末次彬の発言 (厚生委員会)
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○末次参考人 御紹介いただきました社会保険診療報酬支払基金理事長の末次でございます。
本日は、医療費適正化の観点から意見を述べよという趣旨と理解をいたしまして、健康保険法等の被用者保険制度におきまして審査・支払いの実務を担当しております支払基金の責任者といたしまして、審査を中心といたしました当基金の業務の状況と今後の課題について申し上げたいと存じます。
まず初めに、当基金の概要について申し上げます。
社会保険診療報酬支払基金は、昭和二十三年九月に社会保険診療報酬支払基金法に基づいて設立されまして、健康保険組合、共済組合などの保険者と医療機関等々の間に立ちまして、医療機関から請求された診療報酬請求明細書、つまりレセプトの審査と保険者等への診療報酬の請求とその医療機関等への支払い、これを業務の柱としております。
本年九月で設立以来ちょうど五十年になるわけでございますが、この間、我が国の医療保険制度を初めとする医療保障制度の発展とともに基金の業務も拡大をいたしまして、現在では、先ほど申し上げました医療保険の医療費の審査・支払業務のほかに、老人保健法や生活保護法などの公費負担医療制度の医療費の審査・支払いの業務、さらには、老人保健制度及び退職者医療制度の創設に伴いまして、これら両制度に係る保険者からの拠出金の徴収、市町村に対する交付金の交付業務も行っております。さらに、昨年十二月に成立いたしました介護保険法によりまして、平成十二年からは、介護保険制度に係ります医療保険者からの納付金の徴収及び市町村に対する交付金の交付の業務も担当することになっております。
次に、基金の業務の流れにつきまして御説明申し上げます。
平成十年二月現在で十九万三千三百十カ所に及びます病院などの保険医療機関等で、投薬、注射、検査などの診療行為をレセプトという形で一カ月ごとにまとめまして、翌月十日までに都道府県に一カ所ずつございます当基金支部に提出をされます。その件数は、最近では月約六千万枚、年間で約七億枚に上っております。
なお、老人保健のレセプトは、我が国全体で平成八年度におきましては約二億五千万枚、当基金におきましてはその約二七%の六千八百万枚を取り扱っております。
こうして受け付けましたレセプトは、各支部で、患者、傷病名、請求先である保険者番号などの記載漏れがないか、また、投薬、注射、検査などの請求点数に誤りがないか等を調べまして、誤りのあるレセプトはこれを補正し、記載内容の漏れや不明な点のあるものにつきましては一たん医療機関に戻して確認を求めるなど、事務的な整備をいたします。
また、請求内容に疑問があるレセプトにつきましては、事務局において、疑義附せんと称する疑問事項を記入した附せんを張ったり、投薬、注射、検査等がその月の何日に行われたかの経過等をレセプトから別の紙に一覧表の形で抜き書きをいたしまして、審査委員が審査を効率的に行うことができるような事前準備をいたします。これらの業務を、基金では事務点検及び審査事務共助と呼んでおります。
こういう作業が終わりましたレセプトは、医療機関ごとにまとめて審査委員会に提出をいたします。
審査委員会は、各都道府県の支払基金ごとに設置されておりますが、厚生大臣の定める一定点数以上の高額のレセプトにつきましては、別に基金本部に設置された特別審査委員会で審査をいたしております。審査委員は、平成九年度におきまして、特別審査委員会の委員を含めまして四千五百二十七名でございます。
審査委員会は、通常、レセプトの提出されます毎月十日過ぎごろから始まりまして、支部の規模などによりましてそれぞれ期間は異なりますが、三日から一週間程度開催をされます。なお、審査委員会は、必要に応じまして、土曜日、日曜日にも開催をいたしております。
審査委員会では、レセプトに記載されている診療内容が保険の療養担当規則等に適合しているかどうか、言葉をかえれば、保険ルール上適当なものかどうかについて審査をするわけでございます。そして、診療内容が適当でないと判断されるものにつきましては査定をいたしますし、また、診療行為の適否が判断しがたいもの等につきましては、医療機関に戻して回答を求めるか、あるいは診療担当者に基金事務所へ直接来所を求めまして面接懇談を行うなどの措置を講じております。
なお、基金の審査は、制度上、レセプトに記載された診療行為は実際に行われたものとして、その診療行為が保険診療として適正かどうかを原則として書面により審査するものでございます。いわゆる架空請求あるいは水増しなどの不正請求を発見しあるいは確認するということは、支払基金の仕組みあるいは権限から見て本来予定されていないものであることを御理解いただきたいと存じます。
