菅直人の発言 (本会議)
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○菅直人君 私は、提案者を代表して、ただいま議題となりました民主党、平和・改革、自由党三会派提出の金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案、預金保険法の一部を改正する法律案、金融再生委員会設置法案並びに金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の概要とその趣旨を御説明いたします。
まず、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案について御説明します。
バブル崩壊後七年余りを経過してもなお、不良債権問題は一向に解決せず、株価はバブル後最安値を更新し、日本経済はますます泥沼に沈んでいくばかりであります。金融機関の破綻は、昨年秋には都市銀行や大手証券会社の一角をも巻き込むほどに大きな波になりました。この間、政府は、貸し渋り対策などを大義名分に三十兆円の公的資金の投入を柱とする金融安定化策を打ち出し、三月には、優良銀行に限ると国民に説明しながら、大手銀行に横並びで一兆八千億円余の公的資金を資本注入という形で投入いたしました。
しかし、現在深刻な経営危機に陥っている日本長期信用銀行を見ればわかるとおり、この黒を白と言いくるめた欺瞞に満ちた資本注入は、不良債権問題を解決するどころか、金融機関のモラルハザードを拡大し、わずか半年足らずの間に、政府保有の銀行株や劣後債で七千億円以上の含み損が発生しました。
金融危機管理審査委員会は、佐々波委員長の国会答弁でも明らかなように、大蔵省と日銀の検査、考査の結果をうのみにして、わずか九十分の審議で、一兆八千億円余の資本注入を認めてしまいました。こうしたいいかげんな審査機関を隠れみのに、バブル紳士やゼネコンの借金は棒引きにし、国民に負担を転嫁しようというのが政府・自民党提出の金融再生六法案の実態であり、まさに国民に対する背信行為にほかなりません。
政府の金融安定化策は相変わらずの護送船団方式であって、我が国金融界のグランドデザインをどのように描くかといった視点は全く欠如いたしております。この金融安定化策を考案したのが、自民党金融システム安定化対策本部長でありました宮澤現大蔵大臣であり、また、当時の外務大臣として三月の資本注入の閣議決定にサインをされたのが小渕現総理大臣であり、橋本内閣の路線を継承して、今日の事態を招いた小渕内閣の政治責任は極めて重いものと言わざるを得ません。(拍手)
破綻前処理という新しい言葉をひねり出し、長銀と住友信託の合併支援を名目に、幾らかかるかわからないが無限に税金で資本注入しようという、場当たり、その場しのぎ、ノールールの政府・自民党の不良債権問題への取り組み、隠ぺい、先送りの大蔵省主導の金融行政のあり方それ自体が、今や完全に破綻状態にあると私たちは考えます。このような無責任な政策、大蔵省主導の金融行政の体制を続ける限り、我が国金融システムに対する内外金融市場の信頼は永久に取り戻せません。
こうした状況を踏まえれば、二十一世紀の我が国金融業界のグランドデザインを描きつつ、金融危機を管理できる一元的な金融行政の体制を築き、金融機関の破綻処理の枠組みを整備することにより、金融機能の安定とその再生を図ることが必要であります。
本法律案は、こうした考え方に立って、十三兆円の資本注入の枠組みを定めた現行の金融安定化緊急措置法をきっぱりと廃止し、情報開示など金融再生委員会が定める透明なルールのもとで、金融機関の経営改革を推進し、管理された形で金融機関の破綻処理を行う枠組みを整備しようとするものであります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、我が国の金融の機能の安定及びその再生を図るため、新たに総理府に設置される金融再生委員会が主体となって、金融機関の破綻処理を二〇〇一年三月末までに集中的に実施することといたしております。その際、破綻処理の原則として、不良債権等の財務内容を開示することや、経営内容が不健全な金融機関を存続させないこと、株主、経営者等の責任を明確にすること、預金者を保護すること、金融仲介機能を維持すること、破綻処理に係る費用を最小化することという六つの原則を掲げております。
第二に、金融機関の財務内容等の透明性を確保するため、金融機関に対して、定期的に資産の査定と公表を義務づけることといたしております。
第三に、金融機関が破綻した場合に、信用秩序の維持及び預金者等の保護を図るため、金融再生委員会が、裁判所の認可を受けて金融整理管財人を選任し、原則として一年間、当該破綻金融機関の業務及び財産の管理を命じることといたしております。その際、金融整理管財人は、被管理金融機関を他の金融機関に営業譲渡する等のため、資金の貸し付けその他の業務の暫定的な維持継続や業務の整理合理化に関する方針等に関する計画を作成し、計画の実行に関し必要な措置を講じることとしているほか、被管理金融機関の経営者等の責任を明確にするための措置をとらなければならないこととしております。
第四に、金融機関が破綻した場合に、他の金融機関等の連鎖的な破綻を発生させるおそれがある場合、または、当該破綻銀行が業務を行っている地域または分野における経済活動に極めて重大な障害が生じるおそれがある場合は、金融再生委員会は、裁判所の認可を受けて当該破綻銀行の特別公的管理を開始することができることといたしております。その際、特別公的管理銀行は、金融再生委員会の承認を得て、資金の貸し付けその他の業務を行うとともに、経営合理化計画を作成し、二〇〇一年三月末までに、営業譲渡や株式の譲渡等によって特別管理を終えることといたしております。
