伊藤英成の発言 (本会議)

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○伊藤英成君 藤井孝男議員にお答えをいたします。
 まず、ロシアのルーブル危機など、現下の状況をどう認識しているかとのお尋ねがありました。
 ロシア・ルーブル危機やアジアの経済危機は、欧米諸国や中南米諸国の株式、為替市場の動揺を誘っております。特に、これまで世界経済の牽引役であった米国の株式市場に不透明感が漂っている現状は、御指摘のように、世界経済に深刻なダメージを与えるおそれもあると言わなければなりません。世界第二位の経済規模を持つ我が国が果たすべき役割と責任は、極めて重いものと考えております。
 次に、破綻銀行の全株式を強制買収することとしているが、どのような根拠に基づいてこれを認めることとするのかというお尋ねがありました。
 銀行業は内閣総理大臣の免許を受けた者でなければ営むことができず、銀行業の免許を受けるには、銀行の業務を健全かつ効率的に遂行するに足りる財産的基礎を有することが必要であります。したがって、破綻した銀行は銀行業の免許を失うことになりますから、破綻銀行の株式もその財産価値を失います。しかし、大手銀行が連鎖破綻した場合等の金融システムに与える影響の大きさを考えると、場合によっては破綻銀行を公的管理下に置くことも考えなければなりません。とはいえ、その銀行は破綻したのでありますから、その瞬間、株式は無価値になっております。
 このように、国による破綻銀行の株式の強制取得は、金融システムの維持という公共の福祉のために正当な補償のもとに収用するものでありますから、憲法第二十九条第三項で言う財産権の侵害には当たらず、十分な根拠があると考えております。
 次に、収用決定と同時にその権利が失われるとすれば、銀行株取引の安全を著しく害するのではないか、また、これによって銀行の株価が暴落するおそれがあるのではないかというお尋ねがありました。
 株式会社が倒産すれば株券が紙くずになるのは資本主義の大原則であり、銀行株の安全性も一般事業会社株と何ら変わりありません。財務内容が健全で、情報開示が徹底されている銀行の株式は、破綻の心配がないのでありますから、安全性を害するということはあり得ません。財務内容が健全でなく、情報開示がなされていない銀行の株式に対する不安が高まることはあるかもしれませんが、それは全く別の問題であります。
 次に、収用に当たって、正当な対価の算定は可能かというお尋ねがありました。
 預金保険機構が特別公的管理銀行の株式を取得する際には、金融再生委員会の定める算定基準に基づいて、株価算定委員会が適正な対価を定めることとしております。具体的な算定基準としては、株価の算定方法として一般的に用いられている方法、例えば、純資産の金額から株価を算定する純資産価額方式等により決定することになるものと考えております。
 次に、特別公的管理銀行の株主であった者に対する補償手続に膨大な事務負担とコストを要するのではないかというお尋ねがありました。
 政府・自民党は、実質的に破綻していると思われる長銀に対し、公的資金を投入して救済しようとしておりますが、このやり方の方がコストがかかるのは明らかであります。なぜなら、当然責任を問われて損失を負担しなければならないはずの株主も、長銀が救済されることによって救われてしまうからであります。また、補償手続にかかる事務負担コストは、通常の会社が倒産した場合に配当を支払うのと同じであり、膨大なものになるとは考えておりません。
 次に、株主から訴訟が頻発するおそれがあり、このような困難を伴う行政処分を機動的に発動できるのかというお尋ねがありました。
 まず、破綻した銀行の株式が無価値になるのは当然のことであります。また、内閣総理大臣が破綻した銀行の免許を取り消すことは、銀行法によって認められている上に、先ほど述べたとおり憲法に適合しているので、これに対して株主が訴訟を起こしても、株主側に道理はありません。したがって、株主から訴訟が頻発すると考えられず、おっしゃるような懸念はないものと認識をしております。
 次に、破綻前処理の工夫こそ求められているのではないかというお尋ねがありました。
 政府・自民党の言う破綻前処理とは、要するに、破綻の危機にある銀行の救済、延命であります。我々は、本法律案の中で金融機能安定化法の廃止をうたっており、政府・自民党の言う破綻前処理には賛同できかねます。
 確かに、大手銀行の破綻を放置すれば金融システムは動揺しますが、適切な措置を講じて管理された破綻処理を進めれば、破綻銀行を整理清算しても何ら問題は起きません。破綻前処理ではなくあえて破綻前対策というなら、早期是正措置の厳格な発動や、政府系金融機関、信用保証協会の拡充等で事足りると考えております。
 残余の答弁は坂口議員、野田議員よりいたします。(拍手)
    〔坂口力君登壇〕

発言情報

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発言者: 伊藤英成

speaker_id: 6600

日付: 1998-09-04

院: 衆議院

会議名: 本会議