市田忠義の発言 (本会議)

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○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、小渕総理に質問をいたします。
 小渕内閣が発足して四カ月がたちました。七月の参議院選挙は、消費税減税など国民の暮らしを応援する景気対策か、それとも銀行応援のために国民の血税を投入するのかを重大な対立軸として戦われました。この選挙で銀行応援策に熱中した自民党が大敗北を喫したように、国民の審判、選択は極めて明瞭です。
 総理がこの選挙結果を真摯に受けとめる立場に立っていたなら、ただただ銀行支援策に熱中し、有効な景気対策は何一つ講じないという、いわば無策の四カ月を過ごすことはなかったでありましょう。
 今、日本経済の六割を占める個人消費が十一カ月連続で前年比を割り込み、失業、倒産も戦後最悪を記録するなど、国民の暮らしも営業も未曾有の危機に直面しています。この直接の責任が橋本前内閣の九兆円負担増という大失政にあったことは明らかであります。同時に、それに劣らず重大なのがその後を継いだ小渕内閣の経済無策にあったこと、それはあらゆる指標が小渕内閣になってさらに悪化していることを見れば明瞭であります。
 総理は所信表明演説で、「私は、政権発足以来思い切った施策を果断に決定し、実行に移してまいりました」と述べました。しかし、あなたの言う「思い切った施策」とは、銀行支援のために六十兆円、国民一人当たり五十万円もの税金を投入するということだけだったではありませんか。国民が求めているのは、暮らしを応援する思い切った施策であります。そういう施策が一つでもありましたか。答弁を求めます。
 日経産業消費研究所の調査によると、実現すれば消費をふやすと思う政策のトップは消費税率を引き下げることとなっています。日本世論調査会の調査では、七九・四%が消費税の引き下げないし廃止を求めています。どの世論調査を見ても、圧倒的多数の国民が景気対策の第一に消費税の減税を挙げています。
 なぜ国民は、政府・自民党が拒否し続ける消費税減税を強く求めるのか。政治家たるものは、こうした声がどこから起こってきているかに目を向けるべきであります。消費税率の三%から五%への引き上げは、国民にとって単に二%の増税というものではありません。税額でいえば実に六七%の大増税になったのであります。だからこそ多くの国民は、消費税の引き下げを強く求めているのであります。
 しかも、消費税の引き下げは、日本経済の六割を占める個人消費を拡大する上で最も効果的であることは、幾つもの理由から明らかであります。
 第一に、消費税減税は消費すればするほど減税効果が生まれ、文字どおり消費拡大に直結した減税であります。同時に、消費者心理をも好転させます。所得のうちどれだけ消費に回すかという消費性向は、九六年度に比べて九七年度は一・一%も落ち込みました。三%に戻すことで一%消費性向が上がれば、それだけでも五兆円の減税分の消費拡大に加えて、四兆円の消費拡大上乗せ効果が生まれるのであります。
 第二に、消費税の減税はすべての層に減税効果が及びます。特に所得の低い層の家計を温める減税になります。
 第三に、消費税増税で売り上げが落ちた上、価格に転嫁できずに身銭を切って消費税を納めている中小業者、地元商店街の皆さんの営業を助けるという効果であります。
 第四に、民間の住宅投資は、九六年度に比べて九七年度は五兆五千億円も減少するなど、増税によって最も落ち込みが激しい分野ですが、消費税の減税は住宅や耐久消費財などの需要を活性化させる効果を持ちます。
 そして、何よりも消費税減税は、政府が本気で景気対策に取り組み始めたという強烈なメッセージを国民はもちろん、内外に送ることになるでしょう。これが大事であります。
 橋本内閣以来今回の緊急経済対策まで、政府・自民党が打ち出した景気対策で、一回でも国民や市場が大歓迎した対策がありましたか。今回の緊急経済対策も、読売新聞の世論調査では、七割から八割が景気対策に効果なしと答えています。今やるべきは、国民が効果なしと言う対策ではなくて、国民が待ち望んでいる対策ではありませんか。
 将来の税制のあり方については、各党いろいろな考え方があります。国民の間でもそれはさまざまであります。日本共産党は、消費税は廃止を目指すべきだと考えています。しかし、今大事なことは、将来像の違いをわきに置いて、緊急の景気対策として国民世論の最大公約数である三%に戻せの声にこたえることであります。現に、将来の税制については我が党と考え方の違う人々の間からも、緊急の景気対策としては消費税の引き下げ以外にはないという声が上がっています。
