岸田文雄の発言 (商工委員会)

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○岸田委員 私は、この大競争時代を迎えて、国際競争力あるいは活力、日本の経済の活性化、こういった見地から、持ち株会社解禁に賛成の立場で申し上げるわけですが、ただ、ぜひこの持ち株会社の可能性に期待をするわけではありますが、ややもしますと、この持ち株会社が解禁されると、日本の経済すべてバラ色に動いていくんだ、すべてうまくいくんだというような錯覚をもたらすような意見に関しましては、多少慎重に対応しなければいけないなというふうに思っています。
 日本以外の状況を見ましても、例えばドイツにおきましては、ダイムラー・ベンツ、かつて持ち株会社に移行したにもかかわらず、どうもうまくいかない、結局事業部制に戻したというような話も聞くわけですし、またアメリカにおきまして、先ほど鈴木委員も、金融部門におきまして持ち株会社は大いに活用されているというわけですが、全体の業種を見た場合、全体の割合としては、持ち株会社の利用は、解禁されているにもかかわらず余り高くないというような評価もあるのも事実であります。また、欧州におきましてもそれほど利用が高くないということもあるわけでありますから、これは持ち株会社を解禁すれば日本の経済すべてうまくいくというような錯覚に陥ってはならない。やはり持ち株会社にはプラス、マイナス両方あるんだということはしっかり踏まえておかなければいけない、冷静な目を持たなければいけないと思うわけであります。
 そこで、やはり一番大きな問題になりますのは、競争環境の整備ということから、事業支配力の過度の集中をいかに排除するかという部分が一番大きな問題になるのでありましょう。そのために、ガイドライン、そして企業活動のためにも明確な基準を設けなければいけないという議論が進んでいるわけであります。
 しかし、私は、幾らガイドラインそれから基準、明確に示そうと努力しましても、やはり抽象的な条文である以上、これは最初からパーフェクトなものをつくることは非現実的だと思うわけであります。これは大いに努力しなければいけないけれども、最初からすべて基準が明らかになると期待してはならないと思うわけです。やはり実例を積み重ねてこそ、初めてそういったガイドラインや基準が明らかになっていく、時間もかかるというふうに思うわけです。
 ですから、私は、こういったガイドライン、基準の明確化に努力すると同時に、まずは情報公開、それから企業活動の透明性の確保、これに力点を置くこと、こっちの方にまず力を注いでいくこと、これが大切ではないかなというふうに思うわけです。
 そして、情報公開の中身ですけれども、従来のように単に投資家、株主に対する情報公開のみならず、取引先ですとかそれから競争者、あるいは先ほど遠藤委員の方から消費者の話も出ておりましたが、消費者に対する情報公開、そしてその情報公開の中身も、企業グループ全体の連結情報公開というようなものに踏み込んでいかなければいけないのではないかというふうに思います。
 こういった情報公開が進むことによって、欧米諸国からの日本の経済におきます系列問題、こういった不信感に対して答えることにもなるのでありましょうし、持ち株会社が利益操作の巣になることに対する不安にも答えることになるのでありましょうし、また連結情報公開を進めることによりまして、連結納税制度の理解にも進むのでありましょうし、企業グループ全体の労使交渉権という部分の議論にも理解が進むのでありましょうし、企業グループ全体の株主の違法行為差しとめ請求権といったような問題にも理解が進むのではないかな。こういった連結情報公開、企業グループ全体の情報公開を進めるということによって、そういった問題にも理解が進むのだということを考えますときに、とりあえずこの情報公開、透明性に力を置くことによって、持ち株会社におきます企業支配と責任とのバランスを考えていくことに資していくのではないかというふうに思っております。
 それが一つと、それからあと、先ほど鈴木委員がおっしゃっておられました、国内のシェアだけを見るべきではない、グローバルな視点でというようなお話があったかと思います。その部分で一つ思うわけですが、聞くところによりますと、日本以外の諸国、独禁法の運用協力協定というのを結んでいる国があるというふうに聞いております。例えば、ボーイングとダグラスの合併問題のときに、アメリカとEUはこの協定に基づいて協議したというような話も聞きます。グローバルな視点でということであるならば、そういった部分についても少し議論を深める必要があるのではないかなということも思います。
 それから、最後に一つ、これは素朴な疑問でありますが、今回の持ち株会社解禁に当たりまして、子会社の規定が、株式保有五〇%超という規定になっておるわけでありますが、日本の現状を見るにつけまして、どうも五〇%超という基準、現実に即しているのだろうかなという疑問を持っています。五〇%を超えなくても、役員の派遣等で企業の支配は十二分にできているという実例を見るにつけましても、この基準につきましては多少疑問を持っております。
 以上です。

発言情報

speech_id: 114004461X01319970509_017

発言者: 岸田文雄

speaker_id: 6324

日付: 1997-05-09

院: 衆議院

会議名: 商工委員会