大島慶久の発言 (本会議)

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○大島慶久君 私は、自由民主党を代表して、介護保険法案、介護保険法施行法案及び医療法の一部を改正する法律案について、総理並びに厚生大臣に質問をいたします。
 戦後五十年の間、我が国は経済の発展とともに、医療福祉の向上に努め、昭和三十六年の国民皆保険、皆年金の達成を初め、各種社会保障制度の充実を図り、世界一の長寿国と言われるに至っています。
 しかしながら、諸外国に類を見ないほど急激な少子・高齢化が進行する中、経済基調の変化、財政事情の深刻化により、社会保障制度全体の見直しが喫緊の重要課題となっております。
 超高齢化社会を迎え、安心できる老後は国民共通の願いであることは言うまでもなく、老後の最大の不安である介護問題を社会全体で支える仕組みをいかにつくっていくか、これは二十一世紀の社会システムのあり方の問題として政治が取り組むべき最大の課題であると思います。
 他方、近年、社会保障給付費の増加は著しく、平成七年は国民所得比の一七%に当たる六十五兆円となり、そのりち高齢者関係給付費は六割余りを占めるに至っております。その上、平成三十七年において社会保障に係る負担は国民所得比の三割を上回るとも推計されております。
 国家財政が危機的な状況にある中で、給付と負担の適切なバランスを維持しつつ、活力ある長寿社会を実現するため、効率的で安定した社会保障制度の再構築を行うことが今こそ求められているのであります。
 橋本総理は、変革と創造の旗印のもと、国民が二十一世紀の幕あけを希望に満ちた気持ちで迎えられるために六つの改革を打ち出されました。その中でも国民生活に密接に関係し、財政的にも大きな影響を及ぼす社会保障構造改革において、今回の介護保険制度の創設はどのような意義を持つのか。さらに、この介護保険を出発点として、例えば年金受給と他の制度との調整を初め、医療、年金、福祉等の各種社会保障制度の横断的な見直しをいかに図っていかれるのか、基本方針を総理にまずお伺いいたします。
 時代の変化とともに家族のあり方も変わって核家族がふえていき、また、女性の社会進出により、介護の問題はますます深刻な問題として国民一人一人に迫ってきております。
 要介護及び虚弱の状態にある高齢者の数は、現在既に二百万人を超え、平成十二年においては二百八十万人、平成三十七年においては五百二十万人にも上ると見込まれる一方、共働き世帯も増加するとともに、介護に当たられている方々も高齢化しているという老老介護となっており、家族の献身だけでは対応できないのが現実であります。
 そのため、家族のきずな、情愛を大切にしつつも、これら要介護者に対する負担を支える仕組みを社会全体のシステムとして構築することこそが急務であります。この場合、今回の介護保険制度の創設を中心としつつも、自助、共助、公助の重層的な福祉を図るため、民間活力の導入も含めた地域共生のシステムが必要であり、地方分権の推進の中でこれをどのように構築されていくのか、総理の御見解をお聞かせ願いたいと存じます。
 総理は、施政方針演説の中の社会保障構造改革において、個人の自立・自助努力を強調されましたが、要介護状態においても重要なことは、一人一人が個人の尊厳を保ち、できる限り住みなれた家庭や地域で自立した質の高い生活を送れるよう支援していくことが必要であると思います。そのためには、まず在宅サービスを質、量ともに充実させていくことが肝要であります。
 介護サービスの充実のためには、国民に最も身近な市町村が中心となってその体制整備を推進していくことが必要であり、この点から本法律案が運営主体を市町村としたことは妥当であるだけでなく、地方分権の流れにも沿ったものとして高く評価できるものと確信する次第であります。
 しかし、かなりの市町村が、保険財政及び事務処理等の面から、依然として介護保険に対し第二の国保になるのではないかとの危惧の念を抱いております。これらの心配を払拭するためどのような支援策を講じられるのか、都道府県の役割も含めて、厚生大臣にお伺いをいたします。
 また、今回の介護保険法案は五番目の社会保険制度を創設するものでありますが、一方では保険方式でなく税方式によるべきとの主張もあります。しかし、必要なサービスの確保及び利用者の給付を求める権利の保障という見地からは、保険方式によることが国民にとってより望ましいと思われるのであります。
 ただ、負担した保険料に見合うだけの給付を本当に受けられるのか、多くの国民が期待と同時に不安を感じているのではないでしょうか。要介護者はサービスを選択できることになっていますが、要介護状態の基準に該当するかどうかを市町村が認定することになっており、これについても事実上、市町村によって判定がかなり異なるおそれも出てくるのではないかという指摘もあります。
 これらの問題についてどのように対処されるのか、厚生大臣にお伺いをいたします。
 また、保険あって介護なしと言われることのないよう、介護インフラの整備と福祉マンパワーの確保が急務であります。現在、新ゴールドプランは推進中でありますが、その整備水準は地域により格差が大きく、国民の求める給付を満たすための基盤整備としては不十分ではないかとの懸念もあります。
 今後、介護保険制度のもとで、市町村の策定する介護保険事業計画に基づいてサービス基盤の整備が図られる予定と言われておりますが、法律施行までに必要なサービスの整備をどのように図っていかれるのか、厚生大臣にお伺いをいたします。
 このように、介護保険制度を平成十二年度から順調にスタートさせるためには、施設整備やマンパワーの確保等の基盤整備の充実が何よりも欠かせないわけであります。しかし、これにはどうしても財源問題が絡んでまいります。介護保険制度の円滑な実施のためには新たな基盤整備計画の策定推進が必要となりますが、これは現在、総理が推し進められている一切の聖域なしとする歳出の改革と縮減を目標とする財政構造改革との関係から見て、どのように推し進めることを考えておられるのか、この点に関し国民の理解と協力を得るためにも橋本総理の忌憚のないお考えをお聞かせ願いたいと存じます。
 次に、保険料について言えば、高齢化の進行に伴って将来増加の見通しが示されていますが、市町村の介護基盤の整備状況の差異に伴いかなりの負担格差が生じるのではないかとの危惧も出されております。この点についてどのような見解をお持ちか、厚生大臣にお尋ねをいたします。
 あわせて、低所得者に対しどのように配慮されるのかも質問をいたします。
 このような介護保険創設やそれに伴う長期的な基盤整備に関しては、何よりも国民の理解がなければその目的が十分に達成されません。今後、高齢化の進展に伴ってますます福祉の需要が増大していくことに照らしても、さきの社会福祉法人をめぐる不祥事等による国民の厚生行政に対する不信感を払拭させることが何よりも重要なことであると思います。
 そのためにも、福祉事業者のディスクロージャーを初めとする一層の行政の透明化等を推し進められ、国民の協力を得ながら、橋本総理の掲げる「長生きしてよかったと実感できる社会」が着実に実現していくことを願い、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114015254X03519970613_005

発言者: 大島慶久

speaker_id: 21420

日付: 1997-06-13

院: 参議院

会議名: 本会議