 今こそ、消費税減税はしないというタブーを打ち破って、文字どおり思い切った施策として、消費税減税を勇気を持って決断すべきではありませんか。消費税減税の景気回復効果とあわせて総理の答弁を求めるものであります。
 日本共産党は、二院クラブの島袋宗康議員、自由連合の石井一二議員とともに、本院に消費税の三%への引き下げ法案を提出いたしました。この機会に、各党各議員の御賛同を心から訴えるものであります。
 次に、雇用失業問題についてお尋ねいたします。
 十月も完全失業率は四・三%で過去最悪でした。日本リサーチ総合研究所の消費者心理調査によりますと、「今後一年間に自分又は家族が失業することの見通し」では、「非常に不安」が全体の二四・九%を占め、「やや不安」を合わせると六八・三%と、回答者の三分の二を超えています。この不安を解消することは、景気対策上も急務であります。
 東京商工リサーチの調査によれば、東証一部上場企業だけを見ても、九七年度下期には前年同期と比べて十二万七千人、NTTや日立など日本を代表する大企業が軒並み大幅な人減らしを行っています。
   〔議長退席、副議長着席〕
 雇用を守るために今一番大事なことは、一方的な解雇や希望退職の強要をやめさせることであります。そのため、日本共産党は今国会に、一方的な人員整理や解雇の禁止、希望退職という名の退職強要をやめさせる解雇規制法を提出しています。ヨーロッパでは当たり前になっているこうした立法を、今こそ真剣に検討すべきではありませんか。もし、こうした立法を否定するのであれば、大企業の人減らしをやめさせるために、どんな具体的で有効な措置を講じるつもりか、それとも現状でよしという態度をとり続けるのか、明確な答弁を求めます。
 第二は、政府の責任によって新たな雇用をつくり出す問題であります。
 今、日本の労働者は世界に例を見ない長時間・過密労働を強いられています。違法なサービス残業は、政府統計の推計で年間三百時間に及んでいます。これは、民間労働者の数で換算すると四百万人分の雇用に相当します。少なくとも、サービス残業の解消とそれに見合う雇用拡大について直ちに着手すべきだと考えますが、総理の見解を求めます。
 介護、福祉、教育、防災など、国民生活に不可欠な分野の人員不足も深刻であります。
 例えばホームヘルパーは、厚生省の試算でも、介護を必要とする高齢者すべてにサービスを提供するにはあと二十五万人の増員が必要であります。小中学校の三十人学級の実現のためには新たに七万人の教員が必要です。介護や福祉、教育などの施設を拡充するとともに、こうした分野での人材確保のため職業訓練を計画的かつ大規模に実施するなど、思い切った取り組みに足を踏み出すべきではありませんか。
 以上、消費税減税と雇用対策について総理にただしました。これらは、社会保障の拡充、中小企業や農業を守る課題とともに、今の不況を打開する最も大切な柱であります。
 ところが、政府が打ち出した緊急経済対策はどうでしょう。相も変わらぬゼネコン奉仕型の公共事業の積み増しを中心とするものであります。しかし、これでは大手ゼネコンは潤っても雇用も経済も立て直すことができないことは、宮澤内閣以来七回の景気対策で既に証明済みではありませんか。現に、イギリスの新聞ガーディアンはゼネコン生き残りのための要素が大きいと指摘するなど、外国からも酷評が相次いでいます。
 しかも重大なことは、この野方図なゼネコン奉仕の公共事業の浪費が膨大な借金を国と地方の財政にもたらしていることであります。実際、今回の緊急経済対策の結果、国債の発行残高は約三百兆円にも達しています。この結果、国債依存度は、ピークであった一九七九年度を大きく上回り、四〇%近くにもなるのであります。
 このような国家財政の破局を見せつけられた国民は、将来の増税や負担増、福祉、社会保障の切り捨てという絶えざる脅威にさらされ続けることになるのであります。ゼネコン型公共事業の推進は、景気対策に役立たないばかりか、財政の悪化、将来不安、消費意欲の減退などによって不況をさらに深刻化させるという点で、まさに逆立ち対策の典型ではありませんか。
 国の財政だけではありません。大型公共事業促進のために自治体を動員してきた結果、地方自治体の借金も百六十兆円を大きく上回り、地方財政を危機的状況に追い込んでいます。それが自治体本来の役割を放棄させ、福祉・医療・教育などの切り捨てにつながり、国民生活の困難に拍車をかけています。
 このように、百害あって一利なしとも言うべきゼネコン奉仕型の公共事業による浪費をきっぱりやめるべきではありませんか。あわせて総理の答弁を求めます。
