伊藤英成の発言 (本会議)

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○伊藤英成君 私は、民主党を代表して、小渕総理の所信表明演説に関連し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 去る七月三十日、小渕総理を首班とする内閣が発足いたしました。本来であれば、新総理に対してお祝いを最初に述べるのが礼儀かもしれませんが、橋本内閣の六大改革のすべてが失敗したことに象徴されるように、今日の戦後最大の経済危機を招いた根本原因が政府・自民党の失政にあることをしんしゃくすると、国民の多くの方々もお祝いという気になれないのではないでしょうか。
 事実、小渕内閣の支持率は、マスコミの世論調査では二五%から三〇%台前半に低迷しています。また、小渕総理が自民党新総裁に選出された日、イギリスBBC放送は、市場にとって適切な総裁ではない、ドイツ通信は、国民も日本の金融関係者も外国報道機関もこの人選に納得していない、フランスのル・モンドは、カリスマ性のないコンセンサスの男と報じております。
 まさに小渕総理の評価は、四面楚歌、内憂外患とも言える惨状にあります。まず、総裁就任早々、このような内外の厳しい声を総理はどう受けとめておられるか、その見解をお伺いいたします。
 さきの橋本内閣は、景気は冷え切っているにもかかわらず、経済は回復基調にあると言って財革法を強行導入し、桜の咲くころには景気は回復すると言ってデフレ予算を強行し、現在の戦後最悪の経済危機をもたらしました。橋本内閣の状況判断の誤り、官僚主導型の経済運営の誤りが国民に甚大な不幸をもたらしたのであります。
 しかるに、小渕総理は、自民党三役人事、組閣人事において相変わらずの国民不在の派閥論理を優先するとともに、大蔵大臣に大蔵省OBの宮澤氏を任命し、さらに特別補佐官に、これまた大蔵省のOBの行天氏を登用しております。私どもには、従来の官僚主導型の政策運営スタンスが維持された上に、極めて大蔵省の影響力が強い政権が発足したと見えます。同じ轍を踏むとはまさにこのことを言うのでありましょうか。(拍手)
 また特に、後で指摘いたします政府の金融不良債権処理案では、破綻の認定基準、破綻認定時の責任処理、第二分類債権の分割基準、これら核心部分はすべてあいまいとなっております。実際の運用に当たる大蔵省の裁量権により、我が国には巨大なやみ社会が形成され、その当然の帰結として、政治の恣意的な介入を招くことは明らかであります。こうした危険性をはらんだ内閣とも見えます。
 このような性格を持つ内閣において、そもそも、経済は得意でないとみずから述べている小渕総理御自身が、果たして経済再生内閣をリードできるのか、御所見をお伺いいたします。
 現在の戦後最悪の危機を迎えている日本経済を立て直すには、金融システムの安定化対策、恒久減税、追加補正予算、財革法の凍結などの財政出動プログラムと、社会保障改革や地方分権、官から民への権限移譲などの行政改革、規制撤廃などの経済構造改革とのベストミックスを、いつどのようなタイミングで実施するかにかかっております。
 そこでお伺いをいたします。
 財革法の凍結や恒久的減税を行うというのであれば、その前に、まず国民の前に、現在の戦後最大の経済危機を招いた真因は、政府・自民党の経済情勢判断の誤り、経済、財政、金融政策の誤り、無為無策にあったことを真摯に認めるべきであります。
 昨年初め、せっかく上向き始めた景気は消費税率の引き上げや医療費の自己負担の引き上げで急速に冷え込み、さらに追い打ちをかけるように、昨年十一月、単なる財政一律カット法である財政構造改革法の成立を強行し、景気回復の芽を完全に摘み取りました。しかも、これらの政策はアジアの経済危機や金融不安が深刻化する中で打ち出されたのであります。
 また、金融不安は不良債権問題に何ら手をつけなかったことが原因で引き起こされたものでありますが、政府・自民党は、金融システムの安定化という大義名分のもと、銀行救済のため国民の血税十三兆円を投入するという金融安定化措置法を、我々野党の反対を押し切って成立させました。
 さらに、平成十年度当初予算は、財革法に縛られたデフレ予算であり、日本経済を一層悪化させることは火を見るより明らかであるにもかかわらず、政府・自民党は平成十年度予算は最善のものと言い続け、その上で、予算が成立するや否や、直ちに十六兆円の追加景気対策を発表し、補正予算を組むことを宣言したのであります。その内容は、前総理みずからが愚の骨頂と認めた特別減税の追加であり、選挙対策のための国土破壊型、税金浪費型公共事業であります。
