桝屋敬悟の発言 (本会議)

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○桝屋敬悟君 私は、ただいま議題となりました労働基準法の一部を改正する法律案に対し、平和・改革を代表して質問を行うものであります。
 法律案の内容に入る前に、労働行政全般にわたる総括的な質問を行いたいと思います。
 まず初めに、私も先ほどの鍵田議員と同じように、最近の雇用情勢について質問をしたいと思います。
 現下の雇用情勢は、我が国経済の先行き不透明感により、かつてない厳しい状況が続いております。二月の有効求人倍率〇・六一倍、完全失業率も三・六%と統計作成以来の最高水準に達しております。
 こうした厳しい雇用情勢の中で、働く意思と能力がある人が働くことができないという失業の増加、雇用の厳しさは国民生活に大きな不安を投げかけております。特に若年層及び高齢者層の高い失業率は深刻でありますし、さらに失業者のうち中高年サラリーマンの倒産やリストラによる非自発的失業は、昨年二月に比べて三割もふえております。一家を支える世帯主の失業率も二・七%と過去最悪となっており、生活不安を一層大きくしています。
 現在の失業の背景には、経済構造の変化による部門別の労働需給のミスマッチや世界的市場経済化による国際的要因などがあるものの、最大の要因は総需要が不足しているという景気的要因であることは論をまちません。すなわち、橋本政権が進めてきた、経済見通しを誤った昨年来の九兆円に上るデフレ政策や財政構造改革に伴う大幅な予算の圧縮効果などなどによる政策不況が、厳しい雇用情勢の最大の原因なのであります。
 こうした厳しい雇用情勢を総理はどのように認識され、責任の重さをどのように感じておられるのでしょうか。橋本総理、今国民が聞きたいのは、口先介入の延長のような記者会見ではなくて、この不況はこれからどうなるのか、さらに一層深刻になるのか、いつまでどんな我慢をしなければならないのか、そして政府はこの厳しい状況に対してどんな処方せんを持っているかということであります。総理のお考えをお聞かせいただきたい。
 失業は人材の政策的放置であると考えます。労働大臣は、所管大臣として労働問題のみならずマクロ経済についても積極的に発言をしていきたい旨の話をされておられますが、今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
 次に、規制緩和とゆとり社会の実現についてお尋ねいたします。
 経済社会のグローバル化等に伴って、国民の雇用労働環境も大きく変化しています。こうした中で、働く人々もかつてのような弱い労働者だけではなくなった時代認識もあるでしょう。働く人々の意識も働き方も多様化し、それに合わせたルールづくりも必要となっております。しかしながら、我が国の長時間労働は依然として解消されておらず、過労死に象徴されるような労働者の健康破壊が進んでおり、加えて、時間外労働等の規制緩和により、多くの女性が長時間・深夜労働に従事し、家庭の子供たちが放置されている弊害も指摘されているところであります。
 こうした状況の中で、規制緩和が企業のニーズのみに沿った、できるだけ使い勝手のいい労働力にしたいというのであれば、国民はゆとり社会から遠のいてしまいます。規制緩和による市場原理の激化は格差も拡大させます。私は、大きな規制緩和の流れの中で、働く人々への保護はますます重要となっていると考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 産業構造の変化の中で、こうした厳しい状況は、特にパート、派遣、契約社員等の非正規雇用労働者への労働条件のしわ寄せとしてあらわれてきていると考えますが、労働大臣の御所見をお伺いいたします。
 さて、今回の法律案について順次質問を行います。
 初めに、時間外・休日労働及び深夜業の問題でありますが、中基審の議論においても、公労使により相当の意見の食い違いがあったことが報告されているとおり、今回の法改正の大きな問題点の一つであります。
 昨年の女子保護規定撤廃の法改正を経て、我が国の長時間労働の実情を踏まえ、男女がともに人間らしい生活を営み得る労働条件を保障する男女共通の時間外・休日・深夜労働の規制を求める声が広がり、国会審議においても時間外労働等の整備に関する附帯決議がなされたところであります。こうした背景の中で、今回の基準法の改正が検討されてきました。今回の改正は、我が国の長時間労働体制に歯どめをかけるため、確実に実効性のあるものにしなければなりません。
