横光克彦の発言 (商工委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○横光委員 社民党の横光克彦でございます。
この法案により、純粋持ち株会社の設立を禁止する独占禁止法第九条が改正されることになるわけでございます。この九条は、独禁法第一条の目的に定められております事業支配力の過度集中を防止することを具体化した規定、手段であるとともに、戦前の財閥再来を防ぐことを直接的な使命ともしておりました。過度集中の防止規定は、独禁法の体系において、カルテルなどの競争制限的行為を禁止する規制、合併など個別市場における集中過程をチェックする規制等の補完機能として重要な役割を担ってきたわけでございます。こうした戦後経済の民主化に果たしてきた役割から、戦争放棄をうたった憲法第九条になぞらえ、もう一つの九条問題とも言われてきたわけでございます。
しかし今回、国際競争に対応し、経済構造改革の進展を図っていくという観点から、事業支配力の過度の集中に結びつかない持ち株会社については認めることに私たちも合意したわけでございます。ただし、過度集中を招く持ち株会社とそれ以外の持ち株会社を区別し、前者については引き続き禁止する規定に改めるものであり、公正な競争政策の確立を目指す独禁法の理念に反しない範囲におさまっていることは明らかであります。
事業支配力が過度に集中することとなる持ち株会社としましては、一つ、企業グループの規模が極めて巨大な場合、例えば旧財閥に代表される巨大企業集団のように。そして二つ目に、大規模金融会社と一般事業会社とをともに傘下におさめる場合、いわゆる都市銀行等の企業支配。そして三つ目に、相互に関連性を有する事業分野においてそれぞれ有力な事業者を擁する場合、例えば自動車やタイヤやガラスという関連事業、そしてまた銀行、証券、保険等の結合というような相互関連型の新企業集団の結成がこれに当たるわけですが、こういった三類型の判断基準、いわゆるガイドラインを示し、これに該当するものを原則禁止にしているわけでございます。
中でも、過度の集中に当たる数値的な尺度として、例えば企業グループの総資産規模を十五兆円に圧縮し、届け出基準も五千億から三千億に引き下げた、公正取引委員会のチェック可能な基準ということで引き下げたわけですが、持ち株会社容認に伴う独禁法の骨抜き化を阻止する上でも私は意義があるんではなかろうか、このように考えております。
一方、持ち株会社解禁のメリットは、複数の企業が水平的に統合されるために、人事や給与体系を一緒にしなくても他社を傘下に加えることが可能になるなど、企業が環境変化に柔軟に対応できる点にあると言われております。
もう少し詳しく申しますならば、既存会社が事業部門をそれぞれ別会社とすることにより、いわゆる純粋分社化ですが、このことにより事業部門ごとの経営責任の明確化が可能になり、組織の活性化が図られる。また、経営不振会社の救済目的で利用することもできる。さらに、ベンチャービジネスへの投資、新規事業分野への進出の手段ともなる。また、金融会社の金融関連異業態への相互参入の手段にもなる等々が考えられるわけでございます。言いかえますれば、欧米企業並みの企業経営の選択肢が認められたことによって、国際的な大競争を乗り切る条件整備がなされたという見方もできるのではないでしょうか。
しかし、早急に見直しが求められている課題もたくさんあると思います。現行の商法のままでは、傘下企業の役員が事業に失敗し損失を発生させても、持ち株会社の株主は役員の責任を聞えない事態も容易に想定できるわけでございます。さらには、持ち株会社の設立によって子会社や孫会社の経営内容がますます不透明になり、経営者の暴走をチェックする機能が弱まる心配もあるのではなかろうか。また、子会社の債権者や少数株主の利益保護について詳細な規定を持つドイツの株式会社法を初め欧米流の情報開示のあり方なども含めまして、持ち株会社解禁、施行に向けてまだまだ学ぶべき点は多いと思います。また、金融持ち株会社の具体的な枠組みは、独禁法とは別に関係業法の手当てによって定められるわけでございますが、経済活動の秩序形成に影響を与えることは必至とはいえ、十二分な検討が望まれると思います。
労使関係をめぐる調整も残されております。労働組合法の改正を前提に、子会社の労組に持ち株会社、いわゆる親会社の経営者との団体交渉権を認めるかどうか、二年越しの協議で結論を得ることになりました。しかし、持ち株会社解禁は労働問題における禁断の果実とも言えるものでもあり、運用を誤るならば、経営者側の絶対的な優位を保証しただけで終わることにもなりかねないわけでございます。さらに、納税額圧縮のための魔法のつえにもなり得るグループ企業全体の所得と損失を合算して課税する連結納税制度の導入問題も、今後の検討にゆだねられました。
禁止対象の持ち株会社を判定するガイドラインの設定作業はもとより、このように細心の注意を払って詰めなければならない課題も山積しているわけでございます。透明度の高い取り組み、そして作業なくしては、国民の理解を置き去りにしたままの施行という憂うべき事態さえ待っていることを決して忘れてはならないということを申し上げまして、意見とさせていただきます。