こうして審査が終わりましたレセプトは、保険者が負担する費用を請求するために、今度は保険者ごとに分類をいたします。ちなみに、保険者等の数は平成十年二月現在で一万二千六百二十一でございます。
なお、この作業は、従来は手作業で行っておりましたが、業務の合理化、効率化を図る観点から、コンピューターで作成されました紙レセプトにつきましては、記載された数字を光学的に読み取り、保険者ごとに分類し、あわせてデータの入力もできるレセプトOCR処理システムというものを順次各支部に導入しつつありますので、かなりのレセプトにつきましては、機械による分類と同時に保険者への請求額、医療機関への支払い額の集計が可能になります。それ以外のレセプトにつきましては、従来どおり、職員により個々に分類と計算作業を行っております。
全国四十七支部事務所でのこれらのデータは、計算センターで全国レベルでの保険者別及び医療機関別に集計されまして、この結果をもとに、各支部から診療翌々月の五日までに各保険者に診療報酬を請求し、各保険者は請求されました額をその月の二十日までに払い込むことになっております。医療機関へは、診療しました月の翌々月の二十一日までに診療報酬が支払われます。
平成八年度におきましては、レセプト件数で七億一千二百五十六万件余、金額で十一兆七千四百四十二億円余を取り扱っております。
以上が、審査・支払業務の一連の流れでございますが、このサイクルを毎月一カ月という限られた期間内に滞りなく実施するように努力をしておるわけでございます。
各県基金では、量的にレセプト枚数が増加し、また質的にも診療内容が高度化、複雑化するという状況下にありまして、基金職員、審査委員が限られた時間内に業務を処理するべく頑張っておりますが、依然として、機械作成のレセプトと手書きのレセプトが混在するという状況が続いております。また、昨年九月からの健保法改正により設けられました薬剤一部負担の確認等、各県基金では業務処理に大変苦労をしております。しかし、基金職員、審査委員は、基金に課せられました使命を自覚しまして、我が国の医療保険制度が円滑に運営されるように全力を挙げて取り組んでおります。
とりわけ、当基金の審査は、医療保険制度の健全な運営を確保する上で欠くことのできない役割を担っていると認識しておりますが、特に近年、医療費適正化の観点から、関係方面から、より一層充実した審査について強い要望が寄せられております。
このため、平成十年度におきましては、まず重点審査を推進する観点から、基金本部の高点数レセプトを対象とします特別審査委員会におきます審査対象レセプトを従来の四十五万点以上から四十二万点以上に引き下げます。また、支部の重点審査対象レセプトを従来の十万点以上から八万点以上に引き下げ、対象レセプトの拡大を図りました。あわせて、すべての老人保健分レセプト及び入院分レセプト等を重点審査対象としたところでございます。
また、さきに述べましたレセプトOCR処理システムの導入による機械化、合理化によりまして、支払い業務部門の日程の短縮と審査部門への職員の投入が可能になりました。
これに加えまして、今回、厚生省令の改正によりまして、懸案でございました審査委員会の審査期限が、従来の毎月二十日までという規定から月末までという規定に改められまして、必要に応じ繰り下げることが可能になりましたので、従来、必ずしも十分確保できなかった審査委員会開始前の事務点検、審査事務共助のための日程を確保することができることになりました。
また、これに加えまして、現在、基金では、審査業務を一層充実させるべく、現在二十五日間で行っております医療機関からのレセプトの受け付けから保険者への診療報酬請求までの業務処理を、保険者の理解を得まして保険者への請求を五日間ずらすということによりまして、三十日間のサイクルで行う、いわゆる三十日方式の早期導入につきまして、関係方面と鋭意協議を行っているところでございます。これによりまして、さらに業務処理日程を全面的に見直し、審査委員会の会期を繰り下げ、事前の審査事務共助期間を十分確保し、過去の事例項目に即した疑義附せん貼付、高点数レセプトの診療内容の抜き書き等の充実強化を図りたいものと考えております。
支払基金といたしましては、今後とも、先ほど述べましたレセプトOCR処理システムの導入、パソコン等のシステムの構築とその活用、これによりまして、業務処理の効率化、的確迅速な情報の処理とその活用を図るとともに、以上述べましたとおりの各般の施策を総合的かつ積極的に推進し、審査・支払機関としての責務と役割を全うしてまいりたいと考えております。
今後とも、私ども基金に御理解を賜るようお願いいたしまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。(拍手)