 このようなその場しのぎの政府・自民党の経済、財政、金融政策の失態が、現在の戦後最悪の不況、失業率を招き、国際的な信用をも奈落の底へと失墜させてきたことは明白であります。
 小渕総理は、みずからの内閣を経済再生内閣と位置づけるのであれば、まず昨年からことしにかけて政府・自民党の行ってきた経済、財政、金融政策の誤りを国民の前でお認めになるべきであります。すなわち、総理は所信表明で、国民の声を真摯に受けとめと述べておられますが、そうであるならば、財革法の導入は誤りであった、我々野党の要求した所得課税、法人税の恒久減税を退けたのは誤りであった、ばらまき型の公共事業を行ったのは誤りであったと、この場で真摯にお認めになるべきではないでしょうか。
 総理は、つい先日まで橋本内閣の重要閣僚であり、すなわち橋本内閣の有力な意思決定者の一人であったことを思うと、一層その感を強くいたします。総理の御所見をお聞かせください。
 次に、宮澤大蔵大臣にお伺いいたします。
 大蔵大臣は、バブルの形成期に大蔵大臣を務め、総理としてバブル退治に失敗し、バブル失政の元祖と巷間言われております。また、今日の経済危機の引き金を引いた張本人とも言われております。宮澤大蔵大臣とは、当時私自身、予算委員会でもこうした問題について厳しく議論したことを思い出します。
 すべてが宮澤大蔵大臣の責任ではないでしょうけれども、これから大蔵大臣としてリーダーシップを発揮なさるのであれば、その前に、日本はなぜバブルを引き起こしたのか、何ゆえバブル退治、不良債権処理に失敗したのか、国民の前に、みずからの政策の何が誤りであったのか、しっかりと十分に説明すべきであります。大蔵大臣の忌憚のない明快なる御説明を求めます。
 次に、金融問題についてお伺いいたします。
 不良債権問題に対する政府とりわけ大蔵省の金融行政を一言で言えば、事実を隠すこと、すなわち隠ぺい、解決の先送り、国民への負担押しつけという言葉に集約をされます。政府は、これまでに何度も繰り返し不良債権処理は順調に進んでいると発言をしてきました。
 例えば、九七年一月二十二日の本会議において、時の橋本総理はこう発言をされました。我が国の不良債権問題の緊急かつ象徴的な課題でありました住専問題への取り組みを突破口として、金融機関の不良債権の処理は着実に進んでおります。
 また、一九九七年二月十日の予算委員会においては、時の三塚大蔵大臣がこう言われました。二十行というメジャーバンクについてはしっかりと支えていくこと、大蔵大臣として当然のこと、自助努力の中でリストラが進み、対応が進んでいることを考えればなおのこと、これを支持するのは当たり前だ、こう思っております。
 しかし、政府がこのような発言を繰り返したにもかかわらず、三塚大蔵大臣が言われたところのメジャーバンクである日債銀と拓銀が、その直後に大きな経営危機に見舞われました。預金者や金融市場そして株式市場は、だれも政府の発言を信用していなかったということであります。
 それはなぜか。政府がこれらの銀行の真の経営内容、とりわけ不良債権の実態を完全に隠ぺいしていたからであります。なぜに総理や大蔵大臣の発言と銀行の経営実態の乖離が幾度も繰り返されるのか。まさに大蔵行政の隠ぺい工作と言っても過言ではありません。このような乖離、矛盾がなぜに発生するのか、小渕総理の御所見をお聞かせください。
 それから半年後の十一月十三日、本会議において、橋本前総理はまたこう発言されました。現在、金融機関は、不良債権の早期処理に取り組んでおり、個々の経営状況はさまざまでありますが、全体の状況は改善しております。
 しかし、その四日後、拓銀は都銀として初めて経営破綻に至ったのであります。その後も、松永前大蔵大臣などが、全体としては不良債権の早期処理への取り組みが進められてきており、改善してきていると表明いたしましたが、こうした政府の現状認識の甘さ、実態の隠ぺいが事態を一層深刻にしていることは、御案内のとおりであります。
 以下、政府・自民党の不良債権処理策、いわゆる金融再生トータルプランについて、質問させていただきます。
 不良債権の抜本的な処理を行うためには、不良債権の実態を全面的に開示し、責任を負うべき者を明確にすることが大前提です。金融再生トータルプランにもそのような記述は確かにあります。当然のことながら、もしも債務超過の銀行があるならば、その銀行は責任をとって清算されるべきであります。
