伊藤英成の発言 (本会議)

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○伊藤英成君 私は、民主党を代表して、ただいま提案のありました橋本内閣不信任決議案に対し、賛成の立場から討論を行うものであります。(拍手)
 平成八年一月橋本内閣が村山内閣を引き継いで、約二年半の月日が過ぎようとしております。橋本内閣が発足したとき、株価は二万三百七十七円でしたが、本日は一万四千八百円台、二七%下落をいたしました。為替レートは一ドル百四円であったものが百四十四円で、三八%下落いたしました。失業率は三・四%であったものが現在は四・一%と、二〇%悪化をいたしました。これが自民党・橋本政権の実績であります。数字は明確に落第点の烙印を押しており、自民党・橋本総理の政権担当能力の欠如、無能さを物語っております。特に、ここ数日の急激な株価や円相場の落ち込みは、まさに日本経済をどん底に突き落とすものであり、同時に、自民党・橋本政権に市場が不信任を突きつけたものであります。
 市場ばかりでなく、米国もとうとう現政権を突き放しました。
 昨日、米国のルービン財務長官は、上院公聴会において日本経済への重大な懸念を表明し、その上で、我々にできる役割は日本政府にこれらの困難な問題に正面から対処するよう積極的に訴え続けることだけだと発言をしております。これは、橋本内閣が何ら抜本的な経済対策に取り組んでおらず、これ以上無策な現政権につき合うことはできないという米国政府の意思表明と考えられます。
 このような能力なき政権が、国民の生活を極限まで圧迫をしているのであります。
 企業の倒産数はウナギ登りであり、四月は前年に比べ二一%も増加しております。さらに、非常に心の痛むことでありますが、年々自殺者が増加をしており、昨日の警察庁の発表では、対前年比で五・六%増加をいたしております。中でも、経済、生活問題を理由にみずからの命を絶たれた方は一七・六%増と急増をしております。国民の生活を守ることが政治の基本であるにもかかわらず、橋本内閣が守り通したものは、国民生活ではなく自民党政権であります。まさに橋本内閣は、国民生活圧迫内閣とも呼ぶべき内閣と断ぜざるを得ません。(拍手)
 橋本内閣の退陣こそ、国民の生活を守る唯一の道であります。
 以下に、橋本内閣不信任の具体的な理由を申し上げます。
 まず第一は、経済、財政、金融政策において、繰り返し誤った政策を実行していることであります。
 現在、我が国が経済危機に直面している最大の原因は、構造不況によるものであります。国際化、情報化、消費者嗜好の高度化、多様化など経済のファンダメンタルズが大きく変化をし、この経済不況を脱却するには、民間主導の自律的経済成長を実現するための経済構造改革の実現が不可欠です。これに対して政府が行った都合六回、総事業規模六十六兆円にも及ぶ経済対策は、一時的なカンフル剤にはなっても、景気回復、経済構造の転換には何ら寄与するものではなかったことは、現在の経済情勢を見れば一目瞭然であります。
 クリントン大統領は、日本政府関係者は、過去うまくいった政策が現在は通用しなくなっていることを理解しなければならないと喝破いたしました。にもかかわらず、今般の補正予算は過去の誤った経済政策の繰り返しであります。なぜにこれほどまでに橋本総理は誤った政策を次から次へと繰り返すのか。つまり、橋本内閣、橋本総理は、そもそも我が国経済の実情を全く理解していないのではないでしょうか。バブル崩壊以降、六十六兆円も投じた対策が、我が国経済のファンダメンタルズの好転、構造改革に何らつながっていないことに対する反省が全く欠落をしております。
 今回の橋本内閣が行った特別減税も、消費マインドの刺激効果は全く期待できません。国民が要求し、野党がそろって要求し、さらには海外からも要求されている恒久減税を退け、景気回復にも構造改革にも何ら資することのない一年限りの特別減税を橋本政権はなぜ選択するのか。橋本内閣は、経済政策を全く理解していないと断ぜざるを得ません。
 財政構造改革においてもしかりであります。昨年四月の消費税率引き上げや特別減税の打ち切り後、消費不振から景気の急速な冷え込みがもたらされたにもかかわらず、医療保険制度の抜本改革なき個人負担引き上げという失策をとり続けたのであります。あげくの果てには、大手金融機関の経営破綻が相次ぎ、諸外国から日本発の世界恐慌を懸念する声も上がっているさなかに、財政構造改革法の成立とデフレ予算の編成を強行したのであります。現在の不況は、まさに橋本内閣不況と呼ぶにふさわしいものであります。