 恒久的減税についても、その中身は一握りの高額所得者と大企業に対する減税であります。引きかえに特別減税が打ち切られるため、来年はことしと比べて納税者の八割から九割が増税になります。総理は、昨日、我が党の志位書記局長の質問に答えて、減税額が少なくなる所得階層が生じると答えられましたが、何割の層で少なくなるのか、明確にお答えください。
 次に、新ガイドラインをめぐる問題についてであります。
 政府は、周辺事態法案など、新ガイドラインを具体化するための法案を国会に提出し、その成立をたくらんでいます。重大なことは、これが日本の平和と安全とは何の関係もないどころか、日本を軍事介入の加担者に仕立て上げようとするものだということであります。
 先日発表されたアメリカ国防総省の東アジア戦略報告は、日米同盟を二十一世紀にわたってアメリカのアジア政策のかなめにし、地球規模の日米協力関係をつくり上げると公言いたしました。そして、新ガイドラインとはこうした軍事協力への貢献になるのだとして、その完全実行を迫っているのであります。
 地球規模で行われるアメリカの軍事戦略とは何でしょうか。それは、ことし八月のアフガニスタンやスーダンへの武力攻撃に見られるように、自分たちの言いなりにならない国を軍事力でねじ伏せ、従わせるという、国際法の道理を無視したやり方であります。国連のアナン事務総長も、さきの国連総会の基調報告の中で、この軍事行動について、加盟国による個別の行動は攻撃対象が国家であるなしにかかわらず、解決にはならないと厳しく批判をいたしました。新ガイドラインとそれに基づく関連法案は、このような国際法の道理や国連の警告をも無視したアメリカの軍事行動に無批判に追従、加担していくものではありませんか。そうならないという歯どめ措置が新ガイドラインや関連法案のどこかにありますか。あわせて総理の答弁を求めます。
 しかも、このアメリカの軍事攻撃には、日本の横須賀を母港とするフリゲート艦が参加しています。日本は、アメリカに基地を提供することにより、既に違法な軍事攻撃に加担しているのであります。新ガイドラインにより基地を提供し、さらに後方支援まで行っていくことは、本格的に侵略の加担者になることであり、憲法を正面からじゅうりんするものであることは明白ではありませんか。
 あなたは、昨日、我が党の志位書記局長の質問に、一九八六年の国際司法裁判所の判決について、ガイドラインの後方地域支援とは同列には論じられないと述べました。しかし、判決では、反政府勢力への後方支援でさえ武力行使とみなし得るとしているのですから、まして、国と国との戦争における後方支援を武力行使とは別などという詭弁は世界に通用しないではありませんか。明確な答弁を求めるものであります。
 日本共産党は、憲法を守り平和を願うすべての人々と力を合わせて、新ガイドラインと関連法案の撤回のため全力を尽くす決意を表明するものであります。
 次に、日ロ首脳会談と領土問題についてお聞きします。
 十一月二十一日の小渕総理とエリツィン・ロシア大統領の首脳会談で、今後の日ロ問題について一連の合意が行われました。日本とロシアの間の友好と交流の関係を強化することは、日本の平和外交として当然のことであります。しかし、今回の最大の問題である領土問題の交渉のやり方及びその内容には、日本の国民として見過ごせない重大な問題があります。
 第一に、国民に非公開の国際的な密室協議という問題であります。
 本年四月の橋本・エリツィン会談の日本側の提案も、今回のロシア側の回答も非公開であります。しかも、報道によると、日本側の提案には、領土交渉の対象を歯舞、色丹、国後、択捉の四島に限定することを最終的に確認するとともに、国境線の画定だけの合意で平和条約を締結し、施政権はロシアに残すという返還先送りなど、領土問題での一方的譲歩という重大な内容が含まれています。このような国益にかかわる重大問題をなぜ国会にも国民にも明らかにしないのですか。
 第二の問題は、領土交渉の土台をどこに据えるかという問題であります。
 歯舞、色丹はもちろん、南北千島は日本の歴史的領土であります。問題の根源は、第二次世界大戦の終結に当たり、スターリンが領土不拡大の国際的原則を無視して千島の引き渡しを要求し、それをアメリカ、イギリスが認めて、戦後併合を強行したことにあります。
 日本政府は、一九五二年のサンフランシスコ条約で千島列島の放棄を宣言し、その後、国後、択捉は千島ではないという詭弁を持ち出しました。これは、サンフランシスコ条約の解釈変更で日本国民の領土要求を基礎づけようとするものであります。この態度には、北千島を初めから領土要求の枠外に置いているという根本問題とともに、千島列島の一部である択捉、国後についても日本側の要求を国際的に通用する内容で根拠づけることができなくなるという問題点が含まれています。
 サンフランシスコ条約を絶対化せず、国際法の原理に立って歯舞、色丹と全千島列島を返還交渉の対象にすべきではありませんか。総理の見解を問うものであります。
