大久保敏治の発言 (経済活性化及び中小企業対策に関する特別委員会)
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○参考人(大久保敏治君) 横浜銀行常務取締役の大久保でございます。また、全国地方銀行協会の一般委員長も務めているということで、本日この場にお招きをいただいたと思います。まことにありがとうございます。
本日は、中小企業金融についてということでございますので、私からは、地銀界としての中小企業金融に対する取り組み方針、中小企業向け貸し出し強化のための方策などにつきまして、若干の資料をお手元に配付してございますけれども、説明させていただきまして、引き続き、中小企業への円滑な金融を行うために先生方にぜひお願いしたい要望事項につきまして簡単に述べさせていただきたいと存じます。
金融ビッグバンを迎えまして、地域金融機関であります地銀の戦略は、当然のことでございますけれども、個々の銀行によってそれぞれ異なっておりますものの、一般的に申し上げますと、地域金融機関としての役割をさらに強化するということでございます。すなわち、地元重視、地元回帰、あるいは経営資源を最も得意な分野に投入すること、いわゆるリテール分野に投入すること、それから地域のお客様により充実したサービスを提供するということでございます。そして、地域金融機関としての役割のうち最も重要なものの一つが地元の中小企業の育成、あるいは中小企業への資金供給でございます。
この考え方で過去一貫して地銀は取り組んでおりまして、現在、地銀におきます総貸し出しに占める中小企業貸し出しの割合は平均で約七〇%に達しておりまして、これに住宅ローンなどの個人ローンを含めますと、総貸し出しのほとんどが中小企業及び個人向けローンということになっております。
昨今、いわゆる貸し渋りということで銀行の融資スタンスが問題になっておりますけれども、地銀といたしましては、特に優良な、健全な地元中小企業に対しては積極的に誠意を持って対応しておるわけでございます。
しかしながら、個別のケースにおきまして、銀行は貸し渋っているというふうに感じている中小企業の方々がいらっしゃることも存じておりまして、先般、橋本総理あるいは大蔵大臣初め先生方のこの問題に対する御要請につきまして、地銀協会長であります私どもの頭取から、例会等の場で各頭取方に実効ある対応をお願いしているところでございます。
それでは、いま少し地銀の中小企業融資に対する取り組み方針、方策について申し上げたいと存じます。
当然のことでございますが、銀行によって多少の違いがございますけれども、地銀の対応といいますのはおおむね次のようなものでございます。
まず第一に、中小企業、個人に対する融資推進をトッププライオリティーに置いた経営方針を今までも続けておりますし、これをさらに継続を堅持するということでございます。
第二は、保証協会保証によりまして信用補完をしながら、また、地方公共団体とタイアップをして制度融資を推進するということでございます。
第三は、政府系金融機関との連携を強化しながら中小企業のニーズにこたえていくということでございます。
第四には、中小企業向けの融資の目標をつくっておりまして、さらに中小企業向けの融資枠を設定する場合もございますけれども、これらを行内キャンペーンによりまして融資推進を図っているということでございます。
第五は、これはまだ一部の銀行でございますけれども、債権の流動化を図ることによりまして資産の圧縮を促して、その資金を中小企業金融に回すという考え方でございます。
そして最後に、親切な丁寧な対応ということで、専門の相談窓口を設けるといったようなことを地銀界として推進をしているわけでございます。
また、一般に、いわゆる銀行の貸し渋りと銀行の自己資本比率との関係につきましていろいろ議論されておりますけれども、私ども地方銀行の自己資本比率は平成九年三月の時点におきましては平均で九・六六%、平成九年九月においても九・七五%と非常に高いわけでございまして、国際基準の八%と比較しましてもかなり上にいるということでございますので、貸し出しを中心にした資産圧縮を自己資本の比率の関係で急ぐ状況にはないというふうに認識をしております。
それでは、本日、資料として日本銀行経済統計月報の「貸出伸び率の推移」、それと「地方銀行における中小企業向け融資への取組み状況について」、あるいは「新たな中小企業向け融資強化策」という資料をお手元に御用意しました。それをごらんいただきたいと思います。
