宮澤喜一の発言 (本会議)

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○国務大臣(宮澤喜一君) バブル退治、不良債権処理に失敗をした、何が誤りであったと思うかというお尋ねでございました。
 いわゆるプラザ合意が一九八五年九月でございますが、そのときに円は二百四十二円でございました。しかるに、予想されたより非常に急速に円が上昇を始めまして、翌年の今ごろでございますが、私が大蔵大臣に任命されたときには百五十円台になっております。
 したがいまして、このような、我が国が経験したことのないいわゆる円高不況というものが急速に広がりまして、有効求人倍率は低下をいたします。また、日本の企業は外国に立地をすることを考えざるを得ないというような状況でございましたので、これに対しまして、財政としては、何度かにわたりまして財政措置を講じて景気の浮揚を図ってまいりました。
 また同時に、ドルが急速に下落をし続けますので、私といたしましては、これに対していわゆる介入をせざるを得なかったわけでございまして、大量のドル買いを連続して行いました。一日に十億ドルを超える、当時の金で申しますと千数百億円という金が出ていったわけでございまして、これらは当然、ある段階で過剰流動性となって返ってくることは予想できなければならなかったわけでございます。
 しかし、後で顧みますと、政府が、私どもが、素早くそういう過剰流動性を質、量ともにコントロールすること、それから金融機関に対して過剰流動性を不動産等々の取引にむやみに投入しないこと、そういう警告を早く発すべきであったと思います。一九九〇年に総量規制が行われておりますが、これも、今から考えますと遅過ぎたし、またいろいろ穴もあったと思います。そのような点で、顧みまして、反省をいたしております。
 次に、銀行の不良債権の問題についてお尋ねがございまして、大手銀行の債務超過についてでございましたが、自己査定の結果を踏まえまして、外部監査によるチェックを経て公表されました大手十九行の平成十年三月期決算によれば、債務超過に陥っている銀行はないというふうに聞いております。
 特定の金融機関について申し上げるのではなく、一般論として申し上げますれば、債務超過に陥った金融機関については、迅速にかつ明快な措置を講じてまいりましたし、また、そうならなければならないと思います。
 なお、御指摘のような問題につきまして、昭和初期の金融恐慌の例もございますので、閣内にある者としては、こういう問題についての発言は、風説を生じないように、これからも注意してまいるつもりでございます。
 次に、民主党の金融再生計画に素直に耳を傾けるべきという御指摘につきましては、ただいま総理からも御答弁を申し上げました。私もそのような心構えでおります。
 次に、税制改革に関しましては、昨日詳しく申し上げましたが、その中で中堅所得者層に対する所得階層別の控除率の差をつけることができるかどうかということは、理論的には可能なはずでございますが、源泉徴収義務者が、小さいものまで申しますと四百万以上ございます。大企業はよろしゅうございますが、そういうところについて、果たしてそういう複雑な源泉徴収の処理ができるかどうかという税務執行上の問題がございますので、なお検討をさせていただきたいと思っております。
 それから次に、児童手当の問題につきまして、大変示唆に富んだ御質問がありました。それはつまり、扶養控除というものをやめて、逆にそれを児童手当で補う、そういうことが可能ではないか、またそういうことをやっている国もあるという御指摘であったわけです。
 考えますと、税制そのものはいわば財政を主たる目的とする制度でございますし、児童手当は社会保障制度でございますから、大変に関連をしておりますが、必ずしも同一の目的に奉仕するものではない。そういう観点から、我が国としては、扶養控除も持ち、また児童手当もある所得制限のところまでは置いておるというのが現状でございます。
 御指摘のように、両方持っております国もございますし、また児童手当のみで配慮を行っておる国もございます。また、選択制をとっておるところもございまして、それは、低所得層は児童手当をとる、高所得層は扶養控除をとるというようなことをやっておるようでございます。
 大変御示唆に富んだお話でございましたが、私どもとしては、ただいまの制度が我が国の実情に適しておるのではないか、このように考えております。(拍手)
    〔国務大臣西田司君登壇〕

発言情報

speech_id: 114305254X00519980811_009

発言者: 宮澤喜一

speaker_id: 13804

日付: 1998-08-11

院: 衆議院

会議名: 本会議