加藤修一の発言 (本会議)
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○加藤修一君 私は、公明を代表して、ただいま趣旨説明がありました二法案について、橋本総理、小泉厚生大臣に質問いたします。
質問に入る前に、昨日、橋本後手後手政権は新たに景気対策を発表しましたが、明らかに政策転換であり、その責任を痛切に感じるべきであります。
我が党の予算審議における財革法の見直しを拒否しながら、予算成立の翌日に見直しを表明したことは、余りに国会無視の所業であり、怒りを覚えるものであります。我が党が主張するような大幅な減税を実施して、景気浮揚を図るべきであります。もうこれ以上、国民無視の政治を続けるべきではないと言いたい。
本法案を前にして思うことは、厚生行政そのものの機能不全であります。非加熱製剤の認可、郡司ファイルに代表される隠ぺいと薬害エイズ、抗生物質の乱用放置と耐性菌の増加、MRSAの院内感染による多数の死亡など、これだけを挙げても、厚生省の責任はまさに重大であります。一昨年五月、O157の発生によって多くの被害者が発生、しかも、厚生省の対応が後手後手に終始したことは周知の事実であります。
ところで、今回廃止の伝染病予防法は、実に百年前につくられた法律であります。ラッサ熱など新しい感染症の発生は、最近二十年間に三十に迫る勢いであり、早急な対応が求められておりました。にもかかわらず、改正が今日に至ったのは、まさに厚生省の怠慢であります。橋本総理の御所見をお伺いしたい。
また、今回、問題なのは、公衆衛生審議会小委員会のメンバー三人が、このたびの法案要綱が報告書から著しく後退していると述べ、小委員会開催を求める上申書を厚生省に提出している事実であります。メンバー一同は、要綱を見て愕然とした、患者、感染者の人権の尊重という基本的方向が著しく後退、随所で報告書の内容と断絶すら感じさせるとまで断言しております。またまた官僚中心に書きかえるとは言語道断であります。報告書が最大限反映されるべきであります。総理の御所見をお伺いしたい。
次に、このたびの法案はエイズ予防法がなくなることを意味しておりますが、かつてエイズ予防法が審議されたとき、旧公明党は反対いたしました。それは、第一に医師の報告義務がかえって感染者の潜在化を招く、第二に基本的人権とプライバシーの保護に欠ける、第三に血友病患者に対する偏見を強めるなどの理由からでありました。
厚生省は、反対した理由を今になって気がつくほど人権感覚がないのでしょうか。エイズ予防法の制定過程を十分検証し、本法案の提案理由にその歴史的経緯と謝罪を明記すべきであります。橋本総理、明確に反省の意を表していただきたい。
次に、この法律でどのようにして人権を守ることができるのかということであります。
本法案の目的は、報告書の内容から著しい後退をしております。したがって、目的条項に、患者の治療を受ける権利とプライバシー権などの人権を保障し、尊重することを明確に記入すべきであると思います。橋本総理の御決断を求めます。
本法案の第五条に、医師の責務が書かれておりますが、感染症予防に努めることだけが強調されております。良質かつ適正な医療の提供、また、患者の人権保護に関する文言が明記されておりません。これが過去のエイズ予防法、らい予防法の反省の上に立つものでしょうか。橋本総理の御所見をお伺いしたい。
次に、本法案は感染症別に入院措置、就業制限等を五段階に分けております。各段階の行動制限の理由が納得できるように、きめ細かい手続や情報開示の方法を具体的にすべきであります。また、患者本人とその家族に対して、十分なインフォームド・コンセントが必要であります。
また、第十九条以下に入院等に関する事項が規定されております。しかし、それは都道府県知事が必要と認めるとき、「緊急その他やむを得ない理由があるとき」と具体的な基準が全く不明確になっております。これでは十分な人権の保障がなされません。橋本総理のお考えをお伺いしたい。
次に、法律の実効性をいかに確保するかであります。
感染症対策には、検疫体制と保健所の強化が重要であります。人員配置、感染症の対応マニュアルの整備、保健所等職員への研修、再研修等が必要であります。小泉厚生大臣、具体的な対応をお伺いしたい。