 金融、不良債権対策においても、橋本総理の責任は重大であります。クリントン大統領に確約するまでもなく、不良債権処理が喫緊の課題であることは明白でありながら、総理自身が、この処理の前提である情報開示をあいまいにしたまま、金融機関の抱える不良債権を隠ぺいしてまいりました。さらに、都銀はつぶさない、公的資金は投入しないと国民に約束しながら、平然とこれを欺き、その上、だれ一人として責任をとらないというありさまであります。総理の対策のいずれもが中途半端であったために、貴重な国民の税金を大量に投入しながら、今もなお我が国は大量の不良債権を抱える羽目となっております。
 経済、財政、金融の構造改革は、いずれも橋本内閣が掲げた看板でありますが、以上のような橋本内閣の見識の欠如は、現政権に当事者能力が全くないことを証明しております。
 第二に、橋本内閣は中央省庁等改革基本法を強引に成立させましたが、これは、従来の箱物行政手法を踏襲した、形だけの行政改革、権限や財源の実質的な移譲のない地方分権、官僚への全面依存などを内容とする、およそ行政改革の名に値しない法律であります。本来なら、この行政改革を通じて、二十一世紀の我が国のあり方を国民に問うていくのが政治の責務であります。
 新たな社会の必要性を、地方分権推進委員会は明治維新、戦後改革に続く第三の改革と言い、行政改革会議は「この国のかたち」という表現で取り上げました。しかしながら、これを受けた総理の提案は、このような思想が全く欠落をし、自民党族議員に振り回され、官僚に依存した虚構の行政改革となっております。だからこそ、国土交通省などという公共事業の八割を担う巨大開発官庁を提案するのです。この一点だけを見ても、総理に新たな日本の創造という思想がないことは明らかであります。
 第三に、その場しのぎで国会や国民を欺くかのような発言を繰り返す橋本総理の言動であります。
 昨年末の特別減税の発表、今年度当初予算成立直後の経済対策の発表など、たびたび総理はそれまでの方針や国会における答弁を翻してまいりました。特に予算については、国権の最高機関たる国会において当初予算を最善のものと幾たびも繰り返しながら、これが成立したわずか二十数時間後に補正予算の編成を発表するという、我々には到底理解できない行動に出たのであります。また、行政改革では、火だるまになってもやり遂げるとまで言いながら、結果的に火だるまになって雲散霧消したのは国家国民のための真の行政改革でありました。
 現在の経済危機、政治の低迷、社会不安に対し、多くの国民が将来が見えずに不安な気持ちを抱いております。このような状況を打破するため、リーダーシップを発揮して、新たなる社会のあり方を提示し、国民を導いていくのが総理としての責務であります。しかるに、一国の総理としての言動の重さ、品格をおとしめたのは橋本総理、あなた御自身ではありませんか。
 第四に、政治不信を増大させているのが、総理の倫理観、一般常識の欠如であります。
 ロッキード有罪議員を大臣に登用したばかりか、はびこる与党幹部の献金疑惑や官僚腐敗に対して常に消極的姿勢をとり続ける総理の態度は、政治倫理、公務員倫理に対する国民の信頼を完全に失墜をさせてしまったのであります。みずからの政策の失敗に対し何ら痛痒を感じず、国民に対して謝罪の一言もない橋本総理が一国の指導者として不適格であることは、火を見るよりも明らかであります。(拍手)
 第五に、橋本総理は外交面でも失政続きで、日本丸の船長たり得ないことを露呈いたしました。
 米軍普天間基地返還問題では、代替地問題の最終判断を沖縄県に責任転嫁したあげくに完全に行き詰まり、米国からは信頼を失う一方で、沖縄県民の不安をあおっています。対ロ関係や核軍縮問題でも、橋本総理が示したものはパフォーマンスとアリバイづくり以外の何物でもなく、真のリーダーシップとはほど遠いものであります。さらに、ODAに関連をしてさまざまな醜聞、不正が露呈をするなど、その無能、無策ぶりをさらけ出すばかりであります。
 中国の古典「中庸」には、「政をなすは人にあり」との至言があります。まさに政治が国民のためになるかならないかは政をなす人によって決まるのであります。確たる思想を何ら持たず、誠意の見られない言動によって国民を惑わす橋本総理に、政を行う資格は全くありません。国民も市場も、さらに海外諸国でさえそう判断をしているのであります。総理が一半でも国民に対する責任を持つのであれば、誤った政策を繰り返してきたみずからの国家運営の失態を真摯に受けとめ、一刻も早く退陣されることが最善の道であることを進言いたしまして、私の討論を終了いたします。(拍手)

発言情報

speech_id: 114205254X04619980612_014

発言者: 伊藤英成

speaker_id: 6600

日付: 1998-06-12

院: 衆議院

会議名: 本会議