笠井亮の発言 (本会議)

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○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、財政構造改革の推進に関する特別措置法案に対する反対の討論を行います。
 本法案は、今日の財政破綻を生み出した浪費の構造は温存したまま、国民生活関連予算は将来にわたってカットする仕組みをつくり上げる前代未聞の法律案であります。国会にも国民各界から大きな反対意見が寄せられているのは当然であります。
 委員会の締めくくり総括質疑では、与党委員からさえ財政構造改革に値しない法案だと根本的な問いが発せられるなど、十分審議が尽くされていないのに、我が党の反対を押し切り、極めて短時間で審議を議了して、本日、採決に付されたことに強く抗議するものです。
 重大なことは、政府が、ここまで財政を破綻させた原因と責任を明らかにすることなく、ただ国民に痛みを押しつけるやり方で財政赤字を抑えようとしていることであります。さきに消費税増税や医療保険改悪などで九兆円の負担を強いた上、北海道拓殖銀行、山一証券等の破綻では、不正や乱脈経営、大蔵省と金融機関の癒着など、問題の原因や実態を解明もせず、金融システムの安定をにしきの御旗にして、公的資金導入、国民の血税投入を行おうとするなど論外であります。
 金融機関の破綻に国民が何の責任もないことは明白です。公的資金の投入は、その国民に、ごく一部の巨大金融機関の破綻処理のツケを回し、一層の犠牲を強いるものでしかありません。この際、私は、こうした政府の姿勢を強い怒りを持って糾弾するものです。
 本法案に反対する第一の理由は、将来にわたって国民生活の全分野に及ぶ予算を削り込むレールを敷く自動削減装置がつくられるためです。
 最も際立っているのが、医療、年金など社会保障の分野であります。来年度は、当然増だけでも八千五百億円とされるのに、五千五百億円も削り、九九年度以降の二年間も来年度と同額程度の削減を義務づけています。その内容は、政府・与党の検討案でも明らかなように、現在扶養家族となっている三百四十万人のお年寄りからも新たに保険料を取り立てるなど、弱者に容赦なく負担を強いるものばかりです。
 社会保障、教育、住宅など生活関連公共投資を初め、本法案がもたらす来年度の新たな国民負担増は、試算できるものだけでも二兆円を大きく上回り、消費税一%増に匹敵する規模です。加えて、二千二百件にも上る補助金を一律削減の対象とし、そこには難病患者の命の綱である医療費の国庫負担削減も含まれています。これらは国民の生存権、教育を受ける権利など、日本国憲法の民主的理念の全面的じゅうりんだと言わねばなりません。
 しかも、審議の中で、本法案に盛られた国民生活予算の削減をすべて実行したとしても、毎年度三兆円から九兆円に及ぶ財源不足が生じ、二〇〇三年度までの赤字国債ゼロなどの目標達成は困難なことが明らかになりました。そうなれば、さらに毎年数兆円規模で社会保障など歳出を削り込むか、消費税率の再引き上げなど増税をするか、二つの選択肢しかありません。いずれにせよ、国民は短期の痛みどころか、二重、三重の痛みを将来にわたり背負わされるだけであります。
 反対の理由の第二は、聖域なしといいながら、ゼネコン奉仕の公共事業や軍事費などの浪費部分を事実上聖域にしていることです。
 法案では、赤字国債はゼロにするといいながら、建設国債には何ら歯どめを設けておりません。公共事業は、橋本総理も諸外国と比べて高いと問題を認めているのに、これにはメスを入れないまま、法案にはわざわざ「事業の量を変更することなく」と書き込んでおります。アメリカの圧力で九六年度に閣議決定された七つの公共事業長期計画の事業費は、七年に延長しても縮減どころかそれ以前の五カ年計画より単年度五百一億円増になります。
 軍事費も、法案では前年度並みにするということで、削減どころか依然五兆円規模を確保しており、これは欧米諸国が軒並み減らしている中、まさに異常な事態です。その上、新たな海上基地建設で沖縄県民にさらなる痛みを強い、米軍実弾射撃訓練を全国五カ所に拡大する、SACO関連経費は法案では別枠を明記し、上限も設けていないというひどいものであります。
 財政構造改革というなら、こうした浪費をなくすべきは当然なのに、本法案ではそれをしない上に、大企業への特権的減免税など、是正すべき歳入にも一切触れていません。これでは財政構造改革どころかゼネコン・大企業奉仕国家、基地国家を永続させるだけです。
 第三の理由は、本法案が憲法のうたう財政民主主義をじゅうりんすることです。
 具体的な施策の中身を抜きに、来年度予算の一般歳出を今年度以下にし、主要経費ごとに予算上限を設定し、三年間の支出の削減だけを先に決めるなど、予算の骨格をあらかじめ法律で縛ってしまうのが本法案です。したがって、将来の政府をも拘束し、憲法が定める予算の単年度主義にも反するものです。
 また、予算が出され国会審議が開始され、その内容が余りにひどいと反対の声が高まっても、政府自身は、この法律に定められた上限を超えて国民の要望にこたえるように予算を変更できない仕組みにされております。
 さらに国会が、予算の組み替え動議を通したとしても、この法律がある限り予算の組み替えはできません。これでは、国会も自縄自縛になり、予算審議権を実質的に奪われることになるではありませんか。
 反対の理由の第四は、本法案が国民の消費をさらに冷え込ませ、不況に拍車をかけるものにほかならないということであります。
 橋本総理は、消費税の二%の税率引き上げ及び特別減税の影響がここまで大きく残るという予測をしていなかったと、見通しの誤りを認めました。政府の誤った経済のかじ取りによる深刻な不況が続く中、本法案による負担増は個人消費にさらに大打撃を与え、不況に追い打ちをかけるのは明らかであります。さらに、景気の一層の悪化は、税収の落ち込みを呼び、財政が悪化するという悪循環に陥る危険を生み出します。国家財政の崩壊とも言うべき事態を断じて招くわけにはまいりません。
 我が党は、衆参両院の論戦を通じ、今日の財政破綻の原因であるむだな公共投資や軍事費を削減し、大企業優遇の不公平税制にメスを入れることで、社会保障の公費負担二十兆円、公共投資五十兆円という欧米諸国には例のないゆがんだ財政構造を抜本的に改めるべきことを主張してきました。そうしてこそ、国民生活の向上、景気の回復、高齢化社会に向けた社会保障の充実と財政再建とを両立できることは明らかであります。
 最後に、本法案成立をたとえ多数で強行したとしても、それを具体化する国民生活犠牲の予算や法改悪を許さない世論と運動が必ずや高まることを確信して、反対討論を終わります。(拍手)

発言情報

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発言者: 笠井亮

speaker_id: 27017

日付: 1997-11-28

院: 参議院

会議名: 本会議