齋藤勁の発言 (本会議)

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○齋藤勁君 私は、民主党・新緑風会を代表し、内閣提出の財政構造改革の推進に関する特別措置法案に反対する立場で討論を行います。
 先週来の北海道拓殖銀行そして山一証券の相次ぐ経営破綻は、個別企業の経営破綻という領域にとどまらず、連鎖反応的な金融危機を内包した事態として推移しており、まさに我が国の金融システム全般の混乱と行き詰まりを示すものにほかならないのであります。いたずらに不安感をあおる言動は慎むべきでありますが、今や国民は、次はどの金融機関が破綻するのかと日々不安に駆られております。これらが政府、大蔵省のこれまでの護送船団方式という誤った金融行政自体の破綻を意味するものであることは明白と言わなければなりません。
 また、本年春以来の消費の急激な冷え込み、株価の低迷など、当面の景気対策一つとってみても、政府は何ら適切な対応を示すことなく、日を追うごとに我が国経済の混迷の度合いはますます深まっていると言っても過言ではありません。政府は、十日ほど前に緊急経済対策を発表されましたが、現在の消費の低迷や不良債権処理のおくれからくる金融不安を打開し得るような決め手となる対策は何一つ見出せておりません。加えて、タイ、香港の市場の混乱に見るアジアの金融市場の深刻な事態の中で、我が国政府がその国際的責任を果たし得ないばかりか、むしろ経済無策ぶり、無能ぶりを国際社会に強く印象づけてしまったことはまことに残念と言うほかありません。
 大蔵大臣、本法案が閣議決定された時点よりも事態は一層深刻になっているにもかかわらず、無為無策のまま今日に至っていると言わざるを得ないのではないでしょうか。さらに、総理が火だるまになると誓った行政改革に至っては、もはや論評する気も起きないというのが国民の率直な印象であります。
 そうした惨たんたる状況の中で、政府・与党の皆さん方は何をしゃにむにこのような財政構造改革法案を成立させようと意気込んでおられるのか、我々そして多くの国民は全く理解ができません。否、実は与党の中でも賢明な方々は同じ心境でおられるのではないでしょうか。このことがこれまでの委員会審議を通じての私の率直な印象でもございます。
 以下、私どもが法案に反対する具体的理由を何点か申し述べさせていただきたいと思います。
 第一に、法案は、財政構造改革といいながら何ら我が国財政の構造的問題の改革に踏み込む内容になっておりません。新聞等では財政構造温存法案、単なる財政抑制法案であるとまでやゆされております。今最も取り組むべきことは、むだな公共事業の削減や、地方分権の時代にふさわしい税財源のあり方といった本質的な構造改革ではないでしょうか。医療、年金、雇用保険等の改革の具体的方向性も示さず、予算の抑制だけを先に法律で決めるというやり方は余りにも無責任であり、地方自治体へのしわ寄せ、国民生活を不安に陥れるものであります。
 また、対象が国の一般会計のみに限定されており、特別会計、財政投融資等は全く対象外となってしまっております。財政悪化の象徴である旧国鉄債務や国有林野事業の赤字の処理策は、年末の予算編成に先送りをされております。これでは財政構造を抜本的に改革する気があるのかどうか疑わざるを得ません。
 さらに、財政構造改革というからには、歳出面だけでなく歳入面の改革が必要でありますが、本法案では、税収及び税外収入の増収による歳入の確保策については何ら触れられず、単なる歳出カットの寄せ集めに終始しております。これでは財政構造改革の実効は何ら上がらぬばかりか、景気の足を引っ張り、財政再建すら果たし得ないという結果に終わることは明らかであります。
 第二に、赤字国債をゼロにするという目標の当否であります。
 従来、赤字国債の減額にこだわる余り、福祉予算を切り捨て、他方で建設国債については安易な増発が続き、結果として膨大な累積債務を生じさせてしまいました。財政健全化の観点からは、赤字公債は悪いが建設公債はよいという従来の考え方、財政法の規定そのものを見直すとともに、法案が指標として用いることとしている中央政府と地方政府の貯蓄投資差額ではなく、公債発行や借入金の総額を管理することとした方が国民にもわかりやすく、適当であると考えます。
 第三に、法案は、これまで財政規律を著しく損なってきた補正予算編成についてのルールを定めていないことであります。
 特に、ウルグアイ・ラウンド対策費や住宅・都市整備公団等への補助金を安易に補正予算に計上する慣例を改め、補正予算の対象を財政法本来の趣旨に立ち返って厳しく制限するべきであります。また、補正予算を提出する際には、それによる財政収支の悪化を他の歳出削減や歳入増で補うというルールを明確にしなければ、しり抜けになってしまうおそれが残されております。
 第四に、個別分野のキャップの問題点であります。
 本法案が定めている個別分野の歳出上限は、これまでと何ら変わらぬ分野別、事業別の縦割りとなっており、長期的視点に立った政策的な優先課題が全く示されておりません。このため、かえってむだな公共事業等への歳出を温存するとともに、今後一層重要となる子供たちの教育や社会保障等への予算の重点的な配分を阻害し、財政支出の硬直化を招くおそれが強いと言わざるを得ないのであります。
 以上述べましたような理由から、私ども民主党・新緑風会としては、本法案に反対であることを強く申し上げ、与党、とりわけ社民党やさきがけの皆さん方の賢明な御判断を期待し、私の討論を終わらせていただきます。(拍手)

発言情報

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発言者: 齋藤勁

speaker_id: 9158

日付: 1997-11-28

院: 参議院

会議名: 本会議