小泉純一郎の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○国務大臣(小泉純一郎君) ただいま議題となりました感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案及び検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案について申し上げます。
 明治三十年の伝染病予防法の制定以来百年が経過し、この間の医学医療の進歩、衛生水準の向上及び国民の健康衛生意識の向上に伴い、コレラによる死者が年間十万人を超えるといった事態を見ることはなくなりました。
 その一方で、国内においては、一昨年にいわゆるO157感染症の流行が社会問題となり、また、世界に目を向ければ、エボラ出血熱等これまで知られなかったいわゆる新興感染症が出現し、国際交流の活発化に伴い国内に持ち込まれる危険性が高まっております。さらには、近い将来克服されると考えられてきたマラリア等が再興感染症として再び問題化するなど、感染症が新しい形で人類に脅威を与えてきております。
 また、伝染病予防法は、強制的な予防措置が既に不要となっている感染症を法定伝染病として法律に位置づけている一方で、エボラ出血熱等の世界的に問題視されている危険な感染症が法の対象とされていないこと、感染症の予防措置に関し、感染症が発生した事後の対応に偏っていること、患者に対する行動制限に際し、人権尊重の観点からの体系的な手続保障規定が設けられていないこと等の点で、時代の要請にこたえることができないものとなっております。
 こうした状況を踏まえ、総合的な感染症予防対策の推進と、これに伴う医療の充実を図るために、今般、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、感染症の予防のための施策は、感染症の患者等の人権に配慮しつつ、総合的かつ計画的に推進されることを基本理念とするとともに、感染症の患者が良質かつ適切な医療を受けられるよう、必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと等を国及び地方公共団体の責務とし、また、感染症の患者等の人権が損なわれることがないようにしなければならないこと等を国民の責務とすることとしております。
 第二に、国は、感染症の予防の総合的な推進を図るための基本指針及び特に施策を推進する必要がある感染症についての特定感染症予防指針を定め、都道府県は感染症の予防のための施策の実施に関する予防計画を定めることとするとともに、所要の感染症に関する情報の収集及び公表に関する規定を整備することとしております。
 第三に、この法律案による措置の対象となる感染症について、その感染力、感染した場合の重篤性等による危険性に応じて類型化することとしております。
 第四に、感染症の類型に応じて、健康診断、就業制限及び入院の制度を設け、患者の人権の保護を図るための手続規定を整備するとともに、この法律案に基づく入院医療の提供体制を整備し、その入院費用について、医療保険各法による医療給付と公費の組み合わせにより負担するための規定を定めることとしております。
 第五に、感染症の類型に応じて、その発生及び蔓延の防止のために感染症の病原体に汚染された場所や物件の消毒、猿その他の動物に係る輸入検疫等の必要な措置について定めることとしております。
 第六に、未知の感染症であって、その感染力、感染した場合の重篤性等に基づき危険性が極めて高いと判断されるものを新感染症と位置づけ、これに迅速かつ的確に対応できるよう、国と都道府県の密接な連携のもとに、蔓延の防止のための入院等の措置を定めることとしております。
 なお、性病及び後天性免疫不全症候群については、おのおのこれまで個別の法律に基づき対応してまいりましたが、これらの法律の制定以降の医学医療の進歩、これらの感染症に関する正しい知識の普及等の状況の変化を踏まえ、今後は、この法律案の中で必要な対応を図ることとし、性病予防法及び後天性免疫不全症候群の予防に関する法律についても、伝染病予防法とあわせて廃止することとしております。
 次に、検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 近年、海外においてはエボラ出血熱等のこれまで知られなかった感染症が出現し、国内においては生活様式の多様化に伴い感染機会が増大しており、感染症を取り巻く環境は大きく変化しております。
 さらに、国際間の人や物の移動の活発化や、航空機による輸送の迅速化に伴い、外国から新たな感染症が持ち込まれる危険性が著しく増大しており、国内への感染症の侵入防止のための施策の充実及び国内における感染症対策と連携した対応が求められております。
 こうした状況を踏まえ、総合的な感染症の予防対策の推進の一環として、国内に常在しない感染症の侵入を防止するため、検疫の対象となる感染症や狂犬病対策における対象動物の追加等所要の見直しを行うこととし、今般、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、検疫法の一部改正につきましては、検疫業務について、国内の新たな感染症対策との整合性を図り、検疫の対象となる感染症として特に危険な感染症を追加し、また、検疫所長が厚生大臣の指示に従って新感染症に対する検疫を行うことができるようにするとともに、隔離及び停留について所要の見直しを行うこととしております。
 さらに、検疫所において、出入国者の求めに応じて診察や予防接種を実施するとともに、外国における感染症情報を出入国者に対し提供することとし、さらに検疫所と都道府県との連携を図ることとしております。
 狂犬病予防法の一部改正につきましては、狂犬病の予防のため、輸出入検疫、狂犬病の発生時における獣医師の届け出措置の対象動物として、現行の犬に加え、猫等を追加することとしております。
 なお、これら二法の施行日は、一部の事項を除き、平成十一年四月一日としております。
 以上が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案及び検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────

発言情報

speech_id: 114215254X01919980410_003

発言者: 小泉純一郎

speaker_id: 9434

日付: 1998-04-10

院: 参議院

会議名: 本会議