須藤美也子の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○須藤美也子君 私は、日本共産党を代表して、海洋法に関する国際連合条約及びそれに関連する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 海洋法条約は海の憲法とも呼ばれています。地球表面の七割を占め、人類生存に不可欠な海洋の利用について、国際的な新しい指針が条約として明文化された意義は極めて大きいものがあります。
 海洋法条約が十四年前に採択された背景には、沿岸国の経済主権を守るとともに、海を人類共同の財産として活用していこうとする世界の大きな流れがありました。残された問題はあるものの、この条約の批准を機に、世界の平和とすべての国の経済的発展に貢献できる海洋の秩序確立に努力すべきであります。そのために、日本政府としては、特に海洋を平和的に利用し、資源や海の環境を豊かに守り続けられるよう、対策を抜本的に強化すべきではありませんか。
 まず、我が国として、二十一世紀を展望し、条約批准に当たって、総理の基本的な認識を伺います。
 次に、私は、海洋法条約について、政府の姿勢、対応に関する幾つかの問題点について質問いたします。
 第一に、条約は、その前文で海洋の平和的利用について明記し、第八十八条では「公海は、平和的目的のために利用されるものとする」と定めています。
 ところが、現在、日本周辺の海域では、高知県沖、沖縄周辺を初め広大な部分が米軍の演習場となり、漁獲の自由が奪われ、近くを通る漁船の安全も脅かされています。その上、さきの日米安保共同宣言で日米軍事演習が一層強化されるなら、漁業などに重大な被害をもたらすことは明白であります。こうした事態は、条約の平和利用の精神を逸脱するものとして到底許すことはできません。これまでも我が党は、我が国周辺海域に設定している軍事演習場の撤去を強く要求してきましたが、この際、政府は直ちに全面撤去させるよう取り組むべきであります。総理の答弁を求めます。
 また、核兵器積載艦船の我が国領海における無害通航について、これまで政府は、我が国の平和と安全に害があり無害通航とは認めないと答弁してきました。この条約でも、核兵器積載艦船の我が国領海通航は、平和、秩序または安全に害があるとする立場に変わりはないはずですが、どうですか。そうである以上、海洋法条約を審議した第三次海洋法会議で、核兵器の積載を、沿岸国の平和、秩序または安全を害するものとされる事例として日本政府はなぜ明確に主張しなかったのですか。
 さらに、非核三原則を貫く以上、米軍を含むすべての核兵器積載艦船は我が国領海の無害通航として認めない旨この本会議場でしかと明言するよう、総理の答弁を求めます。
 第二の問題は、海洋法条約で保障されている二百海里排他的経済水域が、その実施の方向に進んだとはいえ、依然として韓国、中国に対して当面適用除外が続くことであります。せっかく海洋法条約を批准しても、二百海里の枠組みとは異なる現行の日韓・日中漁業協定がある限り、二百海里制度の発動はできないのであります。
 去る二月二十八日の全国漁民大会では、長崎県の主婦が、「沖には無謀な操業を繰り返す韓国、中国漁船がいっぱい。明かりをたいてやっと集めた日本漁船のイカをねらって突進してくるトロール漁船。水揚げだけでなく、今まで危ないのです。送り出す家族は心配で夜も眠れません。魚価は安く借金はふえ、息子に「何のために遠く家を離れて辛抱しているのかわからんな、母ちゃん」と言われると母親としてもたまらなくなります」、このように切々と訴えていました。
 総理は、早期に条約の趣旨を踏まえた新協定ができるよう努力すると答弁しています。しかし、今、重要なことは、日本、韓国、中国がともに海洋法条約を批准するという今日の新たな段階に至り、現行の日韓・日中漁業協定は廃棄し、二百海里実施のための新協定をつくるという態度を鮮明にして交渉することではないでしょうか。事は、水産資源を守り、国民の食料にかかわる重大な問題であります。総理、毅然とした姿勢を示してください。明確な答弁を求めます。
 政府が当面、韓国、中国へ適用除外期間を設けるとしているその間でも、漁具などへの被害や乱獲も進みます。漁民や漁業関係者は、死活にかかわる切実な問題として、もはやこれ以上二百海里適用のおくれを待てないのです。違反操業や無謀操業を抑えるよう、どう対策をとるのでしょうか。また、被害が出た場合、これまで漁具補償などに対して相手国からはスズメの涙の見舞金しか支払われておりません。政府が責任を持って万全の補償対策を行うべきではありませんか。農水大臣、また、外国漁船取り締まりの関係で運輸大臣の見解をお聞きするものであります。
 第三に、海洋の生物資源の保存や効果的利用という点に関連して、日本の水産物輸入の問題について伺います。
 沿岸に帰ってきたサケが二束三文で買いたたかれ、ホタテがあり余ったりしています。一方でマグロの資源が少なくなるなど、世界各地で水産資源の衰退が問題になっています。これは日本の野方図な水産物輸入が大きな要因ではありませんか。我が国の水産物輸入額は全世界の三二%に当たる一兆七千億円にも及んでいます。本来、豊かな漁場である日本周辺の資源を大切に利用し、世界の資源に悪影響を及ぼさないよう、国内漁業の振興を優先とした政策を推進するべきではありませんか。農水大臣の答弁を求めます。
 また、輸入増による国内産業への重大な損害防止のため、セーフガードの発動はWTO協定で認められている緊急な輸入制限措置ですが、政府は、数字的に輸入急増と言える事実がないと答え、その発動は困難との姿勢をとっています。しかし、水産物輸入の増大によって重大な損害が及んでいるからこそ、北海道や東北など多くの自治体でセーフガードの発動を求める決議を上げているのではありませんか。総理及び農水大臣、真剣に検討するよう強く求めます。
 最後に、日本共産党は、国民に新鮮で豊かな水産物を供給する日本の漁業を立て直すとともに、海を人類の共同の財産として活用する方向を目指し、核も軍事利用もない平和な海、豊かな青い海を次の世代に引き継ぐために全力を尽くすことを表明して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 113615254X02219960531_022

発言者: 須藤美也子

speaker_id: 24973

日付: 1996-05-31

院: 参議院

会議名: 本会議