 しかし、宮澤大蔵大臣は、就任直後、いち早く、大手銀行は破綻をさせないと発言をされました。金融監督庁による検査が終わっておらず、債務超過でないのかどうかもわからない段階で、なぜ大手銀行は破綻させないと言い切ったのでしょうか。
 これは、債務超過かどうかにかかわらず、大手銀行はつぶさないから安心してくださいということなのでしょうか。つまり、大手銀行にはいわゆるブリッジバンク方式は適用しないということになりますが、そうであれば、債務超過の大手銀行に対しては、税金を差し上げて破綻しないように救済しましょうということなのでしょうか。宮澤大蔵大臣の真意をここで明確にしていただきたい。
 さて、宮澤大蔵大臣の発言から推察すると、政府が描いているシナリオが見えてきます。すなわち、政府は、大手銀行については税金を投入して救済し、責任も一切とらなくて済むようにする。ことし三月に、大手銀行二十一行に対し一兆八千億円の公的資金を投入したようにです。
 これらの銀行の中には、長銀のように、経営危機がうわさされている銀行もあります。もし長銀が破綻すれば、いや、もう既に実質的に破綻して国家管理銀行になっているという説もありますが、長銀に対して投入した千七百六十六億円は二度と返ってきません。
 そのような形で、健全でない銀行に対しても健全だと偽って税金を投入していけば、その銀行の命は数カ月は延びるかもしれませんが、それは抜本的な解決には到底なり得ません。しかも、だれ一人として責任をとることもなく、責任がないはずの納税者が責任をとらされることになるのです。宮澤大蔵大臣を初めとする大蔵省、金融監督庁は、そのようなシナリオを考えているとしか思えません。総理の御所見をお聞かせください。(拍手)
 我々民主党は、宮澤大蔵大臣が考えていると思われるような、税金による銀行救済には一貫して反対をしてきました。そのため、それを可能とする金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律は、今すぐ廃止すべきだと考えております。総理の御見解をお聞かせください。
 次に、だれが不良債権や破綻の認定をするのかということについてお聞きします。
 既に金融監督庁が大手銀行に対する検査を開始しておりますが、現行の体制のままで金融監督庁が検査を行うことについて、私は重大な問題があると考えております。
 それは、金融監督庁に対し依然として大きな影響力を及ぼしている大蔵省が、不良債権の実態を隠ぺいし、問題の先送りを続けてきた当事者であるからであります。我々民主党は、不良債権問題を今度こそ本当に解決するためには、もはや大蔵省主導の裁量行政に任せておけないと考えます。彼らが問題の当事者であるという事実が厳然としてある限り、第三者が公正な立場から解決に当たることが必要です。
 そのような観点から、民主党は、金融監督庁をコントロールし、破綻処理に当たる金融再生委員会という新たな機関の設置を提案しております。政府提出のブリッジバンク法案にも新しい機関が幾つか盛り込まれているようですが、根本的な考え方が違うと思っております。我々の考え方についてどのように思われるか、総理の御所見をお聞かせください。(拍手)
 次に、銀行の破綻に対して、だれを保護し、だれの責任を明確にすべきかという問題についてお尋ねします。
 当然のことながら、銀行が破綻すると各方面に大きな影響を与えます。そのうち預金者については、二〇〇一年三月までは預金を全額保護することになっております。次に、銀行は預金者から集めたお金を企業や個人に融資するという重要な役割を持っていることから、この金融仲介機能を守ることも非常に重要であると考えます。
 そのために、政府は、破綻した銀行を金融管理人の管理下に置き、あるいは、その後公的ブリッジバンクを設立し、善意かつ健全な債務者に対する融資を継続するとしていますし、民主党が、破綻銀行を場合によっては一時的に公的管理下に置くとしているのも、そのような考え方に基づくものであります。
 一方、銀行が破綻すると、株主や出資者はその出資の範囲において損失をこうむる、すなわち株主責任を果たすことになるはずです。さもなくば、税金によって株主まで救済されることになります。政府案では、金融管理人が破綻銀行を管理することになった場合、この問題はどう扱われるのですか。
