有働正治の発言 (本会議)

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○有働正治君 私は、日本共産党を代表して、介護保険法案について質問します。
 今や高齢化社会に向かって介護問題は深刻です。多くの高齢者が人間らしい生活を奪われ、人間としての尊厳さえ奪われています。介護する者も介護される者もともに長寿を喜べる社会にすること、高齢者や障害者の介護を家族の自己犠牲から社会全体の責任で行うようにすること、国民は必要なときにだれもが安心して必要な介護が受けられる充実した公的介護制度の確立を願っています。
 そのために、我が党は、すべて国民は健康で人間らしい生活をする権利があり、その実現は国の責務であるとする憲法第二十五条の理念に基.つき、保険あって介護なしというようなことにならず、保険と公的措置を組み合わせて、介護を必至とするすべての国民の願いにこたえる制度の確立が必要と考えます。この点で、政府案には幾つもの重大な問題があると断ぜざるを得ません。
 第一は、国民の切実な要望に応じた介護を保障する条件整備についてです。今のままでは保険あって介護なしということにならざるを得ないことを憂慮せざるを得ません。
 全国の自治体は、介護保険導入の年ともなる二〇〇〇年三月を目指し、新ゴールドプラン達成に向けて努力を重ねています。しかし、その達成状況はほとんどの自治体で達成が困難視されていると言っても過言ではありません。となれば、介護を求めている人に必要な介護をということを公約にして保険を導入しても、最初から公約違反の看板倒れの制度が導入されるということにはならないでしょうか。総理の基本見解を求めます。
 保険制度導入に当たって今緊急に求められていることは、新ゴールドプランの目標達成、そのかさ上げのため、自治体への国の補助強化、福祉施設の建設に伴う超過負担の解消、劣悪な定員配置基準の改善等に全力を挙げることではありませんか。特に施設整備費の国庫補助を二分の一から三分の二にすることを求めるものです。条件整備をめぐる政府の具体的財政措置を含めて答弁を求めます。
 ホームヘルパーについて、厚生大臣は、平成十二年度を目指して保険あってサービスなしの状況はないように改善を進めていきたいと述べています。そのためには、新ゴールドプランによるホームヘルパーの確保計画十七万人の目標を当面常勤で二十万人とすることが必要ではありませんか。関連して、切実な二十四時間ホームヘルプ事業の充実も切実な課題となっています。私は、新潟県や岩手県などで、二十四時間対応のホームヘルプ事業の夜間の訪問介護に同行し、その実態を見てきました。寝たきり高齢者の方々は、訪ねてくれる車の音が待ち遠しい、ホームヘルパーさんは命の綱ですと涙して語っておられました。
 厚生大臣、このモデル事業は現在、全国で六十五自治体七十五事業が国の補助対象とされていますが、二十人以上という要件を緩和し、少人数でも対象とするなど事業の拡大を図り、希望する自治体が実施できるようにするべきではありませんか。また、在宅介護支援センターについて、人手をふやし、車を配置するなど補助を拡大することも切実な要求となっています。厚生大臣の答弁を求めます。
 いま一つは、施設介護の中心となる特別養護老人ホームについてです。
 政府の計画では二十九万人分とされ、高齢者人口の一・三%にすぎず、とても足りません。入所を希望し、行政がその方の入所が適当と判定してなお入所できないでいる待機者が現在、我が党の調査によれば、全国で七万六千六百五十人も待つておられるわけであります。仮に二十九万人分の整備ができても、二万人をはるかに上回る待機者が出ます。また、ショートステイなどの抜本的拡充も介護に携わる御家族を含め強い願いであります。
 総理、特養ホームの大幅な新増設及びショートステイ整備、デイサービスセンター整備などに対する政府の具体的取り組みを示していただきたいと思います。
 私が訪問した新潟県の定数百の特別養護老人ホームは、一九八二年当時は入所者の平均年齢は七十六歳でしたが、現在は八十二歳となっています。開設当時、おむつが必要だった方は三十九人でしたが、現在は七十人。当時多くの方々が自立歩行できていましたが、現在はほとんど車いすとなっています。高齢化、重度化、痴呆化が全国的に急速に進んでいるのが特徴です。
