古川敏一の発言 (経済活性化及び中小企業対策に関する特別委員会)

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○参考人(古川敏一君) 御指名をいただきました京都の古川でございます。現在、全国中小企業団体中央会の副会長をいたしておりまして、なお、京都府中小企業団体中央会の会長を十六年間相務めておる者でございます。
 まず第一に御礼を申し上げたいと思います。
 本日は、国会の場で最近の経営状況等につきまして中小企業の立場から参考人として意見を述べる機会をお与えいただきまして、まことにありがとう存じます。斎藤委員長さんを初め、委員の各先生方に心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 限られた時間でございますので、まず第一点に現在の景気状況、特にこの景気状況につきましては、全国中央会が非常な熱を込めて調査をしておりまするその調査結果、これは別紙にございますが、それについて御報告を申し上げ、生の声をお伝えし、結びに三点、国会の諸先生方に心からお願いいたしたい御要望事項を申し上げて終わりたいと思います。
 既に御高承を賜っておりまするように、これはもう常識的でございまするが、我が国の国民総生産の実質成長率は内需の不振により平成九年四月以降急速に低下し、民間消費支出を初め内需項目が軒並み減少傾向に転じておりますことは御理解をいただいているとおりでございます。
 この内需の動きを反映いたしまして、生産も全体として低下傾向をたどり、平成二年を一〇〇といたしました生産指数は、本年三月は大企業で九八・八、中小企業では実に八九・五と、特に中小企業の不振が目立っておるところでございます。
 雇用情勢につきましても、この三月には有効求人倍率が約十五年ぶりに〇・六を割り、完全失業率もまた三・九と過去最悪を記録しているところでございます。したがいまして、中小企業の倒産も昨年の年末以来高水準で推移をいたしておりまして、三月には件数、負債総額ともに対前年比で三割強増加しておりまして、まだ増勢に向かっておるところでございます。
 このように、我が国の景気が一層厳しさを増す中で、特に中小企業の景況の悪化は極めて深刻でございます。ビッグバンと申しますと、一般的に金融のみをお考えのようでございますが、事、中小企業の構造的な不況はまさにビッグバンと申しても過言ではなかろうと、このような感じを持っている次第でございます。
 先ほど申し上げましたように、お手元の資料の二ページに、私ども全国中央会が全国の各業界に配置しております三千名の情報連絡員の協力によりまして毎月実施しておりまする月次景況調査に基づきまして、最近の中小企業の景気動向を見たグラフと表を掲げております。
 これらを見て御理解をいただけまするように、中小企業の景況は消費税率の引き上げが行われました昨年の四月以降、月を追うごとに悪化の度合いを強め、殊に昨年十一月以降今年にかけましては、景況、収益、資金繰りを初め、売上高、販売価格、雇用人員などの主要指標、DI値でございますが、軒並み連続して調査開始以来の過去最低値を更新する状況が続いております。三月の末にはすべての指標が過去最低値を記録するという事態となっているわけでございます。
 ただ、四月の状況は、景況、売上高、収益状況、資金繰りなどの指標につきましては、三月に比べましてやや改善をされましたけれども、依然過去最低値並みの大幅なマイナスを示しているところでございます。また、取引条件あるいは設備操業度、雇用人員の三指標につきましては、さらに過去最低値を更新すみ等、依然として深刻な状況が続いているわけでございます。
 今申し上げましたように三千名の情報連絡員が所属をいたしまする業界の景況を集約いたしておりますので、具体的にコメント形式の報告を生の声としてひとつ皆様に御披露いたして、御参考に供したいと思います。
 まず、繊維製造業でございます。殊に滋賀県の織物の組合からは、過去にないほどの減産が続いている、特に四月は前年同月比六一%の大幅な減産となって、受注は少ロット化し、単価は下がり、苦戦がますます続いておると。
 また、木材・木製品製造関係では、徳島県の業者の組合でございまするが、住宅着工不振が需給のバランスを崩しまして、月を追うごとに先行きは不透明になっている、当面はますます混迷が続くと、こういうコメントでございます。
 電気機器製造業の業界におきましては、福岡県の組合から、半導体、メカトロ機器ともに受注が低迷をしており、景況回復の見込みはさらさらないと、こういうことでございます。
 また、商店街振興組合では、岐阜県の大垣市の商店街振興組合から、昨年は消費税率アップ前の駆け込み需要の反動で大幅な売り上げのダウンだと、これは常識でございますが、今年はさらにその上前をつけて減少していると。
 また、建設業界におきましては、その例といたしまして岡山県から、公共事業、民間工事等仕事の絶対量の不足を訴える声が依然多く、少ない工事をめぐりまして中小企業同士の価格競争の激化から採算が非常に悪化していると、こういうことでございます。
 なお、私ごとを申しまして恐縮でございますが、私は、京都におきまして繊維染色加工資材、これには合成染料あるいは工業薬品あるいは糊剤、さらにそれに関連する機械業の卸を営んでおる者でございます。京都の業界につきまして、ちょっと詳細に御参考に供したいと思います。
 京都は、御高承を賜っておりまするように、繊維を中心とする伝統産業、ハイテクを中心とした近代工業、さらに観光産業、この三つが並立をいたしまして順調に伸びていったわけでございまするが、繊維が非常に悪くなりました。例えば一つの例でございまするが、京都には反織物工業組合という大きな協同組合がございます。最盛時は組合員が一万一千名、当時は日本最大の協同組合でございます。生産量も一千百万名を超えておったんですが、直近では組合員も六千名強に半減、生産量も実に三百万反を割る惨たんたる状況でございます。これにはもちろん単なる不況のほかに二つ、三つ理由がございます。