 また、破綻銀行の経営者や従業員はどう扱われるのかについてもお聞きします。普通の企業が倒産すれば、経営者や従業員は当然職を失います。破綻銀行が金融管理人の管理下に置かれた場合はどうなるのでしょうか。仮に業務を続けるために従業員は解雇しないとしても、今までどおりの給与を支払い続けるのですか。もしそうであれば、税金によって従業員まで救済されることになります。これらの責任を明確にすることが、公的資金投入の大前提であります。総理のお考えをお聞かせください。(拍手)
 ブリッジバンク法案と同時に、不動産に関連する権利等の調整に関する臨時措置法案が提出されました。これは、不動産関連権利等調整委員会という新たに設置する機関が、不動産に関連する権利について、債権債務者間の調停、仲裁を行うというものであります。
 非常に素朴な疑問として、我が国には裁判所というれっきとした債権債務者間の調停、仲裁を行う機関があります。なぜ、裁判所がありながら、不動産関連権利等調整委員会などという新たな機関を設置するのか、その理由を総理にお尋ねします。
 また、不動産関連権利等調整委員会の調停、仲裁により、関係当事者が債務の弁済可能性を高める公正かつ妥当で遂行可能な合意を得たときは、銀行が債権放棄をする際に無税償却を認めることとしていますが、公正かつ妥当かどうかの判断は、どういう基準で行うのですか。
 法人は認めるが個人は認めないとか、大企業は認めるが中小企業は認めないとか、ゼネコンは認めるがそれ以外の業種は認めないとか、どういう基準でそれを決めるのでありますか。だれにでも認めるわけではないのなら、債務者間の公平という問題はどうなるのですか。総理にお尋ねをいたします。
 政府案については、ざっと考えただけでも、以上のような大きな疑問点があります。それに対して、民主党案は、不良債権問題の当事者である大蔵省及び密室裁量護送船団式大蔵行政ときっぱりと決別し、真に抜本的な不良債権処理、金融大手術をすることを提案しております。国民の前にすべてを明らかにし、責任者にはきちんと責任をとらせ、一部の人間だけが利益を受けるようなやり方は絶対しない、それが民主党のポリシーであり、政府案とは真っ向から対立するものであります。(拍手)
 国民の一部には、与野党が国会でいたずらに対立しないで、お互いに協力して早く法案を成立させるべきとの声もあります。しかし、ここで明らかにしておきたいことは、政府案では不良債権の抜本的な処理は決してできないということであります。政府・自民党こそ、民主党の金融再生計画に素直に耳を傾けるべきであります。総理並びに宮澤大蔵大臣の御所見を求めます。
 次に、税制改革についてお尋ねいたします。
 総理は、総裁選出馬に際して、所得税の恒久減税など六兆円超の減税を公約として掲げました。一見いたしますと、我々がさきの参議院選挙で公約として掲げた六兆円減税とうり二つの公約です。しかし、私どもは、総理の六兆円減税の内容につきましては、さまざまな矛盾、疑問を禁じ得ません。
 現在の不況は循環的不況と構造的不況が同時に発生しており、これを解決し日本経済の自律的成長を実現するには、所得税、法人税の恒久減税を行い、官主導から民主導に転換するための経済の構造改革こそが不可欠と私どもは考えます。このような経済構造改革に対する理念が政府・自民党に欠落しているからこそ、定額減税や定率減税などといった場当たり的な、こそくな手法をとり続けてきたのではないでしょうか。
 今回、どのような理念のもとに税制改革を行おうとしているのか、小渕総理の明快なる御所見をお伺いいたします。
 また、小渕総理は、自民党総裁選に際して、国、地方を合わせた所得課税の最高税率を現行の六五%から五〇%に下げるという公約を掲げましたが、総理となった今、これを具体的にどのように実現していこうとお考えなのか、お伺いをいたします。
 次に、所得税減税の具体的な内容ですが、もしも政府が、単純に最高税率のブラケットだけを廃止して、四段階、最高四〇%というような改正を行おうと考えているのであれば、やはり金持ち優遇の所得減税との批判を浴びることは避けられないでしょう。中間所得層に重点を置くという観点から、それぞれのブラケットの延長や一時的な定率減税を組み合わせるということも考えられますが、それでも現在一〇%のブラケットにおさまっている年収七百万円台半ばまでのサラリーマン等にとっては、恒久的な減税の恩恵はほとんど生じません。
 所得減税の具体的な内容として、年収七百万円台から一千万円ぐらいまでの所得層及びそれ以下の所得層について、それぞれどのように考慮しようとお考えなのか、宮澤大蔵大臣にお伺いをいたします。
