小川勝也の発言 (本会議)
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○小川勝也君 私は、民主党・新緑風会を代表し、小渕総理の所信表明演説に対する質問をいたします。
まず、昨日の我が会派北澤俊美議員の野中官房長官に対する自民党と自由党が連立することは野合であるとの指摘に対して、官房長官は細川政権も野合であるとの誤った認識を示しましたので、念のため申し上げます。
御承知のとおり、細川政権は、総選挙で当時の自民党が過半数に至らず、民意を反映してできた政権であります。一方、自自連立は、ことしの参議院選挙を非自民で戦い、首班指名選挙では菅直人に投票した自由党を、政権維持だけが目的の小渕内閣が取り込むための連立であり、おのずから違うことを改めて申し上げておきます。
また、自民党が民主政治を無視し、政権維持のみを目的に政治を行う姿、派閥政治のばっこ、中島洋次郎議員に代表される金にまつわるさまざまな疑惑に対し、国民を代表して不快感をあらわしておきます。
質問に入ります。
初めに、行き詰まる政府の景気対策について伺います。
民主党は、未来型で即効性のある大型の景気対策を要求してまいりました。ばらまき型、旧来型の景気対策に固執し続ける総理の御認識をお伺いいたします。
総理が過去の失敗から何を学んだか、お尋ねしたいと思います。
第一に、バブルの終わりの引き金になったいわゆる総量規制に対する評価であります。第二に、数次にわたる総計百兆円にも上る景気対策の効果に対する評価であります。第三に、タイミングを外し、小出しの景気対策を行った橋本前政権の経済対策に対する評価であります。
さらに大事なことは、景気回復後の経済社会のあり方です。よく経済が患者に例えられ、景気対策はカンフル剤に例えられます。カンフル剤を打たなくても元気な経済にするために総理はどんな方策をお考えか、お尋ねいたします。
また、景気が好転しない最大の理由は、雇用の悪化、将来の不安の増大による消費の低迷にあります。総理の御認識と具体的対策についてのお考えをお伺いいたします。
民主党は、安心して暮らせる社会の創出など、具体的には介護、医療、保育などの施策の充実でも十分な景気刺激効果があると主張しています。公共事業は必要なことではありますが、地方における公共事業依存体質を脱却しない限り、地方の基礎的体力は向上していかないこともまた事実であります。公共事業が落ち込めば、地方の経済がまた落ち込むという悪循環をどのように脱却させていくお考えか、お答えください。
次に、金融問題についてお伺いいたします。
さきの臨時国会において、民主党の反対にもかかわらず成立した金融機能早期健全化法の施行状況についてお聞きいたします。
先ごろ発表された大手十八行の九八年九月中間決算では、不良債権はことし三月に比較して、さらに六千七百億円も増加し、二十一兆二千七百億円となりました。また、金融再生法の規定に基づき政府が定めた新しい基準で不良債権額を計算すると、リスク管理債権二十一兆二千七百億円をさらに上回ることが確実であることも明らかになりました。一体不良債権はどこまでふえるのか、本当にこれだけなのか、その疑問が晴れない限り根本的な問題解決はあり得ません。大手銀行が抱える不良債権の金額について、銀行が公表している金額が本当に真実なのか、小渕総理の見解をお尋ねいたします。
大手十八行は、中間決算の発表と同時に、公的資金による資本増強の方針を表明しました。申請額は最大五兆七千億円に上る規模です。しかし、政府はこの金額では資本増強は不十分と見て、大手銀行に対して申請額の上積みを促しているといいます。つまりは、大手銀行の決算は粉飾で、本当は発表した数字よりもずっと悪いことを政府は知っていて、それを黙認し、もっと公的資金を上積みせよと迫っているわけです。金融システム不安解消のためには、公的資金の投入はやむを得ないものであることは認めますが、実態を隠ぺいして責任追及を回避するというやり方は、まさに盗人に追い銭であり、断じて許すことはできません。大手銀行に対する資本注入についての小渕総理のお考えをお聞かせください。
行政改革について伺います。
総理は、施政方針演説の中でも、行政改革を最重要課題の一つと位置づけられています。今までの総理の御発言は、橋本行革の継承であり、小渕総理の行革に対する姿勢、考え方が一向に明らかとなっていません。まずは総理が、御自身の言葉で行革実行に対する決意及びその特徴を明確にしていただきたいと考えます。
民主党は、行政改革に対して明確な哲学を持っております。ここでその詳細を述べることは控えますが、地方へ、市場へ、民間へ権限を移譲していくことが行革の大前提であります。しかしながら、橋本行革案においては、そのような柱となるべき哲学、理念が欠落しております。特に、現行省庁を単に渡り廊下でつないだだけの一府十二省への再編によるメリットはどこにあるのでしょうか。総理の橋本行革案に対する評価と、行革の哲学をあわせてお聞かせいただきたい。
