浜中裕徳の発言 (環境特別委員会)

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○政府委員(浜中裕徳君) ただいまお話のございました京都会議に向けての国際的な交渉の状況について、とりわけ十月二十二日から三十一日までの間ドイツのボンで開催されました第八回ベルリン・マンデート・アドホックグループ会合の成果等について御報告を申し上げます。
 この会合には、我が国から、外務省田邊地球環境問題担当大使を先頭にいたしまして関係省庁の実務担当者が出席をしたものでございます。私も全期間出席をさせていただきました。
 今回の会合におきましては、このベルリン・マンデート会合の議長を務めておりますエストラーダ議長が作成いたしました議定書案が議論の軸となり、全体会合のもとにテーマごとに四つの非公式の交渉グループを設けて議論を行い、さらに、個別の主要論点につきましてはそれぞれ関係国で非公式な協議を積み重ねて交渉が進められたわけでございます。
 この成果といたしまして、エストラーダ議長案にさらに相当数の修正を加えた新たな交渉テキストが作成されました。この新たな交渉テキストは、多くの論点が相互に関連してパッケージとなっておりますので、重要な部分におきましてはなおコンセンサスがございませんが、論点が相当詰められ、考えられるオプションが絞り込まれたものでございます。交渉妥結に必要な判断をしていく上での基礎が築かれたと申し上げてよろしいかと思います。
 なお、エストラーダ議長は、調整作業を継続させて、この交渉テキストを一層改善するため、今回の会合を閉会とせず、京都会議の直前、十一月三十日にベルリン・マンデート会合を再開することといたしました。
 以下、個別の論点ごとにやや詳しく御報告を申し上げます。
 まず第一に数量目標でございますが、我が国自身の提案もこの今回の会合の少し前に提案させていただきましたが、これについての説明を行い、各国の理解を求めたわけでございます。また、今回新たに米国、それから途上国のグループが数量目標に関する新たな提案を行いました。
 米国提案は、二〇〇八年から二〇一二年までに排出量を一九九〇年の水準に戻し、その後の五年間には一九九〇年レベルを下回る水準に削減するというものでございまして、排出権の取引、共同実施といった柔軟性のある措置を導入するものでございます。
 途上国のグループの提案につきましては、温室効果ガスの排出量を二〇〇〇年までに一九九〇年レベルに安定化させますとともに、二酸化炭素、メタン及び亜酸化窒素の排出量をそれぞれ二〇〇五年までに七・五%削減、二〇一〇年までに一五%削減、二〇二〇年までに三五%削減するというものでございます。
 以上、数量目標につきましては主要国の提案が出そろったところでございますが、数値そのものについての実質的な交渉には至っておりません。
 次に、目標の差異化につきましては、米国、欧州連合などは、長期的な課題としてはその必要性を認めつつも、京都会議での合意は困難と引き続き主張をしております。他方、我が国、スイス、オーストラリア、ノルウェーなど従来から差異化を主張しております国々は、協議を行いまして交渉テキストに入れるべき合意ペーパーを作成し、議長テキストに盛り込まれた点が今回会合の大きな成果でございます。具体的な差異化目標の設定プロセスの検討が今後の課題であるというふうに考えております。
 次に、いわゆるEUバブルと申します欧州連合十五カ国の全体としての目標につきましては、EUが十六日のEU環境相理事会の決定を説明いたしまして新たな条文案を提示いたしました。これに対しまして多くの国々は、責任の所在等につき引き続き問題点を指摘し、説明の明確化を求めております。
 柔軟性をもたらす措置につきましては、EUが五年間の目標期間、いわゆるバジェットというものを採用することを明らかにしたことによりまして議論が大きく前進をいたしました。排出権取引、共同実施についても、アメリカ、EU等、先進諸国で導入の条件、手順などの具体的な条文レベルでの協議に入っております。ただし、途上国は国内の措置を優先すべきなどとしていまだ反対しておりまして、特に途上国と先進国との間で行う共同実施には強く反対をしております。