まず、資料一の「貸出伸び率の推移」をごらんいただきたいと思います。
この表は銀行の五業態、都市銀行、長期信用銀行、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行、この五業態の合計でございますが、それと地方銀行の貸し出しの伸び率、総貸し出し平残の年間増加率の推移をグラフ化したものでございます。
ごらんいただければおわかりいただけますように、地銀六十四行の貸し出しの伸び率は五業態平均と比較しましても引き続き堅調に推移しているものと考えております。
次に、資料二の「地方銀行における中小企業向け融資への取組み状況について」、さらに資料三の「新たな中小企業向け融資強化策」をごらんいただきたいと思います。
これらにつきましては、地銀各行の中小企業向け融資の取り組み状況につきまして、昨年十二月とことしの二月末にそれぞれアンケート調査を実施しましてまとめた資料でございますが、各地銀とも地元の中小企業向け融資に対しましては極めて積極的に取り組んでおります。多種多様な対策を講じて企業の資金ニーズに的確に対応できるように努力をしているところでございます。
銀行は経営の健全性や効率性を高めるということでリスク管理の強化や収益性の向上に取り組んでおりますけれども、一般的に地方銀行の場合、取引先との関係が大変深いものがございまして、取引先の先行きが暗くなったからと申しましてすぐ手のひらを返すようなことはできないのでございます。融資の審査に当たりましても、一定の外的基準のみで企業を判断するのではなくて、個々の企業の個性や成長性などを十分議論いたしましてきめ細かく対応してきております。
しかしながら、長期にわたる不況によりまして、実際には赤字に陥っている中小企業で先行きの展望のはっきりしない企業も多いわけでございます。これらの企業につきましても、支店、本部ともに何とかできないかと日ごろ努力しているのが実情でございまして、その意味で、現在の景気対策が早期に効果をあらわすことを切に期待しているわけでございます。
以上、中小企業金融につきまして地方銀行としての考え方と現在実施しております対策等について申し上げましたけれども、最後に地銀界としましての要望事項を述べさせていただきたいと思います。
地域の中小企業へのより円滑な資金供給のために、ぜひ現行の信用保証協会の保証枠、特に無担保の保証枠の大幅な拡大をお願いしたいというふうに考えております。
このたびは、信用保証協会の保証対象となる中小企業者等の範囲を拡大する中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案を御審議いただくこととなりまして、先ほど堀内通産大臣から趣旨説明があったというふうに聞いております。
今回の中小企業信用保険法の改正案は、中小企業に対する事業資金の融通の円滑化という観点からは極めて有効で意義のある内容であるというふうに認識をしております。しかしながら、現場を通じて特に感じておりますことは、今回の改正案に盛り込まれております中小企業の範囲を拡大することとあわせて、信用保証協会の保証枠、先ほど申し上げましたように特に無担保の保証枠そのものの拡大を望む声も非常に多いということでございます。
現在、中小企業信用保険法では、不動産などの担保つきで保証される普通保険限度額が二億円ということになっております。これに対して担保なしの無担保保険限度額は三千五百万円というふうに定められております。昨年の緊急経済対策では、担保不足等によりまして資金繰りが悪化した中小企業を支援するために特定業種の指定要件等が緩和され、中小企業信用保険法の特例保険の適用対象業種が大幅に拡大されております。現時点では九十三業種に拡大されたというふうに理解しております。
しかしながら、この特定業種に認定されますには、御存じのように売り上げが前年比でマイナス一〇%以上という条件が課されているということが非常に対象業種が少ないという理由であろうかと思います。仮に、そのような制約がなくて現在の信用保証協会の対象業種となるすべての業種に対して信用保証限度額。特に無担保保証限度額の大幅拡大をすることができれば、個人事業主を含めましてすべての中小企業に運転資金を供給することができ、今回の法改正案とも相乗しまして、そのようなお取引先の資金繰り改善に極めて大きな効果が出てくるものと考えております。
以上、地方銀行としての要望を申し上げまして、今後、私どもとしましても一層中小企業金融の円滑化のために努力をしてまいりたいというふうに考えております。
ありがとうございました。