さらに、具体的な課題でありますが、国土交通省について伺います。
橋本前首相は、みずから進めた省庁再編の結果生まれる国土交通省が余りに巨大になることを懸念し、その矛盾解消を地方分権推進委員会に押しつけました。しかし、地方分権推進委員会が血のにじむような努力を行っている最も重要な段階で首相が交代し、結局、委員会ははしごを外されたような形になり、提出された勧告は国土交通省のスリム化にはほとんど役に立たないものとなってしまいました。そこで、改めて中央省庁等改革基本法にある国土交通省の姿及び第五次勧告を見て、この国土交通省がこのままでよいのか、地方支分部局への権限委譲が地方分権と言えるのか、御見解を伺います。
行革の最後は、情報公開法についてであります。
この法案は、本来なら省庁再編の以前に当然成立を図るべき法案でありましたが、橋本前政権のメンツのために先送りされました。そこで、総理のこの法案への取り組み姿勢、特に少なくとも次の通常国会での成立を図る意図があるのかないのか、明快な御答弁をいただきたいと思います。
次に、教育問題について伺います。
今日、学校は危機的な状況を迎えています。不登校の生徒児童数が十万人を超え、学級崩壊という言葉が頻繁に聞かれるようになりました。この際、抜本的な教育改革が断行されなくてはなりません。審議会でも次々と答申が出されておりますが、小手先の制度いじりではなく、子供に希望を与え、生きる力をはぐくむ場所として学校が根本的に再生されなくてはなりません。一刻の猶予も許されません。
先月発表された文部省の調査によりますと、授業がよく理解できない生徒が小学生では約三割、中高生では約六割という結果が出ました。過半数の生徒が理解できない授業が行われていて、学校が子供たちの個性をはぐくむ場所であるはずがありません。一人一人の個性を生かすきめ細かな教育には、三十人学級の早期実現が必須であります。財政構造改革法により、二年間延長された教職員定数改善計画の取り扱いについて、総理の御見解を求めます。
ゆとりある教育を目指して、完全週五日制の導入、新学習指導要領では内容が三割削減されました。さらに、高等教育についても審議会を通してさまざまな改革が提言されました。しかし、真にゆとりある教育とは何なのかという本質的な議論が十分になされたのでしょうか。
教育の理念は何か。どのような人材を育成しようとするのか。教育における国、地方自治体、学校、地域、家庭の役割はどうあるべきか。子供たちをどのように育てようとするのか。総理にその理念をお尋ねいたします。
〔副議長退席、議長着席〕
新しい農業基本法の論議が進んでおります。我が国の食糧自給率は先進国の中でも著しく低く、欧米各国が軒並み七〇から八〇%あるいは一〇〇%を超えている中で、我が国はわずかに四二%であります。今までの農業政策の議論では、食糧安全保障がおざなりにされていたと言わざるを得ません。総理は、食糧安全保障に関してどのような御見解をお持ちなのか。また、我が国が目指す食糧自給率の目標はどの程度に設定されるのか、明示をしていただきます。
また、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉以降、日本の農業は未曾有の危機に瀕しています。中でも、国際競争力をつけるために規模を拡大した専業農家の疲弊が激しく、このままでは農地が放棄され、国土が荒廃していくのは目に見えています。もとより、農地の価格、物価、賃金などを考えると、日本農業が純粋に国際競争力を得ようとしたのは無謀であったと言わざるを得ません。今こそ、食糧安全保障、国土保全の観点から、ヨーロッパでも実施されている直接所得補償制度を導入すべきだと考えます。総理の御見解をお伺いいたします。
防衛庁調達本部をめぐる背任及び証拠隠滅疑惑に関連して額賀防衛庁長官が辞任し、秋山事務次官以下責任者の処分が発表されるとともに、疑惑にかかわる最終報告が提出されました。
総理は、さきの国会において本院における防衛庁長官の問責決議を重く受けとめ、即刻罷免させるべきであったにもかかわらず、最終報告まで居座り続けさせたのは時期を失したと言わざるを得ません。総理は、本院においてその反省の弁を明確にすべきと考えますが、いかがでしょうか。
事務次官についても、検察の摘発回避に向けて隠ぺい工作をしたとも伝えられ、また三十一人に上る処分者が出たことは、日本の安全保障にとって憂慮すべき深刻な事態と言うべきであります。最終報告によると、地検の捜査の前に資料隠しと見られる行為が行われており、捜査機関に対して非協力的な態度をとるなど、疑惑隠しと見られる実態の一端が明らかになっております。