 次に、森林などの吸収源の取り扱いにつきましては、日本やEU、小島嶼国連合などは排出量のみに目標を設けるべきことを主張しておりますが、他方、アメリカ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなどは吸収源も計算に含めるいわゆるネットアプローチを主張し、これまでのところは合意に達しておりませんが、エストラーダ議長は合意形成に向けて議論を進めるべく強いイニシアチブを発揮しております。
 なお、対象ガスの範囲につきましては、すべての温室効果ガスを対象とすべきと主張いたしますアメリカ、カナダ、豪州等と、当面二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素を対象とすべきと主張する日本、EUとの間でさらに調整が必要な状況でございます。
 次に、政策及び措置につきまして申し上げます。
 議長テキストは、政策・措置の義務化、共通化を目指す欧州連合と政策調整を拒む米国との妥協を図るような考え方を提案しておりまして、これをもとに協議が進められました。主要項目について調整の進展が見られましたが、政策分野を定めたりストの位置づけ、政策調整の是非について今後特に重点的な検討が必要であります。
 また、産油国を中心とする途上国は、先進国が講ずる政策・措置の実施に伴って途上国に及ぶ影響の取り扱いについて、政策・措置の実施に当たっては、悪影響を回避するようにするとともに、損失が生じた場合の補償措置を求めておりますが、このような提案は受け入れられないとする先進国との対立が解消されておらない状況でございます。
 次に、途上国も含めましたすべての締約国の約束の実施の促進について申し上げます。
 先進国は気候変動枠組み条約四条一項の約束の範囲内で、できるだけ具体的な措置を盛り込もうといたしましたが、途上国はこのような措置は追加的なものであり受け入れられないとの立場のため、調整は難航し、今後さらに調整が必要な状況でございます。
 また、既存の義務の実施の推進に当たりましては、途上国は新規かつ追加的な資金、技術の支援が必要と主張いたしまして、先進国はこれに対し既存の資金メカニズムで対応可能と主張いたしまして、両者の間での対立が続いております。
 このような中で、我が国は先進国、途上国とそれぞれの会談を行うなど、両者の橋渡しをすべく努力をいたしました。
 次に、中進国などを念頭に置きました自主的な排出目標の設定に関しましても、先進国は、途上国の参加の一環といたしまして、自主的に排出目標を設定する国に関する規定を導入することを重視しておりますが、途上国は新たな義務を求めるものであるとして反発をしております。その一方で、自主的参加国の基準についても議論がなされまして、また途上国の中にも一定の評価をする国も出てまいりまして、議論の進展が一定程度見られております。
 さらに、組織的事項等でございますが、議定書の前文や定義規定、組織事項、最終条項等について、主として法制度的な側面から議論をいたしました。
 締約国会議の構成の仕方、議定書の規定の不履行を是正する措置、議定書加入国の責任分担、発効要件など、幾つかの論点を京都会議に持ち越しましたけれども、前回会合に比べましてかなりまとまったテキストが作成をされ、全体としては検討作業が相当進展した状況でございます。
 以上申し上げましたとおり、今回の会合では、京都会合における交渉の基礎となるテキストが作成されまして、多くの点で各国の意見はなお異なっておりますものの、今後はこのテキストをもとに、ハイレベルでの政治的判断も得ながら京都での最終合意の妥結に向けて主要部分をパッケージとした大詰めの交渉を行うことになると考えております。
 我が国といたしましては、京都会議直前のベルリン・マンデート会合再開会合のほか、今週末に東京で開催を予定しております非公式閣僚会合、その他各種の二国間、多国間の協議の機会を利用いたしまして関係国に強い働きかけを行い、京都会合の成功に向けて全力を尽くしていく必要があると考えております。
 環境庁といたしましても、関係省庁と協力をしながら、大木大臣を先頭に庁を挙げて最大限の貢献を行っていくこととしているところでございます。
 以上、簡単でございますが、御報告を申し上げました。

発言情報

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発言者: 浜中裕徳

speaker_id: 15617

日付: 1997-11-05

院: 参議院

会議名: 環境特別委員会