負えないのはもはや戦略的重要性がなくなったからという身勝手な態度を示しました。住専の出資、役員派遣、経営も母体行が支配していたことを銀行も住専も政府も自認し、史上最高の業務純益が示すような十分な体力を有しながら、親会社としての重大な責任を勝手に放棄して国民に負わせることは絶対に容認することができません。
 特に重大なのは、紹介融資の驚くべき実態が明白となったことです。紹介融資残高は、母体金融機関で一兆七千三百億円、一般金融機関で一兆六百億円、合計して二兆八千億円弱の巨額に上り、不良債権額はその九〇%、二兆五千百億円に達し、住専破綻の重大な要因となりました。紹介融資をなぜふやしていったのか。その背景に、手数料、融資額と同額の、あるいはそれを上回る通知預金、バックファイナンスなどがあったことを住専、母体行側も認めました。我が党が指摘したように、母体行は住専を不良債権のごみ箱扱いしただけでなく、ぼろもうけ箱としても利用したのであります。
 大蔵省提出資料をもとに紹介融資分に対する母体行の受取利息を算出すると、八〇年度末から九一年度末の十二年間で八千億円に達しています。政府も紹介融資が問題であることははっきり認めています。となると、紹介融資による大もうけの一部を追加負担させるだけでも六千八百五十億円の税金投入は不要となるではありませんか。
 予算案に反対する第二の理由は、それがクリントン米大統領来日の際発表された日米安全保障共同宣言のもとでの軍拡予算となっているからであります。
 在日米軍の作戦範囲を極東からアジア太平洋地域、地球的規模に拡大し、昨年十一月に閣議決定した新防衛計画大綱と今回のガイドラインのつくり直しと格上げ、日米物品役務相互提供協定による米軍への兵たん提供で海外での日米共同作戦に道を開くことは、これまでの政府による憲法解釈をすべて放棄し、集団的自衛権行使に突き進む重大な違憲行為にほかなりません。
 こうした安保再定義のもとでの軍事費の拡大は、日本の平和とアジア太平洋諸国への脅威を増大させ、財政破綻を一層深刻にするものであり、断じて容認できません。
 軍事費は、伸び率二・五八%と四年ぶりの高い伸び率となり、四兆八千五百億円となっています。新防衛計画大綱と、これに基づく総額二十五兆円を超える五カ年間の新中期防衛力整備計画は、既に二・一%を超える伸び率確保となっています。これらの予算内容は、憲法違反の自衛隊の米軍への協力、海外での日米共同作戦を想定した新たな大軍拡への一歩を進めるものであり、その危険性は一層際立っています。
 ソ連が崩壊した今、なぜ、一機百十九億円もするF2戦闘機十一機千三百九億円、世界で最も高額な九〇式戦車十八両百七十億円などが必要なのでしょうか。特に、米国防総省がどの同盟国よりも気前がいいと賛辞を惜しまない在日米軍への思いやり予算は二千七百三十五億円と、七八年の開始時の何と四十四倍にも膨れ上がっています。さらに、沖縄県民が強く返還を求めている普天間飛行場の返還と引きかえに、米側は新たに千五百メートルの滑走路つきのヘリポート建設などを求め、その総額は一兆円もの経費が必要とされています。
 これらの結果、消費税の税率は五%にとどまらず、与党首脳が主張するように、さらに大幅な税率アップを招くことは必至であり、断じて反対であります。
 そもそも、予算案については、浪費とむだの構造を温存拡大する部分に徹底的にメスを入れること、また、不況からの脱出を図る予算に転換するため、消費税の増税を中止し、個人消費拡大の思い切った予算配分を行い、防災対策や福祉、教育を大幅に充実させることなど、深刻な財政危機の打開、国民本位の財政再建に向けた第一歩とすべきであります。
 以上の理由により、本年度予算案に反対し、とりわけ六千八百五十億円を予算から削除することを重ねて強く主張し、そのため共同修正案に賛同されんことを重ねて強く訴えて、討論を終わります。(拍手)

発言情報

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発言者: 上田耕一郎

speaker_id: 18354

日付: 1996-05-10

院: 参議院

会議名: 本会議