 次に、個人住民税ですが、私どもは、これまで、地方分権の観点から、国が地方財源を奪うような住民税減税を行うことには強く反対してまいりました。国、地方の合計最高税率を引き下げるためには、少なくとも地方税収を損なわない形での個人住民税率の単一税率化など、改革を進めることが必要であると考えます。もちろん、その際には、低所得層には増税とならないよう、所得税との間での部分的な税源移譲なども含めた調整も不可欠です。
 個人住民税の今後のあり方について、西田自治大臣のお考えをお聞かせください。
 あわせて、課税最低限の問題についてお伺いします。
 現在の平年度の課税最低限三百六十一・六万円という水準は、主要先進諸国と比べて著しく高いことは事実であり、これまでのところ、これを現在以上に引き上げることについては、各党おおむね共通して否定的であります。他方、課税最低限の引き下げについても、現在の経済情勢のもとでは極めて困難と見られております。
 しかし、この問題について留意しなければならないのは、例えば日本よりも課税最低限の低いイギリスやフランスでは、扶養控除がないかわりに、日本よりもはるかに充実した児童手当があるということであります。
 課税最低限が約三百二十万円とされるフランスを例にとると、いわゆる標準世帯に対して年額四十万円余の児童手当が支給されておりますが、これを日本の所得税の扶養控除に換算すると、課税最低限は、実にあと四百万円ほど上昇する計算になります。課税最低限が約百六万円と極めて低いとされるイギリスでも同様であります。我が国でも児童手当制度はありますが、支給対象年齢や金額の点で全く比較になりません。
 以上の事実を逆の面から見れば、我が国でも扶養控除を英独仏などの諸国並みの児童手当に振りかえれば、ほぼ同じ財源で課税最低限を直ちに約百万円引き下げることが可能なのではないでしょうか。課税最低限問題を考える上で、今申し上げましたような、税制上の扶養控除の社会保障給付への転換による課税最低限の引き下げの可能性について、宮澤大蔵大臣及び西田自治大臣の御所見をお聞かせください。
 最後に、世界における日本の位置づけ、評価に関して小渕総理の認識を伺います。
 総理は所信表明演説で、我が国は対外純資産残高百二十兆円、個人金融資産はおおむね千二百兆円、年間GDPは五百兆円を超え、世界第二位の規模云々と述べ、そして我が国の経済社会が力強い基礎的条件を有していると述べております。しかし、我が国の経済社会に対する国際社会からの評価は、近年急速に低下してきております。
 例えば、昨日、この場で我が党の中野議員の質問でも一部触れましたけれども、スイスの調査機関の九八年の国際競争力調査によれば、日本は、九四年までは世界のベストスリー、九五年、九六年は世界第四位。ところが、九七年に入りますと第九位となり、そして本年、九八年の調査では、第十八位まで転落をしております。目を覆うばかりであります。また、世界の格付機関の評価も、マスコミ報道で見る限り、いつトリプルAから格下げになるのか時間の問題とさえ言われております。
 どうして日本はこのようになってしまったのでありましょうか。このような状況を見るにつけ、やはり日本の経済社会のシステム、政治のシステムに大きな欠陥があるように思えてなりません。
 私は、変革の時代あるいは大競争時代にあって、自民党政治が、国民に対して事実を伝えることを怠り、変化に適用可能な法整備や社会システム改革を怠ってきたからだと考えます。すなわち、先ほども述べましたけれども、金融不良債権問題に象徴されるように、政府はまさに事実を隠ぺいし、問題の先送りに終始をしてきました。処理の無責任さ、けじめのなさ、その結果待っていたものは、国家財政の破綻、国際競争力の著しい低下、優良企業の海外逃避、そして市場からの日本売りであります。
 また、米ソ冷戦構造の終えん、ベルリンの壁崩壊等、その後の状況を見ればおわかりのように、民主主義の進展や情報化社会がもたらしたのは、スピードであり、うそを見抜く力であります。こうした社会の変化や時代感覚に対応できなかったのが橋本前総理であり、自民党政治であり、官僚政治であります。
 これらについての問題意識、これからどういう国家を目指し、どのようにそれを実現していこうとするのか、小渕総理にお伺いをして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小渕恵三君登壇〕

発言情報

speech_id: 114305254X00519980811_007

発言者: 伊藤英成

speaker_id: 6600

日付: 1998-08-11

院: 衆議院

会議名: 本会議