第五に、公的資金による資本注入を認める金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律は、直ちに廃止することといたしております。
次に、預金保険法の一部を改正する法律案について御説明いたします。
本法律案は、金融機関の破綻の責任を明確にしつつ、破綻の処理を円滑かつ効率的に行うことにより信用秩序の維持に資するため、整理回収機構を設立する等、所要の規定の整備を行うものであります。
以下にその大要を申し上げます。
第一に、整理回収機構は、破綻金融機関からその営業を譲り受けその整理を行うことや、破綻金融機関からその資産を買い取りその管理、処分を行うこととしております。
第二に、整理回収機構の職員は、必要な場合は、債務者が所有する不動産に立ち入ることができる等の立入調査権を有することとしております。
第三に、整理回収機構は、整理回収銀行及び住宅金融債権管理機構の営業の全部を引き継ぎ、その業務を行うことができることとしております。
次に、金融再生委員会設置法案について御説明いたします。
本法案は、我が国の金融の機能の安定及びその再生を図るため、金融機関の破綻に対し必要な措置を講ずるとともに、銀行業、保険業、証券業その他の金融業を営む民間事業者等について検査その他の監督をすること等を主たる任務とする金融再生委員会を設置するものであります。
大蔵省や金融監督庁に対する国民や金融市場の信頼が雲散霧消してしまっている今日、彼らに不良債権問題の解決を託することはもはやできません。金融再生委員会は、隠ぺい、先送り、国民への負担押しつけを繰り返してきた大蔵省による護送船団行政と決別し、不良債権問題の抜本的解決を図るための施策を講じる主体となるものであります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、国家行政組織法第三条の規定に基づいて、総理府の外局として金融再生委員会を設置することとしております。
第二に、金融再生委員会の所掌事務及び権限を、金融制度の調査、企画及び立案をすること、金融整理管財人により破綻した金融機関を管理すること、破綻した金融機関の特別公的管理に関すること、銀行業を営む者の検査その他の監督に関すること等と定めることとしております。
第三に、金融再生委員会の委員長は、国務大臣をもって充てることとしております。
第四に、国家行政組織法第三条の規定に基づいて、金融再生委員会に金融監督庁を置くとともに、そのもとに証券取引等監視委員会を置くこととしております。
第五に、金融再生委員会に、金融機能再生のための緊急措置に関する法律の規定に基づき預金保険機構が取得する特別公的管理銀行の株式の適正な対価を決定するため、株価算定委員会を置くこととしております。
次に、金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について御説明いたします。
本法律案は、金融再生委員会設置法の施行に伴い、銀行業の免許、行政処分等の監督権限を金融再生委員会に移管するために、必要な関係法律の整備を行うためのものであります。
以上が、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案、預金保険法の一部を改正する法律案、金融再生委員会設置法案及び金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の趣旨であります。
最後に、私たち野党三会派は、情報を開示しないなど、基本的な考え方が全く間違っている政府・自民党の六法案では、どんなに修正を加えたとしても、適正な金融再生の道筋は描けないものと考えております。野党三会派案の早期の成立こそが、唯一の金融再生、経済再生の道と考えております。
自民党が、この野党案の基本的な考え方を認めて、よりよいものにするために、政府提出法案を取り下げてでも法案修正の協議を呼びかけるというのであれば、それには積極的に応じていきたいと考えております。この国会で金融再生のための道筋をつけることは、与野党の立場を超えた、国民に対する政治家の責務であると考えます。自民党には、大胆かつ建設的な妥協を呼びかけたいと思います。(拍手)
その上で、私たちは、金融危機に対処できず迷走している小渕内閣には早期の退陣を求めます。国民に対して巨額の負担をお願いするのであれば、まずみずからが、誤った政策を続けてきた政治責任を明らかにし、きっぱりとけじめをつけることが必要であります。不良債権問題を隠ぺいし、構造改革を先送りしてきた自民党政権を変えない限り、金融に限らず、日本が抱えるさまざまな問題の解決は永久に不可能である、このことを申し上げたいと思います。
このことを申し上げ、私の趣旨説明をこれで終わります。(拍手)
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金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案(菅直人君外十二名提出)、金融再生委員会設置法案(菅直人君外十二名提出)、預金保険法の一部を改正する法律案(菅直人君外十二名提出)及び金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(菅直人君外十二名提出)の趣旨説明に対する質疑