 次に、防衛庁をめぐる背任、証拠隠し、軍事費水増し事件について伺います。
 この問題について総理は、防衛庁において事実関係の徹底的な解明を図り、厳正な処分を行ったと述べました。しかし、防衛庁が発表した最終報告書は、組織的証拠隠しと受け取られてもやむを得ないと言っただけであります。今回のNEC関連企業との装備調達契約をめぐる水増し請求、過払いが、いつからいかなる規模でどのように行われていたのか、事実関係を明らかにしていただきたい。
 しかも、事件はさらに拡大しています。NECに続いて富士重工、三菱重工など我が国有数の軍需企業で次々と調達契約をめぐる水増し請求疑惑が発覚しています。果たして水増しされていないものはあるのか、これが国民の率直な思いではありませんか。輸入品も含めて、防衛庁のすべての調達品について、水増しはなかったか、癒着はなかったか、徹底的に究明すべきではありませんか。
 軍事費は毎年約五兆円にも上ります。それが防衛秘密ということで、国会や国民の批判を受けない聖域となっていることが防衛庁と防衛産業との根深い癒着を覆い隠し、不正の温床となっているのであります。防衛庁の秘密主義を改め、少なくとも軍事発注の公開性を抜本的に高めることが再発防止の最低の条件だと考えますが、いかがですか。
 さらに、今回の事件によって、軍需企業と自民党との癒着、すなわち、中島洋次郎議員の海上自衛隊の次期救難飛行艇の試作機をめぐる贈収賄事件、防衛庁の発注額に応じて自民党への政治献金が割り当てられていたという重大な疑惑も明らかになりました。報道が事実とすれば、政権党と軍事大企業がいかに骨絡みの関係であるかを示していると言えます。
 行政府の長であり、自民党総裁でもある小渕総理には、事実関係をすべて国会と国民の前に明らかにする責任があります。本院への詳細な説明を求めるものであります。
 このことなしに、来年度の軍事予算の編成が許されないことは理の当然だと思いますが、いかがですか。
 次に、政党のあり方とかかわって、今国民の大きな批判が高まっている政党助成金について質問をいたします。
 自民党の中島洋次郎議員が、うその領収書や監査報告書を使って政党助成金を私的に流用するとともに、選挙買収資金にまで充てていた疑いで逮捕されました。問題の深刻さは、政党助成金が、それを私的に流用しようと、買収資金に使おうと、処罰の対象にさえなっていない文字どおりのつかみ金だということであります。
 国民には増税を押しつけながら、政治家は血税を食い物にして私腹を肥やす、選挙の買収資金にまで使う、このどこが議会制民主主義の発展に役立っているというのですか。
 政党の政治資金は、本来、国民の中での日常的な活動と結びついて、国民一人一人に支えられてつくるべきものであります。これこそ近代政党の当然のあり方ではありませんか。ところが、この制度のもとで、各党財政の中で政党助成金の占める比率が年々大きくなり、中には五割、六割、七割を超えている政党もあります。これでは政党や政治家を堕落させるだけではありませんか。
 政党助成金制度は、国民はもちろん、日本に在住する外国人も含めて、一人当たり二百五十円の税金を負担させ、年間三百十四億円を政党間で山分けする制度であります。この結果どういうことになるでしょう。例えば、さきの参議院比例代表選挙での自民党の得票は一千四百万票台でした。ところが、今年度の交付決定額は約百五十二億円、六千万人分以上の税金が流れているのであります。これが、憲法が保障する政党支持の自由を真っ向から踏みにじるものであることは明らかであります。支持しない政党にまで強制献金が強いられることになるわけであります。
 日本共産党は、企業・団体からの献金も政党助成金も一切受け取らず、国民一人一人に根差して活動している政党として、ここまで弊害が明らかになり、腐敗と堕落の温床となっている政党助成金制度を廃止し、企業・団体献金をきっぱりと禁止することを強く主張するものであります。
 最後に、私は、総理に解散・総選挙の決断を求めるものであります。
 参議院選挙での審判の結果、あなたは本院では首班に指名されませんでした。しかも、発足以来の四カ月、選挙で示された民意に逆らった政治を強行し続けました。こうした内閣の存続が許されるはずはありません。今こそ解散・総選挙によって国民の意思を問うことを強く要求して、私の質問を終わるものであります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 114415254X00319981202_011

発言者: 市田忠義

speaker_id: 16179

日付: 1998-12-02

院: 参議院

会議名: 本会議