また、日本の感染症研究は、研究者、研究費から見て、アメリカと比較して極めて劣っております。まず、医学教育機関において感染症学の講座がありません。そのために、感染症の専門の臨床医が極めて不足しております。橋本総理、今後の取り組みについてお伺いしたい。
次に、エイズ研究及び国際協力関係の研究費を見ると、対前年度比でマイナス一〇%であります。研究費に対する積極的な姿勢は患者にとって生きる希望であります。マイナスの予算が、政府の後退姿勢を如実にあらわしているのではないでしょうか。橋本総理の御所見をお伺いしたい。
次に、自己血輸血の普及についてであります。
献血の際、HIVの抗体陽性の人は、約六百万件の献血に対して五十四件もあり、十年前の何と八倍に急増しております。検査の網の目をくぐり抜ける感染血液の増加が心配されます。また、ほかの感染症を含めて感染を防ぐ大事な方法の一つは、事前に手術がわかっている患者自身の血液を事前に保存する自己血輸血であります。我が国の普及率はわずか数%と大変貧弱であります。病院等の現場の高いニーズを考え合わせますと、この普及率を加速度的に増加させるべきであります。加えて、血液事業と輸血の安全性に関する血液事業法を早期に制定すべきであります。橋本総理、いかがでありましょうか。
次に、第三条の感染症研究の強化についてであります。
とりわけ、私は国立感染症研究所の問題について取り上げます。当研究所は大量の病原体、遺伝子組みかえ微生物などを扱うバイオ施設であります。
ところで、WHOは、バイオ施設は住宅地、病院などから離れて立地するように勧告しております。また、都市計画法によれば、住居専用地域には数人規模の化学工場も立地できません。ところが、当研究所は新宿区の住宅密集地にあります。WHOのコリンズ博士の査察結果によると、国際基準上、安全性の確保が極めて不十分であると再移転を結論づけております。また、元環境庁長官は、再移転が必要との趣旨の国会答弁をされております。橋本総理、本問題に対する取り組みと、再移転スケジュールを明確に示していただきたい。
また、近年、バイオ施設にかかわる査察、罰則等の法的規制が国際的に強化されておりますが、政府は法的整備を含めた対応策を示すべきではないでしょうか。橋本総理の御見解をお願いいたします。
ところで、感染症の脅威、突発的な発生を考えると、その対策は重要であります。アメリカには、突発的感染症やバイオハザードに対処できる疾病予防管理センターがあり、年間六十億ドルを超える予算と強大な権限を持ち、職員数は六千五百人。さらに、アメリカ軍には微生物災害部隊などがあります。
一方、感染症研究所は四百人弱であり、機能も劣っております。政府は、突発的な感染症の発生の際に、一体どのように住民、国民を守るつもりですか。私は、危機管理の観点からも、既存の組織を再編統合化した機動的な組織を検討すべきときと考えております。橋本総理の御見解をお伺いしたい。
それでは、最後に、地球環境と感染症の観点から質問いたします。
最近、我が国の自然の権利の訴訟は、動物が裁判の原告に加わった点に注目が集まっております。自然の権利を無視して動物をすみ心地のよい海外生息地からの強制的な移動をやめることです。そのために、国際間動物移動規制のための国際条約を検討するか、あるいはワシントン条約を生物絶滅の観点からだけではなく、自然の権利から再度検討すべきであります。これらは、動物を介在した海外からの感染症の侵入を防ぐ観点からも重要であります。そのためにも、日本は国際的指導力を発揮すべきであります。橋本総理の御見解をお伺いしたい。
また、我々人類は、森林に侵入し、森林破壊を延々と続けた結果、森林の逆襲、大自然の逆襲を受けております。すなわち、新たな感染症を密林から解き放ち、世界じゅうに拡散させているとも言えます。この意味でも森林との共生は大切であるわけでありますが、我が国は森林破壊防止の意義を含む砂漠化防止条約を批准しておりません。速やかに批准すべきであります。橋本総理の御決断を促し、私の質問といたします。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