 その観点からは、適正化のためのガイドラインに法的根拠を与えることは一歩前進であるものの、労働基準法そのものに上限規制を規定しているものではないという点、基準に対して労使双方で遵守する努力義務を定めたものであり法的拘束力がないという点で、その実効性に危惧するものでありますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 また、労働大臣の定める基準については、現行の適正化指針の一年三百六十時間、女子保護規定撤廃に伴う百五十時間の問題、この両者をどのように整理され規定されるのか、労働大臣の御所見をお伺いいたします。
 なお、女子保護規定撤廃に伴う激変緩和措置については、どの程度のレベルを想定されているのか、あわせてお伺いしたい。さらに、その対象となる女子労働者について、育児、介護のみならず、妊婦や健康上の理由のある者までも対象とすべきであると考えますが、命令で予定している対象者についてお伺いをいたします。
 また、我が国の長時間労働が解消できない大きな理由に割り増し率の低さが挙げられますが、中基審での継続的検討も勘案の上、時間外・休日・深夜労働の賃金割り増し率の引き上げを今後検討すべきであると考えますが、労働大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に、新しい裁量労働制の導入についてお尋ねをいたします。
 法律案では、企業の中枢で働くホワイトカラーの自律的で創造的な働き方のルールとして新たな裁量労働制を設けることとされていますが、裁量性が認められない業務に安易にみなし労働時間制が拡大されるならば、かえって長時間労働、不払い労働を助長することになり、結局は労働者に大きな不利益をもたらすのではないかとまことに心配であります。
 そこで、お尋ねいたします。対象者の範囲等を決定する労使委員会という法律上の新たな機関を規定していますが、この委員会の法的位置づけを明らかにしていただきたい。
 また、対象者、対象業務についての規定は、いずれも抽象的で明確でなく、無制限にホワイトカラー全般に拡大する危険性があり、さらに対象業務についても、建議の段階では、「具体的指示をすることが困難なもの」とされていたものが、法律案では一歩踏み込み、「具体的な指示をしないこと」とされ、労使委員会で決定すればすべて対象とされる危険性があるのではないかと考えますが、労働大臣の御所見をお伺いいたします。
 こうした観点から、大臣が定める指針の内容が極めて重要となります。この指針の骨格をお示しいただきたい。また、この指針に反した場合の対応についてあわせてお伺いをいたします。
 次に、一年単位の変形労働時間制についてであります。
 本制度は、そもそも労働時間短縮を促進するために導入されたものであり、この適用に当たっては、対象となる労働者の健康確保や家庭生活については特に留意をしなければならないと考えます。したがって、一年単位の変形労働時間制を導入する場合は、所定労働時間の基準をさらに短縮する必要があると考えますが、労働大臣の基準設定に当たってのお考えをお伺いいたします。
 最後に、労働契約期間の上限の延長についてお尋ねいたします。
 法律案では、新商品、新技術の開発等の業務、新規事業の展開などのプロジェクト業務に従事する高度の専門的知識、技術等を有する者を確保するために新たに雇い入れる場合に労働契約期間の上限を三年に延長することとされていますが、この点についても、運用の仕方によっては、三年の若年定年制となるものであり、また既に雇用されている労働者を終身雇用から有期雇用に転換させる方途を開くものであり、その運用のあり方が懸念されるところであります。
 対象となる労働者の限定等については、新や高度がつけばすべて適用対象となる危険性も十分あることから、大臣の定める指針の策定方針についてお尋ねしたいと思います。また、当該業務に新たにつく者に限るとの規定は、新規採用労働者に限定されるものなのか、事業の転換、拡大等の場合も適用対象となるのか、具体的にお尋ねしたいと思います。
 労働現場における有期契約の最大の問題は、反復更新の取り扱いであります。中基審においても重要な研究、検討課題とされているところであります。この点について、改正案の三年契約の場合の更新の取り扱いはどうなるのか、また、一年以内の契約の反復の問題の検討状況について、あわせて労働大臣にお尋ねいたします。
 いずれにしても、我が国の産業構造の転換、規制緩和という大きな流れの中で、いかにして真に豊かさとゆとりを実感できる国民生活を確保するか、まことに困難な課題であります。本法律案は、我が国の今後の選択肢が問われているわけであります。私ども平和・改革は、これから慎重かつ十二分に審議を尽くすことを決意表明し、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕

発言情報

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発言者: 桝屋敬悟

speaker_id: 20590

日付: 1998-04-21

院: 衆議院

会議名: 本会議