 その一つは、この原料の生糸が、生糸の一元化という非常に歪曲された制度のもとで国際的に非常に高い生糸を無理に使わされたということ、これは現在大分是正されております。しかし、これがその体質を弱めたことは否定し得ません。その次に、いわゆるASEANから最近非常に安いものが、しかも輸入量が無制限に入ってきておるということ、それで最後に今の非常な不況、言うなればトリプルというようなことで、開闢以来の非常に厳しいというよりも大変な事態に遭遇しているわけでございます。
 あと、西陣織、また京友禅、皆様にそれぞれ奥様方に御愛顧いただいておりまする製品につきましても、同じような状況が続いておるわけでございます。
 こういう厳しい状況下でございますが、ちょっと触れたいと思うのはいわゆる金融機関の貸し渋りでございます。これは中央会の立場から見ますると、四月に入りましても政府の非常な金融の御支援にもかかわりませず、実際の身に肌で感ずる感としては、いささかもそれは緩和をされておらない、こういうふうに思います。
 ただしかし、そういうさなかにありまして、国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫、さらには商工中金、そしてまた信用保証協会を含めましたいわゆる政府系の機関、この方たちがこの非常事態に非常に積極的にまた親切に応対をしていただいていることは、中小企業にとりましてこれは非常に御評価をしておるところでございます。もともと政府系の金融機関につきましては、平常時におきましては、どうも民業を圧迫するじゃないか、そんな政府系の機関要らぬじゃないかという御説もあったように聞くのでございますけれども、先般来のこの厳しい貸し渋りの状況で、よくこの三機関がおられたと、まさに政府の皆様方の先見の明に心から感銘をいたしている次第でございます。この場をおかりしまして、ほんまにこれ心から御礼を申し上げる次第でございます。
 また、それに付随するわけでございますが、商工中金の増資でございます。昨年の民間への移行というような問題のときに、自後政府出資あかんと、こういうお墨つきをいただいたわけでございまするが、私どもがまたお願い申し上げましたところ、非常事態であると、早速それじゃひとつ百六十一億の非常に大きな増額を、間もなく通過をするように聞いておるんですが、こういうことがありまして、中小企業の皆さん方にいかに非常に大きな応援歌を贈っていただいていると。これはほんまに、決してお世辞でございません。これがやはり政治であろうと思いますので、また重ねてお礼を申し上げる次第でございます。
 それで、このようなことでございますので、厳しい状況ばかり申し上げてもせんないことでございます。こういうことを踏まえまして、国会の諸先生方に三点、ひとつ御理解を賜りましてお願いを申し上げたいと思います。
 第一点は、先ほどもお話のございましたように、総額十六兆六千五百億円、まさに過去最大の対策でございまして、私ども心から感銘をいたしておる次第であります。ただ、一番反応すべき株式マーケットが案外冷淡であると、これはいろいろの原因がございましょう。それは一つは、やはり政府の御対策が、今度は早いと思います、今の商工中金の増資に見るように、間髪を入れずやっていただくというようなことで、今度はもう大丈夫と思うのでありますが、さらにこれは、やはりインドネシアなんかの関係を見ましても、非常に世界的に流動化している。先ほどクーさんがおっしゃったように、よくなったらまた後退するんじゃないかという不安もあるわけです。だから、こういう不安を払拭する意味におきましてどうかひとつ、現下の政策、産業の振興あるいは景気の回復を政府は全力でやると、次の参議院の選挙でそれをお聞きすると思うのでありますが、これをとにかく声を大にして即刻実行していただき、もしそういう景気に切れ目があったらその節目節目に即刻お手を打っていただきたい、このように思う次第でございます。
 二番目は、中小企業に対しまする特別貸付制度の創設なんかは非常に感銘をいたしておる次第でございまして、殊に、このたびは政府系中小企業金融機関等の対象範囲の拡大ということにおきまして格段の御理解を賜り、早速、小売、サービスにつきましては千万から五千万円、卸は三千万から七千万という増額をしていただきますこと、非常にこれもありがたいことでございますので、どうぞひとつ一刻も早く国会の御通過をお願いしたい。
 三番目でございます。大店法にかわる新たな大規模小売店立地法案と都市計画法の一部改正法案及び中心市街地活性化に関する法案がいよいよ御審議をいただくわけでございます。ただいまは参議院にて御審議中と承っているわけでございますが、この町づくりに対します一般の不安、抽象的で本当にどうなるんだと、またこれは各地区によってそれぞれ業況によって非常に大きな差が出るんじゃなかろうかと、いろいろと心配をしている向きがございます。ぜひとも委員会の審議におかれまして、附帯決議等の形でも結構でございます、これら法律の運用が地域の町づくりアンド中小小売商業者の発展に資するものになるよう、明らかにするんだと、中小企業の皆さんの不安は要りませんよというようなことで特別の御配慮を賜りますればまことに幸いと思う次第でございます。
 どうも長時間、時間を経過いたしましたけれども、常日ごろの御礼を申し上げまして、お願いを申し上げます。どうもありがとうございました。

発言情報

speech_id: 114214079X00319980525_021

発言者: 古川敏一

speaker_id: 19509

日付: 1998-05-25

院: 参議院

会議名: 経済活性化及び中小企業対策に関する特別委員会