前田武志の発言 (商工委員会)

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○前田(武)委員 太陽党の前田武志でございます。
 もう既に各委員から問題点の指摘もあり、また私自身も当委員会において何度か質疑をさせていただき、この持ち株会社解禁という、日本の独禁政策、戦後五十年の中で一大転換を図る、まだそういう転換を図る大きな状況変化というものを随分と認識をするわけでございます。
 もちろん、この背景にあるのは市場経済の最近の急速な、圧倒的な拡大があると思います。しかも、その市場経済そのものが非常に情報化をしてきた。当委員会開始の冒頭、佐藤通産大臣出席のもとの総括質疑のときにも、私、ある例を引いて、インターネット上のいろいろなサイバーコマースといいますか、そんなことの例を持ち出して議論をしたことを記憶しているわけでございますが、この圧倒的な拡大とそして情報化というものは、多分、十年前の市場というものと性格的にも変化し、この地球上の人間の活動、そのベースになる経済活動、そういったものに対して非常に大きな支配力というか、ほとんどカバーし始めていると言っても過言じゃないと思います。
 そういった状況の大変化の中で、日本の経済社会というものがもっと活力を持って、この市場の変化にどう対応していけばいいかという中での一つの大きな転換ではなかったのかな、こういうふうに思うわけであります。したがって、先ほど来御指摘のように、この大きな市場においてのプレーヤーとしての企業であったり、その活動が十分に知恵を出し、また努力をして活力を生み出していく、経済活力を引っ張り出していく、そういうものにしなければならないと思います。
 特に金融持ち株会社、これは今検討を並行してやっているわけでございますが、これについても既にいろいろ議論がこの場で出ております。片一方で金融監督庁というようなことで、既に為替自由化、これは本国会で自由化を図り、来年の四月から動くわけでございますが、もう待ったなしの状況の中で、市場における企業のさらに創造力を発揮しての活動、そういったものに対する環境整備だろう、こう思います。
 しかし、それもこれもせんじ詰めれば国民の利益を実現するための経済の活性化、そういうことなんだろうと思うのです。ただ私自身は、この問題、非常に難しい専門的な分野だなというふうにつくづく思うのですね。先般、参考人の方々にも聞いてみたのですが、持ち株会社が解禁になって、実際に日本の企業活動、経済活動がどういうふうにこれを利用して、どういうような持ち株会社が出てくるのかといったようなことについても、これは実際に動き出さないことにはなかなか想定しにくいようなところがあるのではないのかなという印象を受けました。
 そしてまたその議論を通じて、持ち株会社そのものは、我々は政治の場で、立法府として国民の利益をどう実現するか、国民の福祉をどう増進するかという観点から議論をしているわけでございますが、一たんこの持ち株会社が解禁されますと、企業は、それぞれの利益をどう最高度に達成するかという視点で動くのは間違いないわけでございますから、そうするとこの持ち株会社なるものは、情報の隠ぺいであったり、利益を何とか企業の中でうまく使おうというようなことで、国民に結果としてどう還元されるかというのは、何か企業の良心だとかそういったことのみに依存するのではなく、制度としてきちっとしたものをつくっていかなきゃいかぬ、それがこの市場のルールだろうと思います。そういった意味では、公正取引委員会の持っている役割それから責任というのは飛躍的に大きくなっていくのではないのかな、こういうふうに思いました。
 この連休にアメリカの国会議員との交流で行きましたときに、下院のリーチ銀行委員長に会いました。ちょうどアメリカの下院でも銀行関係、金融関係の大きな改革を今やっているところでございまして、その中で、いみじくもリーチさんいわく、立法府はこういった問題についてはなかなか弱いんですといったようなニュアンスのことを言われた。もう全くそのとおりでございまして、我々はこの面の、これはもう本当に精緻な経済の理論も必要でございましょうし、また企業の活動そのものについて専門的な知識も必要でございましょうし、そういった意味では、具体的に論じられる個々の問題については、知識のことでいうと私なんかはまことに素人でありまして、難しい。しかし、あくまでも立法府としては国民の利益という立場から考えていかにゃいかぬなということを、議論をすればするほどその思いを強くするわけでございます。
 さて、この規制緩和、そしてこういうふうに拡大してきた市場機能というものをいかに日本においても享受していくか、日本の市場というものもそれに合わせていくかということで、今各種の改革が行われているわけでございますが、そういう規制緩和、市場機能の拡大というものをやればやるほど、片一方で独占禁止法、要するに不公正な取引であったり、あるいはもろもろの弊害がございます。もちろん、事業支配力の集中防止というのがこの持ち株会社について解禁すると一番大きな懸念になるわけでございますが、その他にももろもろの弊害があるわけでございまして、特に、日本の麗しき文化、伝統というもの、私自身はこの日本の伝統というものはすばらしいな、もともと選挙区は大和、歴史の発祥の地でございまして、和をもってとうとしとなすという風土でございますから、これが行き過ぎると、ある意味では、カルテルであったり談合であったり、まさしく市場のルールというものが犯されるおそれもあるわけでございます。
 本来的にそういう意味では独禁法の持つ精神というものが軽視される風土というものも片一方であるわけでございますから、そういうことも含めて、公正取引委員会、これはまさしく、その時々の政治的な影響というものに左右されずに市場の持っている意味合いというもの、そういったものを深く考察されて、そして国民の福祉の実現のために大いにその力を発揮していただきたい、こういうふうに思います。
 多少まだ時間があるようでございますので、後ほどの議論でもまたいろいろと開陳させていただきたいわけでございますが、特に一つ触れますと、先ほど鈴木委員も、証券化というものが今どんどん進んでおって、そういう証券化された金融市場というものの中では事業会社というものも大きな力を持ってくるというような御指摘がありました。
 実は、私は、金融監督庁、ビッグバンあるいは為替自由化、そういった中で一番危惧を抱いておりますのは、日本の一千二百兆円という国民貯蓄というものが今のところどうしても日本の市場の中では行き先を見つけられなくて、それが有効に生かされていない、大抵外へ出ていってしまっている。例えば町づくりであったり住宅づくりであったりというようなことについても、何となく今や公共事業でやるというような感じになってしまっております。
 したがって、財政再建の中でちょっと公共事業費を抑制しなければいかぬというようなことになってくると、この辺が随分影響を受けるのではないか、こういうふうに言われるのですが、日本だけでございまして、ほかの国は、共産国の中国まで、それこそ日本の国民貯蓄を利用して町づくりをやっているような状況でございますから、そういう意味で、やはり市場において証券化の手法というものがどうも欠落してしまっているところに大きな問題があると思います。一見、持ち株会社と関係なきように見えますが、持ち株会社解禁になると、この面での、国民経済に寄与するような企業の活動というのが随分と急速に拡大してくるのではなかろうかな、こういうふうに私は思います。
 いずれにいたしましても、一つ問題点だけを指摘して、結論としては、つまるところ、大きく進化を遂げてきた市場というものに、いかに日本がその中で多様なプレーヤーが活躍できるようにし、利用者、そしてまた当該の持ち株会社におきましては働く者、そしてトータルには国民の利益というものをどういうふうに実現していくかという観点からの議論をさらに尽くさせていただきたい、こう思う次第であります。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 前田武志

speaker_id: 33323

日付: 1997-05-09

院: 衆議院

会議名: 商工委員会