 ところが、職員の配置基準は、七八年に三十五人から三十六人に一人ふえただけで、この二十年間改善されていません。夜間勤務の中で七十人のおむつがえを職員四人で行うのですが、夜勤明けには疲れ切って顔つきまで変わるとの悲痛な声が聞かれました。職員の配置基準を実態と要望に沿って大幅に改善すべきではありませんか。
 これらの重要な一連の課題に適切な対応が果たしてとれるのかどうか、そのかかわりで新ゴールドプラン見直し問題についての見解を求めます。
 厚生省は、一九九二年六月の「老人保健福祉計画について」という通達で、「期間の中間点前後において見直しを行うこと」と指摘し、平成八年度を見直しの年度としてきたはずであります。この見直しがどう進んでいますか、なぜ進まないのですか。自治体の見直しと達成への手だてをとり、保険導入に万全の備えをすべきは政府の責任ではありませんか。総理の答弁を求めます。
 第二に、国民の負担、とりわけ経済的理由で低所得者等が排除されてはならないという問題であります。
 政府は、介護を受けるためとして保険料を取るわけですが、施設利用に当たっては利用料まで取ることにしています。これでは何のための保険かと言わざるを得ないわけであります。加えて、現行制度に比べ、制度発足時に国庫負担で三千七百億円、市町村負担で千六百億円削減することにしています。その分、国民にしわ寄せすることになり、いわばトリプル攻撃とも言える負担が待ち受けているわけであります。
 とりわけ、低所得者の負担は深刻であります。保険料を高齢者や低所得者からも徴収する政府案では、一割の利用料、施設に入所した際の食費の標準負担額等を加えると、高齢者、低所得者にとって保険料と利用料等が二重の負担となります。特養ホームの入所利用料が平均四万数千円とされるならば、政府案が実施されるとおよそ七割の入所者が現状より負担増となり、また、今の措置制度では前年度非課税の方の場合のホームヘルプ利用料は負担ゼロなのに、政府案では六、七千円となります。千百二十八万人の人々が平均四万円の年金という現状や、国民健康保険料の支払いで苦悩している人々は保険料、利用料を払えない事態が広がるのではありませんか。
 総理、高齢者・低所得者はもとより、そもそも利用料を取るのをやめ、また、保険料徴収をやめるべきではありませんか。措置制度を充実強化し、保険制度と措置制度を組み合わせることにより、希望するすべての国民に介護サービスを保障すべきではありませんか。総理の見解を求めます。
 第三に、社会的に大きな部分を占める在宅介護、家族介護にも介護手当を出す制度とすべきだと考えます。これまでの私的な家族介護は多くの女性たちの犠牲で支えられてきました。女性の社会進出が進み、約四割が女性というのに、今なお介護者の八割は女性です。年間八万人の女性が家族介護のため職場をやめざるを得ないのが実態であります。
 この社会的矛盾の解決を図り、家族介護を社会的に正しく評価するためにも、公的介護サービス給付とともに介護手当の給付の併給制選択制とし、家族介護にも介護手当を出す制度とすることを求めます。総理の見解はいかがですか。
 第四に、介護保険制度が高齢者医療や障害者介護をともに前進させる内容とすべきではないでしょうか。この点で、総理、高齢者のほかに、原案では対象とされない、若くても障害者や難病患者たちなど介護を必要とする人を給付の対象とすべきではないでしょうか。
 政府案の幾つかの重大な問題は、政府が今回財政構造改革の名のもとで大々的にたくらむ福祉切り捨て策とも相まったもので、時代の流れと国民の願いに沿うものとは言えません。諌早干拓事業に象徴的なゼネコン優先の大規模プロジェクトなどのむだや浪費にメスを入れれば、財源確保も可能であります。
 日本共産党は、具体的に明示した真に国民の願いにこたえる公的介護保障制度の実現のために全力を尽くすことを表明しつつ、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114015254X03519970613_025

発言者: 有働正治

speaker_id: 17580

日付: 1997-06-13

院: 参議院

会議名: 本会議