防衛庁は、最終報告において初めて組織的証拠隠しを認めておりますが、当初は事実をひた隠しにしていた防衛庁が曲がりなりにも組織的証拠隠滅の事実を認めたことは、我々の追及があったからであり、ひとり政府に任せておいたら適当な報告でごまかしていたはずです。事実、中間報告では組織防衛が見え見えであり、過大請求をめぐる疑惑は、贈収賄事案を含め続々と新たな疑惑が浮上しており、とどまるところを知りません。まさに、国会及び国民の防衛庁に対する信頼を裏切り、自浄能力の欠如を露呈したものであります。
このような組織的な隠ぺい工作は、天下りと利益誘導に象徴される関連業界とのもたれ合い構造に由来し、提出された調達制度、調達機構に関する改革案も、これまでのいきさつを見れば、その実効性をにわかに信用できません。さきの中間報告において、額賀長官は防衛庁の説明をうのみにしたと批判を浴びましたが、総理は、本調達問題についてどのような指導力を発揮されたのか、また、具体的な調達制度の改善につきどのようにしていくおつもりなのか、お聞かせ願いたい。
次に、政治腐敗防止に向けた小渕総理の決意について伺います。
御承知のように、通常国会では与野党を挙げて政治倫理、公務員倫理の確立を目指した議員立法が数多く提出されましたが、一度も審議されないまま継続扱い、たなざらし状態となっております。国会議員の地位を利用したあっせん利得の処罰や国家公務員倫理法などを一刻も早く実現すべきでありますが、総理は一体やる気があるのでしょうか。「早期成立を期待」するという他人事のような所信表明では困るのです。自民党総裁たる小渕総理の見解を聞かせていただきたい。
また、自由党は既に、国会議員が入札に口出しをすれば刑罰の対象にするという趣旨である国会議員等の入札干渉等の処罰等に関する法律案を提出しております。これは自由党が基本政策にも高らかに掲げている根幹的政策ですが、連立政権に合意された小渕自民党総裁は、これに賛同するお考えをお持ちでしょうか。自民党内では猛反対の声が上がっているとも聞こえてきますが、この法案に対する自民党の態度を明確にお答えください。
環境問題についてお尋ねいたします。
大量生産、大量消費、大量廃棄を行ってきた近代文明によって、資源の枯渇、異常気象、有害化学物質の拡散と蓄積などの環境問題が発生し、地球をむしばんでいます。私たちには、良好な地球環境を将来世代に引き継ぐ責務があります。そのためには、市民一人一人が責任を持ってライフスタイルを転換し、物質の循環が確保され、自然と共生できる社会を速やかに構築しなければなりません。
スウェーデンの環境団体であるナチュラルステップは、目指すべき循環型社会への羅針盤として、四つのシステム条件を非常にシンプルな形で提示しております。第一に、生物圏の中で、地殻から掘り出した物質の濃度をふやし続けてはならない。第二に、生物圏の中で、人工的に製造した物質の濃度をふやし続けてはならない。第三に、自然の循環と多様性を支える物理的基盤を破壊し続けてはならない。第四に、効率的で公平な資源の利用であります。この四つのシステム条件を満たすような社会を日本も目指すべきであると考えます。
そのためには、環境政策を最優先課題として取り組むことが必要であると考えますが、小渕総理は環境問題をどの程度の優先度でとらえているのか、また、循環型社会構築のためにどのようなお考えをお持ちなのか伺います。
二十一世紀を間近にし、我が国は未曾有の不況の中にはいますが、日本人の生活はかつてなく豊かになり、便利な生活を享受しております。しかし、お金がなければ手に入らないもの、お金があれば手に入るものがふえ、お金の相対的な価値が高くなりました。親は子供に対して、勉強すればより豊かな経済生活が送れると教える。幸せを金銭的な尺度ではかるようになった気がいたします。総理の考える二十一世紀の日本、幸せの哲学を披瀝していただきたいと思います。
日本は今、新たな価値観の創造を含め、経済社会のあり方や教育、行政のあり方など大きな改革が求められ、また、大きな転換を求められている諸課題が山積しています。暮らしを豊かにという経済成長至上主義とも呼べる戦後日本の政治のバイブルは、もはや通用しない時代となりました。今こそ、二十一世紀の日本の哲学とビジョンを持ち、リーダーシップを発揮して、国民に夢と希望を与えられる人だけが日本の総理大臣であるべきだと考えます。円満な人柄から党内で敵が少なく、たまたまなった人が総理大臣であり続けることが、将来の我が国にとって大きな災いをもたらし、国民を不幸に陥れることになると私は指摘をさせていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